映画『アス』の概要:アディは子供の頃、浜辺のミラーハウスで自分にそっくりの少女に出会う。大人になった彼女は、家族4人で再びその地を訪れる。その夜、自分たちと同じ姿をした家族が、玄関の前に現れた。
映画『アス』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:ジョーダン・ピール
キャスト:ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、エリザベス・モス、ティム・ハイデッカー etc
映画『アス』の登場人物(キャスト)
- アデレート・”アディ”・ウィルソン / レッド(ルピタ・ニョンゴ)
- 少女時代に自分とそっくりな少女に出会うという体験をし、失語症となるが克服する。大人になって再び、成長した分身・レッドに会う。
- ゲイブ・ウィルソン / アブラハム(ウィンストン・デューク)
- アディの夫。口数が少ない妻とは違い、楽観的でおしゃべり。ある夜、別荘で自分とそっくりな分身・アブラハムに襲われる。
- キティ・タイラー(エリザベス・モス)
- ウィルソン家とは別荘が近く、家族ぐるみの付き合いをしている。彼女の前にも、赤い服を着た分身が現れる。
- ジョシュ(ティム・ハイデッカー)
- キティの夫。ウィルソン家より豪華な別荘に住む。キティと一緒に赤い服の分身に襲われる。
- ゾーラ・ウィルソン / アンブラ(シャハディ・ライト・ジョセフ)
- アディの娘。スマホが手放せない今時の少女。分身のアンブラは獣のように足が速く、彼女を追いかける。
- ジェイソン・ウィルソン / プルートー(エヴァン・アレックス)
- ゾーラの弟。いつもマスクを被っている。分身のプルートーは、顔が火傷でただれている。
映画『アス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アス』のあらすじ【起】
1986年。アディは両親とサンタクルーズ遊園地に行く。両親が目を離した隙に、何かに導かれるように歩き回る。「エレミヤ書11章11節」と書いた紙を掲げた男を横切り、砂浜へ。雨が降り、「本当の自分を探そう」と書かれたミラーハウスに入る。迷路のような鏡の部屋で、自分とそっくりな少女に出会う。
現在。大人になったアディは結婚し、陽気な夫のゲイブと2人の子供ゾーラとジェイソンと一緒に、サンタクルーズの別荘に着く。彼女は子供の頃の失踪経験で心的外傷後ストレス障害と診断されたが、今は克服していた。
4人はサンタクルーズ・ビーチへ。途中で救急車に死体が運ばれるのを目撃。その手には「エレミヤ書11章11節」と書いた紙が握られていた。浜辺で友人のタイラー一家と合流し、日光浴を楽しむ。浜辺には今も「自分探しの旅」の小屋があった。ジェイソンは小屋の近くで、血まみれの不気味な男を目撃する。
別荘に戻ると、アディは子供の頃の失踪事件を夫に告白。ここに来てから偶然が続き、彼女が近づいている予感がするから、家に帰りたいと言う。すると突然停電に。外を見ると4人家族の人影が、じっとこちらを見ていた。
映画『アス』のあらすじ【承】
赤い服を着た4人の人影に、アディと子供たちは怯える。ゲイブは外に出て追い払おうとするが、彼らはどんどん近づいてきた。バットで追い払おうとしたが、大柄の男に取り上げられ、足を強打される。家に侵入したその男は、ゲイブにそっくりだった。
他の3人も、まるで分身のように瓜二つ。彼らはリビングで、4対4で向き合った。レッドという名のアディの分身は、しゃがれた声で影の存在について語り始める。昔、少女には影がいて、二人は繋がっていた。少女が温かい食事を食べると、影はウサギの生肉を食べさせられた。影はずっと、少女を恨んでいたと話した。
ゲイブは彼らに何が欲しいのか聞くと、アブラハムは雄叫びを上げて彼を襲った。アディは手錠をかけられ、ゾーラは分身のアンブラに追いかけられる。ジェイソンは分身のプルートーと一緒に納戸に入った。彼は分身が自分の動作を真似することに気づく。マスクを外したプルートーの顔は、火傷でただれていた。
アンブラはゾーラを追い、車の上に乗って威嚇する。そこに車の持ち主が現れて、車から降りるように注意をすると、彼女は植木バサミで男を突き刺した。
映画『アス』のあらすじ【転】
レッドはこの日を待っていたと言いながら、アディを脅す。ゲイブはボートに連れ込まれたが、アブラハムをスクリューに巻き込ませて殺害し、無事に逃げ切ることができた。
ジェイソンはプルートーを納戸に閉じ込めて逃げ出した。アディは手錠をはめたまま別荘を飛び出し、ゾーラは戻って来た。3人はゲイブが運転するボートに飛び乗り、タイラーの別荘へ行った。
しかし、タイラー家でも同じ現象が起きていた。彼らは既に、赤い服を着た分身に惨殺されていた。アディは彼らの分身に捕まる。ゾーラはゴルフクラブ、ジェイソンは置き物を手に握って家に侵入。赤い服の彼らを次々に倒して、アディを救った。
生き残ったアディたちは、テレビを見て驚愕する。赤い服を着た軍団が、各地で人間を襲っているというニュースを報じていたのだ。彼らはどちらかが死ぬまで襲い続けるだろうと、アディは推測した。タイラーの車で逃げようとすると、アンブラが追いかけてきた。彼女は車の上に飛び乗り、ハサミで襲う。ゾーラは車を急発進させ、彼女を車から突き落として殺した。
映画『アス』の結末・ラスト(ネタバレ)
町に行くと、至る所に死体が転がっていた。炎上する車の近くにプルートーが立ち、彼らの車に引火させようとした。ジェイソンは同じ動きをする彼らの習性を利用し、プルートーを炎に向けて歩かせて焼死させた。その直後、ジェイソンはレッドに連れ去られた。
アディが追いかけると、「自分探しの旅」の小屋に着いた。その中の長いエスカレーターを降りると、長い通路といくつものドアがあり、無数のうさぎが野放しにされていた。そこでレッドを見つける。
アディはしゃがれた声で地下の秘密を語る。昔、人間が肉体を複製する方法を見つけ、地下の世界を作ったこと。影も同じ人間で、地下から上の人間を操り人形のように動かしていること。別々だった人間と影だったが、ある日、神がアディとレッドを一つにしたと話した。
彼女は地上に上がるため、赤い服を用意するなど念入りに計画し、この日を待った。そう言うと、レッドはアディに襲いかかるが、反撃されて殺された。アディとジェイソンは地上に戻り、ゲイブとゾーラと合流する。
アディは町を離れながら昔を振り返る。少女時代に地上に来た日のことを。地上に出たのはレッドで、地下に残されたのがアディだったのだ。ジェイソンはそのことに気づいた顔をする。山の上では赤い服の集団が長い列を作っていた。
映画『アス』の感想・評価・レビュー
自分とそっくりの少女が現れたり、大人になると家族単位で分身が現れたりと謎だらけ。お揃いの赤い服にハサミという、分身たちのビジュアルも不気味だ。最もゾクゾクするのは、アディの分身・レッドの存在。暗がりで白い目を光らせ、しゃがれた声で地下の謎を説明する姿は、これまでのホラーヒロインの中でも飛び抜けた薄気味悪さがある。演じたルピタ・ニョンゴの背筋が凍るほど演技力に、最後まで引き込まれた。(MIHOシネマ編集部)
なんとも不思議な感覚に陥る作品。ストーリー全体が暗く、不気味な雰囲気が漂っていて観ているだけで胸が苦しくなります。小さい頃の思い出は、あまりに衝撃が強すぎると消えないトラウマになってしまう。過去のトラウマと戦い続けるのかと思いきや、後半は予想もしていなかった展開で前半のストーリーとはまるで別の作品のようでした。
メッセージ性がとても強く、今の自分と過去の自分は本当に同じ人間なのか…?そんなことを考えてしまいます。(女性 30代)
本作は、ある家族が自分たちとそっくりのドッペルゲンガーが現れ、襲い掛かってくるサスペンスホラー作品。
社会や人間が作り出す闇が描かれていた。
また、伏線回収も見事で、不可解だったこと一つ一つに理由があって納得した。
ホラー要素強めのイメージとは違って、社会問題が絡んでいてメッセージ性が強く、主人公たちが自分たちの分身に立ち向かう勇敢な姿には見応えを感じ、大好きな作品の一つとなった。
単なるホラーではなく、鑑賞後も考えさせられる作品。(女性 20代)
ドッペルゲンガーが敵となる設定の映画は初めてで、大変興奮しました。もう一人の私たち『アス』が襲い掛かってくるので、何度も血の気が引きました。しかも、ホラーサスペンスではありますが、差別問題の要素も含まれており奥深さを感じさせるストーリーです。一度見ただけでは理解しきれていない部分があるため、次はアメリカの人種差別や歴史について調べながら鑑賞したいです。伏線があちこちに散りばめられ、後の展開が気になりすぎて全く退屈しません。(女性 30代)
以前から知人に勧められていたがホラーが苦手な為避けていた。もしかしたら本当のホラー好きにとってはソフトでマイルドな部類に入るかもしれないが、数々の暴力シーンと人の不安感を煽る効果音のもたらすものはホラー映画が苦手な者にとっては十分辛い。
しかし終盤、その襲ってくる「何者か」がただの化け物ではないことが明かされる辺りから、この映画が単なる「ホラー」ではないことに気づく。するとそれまでの数々の怖いシーンの見え方が変わってくるのだ。ホラーはちょっと…という方も見る価値ありだ。(男性 40代)
大人気ホラー作品『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督による作品。
『ゲット・アウト』に続き、こちらも王道ホラーとは異なる独特な世界観で魅力あふれる作品となっている。『ゲット・アウト』が人種差別を題材としているとするならば、こちらは格差社会といったところだろう。ドッペルゲンガーに襲われるという物語で、終始不気味な空気が漂い、驚きの恐怖よりもゾットする恐怖に襲われるホラー。何より想像掻き立てられる結末、伏線の多さはさすがである。(女性 20代)
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