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映画『ヴァンパイア』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヴァンパイア』の概要:自殺志願者が集うサイトで知り合った“プルート”と“ゼリーフィッシュ”は、プルートの提案で血を抜き取って自殺を行う事にした。しかし、プルートはゼリーフィッシュの血を抜き取るとその血を飲み、足早に立ち去った。彼はヴァンパイアで自殺志願者の血を飲む為に集めていた。

映画『ヴァンパイア』の作品情報

ヴァンパイア

製作年:2011年
上映時間:119分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、サスペンス
監督:岩井俊二
キャスト:ケヴィン・ゼガーズ、ケイシャ・キャッスル=ヒューズ、蒼井優、アデレイド・クレメンス etc

映画『ヴァンパイア』の登場人物(キャスト)

プルート / サイモン(ケヴィン・ゼガーズ)
生物学の高校教師。気弱なヴァンパイア。自殺志願者を狙い、血を抜き取る。
サイモンの母親(アマンダ・プラマー)
アルツハイマー病。
ミナ(蒼井優)
サイモンの学校の生徒。不安定な面があり、度々自殺しようとする。
レディバード / イングリット(アデレイド・クレメンス)
自殺志願者。集団自殺をしようと集まった中でサイモンと出会う。
ローラ
警察に勤める兄がいる。サイモンと出会い恋をする。

映画『ヴァンパイア』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヴァンパイア』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヴァンパイア』のあらすじ【起】

“プルート”と名乗る男と“ゼリーフィッシュ”と名乗る女は、ぎくしゃくした様子で自己紹介をする。プルートはゼリーフィッシュからパソコンを預かる。死んだ後、家族に迷惑が掛からないように2人の通信記録を証拠隠滅するためだ。プルートの車にゼリーフィッシュは乗り込む。

車中、2人は自殺志願者を説得しようとしていた“救世主”の悪口を言い合う。途中で店に寄り、ゼリーフィッシュはコーヒーなどを買い込む。プルートがお金を渡していたがゼリーフィッシュが買いすぎた為、彼女自身もお金を少し出していた。プルートはその分を支払おうとするが、もうお金はいらないからと言われ納得する。

2人は自殺方法について話し合う。ゼリーフィッシュは綺麗に死にたいと言い、プルートは早く終わらせたいと言う。そして、ゼリーフィッシュは最後にきちんとした食事がしたいと言いだした為、途中のタイ料理屋に寄る。だが、人に見られたくないプルートとお店で食べたいゼリーフィッシュは口論になってしまう。料理をテイクアウトして戻ったゼリーフィッシュは、プルート共に食事をする。ゼリーフィッシュは死にたくないわけではなく人生最後の日を少しでも素敵にしようとしていた。

プルートは血を抜いて死ぬ方法を提案する。痛そうな事は嫌だとゼリーフィッシュは怯えていたが、痛くしないと言われその方法を受け入れる。

プルート達は倉庫に到着する。まずはゼリーフィッシュが行い、それを手助けしてからプルートも後を追う事になる。睡眠薬を飲んだゼリーフィッシュは緊張した面持ちで冷凍庫の上に寝転ぶ。プルートが慣れた手つきで両足と両腕に針を差していく。ゆっくりと血が瓶の中へと流れていった。

プルートは車に鞄を置くと、倉庫の陰で血の入った瓶を煽る。口から溢れた血を拭うと車に乗り込む。しばらく走らせていたが、突然車を止めると血を吐いてしまう。

造船所で冷凍庫の中から人の遺体が発見される。鍵もかかっておらず誰でも出入りが出来た。

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映画『ヴァンパイア』のあらすじ【承】

高校の教師であるプルートは生物の授業を行っていたが、家で女性を監禁していると疑われ警察から呼び出される。だが、その女性は母親で、アルツハイマーで徘徊の恐れがあった為だった。それに、ベストにたくさんの白い風船を付けて母の体の負担を軽くしてあげたり、世話をきちんとしていた。警察職員は納得して帰ろうとするが、休みの日は母の世話をするだけだというプルートを誘い釣りに出かける約束をして帰って行く。

プルートは母を、警察職員は妹を連れて釣りに出かる。警察から妹のローラがプルートに好意を寄せていると言われる。だが、プルートは名前を間違うほど何とも思っていなかった。そして、警察職員から初めて会った時から君を気に入っていると言われるが、プルートは困惑するだけだった。

プルート改めサイモンの家にローラが訪ねてくる。兄から番号を聞き留守番電話を残していたらしいが、聞いていなかったサイモンは驚く。仕方なく招き入れるがローラが母親に触ろうとした為、母は嫌がり逃げてしまう。夕食の用意をするローラをサイモンは落ち着かない様子で見守るが、シャンパンのコックが大きな音を立てて飛んだ為に驚き、散々な状況に頭を抱える

サイモンは橋から飛び降りようとしていた女性に声をかけ、研究の為に血が必要だと言い車に乗せる。

サイモンは“ブラッドベリー”と名乗り、ヴァンパイアに興味を持っている者達のパーティーに参加する。だが、そこで寝てしまい“レンフィールド”と名乗る男に携帯を見られてしまう。そこにはネットを賑わせてるヴァンパイアの被害者とされている人達の動画があった。レンフィールドは密告する気が無いと言い、サイモンをドライブに誘う。

レンフィールドの車はタクシーで、サイモンが運転しレンフィールドが助手席に乗り込む。そして、レンフィールドはサイモンが殺すやり方を見たいと言い出す。レンフィールドは途中で女性を拾うよう指示し、飛行機が落ちるのが見えたと嘘をつき暗闇に停車させる。そして、警察に電話をするフリをして女性を信用させ、嬉々とした様子で突然女性に袋を被せテープで留めて窒息させる。女性が苦しむ様子をレンフィールドは楽しそうに見ていた。そして、レンフィールドは裸になると真っ黒いマントを羽織り、偽物の牙を付ける。ぐったりとした女性を外したマントの上に乗せ、首筋にかぶりつき血を飲んだ。その様子をサイモンはただ茫然と眺めているだけだった。

サイモンは戻ってきたレンフィールドを非難する。あれはただのレイプで君は変質者だと怒るが、サイモンもそうだと言い返される。レンフィールドは女性の遺体の処分について話す。骨は砕いて海にまき、肉は煮込んでスープにすると言う。それを聞いたサイモンは吐いてしまう。

映画『ヴァンパイア』のあらすじ【転】

サイモンが仕事をして家に帰るとローラが居たので驚く。管理人に鍵を開けてもらったと悪びれる事無く言う彼女を怒る事が出来ない。自分の部屋には入らないでくれと言うので精一杯だった。

サイモンが学校に居る時、生徒のミナが首つり自殺をしようとしている所に出くわす。何も話さないミナにサイモンは必死に説得する。君の細胞が生きるのには君が必要だと話し、人間は細胞を生かす為の奴隷に過ぎない。そして、細胞を生かす事が君の役割なんだと伝える。それを聞いたミナは余計に死にたくなってきたと笑う。サイモンは上手く伝わらない事をもどかしく思い、率直に死んではいけないと伝える。ミナは本気で死のうとは思っておらず、先生に気付いて欲しかっただけだと伝える。

サイモンはパソコンで女性と会話をする。リストカットを何回もしており、なかなか死ねないと苦しんでいる女性で、2人は会う事を決める。だが、待ち合わせ先に到着した車を覗くとその女性以外の人物も乗っており、サイモンは驚く。証拠隠滅の為に女性のパソコンを受け取る必要があった為、仕方なく車へと乗りこむ。移動中、自殺志願者をターゲットにしたヴァンパイアの話が行われる。最近書き込みが無い事からゼリーフィッシュではないかと思われていた。サイモンは会話の中には入らなかった。

森の中に車は停車し、自殺する方法を話し合う。一人の男性が薬品を持ち込んでおりそれを混ぜ合わせた瞬間、白い煙が車を充満する。サイモンと“レディバード”と名乗る女性は車から脱出した為、奇跡的に助かる。サイモンは一人で帰ろうとするがレディバードが突然泣き出した為、連れて帰る事を決める。

サイモンの携帯を頼りに2人は森の中を歩く。休憩をしているとレディバードの足にヒルがついていた為、塩をかけて取り除き毒を吸い出してあげる。だが、血を飲み込んだ様子を見て、レディバードはサイモンがヴァンパイアなのではないかと問いかける。サイモンはそれには何も答えず出発しようとする。だが、レディバードはサイモンにもヒルがついている事に気づき取ってあげる。

レディバードはサイモンが死んだ女性のパソコンを持ち出した事に気づき疑問に思う。データの消去を頼まれたと言うサイモンに死ぬ気が無かった事を見抜く。2人は無事道路に辿り着きバスに乗り込む。そこでサイモンは自身がヴァンパイアである事を明かす。レディバードは誰にも言わない事を約束し、血をあげてもいいと言う。サイモンはそんなレディバードの顔をじっと見つめる。そして、パソコンを渡し連絡するように言う。

映画『ヴァンパイア』の結末・ラスト(ネタバレ)

ローラはサイモンの母と食事をしながらサイモンの帰りを待っていたが、夜になっても戻ってこなかった。朝になり帰ろうとしていると、車の中で眠るサイモンを見かける。ローラは怒り、嫌いならそういえば言いと詰め寄るが、サイモンは何も言えずおどおどするだけだった。ローラが去ろうとした時、サイモンはローラの名前を間違えて呼んでしまう。ローラはさらに怒り、ドアを激しく閉めると立ち去ってしまう。

サイモンはレディバードに会いに行く。彼女は自宅で殺して欲しいと言う。遺体が運び出せないから無理だと言うが、冷凍庫を買ったのでその心配はないと言われ彼女の部屋へと向かう。

サイモンは冷凍庫の確認を行う。部屋には子供と写るレディバードの写真があった。レディバードは過去の事をぽつぽつとしゃべり出す。写真の子はジョシュ。父親が自分の子と認めなかった為、別の男性エリックと新たな家庭を築こうとしていた。だが、子供が懐かず暴力を振るうようになりジョシュは殺されてしまう。レディバードは止めなかった事を悔やんでいた。

レディバードは冷凍庫の上に寝転ぶ。サイモンは準備をしながら、瓶の2本分が満タンになれば死ぬと説明する。血は命そのものだという彼の言葉をレディバードは穏やかに聞いていた。そして、命を分け与えれる事を喜んでいた。

サイモンは血が貯まるのを部屋の中で待っている間、彼女を助けようか思い悩む。その頃、ローラはサイモンの家に侵入し、彼のパソコンのパスワードを探していた。恋人がいる事に嫉妬し、彼女の行動は常軌を逸していた。

レディバードは目覚めた事に戸惑う。ベッドでサイモンが横になっており、殺せなかった事を謝罪される。レディバードはサイモンの為に生き、血を分け与える事を提案する。だが、その代わり誰も殺さず自分だけにして欲しいと伝える。サイモンは首から血を飲んでいいか問いかける。今まで首から飲んだことが無いという。だが、起き上ったサイモンはレディバードの胸に顔をうずめるだけだった。レディバードはそんな彼を優しく抱きしめる。レディバードはイングリットと名乗りお互いに自己紹介を行うと、そっとキスをした。

ローラがサイモン家にある開かずの間に入ると、たくさんの冷凍庫があるのを見つける。その中には凍った人が入っていた。

サイモンは病院に呼ばれて向かう。ミナが手を切り自殺を図ったが、自分で救急車を呼んで助かったと聞かされる。携帯の履歴にサイモンの名前があり、呼ばれたのだ。何かできる事はというサイモンに看護婦は輸血をしてくれないかと提案する。サイモンは困惑するが検査の結果輸血が可能だった為、血を抜き取る事になる。

サイモンが家に着くと警察がおり、母が部屋から飛び降りる瞬間が目に入った。母は風船を付けていた為、無事に着地しサイモンの名を大声で叫ぶ。その声を聞きサイモンは走って逃げるが、貧血を起こし警察に捕まってしまう。

その頃、ミアが目を覚まし、サイモンの血が輸血されている事を知る。ミアはそれを穏やかな表情で聞いていた。

サイモンは家にある冷凍庫の前で女性と会話をする。バレエをやっていたと言う彼女に冷凍庫の上で踊ってもらう。そして、その女性マリアの最後の言葉をカメラで録画する。マリアは人生を楽しめなかったと話し、サイモンは緊張した面持ちの彼女を冷凍庫の上に寝かせる。マリアはこれが自分の夢なら死ねないと言うが、サイモンはこれが僕の夢ならと問いかける。

映画『ヴァンパイア』の感想・評価・レビュー

岩井俊二ワールド全開のこの作品。難しいストーリーでは無いし、映像もとても綺麗なのですが、冷凍庫や白い風船に真っ赤な血、そしてバレエを踊る女。ヴァンパイアとはミスマッチに感じるほど儚く美しい映像が、「ヴァンパイア」の切なさや悲しさ、苦しみを描いているようでなんとも言えない気持ちになりました。
この作品で描かれるのは心優しいヴァンパイア。だからこそ人間に頼られ、助けてしまう。そして恋をしてしまう。優しさは人を包み込むこともできますが、傷つけてしまうこともあるのだと感じました。(女性 30代)

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