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映画『12人の優しい日本人』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『12人の優しい日本人』の概要:三谷幸喜の戯曲を、1991年に中原俊監督が映画化した作品。密室で陪審員たちが白熱の議論を展開するシドニー・ルメット監督の名作「十二人の怒れる男」(57)を、三谷幸喜流にパロディ化したコメディ映画。日本人の特徴をよく掴んだ人物設定と会話が秀悦。

映画『12人の優しい日本人』の作品情報

12人の優しい日本人

製作年:1991年
上映時間:116分
ジャンル:コメディ、サスペンス
監督:中原俊
キャスト:塩見三省、相島一之、上田耕一、二瓶鮫一 etc

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映画『12人の優しい日本人』の登場人物(キャスト)

陪審員1号(塩見三省)
陪審委員長。体育教師をしているまじめな男。以前にも陪審員をしたことがある。
陪審員2号(相島一之)
“話し合いましょう”が口癖の面倒くさい熱血漢。人の意見を聞かず、ひたすら自分の意見を押し付けようとする。
陪審員3号(上田耕一)
堅苦しい場が苦手な酒飲み。議論が白熱してくると、その空気に耐えられなくなる。
陪審員4号(二瓶鮫一)
平凡なおじさん。フィーリングで被告人の無罪を主張する。
陪審員5号(中村まりえ)
メモ魔のキャリアウーマン。一見しっかりしていそうだが、人の影響をかなり受けやすい。
陪審員6号(大河内浩)
忙しいサラリーマン。とにかく早く帰りたい。ダヨーンのおじさんを描くと落ち着く。
陪審員7号(梶原善)
体育会系の熱血漢。子供っぽい性格で、いじけると手に負えない。女性に全く縁がない。
陪審員8号(山下容莉枝)
子持ちの主婦。付和雷同で、誰からも嫌われたくない。どうでもいいことにはこだわる。
陪審員9号(村松克己)
インテリの歯科医。論理的に話を進めるが、高飛車で常に上から目線。
陪審員10号(林美智子)
平凡なおばさん。おとなしい性格だが、たまに爆弾発言をして周囲を驚かせる。
陪審員11号(豊川悦司)
役者。最初は話し合いに無関心だったが、終盤は中心人物となって議論を進める。
陪審員12号(加藤義博)
仕切りたがり屋。いつもの癖ですぐに場を仕切ってしまい、委員長に注意される。

映画『12人の優しい日本人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『12人の優しい日本人』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『12人の優しい日本人』のあらすじ【起】

※ 登場人物に名前がないため、キャスト名であらすじを書いています。

陪審員に選ばれた12人の男女が、とある会議室に集められる。彼らは裁判を傍聴し、この場で被告人が有罪か無罪かを決定しなければならない。12人全員の合意がなければ、評決は成立しない決まりになっていた。

とりあえず12人は、1度だけ許される喫茶店の出前の注文を決める。その時点で、それぞれの個性が表れ始める。

12人が裁く被告人は、まだ21歳の母親で、夫殺しの罪に問われていた。彼女はヒモ状態の夫に愛想を尽かし、5歳になる息子と家を出ていた。しかし夫は復縁を望んでおり、夜の歩道で彼女に襲いかかる。2人はもみ合いとなり、道路側によろめいた夫はトラックにはねられ死亡する。彼女は殺意を否定し、無罪を主張していた。しかし、目撃者の主婦は、“2人は対等にやりあっており、彼女は死んじゃえーと叫んでいた”と証言する。トラックの運転手は、“自分はクラクションを鳴らしたが、彼女は被害者を突き飛ばした”と証言していた。しかし被告人は、“襲われたので抵抗したが、彼を突き飛ばしていないし、クラクションの音も聞こえなかった”と述べていた。

陪審委員長の塩見は、セオリー通り陪審員ハンドブックを読み上げようとする。しかし、一刻も早く帰りたい大河内は、それを省いてもらう。塩見はあれこれ文句を言われ、ひとまず“被告が有罪か無罪か”で多数決を取ることにする。その結果、全員が無罪に手をあげ、呆気なく会議は終了する。

みんなは拍子抜けして帰り始めるが、相島は“きちんと話し合いましょう”と言い始める。出前がまだ届いていないこともあり、帰りかけていた人も会議室に戻される。相島は、話し合いを続行するために、無罪をやめて有罪に切り替える。

話し合いが始まり、1人で有罪を主張する相島は、“それなら、なぜさっき無罪に手をあげたのか”と責められる。相島は自分の間違いを謝罪し、有罪にした理由を熱く語り始める。

映画『12人の優しい日本人』のあらすじ【承】

相島の希望で、無罪だと思った理由を端から順番に述べることになり、明確な根拠を持たない林は困り果てる。それでも厳しく相島に追求され、林は鼻血を出してしまう。

上田は“パス”をし、二瓶は“フィーリングかな”と頼りないことを言う。相島に怒られたので、二瓶は頑張って話し始めるが、結局は“悪い人には見えなかったから”という結論に至る。

メモ魔の中村は、手帳にメモした事件の経過を読み始める。そして自分の意見は全く述べないまま、メモを読み終えて座ってしまう。彼女はそれを論理的だと思っていた。

仕切り屋の加藤は、“結局は被告人の正当防衛が成立するかどうかだ”と筋の通った意見を言う。加藤は被告人の行為は正当防衛だと思っていた。しかし相島は聞く耳を持たず、目撃者の主婦の証言を持ち出す。加藤は“目撃者のおばちゃんの証言は信用できない、被告人の方を信じる”と主張する。

中村も“被告人は嘘をついていないと思う”と加藤を援護する。彼女は人の嘘を見抜けると言い出し、村松にやり込められてしまう。インテリの村松は、“検察側が被告の殺意を立証できなかった以上、彼女は無罪だ”と論理的な意見を述べる。

梶原は、被害者のようなダメ男が個人的に嫌いなので、“自分は有罪でも無罪だ”とめちゃくちゃなことを言う。大河内は“自分の考えは村松とほぼ同じ”という戦法で逃げ切り、主婦の山下はみんなの話を適当につなぎ合わせて、自分の番を終わらせる。

会議に参加していなかった豊川は、“有罪の場合でも執行猶予がつく、どうせ刑に服さないなら無罪でいい”という合理的な意見を出す。みんなは妙に納得するが、相島だけは納得しない。いつまで経っても話し合いは平行線なので、無記名投票で多数決を取ることになる。ただし、有罪が増えていなければ、相島は妥協して無罪にすることが条件だった。相島は投票前に熱弁をふるい、みんなの失笑を買う。

映画『12人の優しい日本人』のあらすじ【転】

投票の結果、なんと有罪が2票になっていた。しかし合計が13になっており、相島のズルが発覚する。みんなは呆れ果て、約束通り会議を終わらせようとする。しかし村松が相島の味方につき、有罪に寝返る。村松は単純に議論を楽しみたいだけだった。

出前がきたので休憩となり、若花田と貴花田のどちらが先に横綱になるかという話で盛り上がる。そこでも相島だけが若花田に手をあげ、みんなから孤立する。

村松は、被告人の正当防衛を覆すための意見を述べ始める。被害者は酒を飲んだうえ、約2キロの距離を走っており、事件現場で被告人を襲う体力は残っていなかったのではないかと推測を立てる。村松の援護で元気を取り戻した相島は、被告人がわざと被害者に追いつかれ、計画的に殺害したのではないかと言い出す。

村松の意見に賛同した中村は、有罪に変える。ところが、村松はすぐ無罪に変え、“君は単純だね”と中村をバカにする。

議論は徐々に白熱し、ずっと消極的だった林や二瓶も発言し始める。二瓶は被告人を弁護するため、“彼女は子供のためにピザの宅配を注文していた優しい母親だ”と主張するが、それを聞いた村松は再び有罪に変える。彼女は帰りが遅くなることを予測してピザを注文したのであり、これは計画殺人の証拠になるというのが村松の考えだった。それを聞いて、加藤も有罪に変える。

意見が割れてきたので多数決を取ることになり、有罪派は相島、村松、加藤、中村、豊川、山下の6名、無罪派は林、二瓶、上田、梶原、大河内、塩見の6名となる。梶原は無罪派を外に呼び出し、“悔いのない人生を”という合言葉を掲げ、メンバーを励ます。大河内は、無言作戦で評決不一致に持ち込み、早く帰りたいと思っていた。

頭が切れるタイプは有罪派に集まっており、無罪派は苦戦を強いられる。頭に血が上った梶原は、“クズ男の被害者が2回も結婚できて、なぜ自分は未だに独身なんだ”と超個人的な愚痴を言い始める。こういう場が苦手な上田は情緒不安定になり、突然帰ろうとする。みんなは上田をなだめ、再び多数決を取ることにする。諦めモードの大河内は有罪に変え、有罪派7名、無罪派5名となる。

自分の意見を述べないまま無罪を貫いていた塩見は、その理由を述べろと言われ、以前に死刑囚の陪審員をした苦い経験を話す。例えどんな極悪人でも、自分の1票が人の死に直結するのは嫌なもので、塩見はあんな経験は2度としたくないと思っていた。

映画『12人の優しい日本人』の結末・ラスト(ネタバレ)

今回の被告人も計画殺人で有罪になれば、死刑もありえるという話を聞き、山下は慌てて無罪に変える。豊川は、“傷害致死で有罪にすれば執行猶予になる”という建設的な意見を出し、みんなはそれがベストだと考える。ところが二瓶だけが無罪で譲らない。村松は個人的に二瓶を説得しようとするが失敗し、林も二瓶に賛同する。村松は、2人の頑固さに苛立ち、声を荒げる。

村松は評決不一致に持ち込もうとするが、今度は豊川が林と二瓶の味方につく。豊川は自分は弁護士なのだと打ち明け、時間稼ぎをするからゆっくり考えるよう2人に言ってやる。

議論が再開され、豊川は“ピザを頼みましょう”と言い出す。実際にピザの大きさを確認し、被告人が子供と一緒に食べるつもりだったことを立証する狙いだった。相島は抵抗するが、豊川にはかなわない。豊川は事件の証言を整理し、林と二瓶に気になる点を聞く。2人は鋭い指摘をし、主婦の証言が信用できないことが徐々に立証されていく。

議論はトラックの運転手の証言に及び、運転手が居眠り運転をしていたのではないかという意見が出る。豊川は、主婦と運転手の証言の矛盾点を的確に指摘し、相島と村松を追いつめていく。他の9人は豊川に賛同し、活発に発言を始める。加藤は、被害者が自らトラックに飛び込んだのではないかという仮説を立てる。みんなは確信を持って無罪を主張できるようになっていた。そして村松も納得して無罪に変える。

ところが、最後まで相島は納得せず、自分の意見を押し通そうとする。相島は被告人と自分を捨てた妻を混同し、どうしても許せない気持ちになっていた。しかし豊川に“ここで裁かれているのは被告で、あなたの奥さんじゃない”と指摘され、言葉を失う。

長い議論を重ね、12人の陪審員は“全員一致で無罪”の評決を出す。最後に豊川は自分が俳優であることを二瓶に打ち明ける。12人の優しい日本人は今日の議論に満足し、それぞれの日常に戻っていく。

映画『12人の優しい日本人』の感想・評価・レビュー

この映画はほとんどの場面が会議室の中で行われ、シーンの切り替えが少ない。会話と脚本の展開だけで、ここまで引き付けられるストーリーは見事。
タイトルも構成も元ネタとは逆になっているので見比べてみても面白いかもしれない。
一つの空間の中で一つの議題を論じ合う時にありがちな人々のイライラ感や身勝手さは非常に共感でき、俳優陣の持ち味も存分に生かされている。無駄にも思えるような議論を延々と繰り返し、終盤にかけて一人の男にスポットが当たっていき意外なラストを迎えるあたりの流れは見応えがある。最後までじっくり見て欲しい映画。(女性 30代)


本家『12人の怒れる男』とは状況を同じくした別種の映画であって、描きたいものがまるで違うが、没個性な意見しか持たない、あるいは属性を演じてしまう癖のある日本人の弱みをうまく切り取った漫画的な映画で、着眼点の鋭さが素晴らしい。本家からすでに舞台向けの作品であり、映画には向かない題材ではあるが、類似のものが少ないために飽きにくい。一度きり使える奇襲のような手法であるが最初に行う人物はやっぱり偉いのだと思える。(男性 30代)


海外の戯曲を三谷幸喜が日本風に脚色した作品。製作当時には、まだ日本に陪審員制度が無く、「もしあったら…?」という設定で実に見事な会話劇となっている。
ある殺人事件の犯人が有罪か無罪か、人が人を裁くプレッシャーの中、12人の陪審員たちの議論が白熱する。決着をつけてさっさと帰りたい者、真実を追い求める者、本音を隠している者……それぞれに主張があり、不安も併せ持つのがよくわかる。
そしてどの登場人物にも愛着がもて、「その気持ちわかるよ」と感じてしまうのだ。
それもこれもすべて三谷幸喜の脚本の力である。(男性 40代)


裁判員制度がまだ無かった時代に、もし「陪審員制度」があったとしたら…と作られた今作。会議室の中での会話劇が中心で、盛り上がりに欠けるかと思いきや、しっかりと起伏のあるストーリーなので見ていて飽きませんでした。
ニュースを見ていて、こんなやつ死刑にすればいいのになんて思っていても実際に自分が陪審員になると意見を言えないのって、すごく「日本人」らしいんだなと感じました。三谷幸喜監督らしい作品です。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    人物像の描き方などは流石だが、法廷で提示された証拠のみを根拠とすべき陪審員が推理ごっこを始めるなど、リアリティについてはサスペンス劇場並み。
    良くも悪くも日本的な曖昧な結論に落ち着いた印象で、あまりすっきりする映画ではない。

  2. 匿名 より:

    見ていてこれほど爽快な映画はない。退屈させないし、納得できる答えを導き出した陪審員をみているとこちらも視聴者として納得して映画を観終えられるからだ。
    「12人の怒れる男」という秀逸な映画を舞台化したもののリメイク作品だが、日本バージョンに置き換えてこんなにも面白みが増す映画を観たのは初めてだった。
    陪審員は基本的には感情論で話を進めてはいけないのだろうが、人間であれば己の抱えている現状から意見を出してしまうのは当然だと思う。キャラクターたちが抱えているバックボーンが浮かび、最後まで一人有罪と言い続ける男の哀れさには気持ちのいい感情ではないが憐れみで感情移入してしまった。

  3. 匿名 より:

    もともと日本人は議論が下手である。上を持ち上げるための意見だったり、多勢に無勢だからと、自分の意見がどこにあるのかすら分からぬままでいることもあるだろう。統率する人とそれに合わせる人という強弱のある構図がこの映画にも描かれていた。だがこの映画では爽快なことに、意見するのが下手な人間たちほどいい目の付け所を持っているのである。フィーリングが有罪ではないと言っているという眼鏡の禿げた男性の意見はいかにも日本人らしい。心の中に意見をとどめたまま発揮せずに生きていくことに慣れ過ぎて、心の中で整理がつかないのだろう。日本人の象徴的なキャラクターだと感じた。

  4. 匿名 より:

    一つの場所のみで展開されるこの映画。舞台を観ているかのようで、低予算でも撮影ができそうだ。一見みる人にとって退屈な映画なのでは?と感じるかもしれない。しかしそんなことは微塵も感じさせないのである。12人の陪審員たちそれぞれのキャラクターが巧妙に描かれているからだ。
    12人それぞれは人間味溢れるどこにでもいるような人物。だが議論するとなると化学反応が起こってしまうような価値観が違う人間たちである。仕事に戻りたい男。話の腰を折ってひとまず目立とうとする男。自分の興味のある分野でしか活躍できない男。誰にでもいい顔をしたい女。等、キャラクターの人間性がよく描かれている映画なのだ。各々がどんな人間なのかがどことなく想像できるので話す言葉にも選択する有罪無罪の評決にも納得がいく。これだけタイプの違う人間に議論をさせたところが見どころである。