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映画『夜明け(2018)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『夜明け(2018)』の概要:川辺に倒れていたところを、哲郎に助けられたシンイチ。シンイチは哲郎の木工所で働くようになり、親子のような絆が生まれる。しかし、シンイチが過去に起こしたトラブルが原因で、負い目を感じ結局は1人に戻る。

映画『夜明け』の作品情報

夜明け

製作年:2018年
上映時間:113分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:広瀬奈々子
キャスト:柳楽優弥、YOUNG DAIS、鈴木常吉、堀内敬子 etc

映画『夜明け』の登場人物(キャスト)

ヨシダシンイチ / 芹沢光(柳楽優弥)
河原に倒れているのを哲郎に助けられ、木工所で働くことになる。昔働いていたコンビニが火事になった事件と関わりがあり、身元を隠しながら生活を送る。
涌井哲郎(小林薫)
木工所の社長。シンイチを亡くした息子と重ね、世話をする。シンイチの気持ちを顧みない自分本位な行動は、却ってシンイチの気持ちを遠ざけることになる。
庄司大介(YOUNG DAIS)
木工所の従業員。シンイチを受け入れ、良くしてくれる。シンイチの過去も気にすることはない、と励ますが、最後にシンイチが哲郎の元を去った時には怒りを露わにする。情に厚い性格。
成田宏美(堀内敬子)
哲郎の再婚相手。初めはシンイチを快く受け入れるが、シンイチの存在が哲郎の心を苦しめているように思い複雑な態度を示す。

映画『夜明け』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『夜明け(2018)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『夜明け』のあらすじ【起】

ある日、川辺に1人の少年が倒れているのを木工所社長の哲郎が発見する。哲郎は少年を家まで連れて帰り、食事など世話をする。哲郎が少年に名前を聞くと、ヨシダシンイチと名乗る。シンイチは「自分探しのようなものをしていて、渋谷から来た」と語る。

哲郎は、木工所の従業員たちにシンイチを東京から働きに来た新人だと紹介して、仕事を与え、部屋に住まわせてやる。シンイチは哲郎が良くしてくれることに戸惑いながらも、少しずつ仕事に慣れていく。

工場の従業員で哲郎の恋人の宏美と夕食の支度をしていたシンイチは、宏美から哲郎の過去を聞かされる。哲郎は、妻と息子を交通事故で亡くしていて、その息子はシンイチと同じ名前だった。

哲郎はシンイチと晩酌をしながら、妻と息子について語った。哲郎は、生前の息子に後を継がないと言われたことに怒り、息子を殴ってそれきりになってしまったことを後悔していた。

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映画『夜明け』のあらすじ【承】

シンイチと哲郎は少しずつ打ち解けていく。シンイチは本物の息子のように可愛がってくれる哲郎の想いに応えようと、生前の息子がしていたように髪の毛を茶色に染め、仕事に打ち込む。

ある日、哲郎はシンイチを釣りに誘う。哲郎は釣りをしながら、シンイチの抱えている事情を聞き出そうとする。哲郎はシンイチが川で倒れていたのは、自殺を図ったからではないかと心配していた。シンイチは、今の自分の状態だったら生きていても死んでいても変わらない、将来も見えず、自分を必要としてくれる人もいない、と生きている意味を見出せないことを哲郎に明かす。哲郎は理由を追求することはなかったが、シンイチを助けた時に拾った財布の中に免許証を見つけていて、シンイチの名前が本当は芹沢光だということを知っていた。

映画『夜明け』のあらすじ【転】

木工所の同僚の庄司も、新人のシンイチを可愛がっていた。シンイチは庄司に連れられ、ガールズバーで飲んでいた。そこでシンイチは、シンイチを何処かで見たことがあるという女性従業員に出会う。女性従業員はシンイチの写真を撮ろうとするが、シンイチは抵抗し、携帯を奪って床に叩きつけた。女性従業員は、シンイチが昔火事のあったコンビニでバイトをしていた人物だということを思い出し、庄司に伝える。庄司はその場を収め、シンイチと店を出る。

周囲の詮索や優しさが苦しくなったシンイチは、昔バイトしていたコンビニが火事になったこと、家事になる前にガスが漏れていることを知りながら黙っていたこと、その時にいた店長が危篤状態だということを哲郎に打ち明けた。哲郎はシンイチの状況を理解した上で、シンイチが持っていた財布と免許証を燃やし、芹沢光の名を捨ててシンイチとして生きれば良いと諭した。そして哲郎はシンイチに新しい財布を贈り、木工所の正社員として改めてシンイチを迎えることにする。

映画『夜明け』の結末・ラスト(ネタバレ)

宏美と哲郎が結婚することになり、木工所の従業員総出で結婚パーティーの準備をする。しかし、哲郎は結婚パーティーの前日に突然行方不明になる。シンイチに探し出された哲郎は、町のバス停で泥酔状態になり横たわっていた。哲郎は、再婚によって亡くした妻と息子に対する気持ちが変化することや、シンイチと亡くした息子を重ねてシンイチに期待しすぎていることに、葛藤し戸惑っていた。

結婚パーティー当日、パーティーは和やかに執り行われた。しかし、パーティーの途中で哲郎が出席者に向けて、シンイチを木工所の跡取りだと紹介し、シンイチに前に出て挨拶するように命じた。シンイチは跡取りになることも、人々の注目を集めることもしたくなかったため断るが、哲郎は頑なにシンイチを前に立たせようとする。するとシンイチは突然マイクを握り、自分は芹沢光でシンイチは偽名であることを告げ、その場から逃げ出した。木工所の従業員たちは途方に暮れ、落胆を隠せなかった。走り去ったシンイチが辿り着いた先には、光りの射す海が広がっていた。

映画『夜明け』の感想・評価・レビュー

全編に渡り薄暗い雰囲気が続く中で、過去に問題を抱えるシンイチと哲郎が互いを必要と思えば思うほど、2人の気持ちはすれ違い、少しずつ離れていく様子が見ていて息苦しさを感じた。特に今回は、できるだけひっそり、誰とも関わらずに生きていきたいシンイチに対しての哲郎の行動に重さを感じ、逃げ出したシンイチの気持ちに非常に共感を覚えた。(MIHOシネマ編集部)


自分を偽ることに努めた二人の男の物語。本来の自分を捨てようと、シンイチという皮を被る光。そんな光を亡くなった自分の息子と重ねて、愛を注ごうとする哲郎。二人は助け合うも、噛み合わなくなっていく。ラストは解釈が割れるのではないか。正体を明かした光の表情の真意とは…単に逃げたのであれば、自身のクズさを改めて実感した諦めに近い表情。哲郎から真一を断ち切ろうとしたのであれば、自身の人生をもう一度やり直そうと覚悟を決めた表情。深い作品だと思う。(男性 20代)

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