この記事では、映画『夜の大捜査線』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『夜の大捜査線』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『夜の大捜査線』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
監督:ノーマン・ジュイソン
キャスト:ロッド・スタイガー、シドニー・ポワチエ、ウォーレン・オーツ、リー・グラント etc
映画『夜の大捜査線』の登場人物(キャスト)
- バージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)
- フィラデルフィア警察の殺人課の敏腕刑事。母親を訪ねて南部に来ていたために殺人事件の容疑者にされてしまう。
- ビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)
- ミシシッピの田舎町の警察署長。部下からは信頼されていない上に、妻も子供もおらず孤独を抱えている。殺人事件の捜査経験がないためにバージルに助けを求める。
- サム・ウッド(ウォーレン・オーツ)
- 警察署の巡査で巡回中に死体を発見する。秘かにデロレスに思いを寄せている。こつこつと貯金を貯めてきたが、そのことでビルから疑いの目を向けられる。
- ハーベイ(スコット・ウィルソン)
- 偶然、死体の横に落ちていた財布を盗んでしまったために殺人の容疑を掛けられてしまう。バージルの検視のお陰で無実であることが証明される。
- デロレス(クエンティ・ディーン)
- 早熟な16歳の少女。夜な夜な裸で家の中を歩いている。
- ラルフ(アンソニー・ジェームズ)
- カフェを経営しており、サムが店に来る度にパイを隠してからかっている。実はデロレスと関係を持っている。
映画『夜の大捜査線』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『夜の大捜査線』のあらすじ【起】
バージルがミシシッピの田舎町の駅に降り立つ。ラルフが経営するカフェでサムが飲み物を飲んでいた。店を後にしたサムは街中を巡回に周り、デロレスの家で覗き見をする、巡回を再開したサムは路上に倒れている死体を発見する。ビルが現場に駆け付ける。死体は町で工場を新設しようとしていた実業家で、頭を殴られていた。ビルはサムに駅やビリヤード場を調べさせる。サムは駅に座っていたバージルを見付け、不審に思って警察署に連行する。ビルはバージルを尋問しようとするが、バージルがフィラデルフィアの警官であることが判明する。
ビルはフィラデルフィアの警察の署長に電話して身元を確認する。バージルは署長から事件の捜査を手伝うように命令される。バージルが殺人課のベテラン刑事であることを知ったビルは、バージルに遺体を見てもらいたいとお願いする。バージルが検視している間に、ビルの元にハーベイが逃走しているとの連絡が入る。ハーベイは森の中を走り抜け州境を越えようとしたところをビルが捕まえる。

映画『夜の大捜査線』のあらすじ【承】
バージルは実業家の未亡人に会い、夫が死亡したことを告げる。そこにビル達がハーベイを連行して来る。ハーベイは実業家の財布を持っていたために嫌疑を掛けられていた。バージルはハーベイの腕を確認し、左利きだから犯人ではないと主張する。しかし、ビルはバージルの話を聞き入れようとしない。ヘーベイはバージルにビリヤード場を出た後に死体の横に落ちていた財布を拾っただけだと説明する。また、以前にデロレスとデートしていたところをサムが現れて逮捕されたことがあることと打ち明ける。バージルはヘーベイの指の爪を調べる。そしてバージルはビルに、ハーベイの爪にビリヤードのチョークが残っており、無実を証明できると説明する。また検視の結果から実業家は別のところで殺された後、路上に運ばれたと明かす。
ビルは市長に呼び出され、バージルに捜査を継続させるように命じられる。ビルは列車に乗ろうとしていたバージルを駅まで迎えに行って、再び捜査に協力してくれるように説得する。バージルは捜査に使うための車をあてがわれる。
映画『夜の大捜査線』のあらすじ【転】
バージルは未亡人に会い、恨みを抱くような相手がいなかったかを尋ねる。また実業家の車に血痕を見付け、犯人が車を運転していたと確信する。バージルはビルと共に綿花園を営む地元の富豪の元を訪ね、事情を聞く。富豪が実業家の工場建設に反対していたためだ。事情聴取に来られたことを不快に思った富豪はバージルを平手打ちし、バージルは富豪を殴り返してしまう。この話を聞いた市長はバージルを直ぐに追い返すようにビルに命じる。
バージルは4人の若者に車で追いかけ回されて襲われそうになるが、ビルが現れて若者を静止させる。バージルはサムに事件の夜と同じように街を巡回させる。ラルフの店に着くと、ビルもやって来て3人で巡回路を辿ることになる。サムがデロレスの家をわざと避けたためにバージルは怒って巡回を打ち切ってしまう。ビルはサムの口座を調べて高額の預金があることを突き止める。実業家の財布からは600ドルが無くなっておりビルはサムが犯人だと疑い、勾留してしまう。
デロレスが兄と共に警察署にサムのことで苦情に来る。兄は署長にデロレスがサムとの子を妊娠していると訴える。バージルも話を聞きに来て、ビルはデロレスから事情を聞き取る。デロレスはサムとドライブをして関係を持ったと説明する。デロレスの兄は、ビルがバージルにも話を聞かせたことを怒る。バージルはハーベイに会いに行き、堕胎するにはどこに行けば良いかを訪ねる。ハーベイは黒人の女性が堕胎の手伝いをしていることを教える。
映画『夜の大捜査線』の結末・ラスト(ネタバレ)
バージルは工場の建設予定地を見に来る。そこで凶器と同じような松材を見付け、実業家が誰かと一緒にここに来て殺されたと推察する。その夜、ビルとバージルはビルの家で飲む。ビルは孤独な心境を吐露するが、バージルに同情されることを拒む。そこにハーベイの友人がバージルを呼びに来る。友人は黒人女性がいる店までバージルを案内する。
バージルが店で黒人女性と話しているとデロレスがやって来る。バージルは外に飛び出してデロレスを取り押さえようとするが、ラルフが銃を持って静止する。そこにデロレスの兄が仲間を連れて現れる。バージルは兄にデロレスを妊娠させたのはラルフであり、中絶させようとしていることを説明する。デロレスが中絶のためのお金を持っている確認した兄は怒り狂うが、ラルフに撃たれてしまう。バージルはラルフを取り押さえ、銃を奪う。
警察署でラルフは、夜中に実業家に工場の建設予定地を見せてもらいそこで殺したと自白する。バージルはビルに見送られて駅まで来る。2人は笑顔で別れの挨拶を交わし、バージルは列車に乗り込む。
映画『夜の大捜査線』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
米国南部に残る黒人差別という根深い問題と殺人事件を解くミステリーを見事に融合させた傑作。バージルとビルのキャラクター設定がステレオタイプに陥らずに欠点を抱えた人間として描かれている点も素晴らしい。しかし、ロッド・スタイガーがアカデミー賞主演男優賞を取り、シドニー・ポワチエはノミネートすらされなかったのは、映画製作当時がまだそういう時代だったということの表れだろうか。その点が残念でならない。(MIHOシネマ編集部)
これほど静かに、しかし力強く人種差別を描いた作品は他にないと感じました。ティッブスが毅然と立ち向かう姿勢、ギレスピー署長の変化、どちらもリアルで説得力があります。裁きの場だけでなく、心の変化を描いた点に、この映画の真の価値を見ました。(40代 女性)
冒頭から南部の空気感に緊張が走る作品でした。ティッブスが自分を貫きながらも、無駄に感情的にならず冷静さを保つ姿は本当に格好良かったです。特にビルを平手打ちするシーンは強烈!差別だけでなく、人間同士の尊厳を描いた名作だと思います。(20代 男性)
ただのミステリーではない、社会派映画の金字塔だと感じました。サスペンスの面白さもありつつ、差別や誤解、信頼の芽生えを丁寧に描いているところが素晴らしい。静かながら熱いメッセージがこもったラストシーンに、涙が溢れました。(50代 女性)
若い頃に観た時と、大人になってからでは感じ方が全然違いました。ティッブスのプライドと孤独、ギレスピー署長の葛藤、どちらも痛いほど胸に響きます。差別に真正面から向き合うことの難しさを、エンタメ性を失わず描き切った傑作です。(30代 女性)
ミステリーとしても一級品だけど、それ以上に社会の矛盾を突きつける力強さに圧倒されました。ティッブスとギレスピーの微妙な距離感、互いに歩み寄るラストがすごく良い。白黒つけるだけじゃない、人間の複雑さを描いた映画だと思います。(20代 女性)
現代にも通じるテーマを、50年以上前にここまでしっかり描いたのが本当にすごい。ティッブスの「彼を名前で呼べ」という台詞にはシビれました。人間として対等に向き合うことの大切さを、熱く、しかし押しつけがましくなく伝えてくれる名作です。(60代 男性)
静かな怒りを秘めたティッブスの存在感が圧倒的。周囲の偏見に晒されながらも、彼が揺るがない姿に心打たれました。ギレスピー署長もまた変わろうとする人間として描かれていて、単なる悪役になっていないのがよかった。社会派ドラマの教科書のような作品です。(20代 女性)
サスペンスとしてもかなりスリリングで、謎解き要素も最後まで楽しめました。でも、それ以上に、ティッブスとギレスピーが少しずつ心を開いていく過程が好きでした。人種を超えて、わずかでも理解しようとする人間の尊さを描いた、普遍的な作品だと思います。(40代 男性)
正直、最初は古い映画だし退屈かも…と思っていましたが、気づけばスクリーンに釘付けでした。ティッブスの毅然とした態度と、ギレスピーの不器用な変化に胸を打たれました。社会問題を描きながら、エンターテインメント性も失わないバランス感覚が素晴らしいです。(30代 女性)
映画『夜の大捜査線』を見た人におすすめの映画5選
ミシシッピー・バーニング
この映画を一言で表すと?
差別と闘うFBI捜査官たちの魂を揺さぶる実録サスペンス!
どんな話?
1960年代、ミシシッピー州で起きた公民権運動家の失踪事件を捜査するFBI捜査官たちが、町に渦巻く激しい人種差別と対峙していきます。暴力と憎悪の中で、正義を貫こうとする人間たちの苦闘を描いた衝撃の実話ベースのドラマです。
ここがおすすめ!
ジーン・ハックマンとウィレム・デフォーの名演が光る、圧倒的な緊張感。差別問題を真正面から描きながら、捜査ドラマとしても引き込まれます。『夜の大捜査線』に心動かされた方なら、間違いなく強く刺さる作品です!
グリーンブック
この映画を一言で表すと?
心の壁を越える、実在の友情に基づいた感動ロードムービー。
どんな話?
1960年代、人種差別が色濃く残るアメリカ南部を旅する黒人ピアニストと、イタリア系運転手。二人の間に芽生える友情と、旅の中で直面する数々の困難を描いた心温まる実話ベースの作品です。
ここがおすすめ!
硬直した価値観が少しずつほぐれていく過程がとにかく丁寧に描かれています。笑いと涙が絶妙に織り交ざるストーリー展開で、観終わったあと温かな気持ちになれます。人間同士の尊厳を信じたい方におすすめ!
トゥ・キル・ア・モッキングバード
この映画を一言で表すと?
不正義に立ち向かう父と娘の姿を描く、永遠のアメリカ文学の名作。
どんな話?
1930年代のアラバマ州で、無実の黒人男性を弁護する弁護士アティカス・フィンチと、その様子を見つめる娘スカウトの視点から、差別と正義を描きます。原作はハーパー・リーの同名小説。映画化も高い評価を受けています。
ここがおすすめ!
グレゴリー・ペック演じるアティカスの品格と正義感が圧倒的な感動を呼びます。子供の目線で描かれることで、理不尽な社会の歪みがより鋭く浮き彫りに。『夜の大捜査線』と同じく、「正義とは何か」を静かに問う作品です。
デトロイト
この映画を一言で表すと?
暴力と差別の極限状況を生々しく描いた、怒涛のリアリズムドラマ。
どんな話?
1967年、デトロイト暴動の最中に起きた「アルジェ・モーテル事件」をベースに、若者たちが警察の暴力と差別に巻き込まれていく様子を描きます。痛みを伴うリアルな描写で、観る者に問いかける社会派作品です。
ここがおすすめ!
目を背けたくなるほどの緊張感と不条理が続く中、希望を見いだそうとする人々の姿が胸を打ちます。キャスリン・ビグロー監督の鋭い演出が光る必見作。『夜の大捜査線』のテーマ性に共鳴した方には特におすすめ!
クラッシュ
この映画を一言で表すと?
交錯する人生と偏見が浮き彫りにする、現代アメリカの縮図。
どんな話?
ロサンゼルスを舞台に、人種や階級、立場の異なる人々が偶然交錯する中で起こる事件や心の動きを群像劇形式で描きます。表向きの善意、無意識の偏見、それぞれの立場からの「正しさ」がぶつかり合います。
ここがおすすめ!
偏見と善意のグレーゾーンを見事に描き切った、アカデミー作品賞受賞作。誰もが加害者にも被害者にもなりうることを痛感させられます。『夜の大捜査線』のように、人間の複雑さを描いた作品を求める方にぴったり!
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