この記事では、映画『夜明けまでバス停で』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『夜明けまでバス停で』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『夜明けまでバス停で』の作品情報

出典:https://video.unext.jp/title/SID0077489
| 製作年 | 2022年 |
|---|---|
| 上映時間 | 91分 |
| ジャンル | ヒューマンドラマ |
| 監督 | 高橋伴明 |
| キャスト | 板谷由夏 大西礼芳 三浦貴大 松浦祐也 |
| 製作国 | 日本 |
映画『夜明けまでバス停で』の登場人物(キャスト)
- 北林三知子(板谷由夏)
- 昼間はプロのアクセサリー作家として働き、夜はチェーン店の焼き鳥屋でパートをしている。他人に弱みを見せることが苦手。
- 寺島千晴(大西礼芳)
- 三知子のアルバイト先の店長。従業員とマネージャーとの間に板挟み状態であることから、悩みが尽きない。
- 大河原聡(三浦貴大)
- 三知子のアルバイト先のマネージャー。いつも偉そうにしているため、従業員や千晴は嫌な思いをしている。
- 派手婆(根岸季衣)
- ホームレス。公園の敷地に住み着いており、ホームレスとして大事な情報を知り尽くす。
- バクダン(柄本明)
- ホームレス。交番を爆破させた過去をもつ。派手婆のホームレス仲間で、付き合いが長い。
- KENGO(柄本佑)
- 根拠のない情報を発信する、悪質系YouTuber。自身の正義を過信し、威張っている。
映画『夜明けまでバス停で』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『夜明けまでバス停で』のあらすじ【起】
北林三知子は別れた夫の借金を返済するため、焼き鳥屋でアルバイトをしていた。バイトから帰宅した三知子のもとに、兄から電話がかかってきた。認知症の母を施設に入れるため、入居費用を一部出してほしいと頼まれた三知子は、仕方なく20万円振り込んだ。
昼間はプロのアクセサリー作家として働く三知子は、アトリエで4月の個展に向けて準備を進めていた。そこに、バイト仲間が店長の寺島千春を連れてやってきた。それをきっかけに、三知子と千春は仲を深め、おそろいの石でそれぞれブレスレットを作った。
その頃、横浜港のクルーズ船でコロナウイルス感染者が出たニュースが世間を騒がせていた。
コロナウイルスの蔓延によって、焼き鳥屋での営業が厳しくなり、若いアルバイトの子を残して、三知子は解雇されてしまった。緊急事態宣言が発出され、4月の個展も中止せざるを得なくなった。
三知子は住み込みで、介護施設のアルバイトをすることが決まった。三知子の部屋に千春が謝罪をしにやってきたが、三知子は「次の仕事が決まったから大丈夫と伝えた。
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映画『夜明けまでバス停で』のあらすじ【承】
三知子は部屋を引き払い、介護施設へ向かった。しかし、突然新規の採用を見送ることになったと告げられ、住む家がなくなった三知子は路上生活を始めた。
昼間は都内で仕事を探し、夜は最終便が過ぎた「幡ヶ谷二丁目」のバス停のベンチで寝る生活を送っていた。
三知子は「ホームレスがいるとその街の価値が下がる」と発信するYouTuberのKENGOを観て、腹立たしく思っていた。三知子と同じKENGOの動画を観ていた、幡ヶ谷に住む視聴者の男は、毎晩バス停で見かける三知子を妬ましく思うようになっていた。
千春は連絡が取れなくなった三知子のことを心配し、メールを送った。三知子は千春のメールに気づいたが、余裕がないため無視した。
千春は解雇された三知子らへの退職金がマネージャーの大河原聡のもとへ渡っていることを知り、退職金未払いの請求書へのサインを促すため、三知子らへ連絡した。三知子とは連絡が取れなかったため、千春が偽装のサインをして、本社へ提出した。
映画『夜明けまでバス停で』のあらすじ【転】
三知子は貯金が底をつきそうになったため、個展に出す予定だったアクセサリーを公園で売り始めた。しかし、派手婆と呼ばれているホームレスから注意を受け、断念した。派手婆は第一印象とは違う優しい一面もあり、お腹を空かせた三知子に、無料でお弁当を提供される場所を教えてくれた。
三知子は派手婆からバクダンと呼ばれているホームレスを紹介された。バクダンは交番を爆破させた過去を持っていた。
三知子が働いていた焼き鳥屋では、Go To Eatキャンペーンのおかげでコロナ禍前のにぎわいを取り戻していた。唯一解雇されなかったアルバイトの若い子は、聡のお気に入りで、セクハラを受けており、千春は彼女から相談を受けた。
千春は聡に退職金未払いとセクハラの件について問い詰め、本社に提出すると訴えた。その結果、退職金を解雇された三知子以外の人たちに届けることができ、聡によるセクハラもなくなった。
千春は以前社員旅行のときに、位置情報をスタッフたちで共有していたことを思い出し、三知子の居場所を特定した。
映画『夜明けまでバス停で』の結末・ラスト(ネタバレ)
貯金がなくなった三知子は、飲食店で廃棄された残飯を食べているところが見つかり、必死に逃げている途中、三知子は倒れ、バクダンに助けられた。
バクダンは三知子に、すべて自己責任だと、弱い者に押し付ける、政治のあり方に不満を抱き、事件を起こしたと打ち明けた。三知子はバクダンに爆弾の作り方を尋ねた。バクダンは当時の爆弾づくりについて書かれた資料を三知子に渡した。
三知子は人目に付かない場所で資料を読み、バクダンと一緒に爆弾づくりを始めた。バクダンを完成させた三知子とバクダンは、爆弾を都庁のそばに仕掛けた。しかし、バクダンはあえて火薬を入れておらず、爆発することはなかった。
その夜「幡ヶ谷二丁目」のバス停で、眠っている三知子を、KENGOの視聴者の男が、道端に落ちていたレンガで殴り殺そうとしていた。それを目撃した千春が声を上げると、男は去っていった。千春は三知子に退職金を渡すためにやってきた。千春に気づいた三知子は「爆弾に興味ない?」とバクダンから受け取った資料を見せた。三知子は爆発させることを諦めていなかった。
映画『夜明けまでバス停で』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
中村ゆりの繊細な演技が心に刺さる作品だった。理不尽な暴力から逃げ、行くあてもなくバス停で夜を明かす主人公・史織の姿は、現代の孤立を象徴しているようで胸が痛い。特に、彼女が過去の恋人からのDVに苦しみながらも「助けを求めることすらできない」心情が丁寧に描かれており、観ていて息が詰まるほどだった。終盤、史織が再び元恋人に襲われるシーンはあまりに残酷だが、その後に出会った人々の支えが小さな希望として描かれている点に救いを感じた。静かだが強烈な社会派ドラマ。(20代 男性)
女性として、史織の状況に感情移入せずにはいられなかった。バス停で震えながら夜を過ごす彼女の姿は、誰にでも起こり得る“社会の隙間に落ちる瞬間”を痛烈に描いている。優しい老人との出会いは心温まるが、彼にも抱えた孤独があり、その交流が一層切なさを深める。ラストで史織が少しだけ前を向く姿に涙が溢れた。現代社会の弱者に寄り添った重要な一作。(30代 女性)
この作品は“見たくない現実”を真正面から描いた勇気ある映画だと思う。史織がDV加害者から逃れ、社会からも孤独に追い込まれていく過程は重いがリアル。わずかな優しさが差し込む場面があるからこそ、終盤の暴力シーンがより痛ましい。特にバス停での終盤の襲撃は衝撃的で、救われない現実に怒りがこみ上げた。一方で、最後に史織が保護され、新しい一歩を踏み出そうとする姿が希望になっている。(40代 男性)
観ていて胸が張り裂けそうなほど切ない作品だった。史織の弱さも強さも、すべてが中村ゆりの演技によってリアルに立ち上がってくる。バス停での夜は寒さと孤独が伝わり、誰かの一言や視線すら怖く感じる描写が痛々しい。彼女に優しく接する人もいるが、根本的な救いにはならず、社会の冷たさが浮き彫りになる。終盤の救出シーンで、ようやく彼女に光が差す瞬間には泣いてしまった。(20代 女性)
静かで淡々としているが、観終わると心に重い衝撃が残る作品。史織がなぜここまで追い込まれたのか、断片的に描かれる過去が徐々に全体像を見せる構成が秀逸。DV加害者の異常な執着が恐ろしく、彼がバス停に現れるシーンはホラー映画のような緊迫感があった。ラストで史織が守られ、加害者が捕まることで最低限の救いはあるが、彼女が受けた傷はあまりに深い。問題提起として優れた映画。(50代 男性)
ひとりの女性が“生き延びるために必死に夜を越える”姿を、ここまでリアルに描いた作品は珍しい。史織の表情だけで状況のすべてが伝わり、声にならないSOSの重さに観ながら涙が滲んだ。老人や学生など、彼女に寄り添おうとする人々も登場するが、社会の制度や環境が追いついていない現実が突きつけられる。最後に彼女が保護されるシーンは救いでもあり、同時に“もっと早く助けられたはずだ”という無念も残る。(30代 女性)
史織がバス停で過ごす一夜は、ただの避難ではなく“生きるための戦い”そのものだった。逃げ場がなく、誰にも頼れない状態で夜を迎える恐怖が細やかな描写で伝わる。加害者の執念深さがリアルで、終盤の対峙シーンは観ていて息を呑むほどの緊張感。最後の救出は嬉しいが、その過程で彼女が受けた心理的な傷が痛ましい。社会の問題点を突く力のある作品。(40代 女性)
史織が助けを求めることすらできない状況に追い込まれる過程は、観ていて非常に辛かった。周囲の人々が時に冷たく、時に優しいという現実の複雑な一面が丁寧に描かれている。特に、ほんの少しの善意が彼女の心を救う一方で、根本的な支援にはつながらないギャップが胸を締めつける。ラストで史織に手が差し伸べられる瞬間は涙なしには見られなかった。深く心に残る社会派ドラマ。(20代 男性)
夜のバス停という限定された空間が、これほどまでに恐ろしく、そして悲しい場所になるとは思わなかった。史織が抱える過去の傷と、逃げ場のない状況が重なり、観客としてずっと緊張を強いられる。優しさが差し込む場面もあるが、すぐに暴力の恐怖が襲ってくる構図がリアルで胸が痛む。最後に保護される展開には救いがありつつも、彼女が受けたダメージの深さに言葉を失った。(60代 男性)
本作は“助けを求める勇気が奪われた人間”がどれほど追い込まれるかを描いた痛烈な社会派作品。史織が傷だらけになりながらも必死に夜明けを待つ姿に胸が詰まる。加害者が執拗に追い詰める場面は身の毛がよだつほど恐ろしく、社会が見落としている危険を強烈に示している。ラストで史織を守る人たちの存在が希望として描かれるのが救い。重いが必見の映画。(30代 男性)
映画『夜明けまでバス停で』を見た人におすすめの映画5選
『ミッドナイト・スワン』(2020)
この映画を一言で表すと?
孤独と痛みを抱えた者たちが、出会いの中で再生していく切なく温かいヒューマンドラマ。
どんな話?
トランスジェンダーとして孤独に生きる凪沙は、育児放棄された少女・一果を預かることに。最初は距離のある2人だが、互いの傷に触れながら少しずつ心を通わせていく。しかし過酷な現実が2人の生活を揺さぶり、愛情と痛みが交錯する。静かで深い余韻を残す物語。
ここがおすすめ!
『夜明けまでバス停で』と同じく、“孤独な女性の再生”がテーマの一つ。登場人物が傷を抱えながらも前に進もうとする姿が胸を打つ。苦しくも温かい、心に残る作品を求める人にぴったり。
『淪落の人(りんらくのひと)』(2018)
この映画を一言で表すと?
社会の片隅で出会った2人が、互いを支えながら人生に光を見出す優しい物語。
どんな話?
事故で身体が不自由になった男性と、夢を諦めかけた家政婦として働く女性。境遇も背景も異なる2人が、日々の生活の中で小さな希望を見つけていく。社会の弱者が抱える痛みを繊細に描きながら、前向きな力を与えてくれる感動作。
ここがおすすめ!
“弱者への視線”という点で『夜明けまでバス停で』と深く通じる。過剰な演出がなく、丁寧に積み上げられた心の交流が胸に響く。静かに涙が流れるタイプのヒューマンドラマを求める人に最適。
『万引き家族』(2018)
この映画を一言で表すと?
社会の狭間に追いやられた家族が見せる“絆と痛み”に迫る衝撃のドラマ。
どんな話?
貧困の中で“互いを支え合う”ことだけで成立している家族が、ひょんなことから少女を保護する。しかしその選択は徐々に大きな問題へ発展し、社会の理不尽さが家族を追い詰めていく。愛と犯罪、救いと絶望が交錯する濃密なドラマ。
ここがおすすめ!
社会的弱者の苦しみを真正面から描くという“問題意識の鋭さ”が『夜明けまでバス停で』と共通。観る者に問いを突きつけるストーリーと余韻の深さは格別。
『そして父になる』(2013)
この映画を一言で表すと?
“家族とは何か”を静かに、しかし深く問う心揺さぶるヒューマンドラマ。
どんな話?
病院の取り違えにより、6歳になる息子が“実の子ではない”と知らされた家族。血の繋がりと育ててきた時間の重さとの間で揺れる両親の葛藤を軸に、人が抱える弱さと優しさを浮かび上がらせる。大きな事件ではなく、人の心が生むドラマが中心の作品。
ここがおすすめ!
『夜明けまでバス停で』と同じく、丁寧な人物描写と“心の傷”に寄り添う作りが魅力。静かな演出の中に強烈な感情の波があり、観る者の価値観を揺さぶる。
『誰も知らない』(2004)
この映画を一言で表すと?
見捨てられ孤立した子どもたちが、懸命に生きる姿を描いた痛烈な社会派ドラマ。
どんな話?
母親が突然姿を消し、マンションに取り残された4人のきょうだい。大人に頼ることができない中で、兄の明は弟妹たちを守ろうと奮闘する。しかし生活は徐々に破綻し、子どもたちは過酷な現実に晒されていく。実際の事件をモデルにした衝撃作。
ここがおすすめ!
“助けを求められない弱者”という『夜明けまでバス停で』のテーマと非常に近い。静かな語り口で進むが、強烈な現実が胸を締めつける。観終わった後もしばらく心に残り続ける作品。






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