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映画『地獄でなぜ悪い』あらすじネタバレ結末と感想

映画『地獄でなぜ悪い』の概要:元天才子役の娘主演の映画を撮りたい組長、対立するヤクザ、巻き込まれる青年、映画オタクの4人が、1本の映画を撮影することになる異質なコメディ映画。監督は鬼才、園子温。

映画『地獄でなぜ悪い』 作品情報

地獄でなぜ悪い

  • 製作年:2013年
  • 上映時間:129分
  • ジャンル:アクション、コメディ、青春
  • 監督:園子温
  • キャスト:國村隼、堤真一、長谷川博己、星野源 etc

映画『地獄でなぜ悪い』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『地獄でなぜ悪い』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『地獄でなぜ悪い』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『地獄でなぜ悪い』 あらすじ【起・承】

監督の平田、カメラマン御木、手持ちカメラマン谷川に、アクションスターの佐々木が加わって、映画集団ファックボンバーズが結成された。
武藤組組長の妻シズエは、敵対する北川会が組長暗殺に乗り込んできた際、やり返して警察に逮捕され、CMで有名子役になっていた娘ミツコは芸能界から姿を消した。
組長暗殺に失敗し、報復を受けた北川会の会長に成り上がったのは、シズエに見逃されミツコに助けられた池上。

それから10年。
北川会との抗争が激しくなる中、シズエの夢を叶えるため、ミツコの映画を撮ろうとする武藤組組長だったが時間が足りなかった。
そこで組長は、自分たちで映画を作ってしまおうと思いつく。

肝心のミツコは家族からも撮影からも逃げ、ミツコの大ファンだった公次に恋人のフリを頼んで元カレに復讐。
しかし2人で歩いているところを武藤組に見つかり、ミツコと逃げた彼氏として捕まってしまう公次。
ミツコは、公次は映画監督だと嘘をつき、命と引き換えに映画監督をやるハメに。

逃げようとした公次は、偶然ファックボンバーズの平田の存在を知り、彼らに助けを求めることを思いつく。

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映画『地獄でなぜ悪い』 結末・ラスト(ネタバレ)

平田は制作というポジションに回され、さらに公次から真実を聞かされると、求めていたものだと大喜び。
北川会と武藤組の抗争、そして池上がミツコの大ファンだということを利用して、北川会と話をつける平田。
しかも10年前、ファックボンバーズは池上と顔を合わせていた。

平田は監督としては使えない公次を、ミツコの恋人役として出演させることにする。
偶然コカインを吸い込んでしまった公次は、ミツコとの妄想に浸っていたせいで怪我を負う。
しかも途中から、平田の提案を無視して銃が使われ始め、御木と谷川までもがカメラを回しながら銃を乱用。

抗争だと思った警察が踏み込んできて、公次やミツコ、池上たちを射殺。
撮影していたファックボンバーズたちも撃たれるが、平田だけは奇跡的に助かった。

フィルムや音声を抱えて一人脱出した平田は、笑いながら雨の降る夜道を走っていた。
映画が完成し、ファックボンバーズの面々とミツコや公次、組長や池上たちと拍手喝さいを受ける妄想を見る平田。
そして平田にも「カット」の声がかかった。

映画『地獄でなぜ悪い』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『地獄でなぜ悪い』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

園子温監督の世界観は健在

園子温監督の奇妙な世界観は本作でも表現されており、真っ赤な床が血の海で、白い服を着た幼少期のミツコがその中に突っ込んでいくなど、独特なシーンも多くみられる。
また、本作ではギャグ要素も多く取り入れられ、成長したミツコの大きな顔写真をこっそり飾る北川会組長の池上の脳内では子役時代のミツコの妄想が繰り返されたり、ヤクザといえば和服だという独断と偏見で和服を強制したりする、奇怪な人物として描かれている。

映画集団ファックボンバーズは平田を中心に、商業映画に対する批判を並べるだけの“痛い映画オタク”として描かれている。

何でもありのストーリーが常識を麻痺させる

ファックボンバーズ以外は、全員ミツコに振り回されるというストーリー。
ミツコと公次、武藤組組長、対立している北川会の池上、そしてファックボンバーズの4つの視点のストーリーが微妙に絡み合っていて面白いが、複雑さを増してしまっているのが難点でややこしくさせている。

武藤組組長の、誰も映画を作らないなら自分たちで作ればいいという発想は意表を突くが、ありえない展開が多すぎて気にならない。
結局ファックボンバーズに撮影の話がいく、というのは予想できるが、公次が10年前の手紙を見つけてそこから平田に連絡がいく、というのは予想外。
映画の中の映画撮影シーンは何でもあり、残酷描写も満載だが、現実離れしすぎていて思わず笑ってしまう。
警察までもが何でもありの行動をとるのは、ツッコミどころ。

狂気すら見せつつ走り去る平田に「カット」の声がかかるのは、うまい演出だが世界観を壊しかねない微妙なものになっている。

豪華すぎるキャスト

二階堂ふみ演じるヒロインのミツコは、セクシーで小悪魔のような一面を見せているし、彼女に巻き込まれる公次役の星野源は、映画公開時に病気療養生活していたという話題の人。
脇を固めるのは國村隼、堤真一、渡辺哲などの演技派俳優ばかり。
癖が強い平田役も、演技派で知られる長谷川博己が演じきった。

他にも芸人の友近、板尾創路などが出演していて、個性的な演技を見せている。


その場しのぎの嘘がとんでもない方向に向かってしまい、収拾のつかない展開になってしまう今作。これが園子温ワールドと言うんだろうなと実感させられるなんでもありの展開は、好き嫌いが分かれそうだなと思ってしまいます。
ミツコを演じた二階堂ふみはどんな役を演じても違和感なく見ていられて、この作品でも小悪魔的なわがままなキャラクターを見事に演じきっていました。結局何を言いたかったのか、何を伝えたかったのかはよく分かりませんがそれこそが、園子温監督の作品ということでしょう。(女性 30代)

映画『地獄でなぜ悪い』 まとめ

様々な社会の問題を根底に置き、独特の世界観を作り出してきた園子温監督が作った、コメディ要素たっぷりの娯楽映画。
緻密に練られた印象が強い独特のストーリーや、映画に映画オタクが出てくるという予想外の設定を使っているが、園子温監督の代名詞でもある中途半端な残酷描写と血まみれシーンは、しっかり描かれている。
ヤクザの抗争を撮影しながら、狂気すら感じる表情で動き回るファックボンバーズの平田の姿には、ゾッとさせられる。

映画狂の平田を演じ、園子温監督の「ラブ&ピース」では主演に抜擢された、長谷川博己の演技は見もの。

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