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映画『日本で一番悪い奴ら』あらすじネタバレ結末と感想

映画『日本で一番悪い奴ら』の概要:実際に起こった稲葉事件を題材にした問題作。日本警察史上、最大の不祥事と呼ばれている事件であり、「やらせ捜査」や「銃刀法違反」について描く。白石和彌監督と主演綾野剛の映画『凶悪』コンビが復活。

映画『日本で一番悪い奴ら』 作品情報

日本で一番悪い奴ら

  • 製作年:2016年
  • 上映時間:135分
  • ジャンル:アクション、コメディ、ドキュメンタリー
  • 監督:白石和彌
  • キャスト:綾野剛、YOUNG DAIS、矢吹春奈、瀧内公美 etc

映画『日本で一番悪い奴ら』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『日本で一番悪い奴ら』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『日本で一番悪い奴ら』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『日本で一番悪い奴ら』 あらすじ【起・承】

柔道の強さを買われて、諸星要一は北海道県警に就職し、県警の柔道部を日本一の座に咲かせた。しかし、なかなか刑事としてはうまくいかずに、下っ端扱いされてうだつの上がらない日々を過ごす諸星。

そんな時、先輩刑事から「刑事の社会は点数稼ぎをしてこそのもの。裏社会に飛び込んでいけ」というアドバイスをもらったところから、諸星は次第にブラックな社会へと踏み込んでいく。

当時警察は全国的に銃器撲滅を掲げ、拳銃の検挙に躍起になっていた。諸星は、ヤクザや外国人労働者に金を握らせ、その変わり拳銃所持としてヤクザの下っ端などを逮捕して点数稼ぎをする。

その「功労」が認められ、数々の表彰を受ける諸星は、どんどん裏社会とのつながりを深めていく。しかし、夜の街の住人たちからは歓迎され、相棒となった元ヤクザの中村獅童演じる黒岩や、通訳として弟の様にかわいがっている太郎らと共に、自らの行いを省みることなく派手な暮らしを送っていた。

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映画『日本で一番悪い奴ら』 結末・ラスト(ネタバレ)

拳銃の検挙数で警察が躍起になっていることが次第に裏社会にも広まり、ヤクザに握らせたり、密輸する金額が高騰していったため、諸星達は資金難に陥る。

金があればなんとかなる、という仲間たちに押され、ついに覚せい剤の売買に手を出してしまう諸星だったが、資金が潤ったのもつかの間、大きな取引に失敗してしまう。それは、覚せい剤を台湾から大量に輸入し、それを東京のヤクザに流すことで台湾のマフィアを安心させ、その代わり拳銃を輸入させるといものだった。

失敗の理由は黒岩である。覚せい剤を東京に運ぶはずだった黒岩は、物をもって姿を消した。そのせいで東京のヤクザにヤキを入れられた諸星は、拳銃を検挙できなかったせいで、やらせ捜査を許可したはずの上司たちからも責められることになる。

自分だけが悪いのかと激昂し、絶望する諸星は、太郎の制止を振り切って覚せい剤を自らに注射するのだった。

かつてかわいがっていた女たちにも捨てられ、さらに夕張署へ転属を命じられた諸星は、すっかり覚せい剤中毒者となる。

夕張署で覚せい剤所持と使用の容疑で逮捕された諸星に、弁護士が「大規模な組織犯罪の犠牲者だ」と告発を促すが、「自分を拾ってくれた県警のためにがんばっただけだ」と否定。しかし、太郎もまた獄中で自殺したことを知り、全てを白日の下にさらす決意をし、事件が明るみに出たのだった。

映画『日本で一番悪い奴ら』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『日本で一番悪い奴ら』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

演出・キャスティングはいい

高評価だった『凶悪』の白石和彌監督と、綾野剛のタッグということで期待して観たけれど、『凶悪』とはまた全く違うテイストに仕上がっている。もちろん『凶悪』は原作の素晴らしい力が少なからず影響しているからだろう。

演出というか、見せ方はウマい。音楽との親和性、カメラワーク、衣装など、退廃的でいてどこかバブリーで、派手だけれど汚らしい雰囲気が存分に出ている。

キャスティングに関しても、どこを見たってぴったりの俳優たちだった。綾野剛はさわやかイケメン俳優といったイメージでの露出が多いが、諸星要一のようにぶっ飛んだキャラクターも演じられる。そもそも彼が売れる前は独特な雰囲気のキャラクターを演じることが多かったため、昔から彼を知っている人が見ても驚きはしなかっただろう。

終わり方は消化不良

監督が「ほとんど事実と変えずに作った」と言っており、原作に忠実に作ったのだろうけれど、だからこそ「オチ」がいまいちだった。

関係者はみんな死んで、組織犯罪の被害者だと弁護士にかばわれた諸星が「北海道県警に報いたかった」と宗教も真っ青な信仰を述べるところでブツっと切って終わってもよかったのでは、と感じた。あのセリフにはインパクトがあった。けれどテロップでそのあと「太郎が死んだことを受けて告発することにした」的な記述があると、そのインパクトが消えてなくなってしまった。

無理やり原作と合わせていく必要はないのだから、映画としてふさわしい終わり方がほかに合ったのではないだろうか。


人間だから警察組織にも出世することに力を注ぐ人がいてもおかしくはないと思うが、一般の人よりも権力を持っているだけに怖いなと思う。諸星要一のように手段を選ばなくなってしまっては、恐ろしさしか感じない。警察の嫌な一面を見てしまい、何とも言えない気持ちになった。
諸星要一は周囲に流されるまま、地まで落ちてしまったように感じた。もう少し立ち止まって考えることはできなかったのかと突っ込みたくなった。(女性 30代)

映画『日本で一番悪い奴ら』 まとめ

思わず笑ってしまうようなシーンはたくさんあったが、楽しい映画かと言われるとそんなことはない。演出や音楽、画としての仕上がりのクオリティは高いからこそ、評価されているのだろう。ただ夢とか希望とか爽快感を求めて観てはいけないし、カッコイイ素敵な綾野剛を求めて観てもいけない。

暴力的なシーンもセックスシーンも多いので、家族や恋人と観るのもおすすめできない。だが何かが胸の奥に残った。人間の汚い部分とひたむきな部分が混ざったような、よくわからない何かが。そういう意味では監督や綾野剛の言う通り「問題作」には違いない。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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