映画『屋敷女』の概要:妊娠中に交通事故で夫を亡くしたサラ。出産を間近に控えた彼女はクリスマス・イヴの日に一人退院する。その晩、「電話を貸してほしい」と家に訪ねてきたのは謎の黒づくめの女。果たして女の正体とは一体?超閲覧注意な最凶フレンチホラー。
映画『屋敷女』の作品情報
上映時間:83分
ジャンル:ホラー
監督:ジュリアン・モーリー、アレクサンドル・バスティロ
キャスト:ベアトリス・ダル、アリソン・パラディ、ナタリー・ルーセル、フランソワ=レジス・マルシャソン etc
映画『屋敷女』の登場人物(キャスト)
- サラ(アリソン・パラディー)
- 交通事故で夫のマチューを亡くした女性。自分とお腹の赤ん坊は助かったものの、最愛の夫を亡くし虚脱状態のまま退院する。いつ生まれてもおかしくない臨月状態だが、クリスマス・イヴの晩に突如訪れた謎の女によって最悪の事態に巻き込まれる。
- 謎の女(ベアトリス・ダル)
- サラのアパートに深夜突如やってくる黒衣の女性。交通事故が起きたから電話を貸してほしい、と訪ねて来るが断られると激怒。ハサミを凶器にサラの家へと侵入し、次々殺戮を働き始める。彼女の動機は一体……?
映画『屋敷女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『屋敷女』のあらすじ【起】
冒頭、雪の降る中で接触事故を起こすサラ。血まみれの彼女の横では、同じく血まみれの夫・マチューが痛々しい姿で目を閉じている。呼びかけても目覚めようとはしないマチューは既に死んでいた。
サラは妊娠中で、お腹の子供も無事であった。入院中に臨月を迎えクリスマス・イヴに退院し一人自宅のアパートへと戻るサラ。夫を亡くした孤独感からどこか虚脱状態の彼女を心配し、母親や上司が家に付き添おうかと気を配るが彼女は一人でいたいとの思いからそれを断った。赤ん坊はもう明日にも生まれてもおかしくない状態であるが、素直にそれを喜ぶ気にもなれず沈んだ様子のサラ。そんな夜のこと、家をノックする音が聞こえる。こんな夜に誰だろうと応じてみると「交通事故を起こしてしまった。電話を貸してくれませんか」と一人の黒衣姿の女性が立っていた。何となく怪しく思い、「携帯電話はないんですか?」と聞き返すサラ。謎の女は「電池が切れてしまって……5分で済むから家に入れて下さい」と返事を寄越す。やはり怪しく感じたサラは「ごめんなさい、旦那が寝ているので今はちょっと――他を当たって下さい」とやんわりお断りする。しかし、ここで女の態度が豹変する。「嘘つくんじゃないよサラ!お前の旦那はもう死んだだろう!」ドアをガンガンと乱暴に殴りながら女は声を荒げて叫び出す。何故かこちらの事情を知っている女に恐怖を覚えていると、女は庭に回り込み窓ガラスを殴り始めた。慌てて警察に電話し、カメラに女を収めようとするサラ。程なくして婦警含む警察たちがやってくるが、女は姿をくらましていた。(余談ではあるが、実はこの隙に女がサラの家に侵入している姿がこっそりと見える)。
映画『屋敷女』のあらすじ【承】
証拠となりそうな写真も真っ暗であまり役に立ってはくれそうにない。とにかく今日は戸締りを厳重にし、近所には警察官達を巡回させますので……と去っていく警察たち。ひとまず安心し、寝室で眠るサラだったが先程の女は既に寝室に足を進めていた。眠りこけているサラの上に乗り、ハサミを彼女の腹部に突き立てる女。悲鳴を上げ飛び起きると、女は続けざまサラの顔をざっくりと切り裂いてしまう!サラは何とか電気スタンドで女に抵抗し、その隙に化粧部屋に逃げ込み鍵を掛ける。しつこく追ってくる女。ドアを殴りながら「サラ!開けなさい!サラ!」と扉をガンガン蹴り出す。身に覚えのない強襲にパニック気味のサラ。「誰なのよあなた!?」。泣き叫ぶサラだったが、そこへやってきたのはサラの上司だという中年男性だった。女はしれっと「サラの母親です。サラは今寝た所ですので……」と母親のふりをする。「そうでしたか」と引き下がろうとする上司であったが、そこへ本当のサラの母親が訪れる。「あなたは誰ですか?サラはどこなの?」と、とりあえず女を無視してサラの元へと向かおうとする。上司も上司でわけが分からずこの黒衣の女は何なんだ?と不審そうな雰囲気が流れ始めた。「サラ?」と母親が化粧部屋を開けた途端、サラは女がやってきたものだと思いやられてなるものかと針金のような鋭い金属の棒で女……だと思っていた、自分の母親の首を思いきり刺してしまい彼女の首筋からは大量に血が吹き出す。失血死した母親の遺体に「ママ……」と愕然と涙を零すサラ。一方で女も上司の男をハサミで滅多打ちにしていた。足首を切り刻み、股間部に刃を立て、馬乗りになり顔を何度も何度も執拗に切り付け、最後はクッションを被せその上からハサミを突き刺して殺害。
悲しんでいる間もなく、女は上司を始末した後再びサラの元へ迫ってくる。身重のサラは慌てて化粧部屋に引き返すが、それを捕まえる女。サラは母を誤って殺した針金を使い女の手を攻撃し難を逃れ再び化粧部屋に閉じこもる。再び逃げられて不機嫌そうな女。いらいらしながらその場に座り込んでいると飼い猫の黒猫が近づいてくる。女は猫を抱きしめあやし始めるが、やがて怒りに身を任せ猫の首の骨を折り横手へ抛り捨てた。むしゃくしゃした様子で地団太を踏み、煙草に火を点ける女。
サラの味方は2人も死んでしまい、こうなったら自分で戦うしかないとサラは鏡を割り破片を武器にする。女はやがてハサミで扉の板を削り始め、そこから穴を開け侵入しようと試みる。負けてなるものかとサラもガラス片で対抗するが、やがて穴から迂闊に手を出したサラの手を、女はハサミで壁に突き刺してしまった。手を固定され絶体絶命のサラ、そこへ警察官達が助けに入ってくる。しかし、女の手によってあっさり返り討ちにされ次々血祭りにあげられていく。更には武器である拳銃も奪われ、まさしく鬼に金棒・キチガイに拳銃を地で行く女。サラを助けに来た警察官の頭部が割れたスイカのように吹き飛び、望みはまた絶たれたのであった。
映画『屋敷女』のあらすじ【転】
再びサラは化粧室に撤退し鍵をするが、女は退かない。「ここを開けなさいサラ。あたしの目標はただ一つ。あなたの赤ちゃんが欲しいの。あたしが育てるからよこしなさい」と説得を始める。「どうしてあたしなの!?」と状況を理解できないサラだったが、外のパトカーで待たされているもう1人の警察官と捕まっていたコソ泥の青年が「戻って来るのが遅い。中で何が起きているんだ?」と痺れを切らし中へと潜入することに。
家の中はめちゃくちゃだった。死体があちこちに転がり死屍累々とはまさにこのことか――血の海と化した家の中で助けを求めるサラに正義感を燃やす警察官が「もう大丈夫だからな!」と近づいていく。サラは「ママを殺してしまった!」と泣きじゃくり、家を出ようとしたその時ブレーカーが落ちる。辺り一面を包み込む闇。ブレーカーを探しに行こうとする警察官と青年だが、女の巧妙な罠に引っかかりまごついているうちに殺害されてしまう2人。ここまで警察官が役に立たないのも、この謎の女が強すぎるせいだからなのだろうか……。
映画『屋敷女』の結末・ラスト(ネタバレ)
暗闇の中でいよいよサラと女のサシバトルが始まった。女は身近にあったトースターでサラの喉を突き、サラは「息ができない」とその場に倒れ込む。血が気道に詰まってしまったのか苦しそうに呻き倒れ込むサラ。勝利を確信し、煙草を吹かし始める女にサラは持っていたヘアスプレーをかけライターに引火させた。顔面を黒焦げにされ、悲鳴を上げながら撤退する女。サラは血が詰まりこのままだと呼吸ができなくなるために喉に刃物を突き立て詰まっていた血液を流出し、ガムテープをして止血する。サラは女にトドメを刺すために鉄パイプを持って近づくが、女から「また殺すの?」と呼び掛けられる。「あなたは一度私を殺しているのよ」――女の正体は、冒頭の交通事故の接触相手だった。サラは構えた武器を降ろし「死んだと聞いていた」と答える。死んだのはこの女の腹に宿っていた赤子だけだったそうだ。それで、女はサラから赤ん坊を奪おうとしてこのような狂気に走ってしまったのだろう。
すると、死体から一人の青年が立ち上がった。「お巡りさん?」と尋ねると振り返った彼は両目からは血を流し、口元からも流血を零して獣のような呻き声を上げるまるでゾンビのような存在であった。この辺りはストーリーにあまり関係がないと言うか、監督がゾンビ映画好きだからゾンビを入れたいという遊び心で加えたシーンらしいので深く考える必要はないらしい。
棒でサラの腹を殴りにかかるゾンビ。このままではお腹の中の赤ちゃんが危ない。そこへ助けに入ったのは顔を焼かれた例の黒づくめ女だった。女は鉄パイプを持ってゾンビに立ち向かい、サラを助けた。サラは倒れ、「生まれる!」といよいよ産気づく。階段に彼女を寝かせ、懸命にいきむサラに「私がついてる」と出産の手助けを始める女。しかし中々出てこない胎児に、女はハサミをサラの下腹部へ。この辺りは黒いぼかしのせいでよくは見えないが無理やり帝王切開をしたということなのだろう。赤ちゃんは無事生まれたようだが、サラは失血死により目をあけたまま動かなかった……。
赤ん坊を取り上げた女は、赤子をいとおしそうに抱っこしながら椅子に腰を下ろし揺られている。ピアノの静かな旋律と薄暗い中に赤ちゃんを抱えて佇む女を映し、エンディングロールへ……。
映画『屋敷女』の感想・評価・レビュー
グロすぎる……!女性の方及び妊婦の方は絶対に見てはいけない。画面を飛び交う血の量がまず半端ではない。ホラーと言うかこれはハイテンションスプラッターである。この手の映画あるあるだが警官が弱すぎる(またはアホすぎる)のか謎女が強すぎるのか!?謎女演じるベアトリス・ダルは美人だけど前歯にスキッ歯があるのが個性的というか不気味。これもそうだがフランス産映画と言うのはえぐいのが多い気がする、変態監督が多いのだろうか(偏見?)。(MIHOシネマ編集部)
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