12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『わが命つきるとも(1966)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『わが命つきるとも(1966)』の概要:イギリス国王ヘンリー8世は妻と離婚し愛人と再婚しようとしていたが、そのためにはローマ法王の許しが必要だった。王は、唯一ローマ法王に離婚を弁護できるトーマス・モアを召喚したが、彼は信仰心に従い王の訴えを聞き入れなかった。

映画『わが命つきるとも』の作品情報

わが命つきるとも

製作年:1966年
上映時間:120分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:フレッド・ジンネマン
キャスト:ポール・スコフィールド、スザンナ・ヨーク、ロバート・ショウ、オーソン・ウェルズ etc

映画『わが命つきるとも』の登場人物(キャスト)

トーマス・モア(ポール・スコフィールド)
教養があり誠実で、信仰心に篤い弁護士。その人柄から人望もあり、周りには常に人がいる。妻マリアと娘マーガレットを持つ。ヘンリー8世の離婚についてローマ法王に取りなすよう命じられたが、カトリックの教えを尊重し受け入れなかった。
クロムウェル(レオ・マッカーン)
大法官秘書の小狡い男。前大法官ウルジーが逝去し、トーマスが大法官の座に就くも彼はすぐに辞任、その後の大法官の座に就任する。リッチを使ってトーマスの弱みを握ろうとする。
ノーフォーク公(ナイジェル・ダヴェンポート)
トーマスの友人。貴族。ヘンリー8世の離婚に次いで、新たに設立された英国教会も頑なに認めないトーマスを説得する。
リチャード・リッチ(ジョン・ハート)
トーマスが持つイギリス王室とのコネクションを頼りに仕事を斡旋して貰おうと、彼の元へ出入りする若者。しかし、最後まで宮廷との繋がりは得られず、クロムウェルの手下として汚い仕事にありつく。

映画『わが命つきるとも』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『わが命つきるとも(1966)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『わが命つきるとも』のあらすじ【起】

1528年、イギリス。大法官からの手紙を受け取ったトーマス・モアは、急ぎ宮廷へと向かった。友人のノーフォーク公は、去るトーマスに向けて「枢機卿は小心者だ」と忠告した。宮廷での仕事を求めるリッチはトーマスを呼び止めたが、その日も推薦状は貰えなかった。

長い道程を経て宮廷へ到着したトーマスは、大法官の秘書・クロムウェルによって彼の前へ通された。同じ頃、国王ヘンリー8世は、愛人であるアン・ブーリンの元から帰って来ていた。大法官はそんな王を横目に、トーマスへ「どうにか手を打って法王から離婚許可を」と、王が正妻と別れるためローマ法王の許可を得るよう頼んだ。

ヘンリー8世の兄の未亡人である正妻・キャサリンは、男児を宿しても流産してしまい、子供は期待ができなかった。大法官は、チェーダー王朝存続のためには離婚するしかないと訴えるが、敬虔なカトリック教徒のトーマスは同意しなかった。

船で河を下り帰路についたトーマスは、大法官が無理に寄越した銀の盃を投げ捨てようとした。しかし、船頭がそれを止めたため渋々持ち帰り、桟橋で夜通し自分を待っていたリッチに譲った。そして、賄賂に塗れた宮廷の実情を明かすと、誘惑のない職を志しなさいと彼を諭した。リッチは、すぐさま盃を売り現金を手に入れた。

映画『わが命つきるとも(1966)』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『わが命つきるとも(1966)』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『わが命つきるとも』のあらすじ【承】

使用人のマシューは、早朝にも関わらずローパーが訪れているとトーマスへ告げた。ローパーは娘のマーガレットと交際しており、彼は司法試験に合格したから彼女へ求婚すると言う。トーマスは反対した。一方で大法官は床に伏し、ノーフォーク公の推薦もあって、トーマスは次なる大法官へ任命された。

国王はトーマスの就任を祝い、直々にチェルシーにいる彼を訪ねた。しかし、その真意は、ローマ法王から離婚の許可を得るための直談判だった。トーマスは、国王からの直接の願いにも首を縦に振らなかった。怒った国王は宮廷へと帰り、トーマスの妻・マリアは夫に呆れた。

宮廷へと帰る船を見物していたリッチは、宮廷での仕事にありつくためクロムウェルに協力することを決めた。彼はリッチに仕事を与える代わりに、トーマスが前大法官から賄賂を受け取った証拠を探せと命じた。

痺れを切らしたヘンリー8世は、離婚を合法化するために英国教会を新設し、自ら首長に就任した。教会の設立に賛同しかねたトーマスは大法官の職を辞し、屋敷の使用人達も解雇した。

クロムウェルは、トーマスの貫く“沈黙”は反逆だと騒ぎ立てていた。そして、リッチからの証言でトーマスが賄賂を受け取ったと確信すると、彼の味方をしていたノーフォークを自分の側に付けた。トーマスが辞職してすぐ、ヘンリー8世とアンの結婚式は強行された。

映画『わが命つきるとも』のあらすじ【転】

ハンプトンの王宮からトーマスへ宛てた手紙が届いた。「クロムウェル卿の糾問に申し開きをしろ」との内容を確認したトーマスは、すぐに彼の元を訪れた。糾問に際して書記を務めるリッチはクロムウェルの秘書にまで出世していたが、人の顔色を窺い、間抜けなところは相変わらずだった。

クロムウェルからの説得を受けても尚、トーマスは教会の設立に賛同せず、国王の離婚を認めなかった。城を出て帰ろうとするトーマスはノーフォークに呼び止められ、彼は、トーマスが国中から命を狙われていると忠告した。トーマスは、自分の命も顧みず警告に来たノーフォークに感謝こそすれど「友情は深いものだが神の愛のみが不変だ」と、反逆の道を選んだ。

なんとか帰宅したトーマスは、マーガレットから新法案が通過したと知らされた。最後まで同意しなかったトーマスは、遂に投獄されてしまった。

投獄から1年が経ったある日、トーマスはリッチモンド宮廷へ連れて行かれた。再びクロムウェルとリッチ、そしてノーフォースと大司教の前に引き出されたトーマスは、アンが産んだ男児を後継者と認める英国教会の新法律に同意するよう迫られた。

教会そのものに賛同していないトーマスへ、大司教は、序文で前皇后との結婚を非合法としていること、キャサリンはヘンリー8世の兄の未亡人なので、法王には結婚許可権がないと記されているのが解せないのかと尋ねた。まさしく彼の納得できない部分はそこであり、トーマスが問題視する争点だった。

映画『わが命つきるとも』の結末・ラスト(ネタバレ)

宣誓に同意しない理由を語らないトーマスの元へ、初めて家族が面会へ訪れた。トーマスは家族との再会を喜んだが、彼らは「トーマスを説得する」と誓ってここまでやって来たのだった。トーマスは激しく苦悩したが、家族へ国外へ逃げるよう告げ、極刑を受ける覚悟を決めた。

トーマスはいよいよ法廷に立った。多くの陪審員が詰めかける中、大法官となったクロムウェルによって「ヘンリー8世の持つ英国教会首長の肩書を否定した」との告訴状が読み上げられる。トーマスは沈黙を貫いただけだと主張したが、クロムウェルは「沈黙とは雄弁な否定だ」と言い切り、証人としてリッチを呼んだ。

法廷にやって来たリッチは赤い竜の印綬を首に下げており、ウェールズの検事総長にまで上り詰めていた。彼はトーマスとの会話を偽証し、陪審員の意見を有罪へ誘導した。トーマスは有罪判決を受け、ようやく王の肩書と起訴状について自分の意見を述べた。

トーマスは、初めて「法令は神の掟に背くもの、教会の最高首長権は俗界の人間が手にすることはできない。キリスト教徒を法の力で服従させるのは妥当ではない」と否定したことにより、死刑が言い渡された。

処刑台に上がったトーマスは、国王ではなく神のしもべとして死ぬことを誇りに思った。彼は斬首され、首は1ヶ月間民衆へ晒された後、マーガレットによって生涯保存された。クロムウェルはトーマスの処刑から5年後に反逆罪で斬首され、大司教は火あぶりになり、ノーフォーク公も死刑を宣告されたが、刑の執行前夜に国王が逝去したため免れた。

リッチは大法官にまで上り詰め、ベッドの上での大往生となった。

映画『わが命つきるとも』の感想・評価・レビュー

自分の信仰と正義を貫き、不条理に命を奪われた賢者の物語。作中でトーマスが娘に言う「正しい時代なら我々は賛美された」という台詞が非常に苦しかった。時代に翻弄された家族の物語でもある。

クロムウェルとリッチの野心には辟易したが、いつの時代も彼らのような狡猾な人間が権力を手にするものだ。ノーフォースがプライドを捨て、クロムウェルに屈した場面は悔しくてたまらなかった。

トーマスが最期の法廷で、クロムウェルや大司教とたった一人で対峙する場面には鳥肌が立った。(MIHOシネマ編集部)

みんなの感想・レビュー