映画『ロベレ将軍』の概要:詐欺と賭博を繰り返し“大佐”と名乗って歩くグリマルディはひょんなことからドイツ軍に正体がバレてしまい、無罪と引き換えに、射殺された「ロベレ将軍」になり代わるよう命じられた。レジスタンスを率いる将軍のフリをする内に、彼の心境も変わっていく。
映画『ロベレ将軍』の作品情報
上映時間:132分
ジャンル:戦争
監督:ロベルト・ロッセリーニ
キャスト:ヴィットリオ・デ・シーカ、ハンネス・メッセマー、サンドラ・ミーロ、ジョヴァンナ・ラッリ etc
映画『ロベレ将軍』をフルで無料視聴できる動画配信一覧
U-NEXT | × |
---|---|
Hulu | × |
Amazonビデオ | ◯ |
dTV | × |
TELASA | × |
TSUTAYA DISCAS | × |
ビデオマーケット | × |
Netflix | × |
※動画の配信情報は2022年5月時点のものです。配信状況により無料ではない場合があります。最新の配信状況は各動画配信サービス(VOD)の公式サイトでご確認ください。
映画『ロベレ将軍』の登場人物(キャスト)
- グリマルディ大佐 / エマヌエーレ・バルドーネ(ビットリオ・デ・シーカ)
- 詐欺師。偽物の宝石を売りつけたり、逮捕された家族を釈放するようドイツ軍へ掛け合うなどと嘘を吐いたりして大金を巻き上げ、一夜にして賭博で文無しになっている。自称“大佐”。
- ミュラー大佐(ハンネス・メッセマー)
- ドイツ軍将校。調子の良いグリマルディの軽口に目を付け、詐欺で逮捕された彼を“ロベレ将軍”として刑務所へ送り、無罪と引き換えにレジスタンスのリーダーを特定するよう持ち掛ける。
映画『ロベレ将軍』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ロベレ将軍』のあらすじ【起】
ナチスドイツに占拠された北イタリアを歩く男は、ドイツ軍の車がパンクした場面に出くわした。彼は車から降りて来た将校へタイヤ屋を案内し、軽妙な口ぶりで機嫌を取った。別れ際、将校はミュラー大佐と名乗り、男は“工学士のグリマルディ”と名乗った。
その足でグリマルディが帰宅したのは、早朝6時であった。彼は客間で眠っていたマリアを起こすと、ボルゲジオ弁護士から二回、カンテッリから一回電話があったと聞き出した。彼女はグリマルディを“大佐”と呼んだ。
寝室で寝ていた恋人のヴァレリアは、グリマルディが賭けで負けて帰って来たのだと見抜くと、金目のジュエリーを全て隠した。グリマルディは彼女の予想通り、ボルゲジオの息子を釈放するために託された10万リラを全額スっていた。さらに、今日中にドイツ軍のヴァルター・ハーゲマン軍曹へ5万リラ渡さなければならないと言う。ヴァレリアは呆れて出て行ってしまった。
グリマルディはジェノヴァにあるドイツ軍司令部を訪れると、ハーゲマン軍曹へ偽物の宝石を渡そうとした。しかし、現金でないと駄目だと付き返されてしまい、グリマルディは慌ててカルラ・ファシオとその母を呼び止めた。
映画『ロベレ将軍』のあらすじ【承】
カルラの夫であるミケーレ・ファシオ中尉は、レジスタンスの一員であると疑われ逮捕されていた。“大佐”と名乗ったグリマルディは「膨大な時間と金がかかる」と前置きして、中尉の釈放をドイツ軍へ掛け合うと約束した。同時に、息子を逮捕されたと思しき老人にも声を掛け、偽物の宝石を10万リラで買い取らせようとした。
現金の5万リラを手に入れようと街を歩いて回ったグリマルディは、遂に昔の恋人であるオルガの元を訪れた。彼女は宝石が偽物であると勘付いていたが「ひどいこともされたけど幸せにもしてくれた」と言い、全財産の3万リラをグリマルディに手渡した。現金を手に入れた彼はすぐさま賭博場へ向かい、またしても全ての金を失った。
一方で戦況は悪化しており、レジスタンスのリーダーと接触しゲリラ計画を練るためイタリアへ上陸したロベレ将軍は、検問所で有無を言わさず銃撃されてしまった。報告を聞いたミュラー大佐は激怒し、街中に「将軍を捕らえた」という情報を流すよう部下へ伝えた。
窮地に立たされたグリマルディは、「中尉を釈放するため」と嘯き、カルラに10万リラを催促した。彼女は言われた通り金を渡し、グリマルディは早足でハーゲマン軍曹の元を訪れた。
軍曹の部屋には、彼に代わってミュラー大佐が居た。グリマルディは彼との再会を喜ぶ素振りを見せ、巧妙な言い回しでヴィットリオ・ボルゲジオの近況を聞き出した。ミュラー大佐は、その場でヴィットリオの収容所送りを取りやめにした。
映画『ロベレ将軍』のあらすじ【転】
グリマルディは大慌てでカルラの元へ戻ると、「旦那さんは元気です」と報告した。しかし、彼女の元には既にミケーレの死刑が執行されたと連絡が入っており、愕然とするグリマルディは待機していた警察にすぐさま逮捕された。
彼の虚言に勘付いていたミュラー大佐は、グリマルディに「“大佐”として軍法会議にかけられるか、エマヌエーレ・バルドーネとして詐欺と階級詐称罪で裁かれるか選べ」と迫った上で、ドイツ軍に協力し無罪になる道を提案した。
ミュラー大佐は、バルドーネにロベレ将軍の経歴を暗記させると、政治犯が収容されている刑務所へ向かった。ミュラー大佐は看守に「ロベレ将軍を丁重に扱うように」と釘を刺し、写真も指紋も取らず独房へ向かわせた。ロベレ将軍のフリをしていることがバレるのではないかと不安がるバルドーネとは裏腹に、収容されている政治犯達は将軍の存在に期待を露わにしていた。
怯えて過ごすバルドーネだったが、刑務所での生活を送る内にレジスタンスのメンバー達と知り合い、とりわけアリスティデ・バンケッリは熱心に“ロベレ将軍”の力になろうとした。バルドーネは、壁越しに声を掛けてくる数多の政治犯達に「諸君、がんばろう」と応えた。
一方で、街ではレジスタンスと思しき人物らの一斉逮捕が行われていた。ミュラー大佐は、その中からレジスタンスのリーダーであるファブリツィオを見つけ出せとバルドーネに命じた。葛藤するバルドーネだったが、その後すぐに刑務所の近くで空爆が起き、彼はパニックに陥った囚人達に向けて「威厳を保て、人であれ」と励ましの声を掛けた。
映画『ロベレ将軍』の結末・ラスト(ネタバレ)
ある時、バルドーネはバンケッリからメモを受け取った。彼こそファブリツィオのメッセンジャーだと知った大佐は返事を書き、再びバンケッリと接触するようバルドーネにメモを託した。しかし、バルドーネは看守の前でメモを落としてしまい、それを拾おうとしたバンケッリは拷問され遂には自殺した。
バルドーネも“ロベレ将軍”として拷問を受けた。そんな彼の元に本当のロベレ将軍の妻から手紙が届き、彼女からの「あなたの名にふさわしい行いを」とのメッセージを読んだバルドーネは涙を流した。
街ではドイツ軍への反乱が起き、兵士が一人犠牲となった。それを受けたミュラー大佐は、報復措置に便乗して、捕らえたレジスタンス20人を銃殺するよう命じた。処刑を待つ別室へ入れられた囚人達の中には、バルドーネの姿もあった。彼は将軍としての言葉を求められるも、何も発することはなかった。そこへ、名乗りこそしないがファブリツィオが歩み寄り、激励の言葉を掛けていった。
処刑場へ向かう最中ミュラー大佐に呼び止められたバルドーネは、彼から受け取ったメモ用紙に「ロベレ夫人に渡して下さい」と言い、「君たちへの思いと共に逝く、イタリア万歳」と記すと、遂にファブリツィオの正体を明かさないまま銃殺された。
映画『ロベレ将軍』の感想・評価・レビュー
狡猾な詐欺師が、国への愛と信念を持って戦うレジスタンスのメンバーと出会うことで、徐々に自らの正義や愛国心と向き合っていく経緯がきめ細やかに描かれている。
バルドーネが逮捕された場面からもう一度冒頭のシーンを観ると、ミュラー大佐の鬱陶しそうな表情が見て取れる。大佐が「ナポリから来た」と言えば「私はナポリ出身です」と言い、「実はナポリに良い思い出が無い」と言えば「私はナポリ出身ではなくナポリとローマの間のソラ出身で、ほとんどローマ人です」と言うバルドーネ。初見では違和感があったが、詐欺師と分かってようやく納得した。彼を利用しようとしたミュラー大佐も、やはり中々キレ者だった。(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー