映画『わんぱく戦争』の概要:フランスの田舎にある村の子供たちは、隣村の子供たちと対立し、服のボタンやズボンを奪い合うというミニ戦争を始める。やんちゃな子供たちの様子を生き生きと描いた1961年公開のフランス映画で、役者経験のない子役たちの自然な表情が愛らしい。
映画『わんぱく戦争』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:イヴ・ロベール
キャスト:アンドレ・トルトン、ミシェル・イセラ、アントワーヌ・ラルチーグ、ジャン・リシャール etc
映画『わんぱく戦争』の登場人物(キャスト)
- ルブラック(アンドレ・トレトン)
- ロンジュヴェルヌ村のガキ大将。勉強はできないが、村の子供たちからは信頼されている。独立心が強く、乱暴な父親にも反抗的な態度をとる。寄宿舎に入れられることを恐れている。
- ラステック(ミッシェル・イセラ)
- ヴェルラン村のガキ大将。ルブラックのライバル。ルブラックとラステックの父親同士は仲がいい。
- ちびジュビス(アントワーヌ・ラルチーグ)
- ロンジュヴェルヌ村のムードメーカー。ジュビス兄弟の弟の方なので“ちびジュビス”と呼ばれている。
映画『わんぱく戦争』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『わんぱく戦争』のあらすじ【起】
フランスの田舎にあるロンジュヴェルヌ村では、ジュビス兄弟が大人たちに切手を買ってもらおうとしていた。しかし隣のヴェルラン村の子供たちが、すでに切手を売りさばいており、切手は買ってもらえない。道でヴェルラン村の子供たちに遭遇したジュビス兄弟は、彼らから“フニャチン!”と罵られる。
ジュビス兄弟は、学校で仲間にそのことを報告する。しかしガキ大将のルブラックも“フニャチン”の意味がイマイチ分からない。ルブラックはちびっ子を騙して大人に“フニャチン”と言わせてみる。ちびっ子は、大人に叱られていた。
バカにされては黙っていられないと、ルブラックやジュビス兄弟たちは、夜を待ってヴェルラン村へ侵入する。ルブラックは村の掲示板に“ヴェルラン野郎は全員くそったれ”と落書きし、仕返しを果たす。ちびジュネスは、ヴェルラン村のガキ大将であるラステックの家で酒をご馳走になり、すっかり酔っ払ってしまう。
子供同士の対立は深まり、ついに採石場で全面戦争をすることになる。両村の男の子たちが全員集結し、棒きれを持って大乱闘を始める。ルブラックは相手方のミグラリュンヌを捕虜にして、ナイフで彼の服のボタンや靴紐を全部切ってしまう。サスペンダーまで切られたミグラリュンヌは、ずり落ちるズボンを引きずり、泣きながら帰っていく。
この戦いで勝利を収めたロンジュヴェルヌ村の子供たちは、意気揚々と歌を歌いながら帰路につく。
映画『わんぱく戦争』のあらすじ【承】
また放課後に採石場での決戦があるという日。ルブラックやジュビス兄が授業態度のことで先生に叱られ、居残りを命じられてしまう。1時間遅れて採石場に到着すると、ロンジュヴェルヌ村の子供たちは、散々痛めつけられ、多くが逃げ帰っていた。
ルブラックは自ら敵陣に乗り込み、大勢の敵に抑え込まれて捕虜にされる。先日の仕返しとして、ボタンや靴紐を切られてしまうが、ルブラックは敵の前では決して泣かない。しかしひとりになってから悔し涙を流す。
ボタンを全部失い、家に帰りづらかったルブラックは、夜遅くに帰宅して父親に殴られる。ルブラックは、短気で乱暴な父親に強い反発心を抱いていた。
ルブラックは、昨晩母親が“服を破かれないよう、裸で学校へ行け”と怒っていたのを思い出し、新しい作戦を思いつく。それは全員全裸で戦うという突拍子もない作戦で、ヴェルラン村の子供たちは、全裸軍団に驚き、ロンジュヴェルヌ村の子供たちは大勝利を収める。しかし、寒い季節に全裸で暴れまわった子供たちは、すっかり体調を崩してしまう。
ルブラックは全員から週に20フランの税金を徴収し、ボタンなどの備品を買う軍資金を作ることを提案する。しかし半数近くの子供が“そんなお金は払えない”と反発し、この意見は平等ではないとして却下される。その代わり、全員で協力してお金を稼ぎ、子供たちだけの秘密基地を作ることが決まる。
映画『わんぱく戦争』のあらすじ【転】
子供たちは、カエルやキノコやキツネなど、お金になるものを集め始める。勉強がよくできるラクリックは、それぞれがいくらで売れるかを即座に計算していく。少々愚鈍なバケイエは、高く売れるマムシを逃してしまい、みんなから仲間外れにされる。
秘密基地は、採石場の裏に作られ、村の女の子のマリーが、あちこちからボタンや靴紐などを集めてくる。マリーは針仕事や洗濯をしてくれることになり、男の子たちは大喜びで服を汚す。
何度目かの戦いの時、ラステックが足を折ったウサギのために休戦を申し出る。ルブラックはウサギの足を手当てしてやり、戦いの続きは明日にすることが決まる。
馬の世話を言いつけられたルブラックは、勝手にその馬に乗って採石場へ乗り込んでいく。ルブラックの大活躍で、その日はロンジュヴェルヌ村が勝利を収める。建設中の基地には、ラステックのズボンという戦利品が飾られる。
しかし、カミュが借りてきたロバが採石場から一歩も動かなくなってしまい、ロバの移動を手伝っていたルブラックは、夜中の12時になって帰宅する。ルブラックは父親からひどく殴られ、翌朝、あざだらけの顔で登校してくる。
ずっと仲間外れにされ、ルブラックに反発心を抱いていたバケイエは、バスで会ったラステックに秘密基地のことをバラしてしまう。
ついに秘密基地が完成し、子供たちは稼いだお金で食べ物や酒を買ってきて大宴会を開く。ルブラックはバケイエも仲間に入れてやり、全員で基地の完成を祝う。基地の中には、戦利品やそれぞれの宝物が飾られ、稼いだ軍資金も隠してあった。
一方、基地の存在を知ったラステックは、父親を騙して農業用トラクターを動かし、宴会中の基地に乗り込んでくる。苦労して作った秘密基地は、巨大なトラクターによってめちゃくちゃに壊されてしまい、子供たちはひどく落ち込む。
映画『わんぱく戦争』の結末・ラスト(ネタバレ)
バケイエが裏切り者だということがわかり、ルブラックはバケイエを罰することに決める。子供たちは悔し涙を流しながら、裏切り者のバケイエを1人1回ずつ鞭打つ。バケイエは泣き喚きながら村へ帰り、大人たちが騒ぎ始める。今度こそ寄宿舎に入れられると感じたルブラックは、仲間と別れて森へ逃亡する。その夜は村中に、大人の罵声と子供の泣き声が響いていた。
一方、トラクターで基地に突っ込んだラステックも、トラクターが動かなくなり、ひとりで泣きべそをかいていた。
ルブラックは大人と戦うことに決め、森の奥で野宿を始める。ルブラックやバケイエの父親が捜索に出るが、酒を飲んで喧嘩を始める。そこへラステックの父親たちもやってきて、手榴弾の投げ合いになる。それでも結局は酒盛りになり、父親たちは酔いつぶれて村へ帰ってくる。
親は頼りにならないと考えた子供たちは、学校の先生と一緒にルブラックを捜しにいく。ルブラックは猟犬に追われ、怪我をしたウサギを抱えて木の上に逃げていた。しかし猟師まで来たのでウサギを地面に投げ捨ててしまい、ルブラックは涙を流す。最後は木こりに木を切られ、ルブラックの家出は終了する。
ルブラックは罰として寄宿舎に入れられ、すっかり元気をなくしていた。するとそこへ、あのラステックが新入生として入ってくる。ルブラックは急に元気を取り戻し、ラステックと一緒にはしゃぎ回る。村では敵同士だった2人だが、ここでは親友になれそうだった。
映画『わんぱく戦争』の感想・評価・レビュー
フランスの片田舎で繰り広げられる悪ガキたちの抗争、とはいうものの、タイトルほどかわいらしいものではない。
ナイフで服のボタンを根こそぎ奪う、秘密基地に父親からくすねたトラクターで殴り込みをかける、敵に秘密基地をばらした裏切り者を、みんなで、鞭打つなど、やっていることのエスカレート具合が、大人顔負けで、大けがないし、死人が出ないか心配になるレベルである。
そんな彼らを、冷静な目で見守りつつ、やさしく見守る学校の先生が、いい味を出していた。(男性 20代)
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