映画『アンセイン 狂気の真実』の概要:「オーシャンズ11」などで知られる、スティーヴン・ソダーバーグが監督を務めたサスペンス作品。全編がiPhoneで撮影されている。ストーカー被害に遭っている女性が精神病棟に強制入院させられ、さらなる恐怖へと巻き込まれていく。
映画『アンセイン 狂気の真実』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
キャスト:クレア・フォイ、ジョシュア・レナード、ジェイ・フェイロー、ジュノー・テンプル etc
映画『アンセイン 狂気の真実』の登場人物(キャスト)
- ソーヤー・ヴァレンティーニ(クレア・フォイ)
- 銀行に勤める優秀な女性。デヴィッドによるストーカー被害から逃れるため、新しい場所で生活を始めた。カウンセリングを受けに訪れた施設に強制入院させられてしまう。
- ネイト・ホフマン(ジェイ・フェイロー)
- ソーヤーよりも先に入院していた男性。その正体は記者で、施設の実態を暴くために潜入していた。相談に乗ったり、隠し持っている携帯電話を貸してくれたりとソーヤーの力になってくれる。
- デヴィッド・ストライン(ジョシュア・レナード)
- 父親が入所していたホスピスでボランティアをしていたソーヤーに出会い、好意を寄せるようになる。やがてソーヤーにつきまとうようになり、彼女が入院している施設にも姿を現す。
- アンジェラ(エイミー・アーヴィング)
- ソーヤーの母。夫との離婚以来、ソーヤーとの関係もぎこちなくなっていたが、度々連絡は取り合っていた。ストーカー被害と強制入院のことをソーヤーから打ち明けられ、退院を求めに施設まで出向く。
- ヴァイオレット(ジュノー・テンプル)
- ソーヤーと同じ病棟に入院している少女。気が強く、ソーヤーの入院初日から喧嘩ばかりしていた。刃物を隠し持っており、そのおかげでソーヤーはデヴィッドから逃げることができたが、自身は殺されてしまう。
映画『アンセイン 狂気の真実』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アンセイン 狂気の真実』のあらすじ【起】
ソーヤー・ヴァレンティーニは、デヴィッド・ストラインという男によるストーカー被害から逃れるため、新天地での生活を始めた。離婚し独り身となった母親のアンジェラには度々連絡を入れるものの、詳しいことは告げていなかった。銀行員として新しい職場でも能力を発揮していたが、どこかでデヴィッドと出会ってしまうのではないかという恐怖から抜け出せずにいた。
ソーヤーはストーカー被害者のための施設へ相談に行くことを決意する。カウセンリングでは女性職員が親身に話を聞いてくれ、少し落ち着いたソーヤーは仕事へ向かおうとした。しかし、診察室へと連れて行かれ、訳もわからないまま身体検査が始まる。自殺をする恐れがあるとの診断を下され、強制的に精神病棟へ入院させられることになった。
自分は異常ではないとソーヤーは抵抗し警察に連絡するも、精神病棟の患者からの通報は真面目に捉えてもらえなかった。からかってくる他の患者や押さえつけようとしてくる職員を殴ってしまい、ソーヤーは鎮静剤を打たれる。翌朝目を覚ますと医師に呼ばれ、昨夜の暴力が原因で入院期間が24時間から7日間に延長されたことを告げられた。
映画『アンセイン 狂気の真実』のあらすじ【承】
同じ病棟に入院しているネイト・ホフマンから、ソーヤーは施設の実態について教えてもらった。保険会社から支払われる保険金を目当てに、カウセリングに訪れた患者をこじつけの理由で強制入院させている場所だったのだ。入院期間中は問題を起こさず、目立たないようにしているほうが良いとネイトは忠告してくれた。
ネイトに言われた通り、1週間の入院期間が過ぎるまで大人しくしていようと決めたソーヤー。しかし、施設内でデヴィッド・ストラインと再会してしまう。職員として施設に就職していたのだった。取り乱したソーヤーはデヴィッドが自身のストーカーであることを訴えたが、駆け付けた職員たちにベッドへ運ばれ拘束される。別人になりすまして就職しているデヴィッドは、必死に叫ぶソーヤーを見ても素知らぬ顔をしていた。
患者たちは所持品をすべて取り上げられていたが、ネイトは携帯電話を隠し持っていた。ソーヤーはそれを貸してもらい、アンジェラに電話した。これまで黙っていたストーカー被害のことや、現在強制的に入院させられていることを告げると、施設まで来てくれることになる。アンジェラは毅然とした態度でソーヤーの退院を求めるが、職員は柔らかい物腰ながらも決して応じることはなかった。
面会は許可されたため、ソーヤーはアンジェラと話すことができた。父親との離婚以来、アンジェラに対し本音を言いづらくなっていたことをソーヤーは謝った。面会を終えると、アンジェラは近くにとってあるホテルへと戻っていった。なんとかソーヤーを助けようと警察と弁護士に相談したものの、どちらも真剣には取り合ってくれないのだった。
ある晩、ソーヤーは枕の下にアンジェラの指輪を発見する。アンジェラが滞在しているホテルにデヴィッドが訪れたことを意味していた。ソーヤーはネイトから携帯電話を借りアンジェラに電話をするが、何度鳴らしても応答がない。不安な思いを募らせても、施設にいるソーヤーにはどうすることもできなかった。
ソーヤーは何かと力になってくれるネイトにだけは心を開いていき、デヴィッドにつきまとわれるようになった経緯についても打ち明けた。以前ホスピスでボランティアをしていたことがあり、そのときの入所者の1人がデヴィッドの父親だった。デヴィッドと父親の面会に立ち会っているうちに、ソーヤーはデヴィッドから好意を寄せられるようになる。そして、父親の死をきっかけにそれが顕在化した。頻繁に連絡が来るようになり、知らない間に家に入られていることもあった。
映画『アンセイン 狂気の真実』のあらすじ【転】
ソーヤーとネイトが度々2人で会話する様子を見ていたデヴィッドは、嫉妬心からネイトへの憎しみを募らせていく。トイレで待ち伏せし背後から襲って連れ去ると、昔使われていた電気療法室にネイトを拘束して暴行を加えた。そしてデヴィッドは大量の薬をネイトに投与し、殺害した。
血だらけになったネイトの写真を見せられたソーヤーは暴れ出し、ついに地下の独房へ入れられる。しばらくするとデヴィッドが姿を見せ、ソーヤーへの愛を語り始めた。所持している山小屋に2人きりで暮らしたいのだと言うデヴィッドに従うふりをして、ソーヤーは同じ病棟に入院しているヴァイオレットを地下室まで呼んでもらった。隙を伺い、ヴァイオレットが服の中に忍ばせている刃物でデヴィッドを攻撃すると、独房から逃げ出した。取り残されたヴァイオレットは激昂したデヴィッドに殺されてしまう。
一方、ネイトが亡くなったことが施設内に知れ渡っていた。遺品整理の途中、ネイトが施設の実態について書き溜めていたノートが見つかった。発見した職員が事務局に届け出たが、事務局は隠蔽する。さらにネイトの遺体も公園内に遺棄したが、程なくして発見された。
ネイトは記者で、この施設の悪行を暴くために患者として潜入していたのだった。ネイトのことはニュースでも大きく取り上げられ、ようやく警察が捜査に踏み出した。事務局が隠蔽しようとしていたネイトのノートも見つかり、ついに責任者たちは逮捕されることとなった。
映画『アンセイン 狂気の真実』の結末・ラスト(ネタバレ)
施設の外まで走ったソーヤーは、物陰に隠れ一息ついた。その瞬間、いつの間にか背後に来ていたデヴィッドに殴られ気を失ってしまう。目を覚ますと、車のトランクの中にいた。すぐ側には、アンジェラの遺体があった。ソーヤーの悲鳴を聞いて、運転席のデヴィッドはほくそ笑む。ソーヤーは走り続ける車から飛び降り、林の中へ逃げ込むが再びデヴィッドに追いつかれた。足を負傷させられたソーヤーは気絶したふりをする。しばらくして、油断しているデヴィッドの首を思い切り刺し、今度こそ逃げ出した。
6ヶ月後。元の生活へと戻ったソーヤーは、職場の同僚とレストランで昼食をとっていた。楽しそうに会話していたソーヤーの顔が突然曇る。近くの席に座る男性の後ろ姿をデヴィッドに錯覚したのだ。ナイフを持って立ち上がり、ソーヤーは男性の元へゆっくりと迫っていく。気がついて振り返った男性の顔を見て、ソーヤーは我に返ったように持っていたナイフを落とした。そして、恐怖に慄いた表情で店の外へと飛び出していった。
映画『アンセイン 狂気の真実』の感想・評価・レビュー
デヴィッドの常軌を逸した行動の数々がとにかく恐ろしかった。また、ソーヤーが正しいことを言っていても精神病患者とみなされ真に受けてもらえず、見ていて絶望的な気持ちになる。ソーヤーはデヴィッドにかなりの傷を負わせて逃げ出したが、その後死亡したかどうかは明言されていない。しかし、デヴィッドが生きていようと死んでいようと、どこかに彼がいるのではないかという恐怖にソーヤーは苛まれ続けるのだろうと思った。今度は信頼できる施設で治療を受け、無事に克服してほしい。(MIHOシネマ編集部)
本作は、ストーカー被害に遭い精神的に追い詰められた主人公が、気軽に受けたカウンセリングで強制入院させられた時に体験した恐怖を描いたサスペンス作品。
全編をiPhoneで撮影していて、手ブレや接写、ぐるぐると視点が変わる画角に目が回りそうになった。
強制入院先で医師として働くストーカーの元カレと再会するという不条理で絶望的な状況に心底恐怖を感じた。
また、ストーカーだけの怖さではなく、心理戦のシーンもとても見応えがあった。(女性 20代)
「オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグ監督が全編iPhoneのみで撮影したこの作品。iPhoneだけでこんなに綺麗な作品が撮れるんだと感動すると同時にiPhoneならではの視点で撮られるシーンもあり、その視点やカットが作品の気持ち悪さを増幅させ、ある意味大正解でした。
精神科病棟が舞台となるお話にありがちなのは、そのストーリーの全てが「妄想」だったというラスト。この作品はどういうラストなのか考えながら見ていましたが、とにかく胸糞悪い展開にラストなんてどうでも良くなるほど見入ってしまいました。女性には少しきついシーンもあるかと思います。注意して見てください。(女性 30代)
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