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映画『全員死刑』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『全員死刑』の概要:借金を抱えたヤクザの一家・首塚家。情緒不安定な両親を救うため、家族愛を合言葉に近所の金貸し・吉田家から財産を奪おうとするタカノリと兄のサトシ。実際に起きた事件を基に作られたバイオレンス映画。

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映画『全員死刑』の作品情報

全員死刑

製作年:2017年
上映時間:98分
ジャンル:サスペンス、フィルムノワール
監督:小林勇貴
キャスト:間宮祥太朗、毎熊克哉、六平直政、入絵加奈子 etc

映画『全員死刑』の登場人物(キャスト)

首塚タカノリ(間宮祥太朗)
ヤクザ一家、首塚家の次男。組同士のトラブルが元で、一番立場の弱い彼が2年服役しなくてはならなくなる。出所後、父が借金苦に陥っているのを知り兄・サトシと共に隣人の吉田家から財産を強奪しようとし、段々と歯止めが利かなくなっていく。
首塚サトシ(毎熊克哉)
首塚家の長男。キレやすく粗暴な性格だが、殺害の役割は全てタカノリに任せたり死体を見て驚いたりと小心者な部分も。
首塚テツジ(六平直政)
首塚家の父。上納金が払えず、借金苦に陥っている。情緒不安定気味らしく、妻のナオミ曰く「漂白剤を全部飲んで自殺しようとした」とのこと。
首塚ナオミ(入絵加奈子)
首塚家の母。ヒステリックで、年齢の割に落ち着きのない性格。
カオリ(清水葉月)
タカノリの彼女。かなり気が強く、タカノリに対しても気に入らないことは毅然と言い返したりと気丈。尻の軽い一面もあり、所構わずタカノリと寝たり、果てはタカノリの友人・ドロちゃんとも関係を持った。
吉田ショウジ(藤原季節)
一家殺害、最初の犠牲者。吉田家の次男。『おわりたいちょー』のハンドルネームでネット上に自身のふざけた動画をアップロードして、小金を稼いでいる。
吉田カツユキ(落合モトキ)
吉田家の長男。タカノリの悪友のうちの1人で、彼が服役する前は一緒につるんで馬鹿なことをしては喜び合うような仲だった。
パトラ(鳥居みゆき)
吉田家の母。クレオパトラのような見た目からこう呼ばれている。首塚家の母・ナオミからは嫌われている。
ドロちゃん(中村祐太郎)
タカノリの悪友のうちの1人。小人症。タカノリが服役中に何かの事故に遭ったのか病院に入院している。タカノリが事件を起こしに行く際は、彼女のカオリを彼の元へ預けていく。

映画『全員死刑』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『全員死刑』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『全員死刑』のあらすじ【起】

冒頭、覗き小屋か何か若い女子らが集まっては下着を見せているいかがわしい店。覗き部屋を経営しているのはヤクザの首塚一家だ。そこを盗撮していた客が、タカノリと兄サトシ、そして従業員らに暴行を受ける場面から物語が始まる。

組同士のトラブルが元で、2年服役させられることとなったタカノリ。彼も兄も構成員のうちの一人ではあるが、1番立場の弱いタカノリが自ずとその役割を担う羽目になる。服役前に、恋人のカオリとの性行為を楽しむタカノリ。そして、そんな彼を待つというカオリ。翌日、タカノリは悪友のカツユキ、ドロちゃんを連れ車泥棒した挙句追いかけてきたその被害者を轢いて馬鹿笑いを上げる。

出所後、カオリと共に友人ドロちゃんが入院している病院を訪れるタカノリ。何らかの事故に遭いドロちゃんはベッドに寝たきり状態だった。その矢先、兄・サトシから外へ来いと電話が入る。サトシの車の中で聞かされた話によれば、この2年の間で父の組は上納金が払えず借金に苦しんでいるらしい。このままでは一家心中しか道はないからと、隣に住む資産家の吉田家を襲撃しないかとタカノリに持ちかける。サトシの話によれば、この吉田家には2000万円が金庫に隠されているそうだ。悪友でもあるカツユキの家を襲うことに躊躇いを見せるタカノリに「あんな金貸しの家、当然の報いや」と一喝するサトシ。もし家に誰かがいた場合は「ぶっさらう(ぶっ殺す)わ」と殺人も厭わないサトシに従うタカノリ。タカノリは家族と、何よりカオリのためにも吉田家襲撃を決めた。

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映画『全員死刑』のあらすじ【承】

吉田家襲撃の日。タカノリが吉田家を訪れると、家の中には次男のショウジがいた。現在、母と兄は不在だという。家に上がらせてくれと頼むタカノリに、それを了承するショウジ。部屋へと上がると、ショウジはカレーの入ったプールの前で水着姿になり始めた。これからそこで泳ぐらしいショウジに、一体何をやっているのかと尋ねるタカノリ。ネット上にこういった悪ふざけの動画を上げては金を稼いでいるのだという。早速、撮影を始めながらカレープールに飛び込んだショウジの隙を見て背後からタオルで首を絞めるタカノリ。ショウジが失神した頃合いに外で待機していたサトシが部屋へ入ってくる。ショウジは失禁し、何度か痙攣を繰り返していたがそれを車のトランクへ運ぶ2人。勿論、しっかりと金庫を回収することも忘れずに。タカノリは「ショウジを殺してから頭がシャキッとしてきた」と殺人への躊躇いを見せなかった。死体を処分するために夜の街を車で走っている最中、まだ生きていたショウジが息を吹き返しトランクの中で暴れ始める。慌てて車を止め、今度はサトシと2人がかりでショウジの首をロープで絞め殺す。眼球がせり出し、口からは大量に出血をこぼし見るも無残な姿になりとうとう死ぬショウジ。その遺体を川へ捨て、いよいよ引き返せなくなってしまうことになるのだった。

病室へカオリを迎えに行き、彼女の家へ向かうとそこにはサトシとその恋人であるハルカがいた。兄弟は時々こうして四人で集まっては、相手を交換しながら性行為を楽しんだりもしている。その晩、カオリと口論になるタカノリ。原因は、タカノリに病室に何時間も置き去りにされ、しかも小人症のドロちゃんと二人きりであったことが不快だったらしい。更に「サトシに何かやらされてるんだろ」と問い詰めるが、タカノリはごまかす。

映画『全員死刑』のあらすじ【転】

翌日、シャブを決めてハイな状態のまままたもやカオリをドロちゃんの病室へ向かわせるタカノリ。タカノリとサトシは盗んで来た金庫を開けるため、必要な道具を集める。タカノリは友人からバールやハンマーを借り、金庫をこじ開けるが中に入っていたのは安物の貴金属のみ。金庫を川へ捨て処分する2人。やがて母親・ナオミ本人からすぐに金が必要だから吉田家の女主人・パトラ殺害を命じられる。パトラを呼び出し、彼女に大量の睡眠薬を混ぜたふりかけご飯を食べさせて昏睡させるサトシ。元よりこのパトラを嫌っていたナオミはすぐにでも殺そうとするが、それを止め彼女を車に乗せる一家。パトラを殺す役割はまたもやタカノリに周ってきた。車の中で、パトラを絞殺するタカノリ。彼女の現金を奪いはしゃぐナオミと、乞食みたいでみっともないからやめろと叱る父のテツジ。

その頃、カオリはタカノリが何か事件でも起こしているのではないか心配しているのをよそに自分をどこかぞんざいに扱う彼に不満が募っていた。病室で、ドロちゃんに対し「自慰してるところを見ててやるよ」とその布団に入り込むカオリ。

映画『全員死刑』の結末・ラスト(ネタバレ)

一家はそのまま吉田家へと突入する。家の前にはカツユキを乗せた車が戻って来る。カツユキの隣には彼の友人がいるが、無愛想でタカノリにもろくに挨拶をしない。「あいつ(カツユキの友人)どうするぎゃ?もろ顔見られちまったけん」「一緒にやりゃあいいら」サトシの言葉に、父テツジにも意見を求めるタカノリ。「やっちまえよ」。テツジはオートマチックの拳銃を抜き出し、これを使えと差し出してくる。弟ショウジを探しに行くふりをして、カツユキの車内に無理矢理乗り込む二人。運転座席にはサトシとタカノリ、後部座席では何だかまるで同性のカップルのようにいちゃいちゃしているカツユキとその友人。車を止め、モデルガンだから。と、カツユキの友人に頭を差し出させるタカノリ。決まって彼が殺人を起こす時はちゃっかりその場を離れる小心者のサトシ。車内でタカノリがトリガーを弾いて、カツユキの友人の頭が吹き飛ぶ。死に損なったのか「ひゅー、ひゅー」と時折呼吸音と呻き声のようなものが聞こえてくる。その隣で、呆然としたままのカツユキ。タカノリは銃口を降ろすなり鬼のような形相で叫ぶ。「ショウジもパトラも殺した!散々俺らを馬鹿にしやがって、おめぇら家族は全員死刑じゃあ!」――何のことなのかさっぱり分からないといった具合にぽかんとしたままでそれを見上げるカツユキ。金の在処を聞かれると、「俺、そんなの知らないっすよ……」と、本当に知らないのだろう。後には引けなくなったタカノリは、カツユキの頭も吹き飛ばす。頃合いを見て戻ってきたサトシだが、その状態に驚くものの「早く死体処理しろ!」と急かす。タカノリは銃を持ったまま、据わった目つきでサトシに怒号を吐き散らす。「お前がやれや!人任せにしやがって!弾はまだ残ってる筈だ!」拳銃で脅しかけるとサトシはすぐに謝り始めた。すると、サトシの背後から何か黒い塊のようなモヤが見え、それが人の形になり始めた。よく見るとそれは最初に殺したショウジのあのせり出た眼球と同じ目をしていた。恐怖のあまり誤射してしまったことで、頭の冷えたタカノリ。サトシに謝り、兄弟は一旦仲直りする。そこへやってきた父のテツジは、死に損なっているカツユキの友人の胸にアイスピックを刺して殺す。パトラを含む三人の遺体を、車ごと川に沈めた首塚一家。翌日、吉田家へ侵入し金庫と思しきものを探り当てるが結局金は見つからなかった。「ちくしょう!」と叫び、一気に挙動がおかしくなり始めるテツジ。

一方で、タカノリも何かに呼ばれるよう死体を沈めた川へと足を運んでいた。

場面は変わり、カオリがテレビでニュースを目にする。川から乗用車と、そしてその中から男女の死体が見つかったという。同じニュースを眺めているのは犯人である首塚家の母・ナオミ。首塚家のトイレの中では、テツジが涙を流している。やがて彼が取り出したのはいつかの拳銃だった。拳銃をこめかみに当て、自殺を図るテツジの映像と共に『首塚テツジ。59歳。強盗殺人容疑で逮捕。弾丸が頭蓋骨を回った後に額で停止し一命をとりとめる。単独犯を主張。死刑確定』のテロップ。続けて、銃声を聞いて飛び上がるナオミと共に『首塚ナオミ。44歳。強盗殺人容疑で逮捕。長男であるサトシの犯行への関与を一番に告白。死刑確定』のテロップ。その次は、ハルカと情交に耽るサトシ。同じくテロップが流れ、『27歳。強盗殺人容疑で逮捕。取り調べ中に地検から脱走するが翌日確保。両親については実の親だと思っていないと発言。死刑確定』――、そして最後に残ったのが川の前で煙草を吸うタカノリだった。川の中に浮かぶ人の頭部のようなものを見つけたタカノリは、誘われるように川の中へと潜っていく。そこには、死体を沈める際に使った重し代わりのレンガとロープが千切れた状態で水面を漂っているだけだった。死体はどこへ行ったのだろう、とタカノリが振り向くとそこには腐りかけ、水死体と化したショウジの顔があった――果たしてこれはシャブのせいで見ている幻なのだろうか?続くテロップにはこうある、『首塚タカノリ。22歳。強盗殺人容疑で逮捕。勾留先の県警でトイレットペーパーを飲み込み自殺を図るが未遂。法廷で兄サトシに二度殴り掛かり、退廷の際はメリークリスマス!と叫んだ』。

テレビから流れるニュースを眺めているカオリ。冷めた目で彼女は吐き捨てるように言った――「ばかじゃねーの」。

映画『全員死刑』の感想・評価・レビュー

実際に起きた事件を基にした映画、ということで原作の犯行手記を持っているのだが割と忠実に再現してある。例えば、鑑賞中では笑ってしまったが吉田家の母・パトラを殺すくだりにある睡眠薬入りふりかけご飯は、本当に行ったことだとか……。節々で不謹慎なのに笑いそうになるのは狙っているのか天然なのか際どいが、ブラックユーモア満載で妙に「冷めた目線」で加害者のことも被害者のことも捉えている作品。間宮祥太朗演じる主人公の狂気具合も凄まじい。(MIHOシネマ編集部)


実際に起きた事件を元に制作されているというところが、まず衝撃的だった。人がなかなか死なないところなど、変に現実的で気持ち悪さが増した。個人的には、もう二度と見たくない作品。心の底から気分が悪くなるし、人間の恐ろしさが感じられる作品だった。自分がいかに平和な暮らしを送っているかが実感できる。こういう人達には、やはり関わり合いにはなりたくない。最後まで救いがない結末で、ムカムカした気持ちになった。(女性 30代)


ヤクザ一家が家族全員で殺人を行うというなんとも残酷な物語だが、最も衝撃的なのはこれが実話だということ。それも2004年に起きた最近の事件である。
作品全体をどこかコメディタッチにしていることで、比較的軽い気持ちで観られる作品になっているが、殺害シーンは生々しく銃一つで全てを終わらせるようなヤクザ映画よりよっぽど怖い。映画のラスト、全員の死刑判決についてテロップが流れる。これによって現実に引き戻されつつも、映画としてモヤっとした気持ちを残さないいい終わり方をしているように思う。(女性 20代)


こんなヤバい話が実話だったの!?と驚いた今作。まともに見てしまうと笑えないし引いてしまう人も多いと思いますが、こういう狂った作品が大好きな私は最高に面白かったです。
残忍で残酷な悪に満ちたヤクザと言うよりは、悪いことを悪いと思っていないようなちょっとおバカなタイプのキャラクターが多いのでなんとなくコメディタッチだし、そこが狂っていると感じる理由だと思います。
実際の事件について調べると、その生々しさに一切笑えませんでしたが、事件を知るという意味でもこういう見やすい作品は必要かもしれません。(女性 30代)

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