映画『クリスマス・キャロル(1984)』の概要:『クリスマス・キャロル(1984)』は、チャールズ・ディケンズの名作小説を原作とするアメリカのテレビ映画。裕福だが吝嗇家で、クリスマスを「くだらない」と吐き捨てる男が、クリスマス・イヴの夜のある体験をきっかけに変わる。
映画『クリスマス・キャロル』 作品情報
- 製作年:1984年
- 上映時間:100分
- ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
- 監督:クライヴ・ドナー
- キャスト:ジョージ・C・スコット、スザンナ・ヨーク、デヴィッド・ワーナー、ナイジェル・ダヴェンポート etc
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映画『クリスマス・キャロル』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★☆☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『クリスマス・キャロル』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『クリスマス・キャロル(1984)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『クリスマス・キャロル』 あらすじ【起・承】
初老の商人・スクルージは、裕福だが、部屋を暖めるための木炭や明かりのお金すら惜しむほどの吝嗇家である。雇っているクラチットという書記ただ一人で、それも少ない給料しか払っていない。
クリスマス・イヴの日、事務所に甥のフレッドが訪ねてきてクリスマスの食事に誘うが、「クリスマスなどくだらん」と吐き捨てて嫌味を言う。スクルージはケチなだけでなく、冷酷で、愛情や優しさとは無縁で、金を稼ぎ蓄えることしか考えない人物だった。
クリスマス一色に染まる街を忌々しそうに歩き、帰途に就いたスクルージだったが、暗闇の中で自分の名を呼ぶ声が聞こえることに気付く。
それは家の中に入っても同じで、鍵という鍵を閉めて用心したはずなのに、鍵は勝手に空き、声の主が現れた。
それは、かつてスクルージと共に働いていたマーレイという男だった。幽霊となって現れたマーレイは、体中に鎖が巻き付き、いくつものおもりを付けていた。マーレイは、生前の行いによってがんじがらめになったという。スクルージと同様血も涙もなく金を稼ぐことだけを考えて生きていたマーレイは、死んでやっと自分が生きる上で最も大事なことをことごとく拒絶し、自らを不幸にしていたことに気付いたのだった。マーレイは、同じく鎖にがんじがらめにされているスクルージに忠告しに来たのだった。
このまま以前と同じように生きていけば、スクルージにはマーレイと同じような未来が待っている。マーレイは、これから訪れる三人の幽霊に会うように言って去る。
映画『クリスマス・キャロル』 結末・ラスト(ネタバレ)
半信半疑だったスクルージだったが、マーレイの姿を見て恐ろしさを感じていた。
予告通り、まず深夜1時に一人目の幽霊がやってきた。女性の姿をした光り輝く幽霊は、「過去のクリスマスの幽霊」だという。幽霊はスクルージを過去に連れていき、幼少期のあるクリスマス、少年期のクリスマス、そして楽しかった青年期のクリスマスを見せ、まだ愛や夢や希望を持っていた頃の心を思い出させた。しかし、幸せな思い出だけではない。スクルージは、愛していた恋人をすれ違いから失っていた。もしかしたら自分が手にするかもしれなかった、現在の元恋人とその家族の姿を目の当たりにし、スクルージは心を乱す。
次の幽霊は、「現在のクリスマスの霊」だった。彼は、クラチットの家のクリスマスの様子を見せた。クラチットはたくさんの子供を持つ大家族で、貧しいながらも幸せそうに食事を楽しんでいた。末っ子のティムは、足が悪く、顔色も青ざめている。幽霊からティムがそう長く生きられないことを聞くと、「何とかしてやってくれ」と気に掛ける様子を見せる。次に、甥の家へ連れていき、彼らからの評価を知る。幽霊は、その後別の場所へ連れていく。そこは、貧しい人々が集まる場所だった。雨露をしのぐだけの屋根しかないようなトンネルで、人々は身を寄せ合って寒さをしのいでいた。「なぜ救貧所へ行かないのか」と尋ねるスクルージに、幽霊は自身のマントの下から二人のやせ細った子供を出し、「無知」と「貧困」を思い知らせる。税金を払っただけで、貧困にあえぐ人々の暮らしを知ろうともせず「口減らしにすればいい」と言ったのはスクルージだった。
幽霊にその場に放置され、おびえるスクルージの元に最後の幽霊が現れる。今度の幽霊は暗闇の中に佇み、顔も見えない真っ黒なマントに全身を覆われ、恐ろしい姿をしていた。これは「未来のクリスマスの霊」である。
幽霊に連れられ街を歩くスクルージは、人々がある男の死を話しているのを聞く。人望がないその男は、誰からも相手にされず悲しんでくれる人もいないようだった。その男の邸の下女らしき老婆は、男の死をいいことに家じゅうから金目のものをくすね、売り払っていた。
それから幽霊は再びクラチットの家に連れていく。すでにティムは亡くなっており、家族は悲しみ、しかしティムを思いながら生きていた。
幽霊は最後に墓地へ連れていき、スクルージは亡くなった男が自分であることを知り絶望する。
目覚めると、クリスマスの朝だった。昨夜の不思議なできごとを教訓にしてスクルージは変わることを決意する。クラチットの家には七面鳥を贈り、再び会った寄付金を募る男には多額の寄付金を払うと約束。その後フレッドの自宅を訪ね、今までのことを詫びて今夜のディナーに行くことを告げる。
翌日、スクルージはクラチットの給料を倍にすると宣言。その後彼はティムの二番目の父親といえる存在になるのだった。
映画『クリスマス・キャロル』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『クリスマス・キャロル(1984)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
色褪せることのない名作
幾度となく映像化されたディケンズの名作小説。今作は三度目の映画化作である。同じものを何度も映像化できるのは、名作だからこそできることだろう。1984年の作品なので、今観ると幽霊が現れるシーンなどは特にチープな作りに見えるが、ストーリーは原作に忠実、そして名優・ジョージ・C・スコットの演技が光る。
大人になって改めて観たい
名作ゆえに、『クリスマス・キャロル』のストーリーは誰もが知っていると思う。多くは、子どもの頃に絵本で読んだり、映像作品を観たりした経験があると思う。子供に「こういう大人になってはいけない」という教訓として読めるが、大人になって観てもいろいろ気付かされることがあると思う。
キリスト教圏では、クリスマスは家族と過ごすのが一般的だと思うので、独り身でクリスマスを忌々しく思って過ごすスクルージはさぞ奇異であろう。雪も降るクリスマス・イヴの夜に、明かりもつけず、暖炉を暖めることもせず、暖かいのかもよくわからないまずそうなスープをすするスクルージの姿はあまりにもひどい。
クリスマスは家族と過ごすもの、という考えのない日本人から見て、どう思うかはわからないが、クリスマスがどうというところはともかく、身につまされるところがあるように思う。
人が変わるのに遅いことはない。この物語に描かれるそれはファンタジーで子供向けだが、大人が観て、自分の生活を改めて振り返るきっかけになると思う。
子供の頃は一年のイベントの中でも最も楽しみだったクリスマスですが、大人になるに連れてどうでも良くなってしまう人も少なくないでしょう。私もクリスマスへの関心が薄れていましたが、この作品を見てこのままだと嫌な大人になってしまうところだったと反省しました。
クリスマスの出来事は奇跡を起こすのだと思わせてくれるファンタジーなストーリーの中に、教訓とも言える幽霊からの教えを織り交ぜているので、厳しい指摘も反論せずに素直に聞き入れることが出来ます。
少し弄れてしまった大人にこそ見てほしい作品です。(女性 30代)
映画『クリスマス・キャロル』 まとめ
実はこういった教訓話は、大人にこそ響くものではないかと思う。子供にとっては「クリスマスは幸せなもの」という思いしかないのではないだろうか。大人に守られる存在の子供にとって、特に不自由なく生きている子供にとっては疑問にすら思わないことだろう。そして、「人を愛し、大切にしなければならない」なんてことは、子供にとって簡単に受け入れられてしまうことである。何の疑問をいだくこともなく、そして何となく。スクルージに真に共感できるのは、やはり大人だからこそだと思うのである。
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