映画『妖魔伝 レザレクション』の概要:人間を救った咎で500年、封印されていた狐の妖魔が脱獄。彼女は人へと転生するべく、汚れなき心臓を持つ公主と、自分の美しい外見を交換しようと画策する。『画皮~あやかしの恋~』の続編。妖魔の切ない悲恋と、人の強い恋情を描いた作品。
映画『妖魔伝 レザレクション』の作品情報
上映時間:131分
ジャンル:アクション、ファンタジー
監督:ウー・アールシャン
キャスト:ジョウ・シュン、ヴィッキー・チャオ、チェン・クン、ヤン・ミー etc
映画『妖魔伝 レザレクション』の登場人物(キャスト)
- ジン公主(ヴィッキー・チャオ)
- 顔面右側に金の仮面をつけた女性。武に長けており、冷徹で容赦のない采配を行う。激情家だが、実はフオ・シンに好意を寄せている。
- シャオウェイ(ジョウ・シュン)
- 千年の修行を積んだ狐の妖魔。500年前に人を助けた罪で投獄されていた。美しい容貌を持ち、健気な面と人を欺くあざとい面を持つ。人に生まれ変わり、愛し愛されたいと願っている。
- フオ・シン(チェン・クン)
- 弓の名手で将軍。腕の立つ武人で、容姿端麗。忠義に厚く、自らの恋心でさえ吐露しない。ジンを助けられなかったことを酷く悔いており、密かに彼女へと恋情を抱いている。
- チュエアル(ヤン・ミー)
- シャオウェイの脱獄を助けた小鳥の妖魔。降魔師と仲良くなる。本性は鳳凰のような様相を持つ。無邪気で可愛らしい。
映画『妖魔伝 レザレクション』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『妖魔伝 レザレクション』のあらすじ【起】
狐の妖魔シャオウェイは500年前、妖界の掟を破り人の命を助けた刑罰として今も尚、氷地獄にて極寒に苛まれていた。
ある日、1羽の小鳥がシャオウェイの脱獄に手を貸す。彼女は小鳥の妖魔の導きにより、氷地獄から逃げ出すことに成功した。
妖魔は人の心臓を命の糧としている。脱獄したシャオウェイは、自ら心臓を差し出す人間を捜していた。
1カ月後、皇帝の娘ジン公主へと仕えることに成功したシャオウェイ。公主と共に辺境の地、白城へ。ジン公主は顔の右側を金の仮面で隠し、男性の身なりをした女性だった。
城には弓の名手である将軍フオ・シンがいた。シャオウェイはフオ・シンに夜宴で妖術をかけた。しかし、それを見た公主が彼女へ牽制をかける。
フオ・シンとジンには8年前、雪山で大熊に襲われた過去がある。そのせいでジンは顔面の右側に酷い傷を負い、フオ・シンには彼女を助けられなかったという後悔があった。故に、2人には特別な絆があり互いに好意を持っていたが、公主と臣下という関係を越えることができずにいた。
映画『妖魔伝 レザレクション』のあらすじ【承】
国は今、天狼国との戦を目前としている。戦が始まれば辺境の地は、真っ先に戦場となるだろう。フオ・シンはそう言って、ジンの心を受け取ろうとはしなかった。
ジンはフオ・シンと添い遂げられないことを苦にして、崖から湖へ投身自殺を図る。しかし、彼女はシャオウェイに助けられてしまう。
目が覚めたジンは、隣で横になっているシャオウェイを倒そうとするが、シャオウェイは自らが妖魔であることを明かす。ジンの燃える汚れなき心臓であれば、監獄の氷を避けることができると考えたシャオウェイは、公主にフオ・シンの心変わりを囁き、自分の外見を貸そうと話す。
醜い顔に苦しめられてきたジンは、シャオウェイに勧められるまま薬湯を口にした。
妖魔はジンの皮と自分の皮を交換し、そうして2人は成り代わる。ただし、6刻以内に戻らなければ、皮が破けてしまうと言うシャオウェイ。ジンは急いで、フオ・シンの元へ向かった。
フオ・シンは妖術にかけられていたが、決して本音を明かさず。シャオウェイの皮を被ったジンと湖へ。ジンは心変わりした彼を殺そうと刃を向けるが、簡単に防がれてしまう。しかも、公主の太刀筋であることを察知。2人は湖に沈み、口づけを交わした。
城下町で降魔師と出会ったチュエアルは、彼から妖魔が人間になる方法を教えてもらう。それは日食の日に、人から望んで心臓を差し出されることであった。
元に戻ったジンとシャオウェイ。妖魔は自分の皮ならフオ・シンを射止められると甘言を説く。その代りに心臓を捧げろと。
そこへ、フオ・シンがやって来る。ジンは彼に昨夜、誰といたかを聞き出そうとするが、フオ・シンは何も答えない。彼女はシャオウェイが妖魔であることを明かし、殺せと命令。しかし、フオ・シンはシャオウェイを庇う。怒りに燃えたジンは彼に刃を向け、痛めつける。激しい気性を顕わにするジンだったが、そこへ公主への使者が到着する。
映画『妖魔伝 レザレクション』のあらすじ【転】
皇帝からの指令を読み上げる使者。それは天狼国の王子とジンの婚姻話だった。両国の友好のための婚姻で天狼国へ行く道中、逃げ出したジンは白城へとやって来たのだ。全てはフオ・シンに会いたいがためだった。
だが、ジンは使者の説得も聞かず、自分はフオ・シンの女であると公言。これにより、フオ・シンは罪に問われるが、それをジンが庇った。
公主の到着に業を煮やした天狼国が、大軍を率いて押し寄せる。かの国は狼を神と崇め、怪しげな術を使う国である。容貌も衣服も荒々しく、野性味に溢れていた。
その国を治めるは妖艶なる女王である。
交渉役としてフオ・シンが単騎で城門前へ出た。大軍はジンを迎えに来たと言う。挑発めいた言葉を発して一戦を交える。度重なる戦闘でボロボロになったフオ・シン。今更、引くつもりなど毛頭ない。ここで息絶えるかと思われたが、城壁の上から制止の声が上がった。
ジンは大軍に3日以内に天狼国へ向かうと叫ぶ。彼女は兵を引かなければ、自死すると脅しフオ・シンと城を守った。
フオ・シンは彼女の発言に愕然とし、苦悶の声を上げる。
琵琶を弾きながら、歌を唄うシャオウェイを監獄の氷が捕らえる。彼女はたちまち氷漬けとなり、身動きが取れなくなる。助けを求めるシャオウェイを抱き締めて救ったジンに、妖魔は昔、自分がしたことを話して聞かせた。
500年前、愛した男がいた。だが、彼には妻がおり男はシャオウェイを愛していると言いつつ、妻を捨てられなかった。そうして、妖魔は千年溜めた自分の妖力で、死にかけた夫婦を助けた。その咎で、シャオウェイは500年もの間、極寒の氷地獄に封印されたのだった。
シャオウェイはジンが羨ましいと言う。互いに命を懸け合うその強い気持ちが、羨ましいと。シャオウェイは人に生まれ変わりたかった。人として誰かを愛し、愛されたいと願っている。
ジンは彼女を理解した。しかし、心臓をシャオウェイに捧げれば、ジンは皮を被りそれを維持するために心臓を食べ妖魔となり、この世を彷徨う羽目になる。
ジンはそれでもフオ・シンと共に居られれば良いと、シャオウェイに心臓を捧げ、彼女の皮を貰うことにした。
映画『妖魔伝 レザレクション』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジンの皮を被り、人間に生まれ変わったシャオウェイ。翌朝、花の匂いを感じられることに涙する。彼女は婚姻の準備を行い、天狼国へ向かった。
その頃、ジンはシャオウェイの皮を被り、フオ・シンの怪我の看病をする。そして、彼はもやもやした気持ちのまま、妖術に惑わされ彼女を抱くのだった。
天狼国へ到着したシャオウェイ。王子と相対するが、女王の話を聞くところによると、彼は2カ月前、妖魔に心臓を食われたと言う。シャオウェイは王子がつけていた金の仮面を取り、思い出した。彼の心臓を食べたのは自分だったのだ。
女王と呪術師は公主の心臓を王子に与え、蘇らせようとしていた。歓迎の折に出された酒には毒が入っており、臣下と兵が次々に倒れる。
シャオウェイは女王を倒そうとするがしかし、自分はもう人間に転生しており、妖力は使えない。万事休すである。
復活の儀式は、天狼国の先霊谷で行われることになった。捕縛されたシャオウェイだったが、それでも自分の胸を打つ鼓動に耳をそばだて、悲しげに笑みを見せる。
その頃、ジンは城下町を彷徨い歩いていた。視界には心臓の鼓動ばかりが入る。だが、彼女は空腹に苛まれても、心臓を食べることができなかった。
全てを知るチュエアルは降魔師に助けを求める。彼はただちにフオ・シンへ知らせに行った。事情を知ったフオ・シンは急いでジンを捜しに行く。彼女は妖魔の姿で、今にも心臓を食べようとしていた。彼は必死にジンを説得し、妖術にかけられた自分の目を潰してしまった。フオ・シンはこれで、容貌など関係なくジンの傍に一生いられると語った。
翌早朝。ジンはフオ・シンと天狼国へ。道中、ジンに強い眠気が襲う。心臓を食べずに生きていられる時は、そう長くないのだ。
儀式は淡々と進む。やがて、日食の時がやって来るその時、フオ・シン率いる軍が先霊谷へ到着し、戦闘を開始。
両目が見えないフオ・シンは呪術師と対決。しかし、弓では敵わない。そこで咄嗟に降魔師が家宝である狐の妖魔の尻尾を投げつけると、呪術師の腕が氷で覆われ砕けてしまう。それを機に反撃するフオ・シン。
そこへ、降魔師の血で本性を顕わにしたチュエアルが、眷属を連れて呪術師を亡き者にした。
気が付いたシャオウェイの前に、フオ・シンが剣を手に言う。人になりたければ、自分の心臓を捧げるから、ジンに心臓を返して欲しいと。
それは500年前に、愛した男が言った言葉と同じものだった。
シャオウェイはジンの傍へ向かう。人の心は温かいが、涙は苦い。彼女は静かに言って、日食と共にジンへと心臓を返し顔の傷さえも治癒。そうして、シャオウェイはジンの魂と融和したのだった。
その後、フオ・シンとジンは互いに愛を誓い合い、草原を楽しげに馬で駆け抜ける。そして、降魔師は代々伝わる妖典に、新たな記述を増やすのだった。
映画『妖魔伝 レザレクション』の感想・評価・レビュー
『画皮 あやかしの恋』の続編だが、前作を鑑賞していなくても見られる作品。とにかくヴィッキー・チャオを始め美男美女しか出て来ない。そして、公主と臣下の叶わない恋の何と切ないことか。あやかしが関わらなくても、この二人の恋物語だけで充分ストーリーが作れると思う。そこに人間になりたいあやかしが関わることで、より複雑さを増し叶わぬ恋の辛さに拍車がかかる。絶妙な設定とストーリー展開である。最終的には公主とあやかしの魂が融合してしまうので、誰かが不幸になるという結末は避けられるのだが、このラスト以外にハッピーエンドはないかもしれないと思った。(女性 40代)
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