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映画『ゆれる人魚』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ゆれる人魚』の概要:1980年代、共産主義時代のポーランド。おとぎ話と現実が交差する中で、人魚の姉妹はナイトクラブに辿り着く。一夜にして有名になった2人は人間世界を堪能するが、姉は人間と恋に落ちてしまう。童話『人魚姫』をモチーフにしたホラーファンタジー。

映画『ゆれる人魚』の作品情報

ゆれる人魚

製作年:2015年
上映時間:92分
ジャンル:ホラー、ファンタジー
監督:アグニェシュカ・スモチンスカ
キャスト:マルタ・マズレク、ミハリーナ・オルシャニスカ、キンガ・プレイス、ヤクブ・ギェルシャウ etc

映画『ゆれる人魚』の登場人物(キャスト)

シルバー(マルタ・マズレク)
人魚姉妹の姉。ミュテクと恋に落ち、人間になることを決める。
ゴールデン(ミハリーナ・オルシャンスカ)
人魚姉妹の妹。ミュテクに恋する姉を心配しながら、人間世界に馴染めず孤独を感じている。
クリシャ(キンガ・プレイス)
ナイトクラブに所属するバンドのボーカル。シルバーとゴールデンをクラブに連れて来て、娘のように世話をする。バンドのドラムとは夫婦。
ミュテク(ヤーコブ・ジェルシャル)
クリシャ夫婦とバンドを組むベーシスト。シルバーと恋に落ちるが、人魚の生臭さを受け入れられずにいる。

映画『ゆれる人魚』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ゆれる人魚』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ゆれる人魚』のあらすじ【起】

人を喰って生きる人魚の姉妹、シルバーとゴールデンは、水辺で演奏するバンドの音に引き寄せられて水面から顔を出した。陸に上げてくれと訴える人魚を見て、バンドのボーカル、クリシャは悲鳴を上げるも、彼女達を自分達の店へと連れて行く。

店中に魚のような生臭い臭いが漂っていることに違和感を覚えたナイトクラブのオーナーが、演者控室を開けると、中では少女が2人はしゃいでいた。クリシャは「友人の子どもを預かったの」と嘘を吐いたが、服を脱がすと、2人の下半身には性器も肛門も存在しなかった。クリシャの夫が彼女達に水道水をかけたところ、たちまち下半身が魚の尾に変わる。オーナーはすぐに人魚の姉妹を売り出そうと決め、クリシャに金を渡すと、2人は新しい洋服を買いに街へ連れ出された。

初めて触れる人間の世界に好奇心を隠せない2人は、人間に恋したらその相手を喰えるか?とテレパシーで会話をする。姉のシルバーは恋をするなんてことはあり得ないと笑った。

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映画『ゆれる人魚』のあらすじ【承】

シルバーとゴールデンの初舞台は大受けだった。クリシャは、共にステージに立つ2人を慈しんだ。しかし、ゴールデンは人間達と馴染めずに孤独を感じ、人魚としての生活に後ろ髪を引かれていた。そして欲求に逆らえなかったゴールデンは、ついに人間の心臓を喰ってしまう。シルバーはそんな妹を心配しながらも、バンドのベーシスト、ミュテクと恋に落ちる。

ミュテクと一つになろうとしたシルバーだったが、ミュテクは人魚の下半身の生臭さを受け入れられず交わることはなかった。シルバーは彼に鱗を渡し、ピックとして使って欲しいと頼む。

ゴールデンは、クラブに来ていたトリトンと出会う。彼も人間ではなく、元々は頭部に角が生えていた海の怪物だ。トリトンは、シルバーとミュテクの恋に忠告をした。ミュテクが別の人間と結婚したら姉は泡になるぞと言われたゴールデンは、神妙な表情になる。

さらに、ゴールデンは女性刑事から殺人容疑でマークされていた。刑事に追い詰められたゴールデンは、歌声で彼女を魅了すると、身体を重ねはぐらかした。

映画『ゆれる人魚』のあらすじ【転】

クリシャと夫が抱き合っていると、夫の手が魚臭いことに気付いたクリシャは彼を拒絶した。隣の部屋では全裸のゴールデンが煙草をふかす。

バンドメンバーと姉妹がアパートで揃ってテレビを見ていると、心臓を抜かれ惨殺された男の死体が発見されたとのニュースが流れ、シルバーは妹を疑った。姉妹はニュースを巡って喧嘩をしたが、クリシャの夫が彼女達を殴って昏倒させ、2人は毛布にくるまれ川へと捨てられた。その理由の大部分は、彼女達が、自分の手元に賃金が入ってこないことに気付いたせいだ。金はバンドに入れられていたのである。クリシャの夫とミュテクは殴り合いの喧嘩をし、クリシャは悲しみに暮れた。

川から陸地に戻った姉妹は人を喰い、バンドの元へ。クリシャとミュテクは再会を喜んだ。クリシャの夫は2人に謝罪したが、ゴールデンに指を食い千切られてしまった。

シルバーは、人間になることを決心した。ゴールデンは「トリトンが、尻尾を切ると声を失うと言ってた」と忠告したが、シルバーの決意は固かった。シルバーはミュテクと共に闇医者を訪ね、人魚になりたい女性と下半身を交換する手術を受けた。

映画『ゆれる人魚』の結末・ラスト(ネタバレ)

晴れて人間の足を手に入れたシルバーは、トリトンの言ったように声を失った。それでもミュテクのために身体を開き、ようやく一つになれるかと思われたが、生々しい手術の跡や大量の出血に驚いたミュテクは、やはりシルバーを抱くことはできなかった。

ミュテクは、他のバンドのレコーディングでサポートを行う。そこで出会ったミキサーの女性と惹かれ合い、2人は結婚することになった。

ミュテクの結婚式にて、多くの参列者の中にトリトンもいた。トリトンはゴールデンに「朝までにミュテクを喰うように言え」と諭す。「俺たちは人間じゃない。これは“休暇”だ」というトリトンの言葉を、ゴールデンはシルバーに伝えたが、彼女は僅かに微笑むだけだった

夜明けが近づき、シルバーはミュテクと最後の抱擁を交わす。ミュテクの肩越しに姉妹の目は合ったが、シルバーは彼を殺すことができず泡になり消えた。

悲しみの叫びを上げたゴールデンは、ミュテクの首元に食い付くと肉を噛み千切って彼を殺した。ゴールデンは咆哮しながら広い水の中に消え、クリシャは茫然と彼女の残した波紋を見つめた。

映画『ゆれる人魚』の感想・評価・レビュー

ここ最近のホラー映画で特に気に入ったものの一つだが、ホラー要素はそこまで強くない作品である。ホラーの他にミュージカルや軽音楽、ファンタジーの要素を持つが「共産主義時代のポーランド」という大枠があるため一貫して澱んだ雰囲気を持っている。

冒頭、元々ぬるっとしているフランツ・フェルディナンドをさらにどんよりとさせたCan’t stop feelingのカヴァーがテクノ調だったため、初見では1980年代とは分からなかったところが難点である。(MIHOシネマ編集部)


フライヤーに惹かれて観たが、癖の強い映画だった。
ぬめりのありそうな尾びれが生々しく、蠱惑的なビジュアルが非常によかった。人魚と言えばかわいらしいアニメーションを思い出すが、この作品はアンデルセン寄りにつくられている。美しい歌声で人間を魅了して、その肉を喰らう。
まさかのミュージカル要素に驚きはしたが、全体的に好きな雰囲気の映画だった。
個人的には手術で下半身を変えるシーンがお気に入り。人魚の姉妹が人間にむける感情が対照的なのもよかった。(女性 20代)

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