映画『ジヌよさらば かむろば村へ』の概要:タケはお金を使わない生活をするため、かむろば村にやって来た。かむろば村のひとくせもふたくせもある住人に助けられながら、馴染んで行く。お金の大切さをを問う移住コメディ。
映画『ジヌよさらば かむろば村へ』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:コメディ
監督:松尾スズキ
キャスト:松田龍平、阿部サダヲ、松たか子、二階堂ふみ etc
映画『ジヌよさらば かむろば村へ』の登場人物(キャスト)
- タケ(松田龍平)
- 銀行時代のトラウマで、お金を見ると発作を起こす。お金を使わないで生きる為、超田舎なかむろば村にやってきた。住民に支えられ村長選挙に出る事になる。
- 村長(阿部サダヲ)
- 頼りになるかむろば村村長。彼も暗い過去を持っている。まっすぐな性格で声が大きい。
- アキコ(松たか子)
- 村長の嫁。いつも笑顔で快活な性格。よくできた妻。
- 青葉(二階堂ふみ)
- 村で唯一の若者。タケを騙してお金を盗ろうとする。色仕掛けでタケを誘惑する。
- ヤクザ(荒川良々)
- どこかマヌケなやくざ。やることがすべて裏目に出る。
- 多治見(松尾スズキ)
- 不穏な空気をかむろば村に持ってくる。村長の秘密を握っている男。
映画『ジヌよさらば かむろば村へ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ジヌよさらば かむろば村へ』のあらすじ【起】
大きな荷物を抱えた男タケ(松田龍平)がバス停に着いた。ヒョウ柄のシャツを着た男ヤクザ(荒川良々)にからまれる。「かむろば村」と書かれたバスが到着した。村長の天野(阿部サダヲ)が男をにらむ。タケは東京から百姓をやりに引っ越して来た。どうやら訳ありらしい。
スーパーあまのに到着した。嫁アキコ(松たか子)が食料をただでくれた。この村は警察、消防、この前郵便局がなくなったばかり。老人しかいない。古い民家を買い取って田んぼは借りた。
タケは電気、水道、ガスをひかないという。タケはお金を使いたくないと泣いた。東北の寒さをなめている。ヒートテックで乗り切るから大丈夫らしい。
タケは東京でジヌで揉めてここに来た。ジヌはお金の事だ。きっとそうに違いないと妻に話す村長。雨が降り出し、心配になって見に来たら外で作業していた。朝食を作って持ってくるおせっかいな村長。
これから田植えをする。機械を買う気はないから手で植えるという。農家をなめてると怒られた。その勢いで倒れてしまう。目を覚ますと稲が植えられていた。ここの住民はみんな親切だ。
映画『ジヌよさらば かむろば村へ』のあらすじ【承】
アキコが朝食を持って来てくれた。小さい銀行に勤めていたタケは大手銀行と吸収合併するために人をたくさん追いつめた。ドアをあけたら首をつっている人もいた。診断された病名は金アレルギー、お金に関わりたくなくて田舎に引っ越して来た。
女子高生の青葉(二階堂ふみ)とキスをするタケ。通帳をゴミ袋に捨てたタケは村で有名だった。その金を狙ってタケに近づいた青葉。スカートからパンツが見えて我慢できず彼女を襲う。けり飛ばされるタケ。
スーパーあまのでアルバイトをはじめたタケ。旅館の息子は村長にそっくりだ。そこにアキコが現われた。手に握ったボールペンが折れる。アキコの代わりにお会計をするタケがレジを開けると、視界が歪んだ。その場に倒れてしまう。
バス停のヤクザが家に来た。この前青葉にしたことをゆすりに来た。2人はグルだったのだ。銀行に連れて行かれたタケは金アレルギーを発症する。
村長が助けに来てくれた。そのタイミングを狙って、青葉がバスにタケを乗せた。東京に連れて行ってくれと頼むが、タケはペーパードライバーだった。
大破したバスとヤクザの車。タケは神様の温泉に入っていた。おかみさんが入ってくる。おかみさんに「村長の息子なんですか?」と勢いで聞いた。彼は自分を捨てたから、頼みを断らない。村長は過去になにがあったのか。
目が覚めるとタケをみんなが取り囲んでいた。青葉は無事だったみたいだ。額に小さい傷があった。責任をとって青葉と結婚するというタケ。
映画『ジヌよさらば かむろば村へ』のあらすじ【転】
新しいバスを自分の金で買ってくれというタケ。お金をおろすだけで大変だったのだ。所帯を持つんだったら貯金しろ。頑なに受け取らない村長。村の為に使いたいという気持ちに負けて受け取った。
それを耳にした青葉は100万円をもって消えた。お金で苦労して来た青葉はその行動が理解できない。お酒を飲んで荒れるタケ。女将との隠し子のことを責める。自分が嫌いだったら自分を捨てろと村長は言った。
新しいバスの事がニュースになる。それを見ていた男、多治見(松尾スズキ)の部屋に村長の写真があった。足をひずってかむろば村に現われた多治見。片手に新巻鮭の箱を持っている。バスに人殺し号と落書きがしてある。不吉な空気を纏った男だった。
昔新巻鮭で殴られ足を砕かれたらしい。そして村長は元お巡りさんだと言う。こいつ人殺しだぞ!男は叫んだ。ぼこぼこに殴り続ける村長をタケが止めた。
昔の女を思い出して涙を流す。村長が見つけた時、川に浮いていた。アキコは自分と一緒にいるときだけは自分を好きになってほしいと言った。
シャワーを浴びていたアキコが目出し帽をかぶった男にさらわれた。タケは殴られてスーパーあまのはめちゃくちゃだった。目を覚ましたタケは自転車で村中を走り回る。
映画『ジヌよさらば かむろば村へ』の結末・ラスト(ネタバレ)
タケの家で下着で縛られていたアキコ。多治見がタケをひもでつまずかせた。100万円で勘弁してくれと頼むが、週刊誌の記事のコピーをばらまく。殺人容疑で指名手配されていた村長の記事だった。
警察に捕まる村長の面会に行くアキコ。村長はタケに選挙に立候補してほしいと頼んだ。不在をチャンスに村長の椅子をねらう影があった。選挙演説でタケはお年寄りがお金を使わない村を作りたいと演説した。
選挙当日、出所した村長はパトカーのマイクを使って応援演説をする。人に迷惑をかけながらお金を使わないタケ。お金ではない大切なものを探すタケが次の村長にふさわしい。村民は彼に大きな拍手を送った。手にチャッカマンを握り、お金にオイルをかける。「ジヌよさらば!」札束に火をつけた。全財産が燃えてゆく。
空から大量のザリガニが降り注いだ。かむろば村の神が死んだらしい。
タケが新村長に決まった。青葉も彼の元に帰って来た。女将の息子がカメラを持っている。彼が新しい村の記録を撮るらしい。もしかしたらかむろば村の新しい神はこの子なのかもしれない。
映画『ジヌよさらば かむろば村へ』の感想・評価・レビュー
穏やかでのどかな田舎風景の中で、癖のある住人とタケが過ごす日常が面白おかしく綴られていく。この映画は、爽やかな面白さがふんだんに織り込まれた中で、たまに湿ったような薄暗い演出があることが、作品にメリハリを与えている。
村長役の阿部サダヲはハマリ役。物凄く親切でお節介で、だけど得体が知れないという不思議な役とぴったりだ。絶妙な表情や、態度が急変した時の不気味な感じを見事に演じきっている。(女性 20代)
登場する人登場する人、個性が強くておもしろい。驚いたり笑ったり、テンポの良いストーリーで最後まで飽きることなく楽しめた。お金を見て、気分が悪くなる松田龍平の演技が絶妙だった。シリアスな役だけでなく、コミカルな役も上手い。
あくが強い登場人物の中、平凡で優しいアキコの登場にほっとする。村長との関係は複雑だが、お似合いの二人だと思う。荒川良々さんが演じたちょっと抜けているヤクザが、個人的に好きなキャラクターだった。(女性 30代)
松尾スズキの作品はかなり癖のある人たちのコメディ作品が多いですが、今作も「お金」をテーマにした個性豊かな人々のハチャメチャコメディでした。
主演の松田龍平はクールで寡黙な怪しい役をしたかと思えば、こういったのんびりとした作品でクスッと笑ってしまうような役もこなし、まさにカメレオン俳優だなと感じました。彼の独特の表情のまま笑える演技をするのは反則です。それだけで面白かったです。
最後はなんだかおおごとになっていましたが、それも含めて松尾スズキ作品でしょう。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
①阿部サダオの演技力が素晴らしい
俳優が豪華で、前知識が無いとびっくりするくらいのキャストである。
特に村長役の阿部サダオの演技は誰よりも素晴らしい。
東北訛りも自分のものにし、表情や態度の変化も目まぐるしい。
あまり彼の演技を好きだと思ったことは無いのだが、本作品を見てほかの作品も見たくなってしまった。
目の力が強く、主役を食っているのにも関わらず主役よりも目立たない、絶妙な存在感。
天性のものなのであろうか。
今後に期待したい俳優である。
②なんてことないコメディ
意味の無い、なんだかよくわからないハチャメチャなコメディである。
パッケージから正直見る気の失せる感じではあったが、実際始まってすぐにグイグイ引き込まれる。
内容はテンヤワンヤで登場人物は多数、見るからに話がこんがらがりそうなのだがそれがまとまっているからまた凄い。
松尾スズキの名は聞いたことはあるが、作品は初めて鑑賞した。
途中ヤクザ役で自分も出演しているが、あの出演はあまり意味の無いもののように感じてしまう。
他の俳優を探せばもう少ししっかりしたコメディ色が出せたであろう。
③詰め込みすぎ
やりたいことはわかるし、確かに面白い。
しかしすべてを詰め込みすぎて疲れてしまう印象の作品。
キャスティングの豪華さだけでも疲れるのに、内容がこれでもかと序盤から終盤まで休まずごちゃついているからお腹一杯。
足し算も大事だが、引き算することも時には必要では?と思う。
主役の松田龍平が完全に食われている存在感の無さ。
しかしこの影の薄さが心地よかったりもするのが、松尾スズキの作戦なのか。
何しろ脇役が濃すぎて、くどい。
しかしそのくどさを消してくれるのが松田龍平であるとも言える。
誰ともなじむその雰囲気がこってりした映画を抑えてくれるの、見やすくなっている。
今が旬の俳優ばかりを起用した思い切ったコメディ作品。
クスっと笑える名場面が多く、難しいことを考えたくないときにおススメの作品である。