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映画『自虐の詩』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『自虐の詩』の概要:「前略、お母ちゃん。いつも私は不幸でした。」いつも不幸なゆきえは酔っぱらいの元ヤクザ、イサオと暮らしていた。そんな2人に子供ができた!ゆきえは小さな幸せを手にすることができるのか?大阪の下町を舞台にした爆笑ラブストーリー。

映画『自虐の詩』の作品情報

自虐の詩

製作年:2007年
上映時間:115分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー
監督:堤幸彦
キャスト:中谷美紀、阿部寛、遠藤憲一、カルーセル麻紀 etc

映画『自虐の詩』の登場人物(キャスト)

森田ゆきえ(中谷美紀)
ずっと不幸だけど、小さな幸せをいつも願っている。お酒を飲み暴れるイサオとボロアパートで暮らす。元シャブ中の娼婦。イサオの子供を身ごもるが、事故にあってしまう。
葉山イサオ(阿部寛)
仕事をしないで飲んでばかり。無口で不器用な元ヤクザ。シャブ中だったゆきえを助けた過去を持つ。
父親は東京の有名なヤクザで、大阪の組長から何度もスカウトされる。
ラーメン屋の店主(遠藤憲一)
ゆきえのバイト先のラーメン屋店主。ゆきえに恋心を抱いている。飲んでばかりのイサオを見かねてゆきえにプロポーズするが、振られてしまう。
大家さん(カルーセル麻紀)
ゆきえとイサオの部屋の隣に住む大家さん。ゆきえを常に心配している。
熊本さん(丸岡知恵)
中学時代の同級生。ゆきえと同じく家が貧乏だった。

映画『自虐の詩』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『自虐の詩』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『自虐の詩』のあらすじ【起】

「前略、お母ちゃん。何故私を産んだんですか?」
寂れた田舎町で、 ぼろぼろのジャージの少女が新聞配達をしている。ふと新聞を読んでいたら、そこに父親がの顔があった。急いで家に帰ると、ちょうど警察に連行されるところだった。
「お母ちゃん。 いつも私は不幸でした。」

大阪の商店街で人だかりができていた。血まみれでパンチパーマの男が倒れている。
その男には小指がなかった。
「ゆきえちゃん!イサオさんが!」
警察にかけこむゆきえ(中谷美紀)。そこには先ほどの、血まみれでパンチパーマの男が霊安室で寝ていた。また、酔っぱらって喧嘩をし、警察にお世話になっていた。

大人になった少女は、古びたぼろアパートでイサオ(阿部寛)と暮らしていた。
ある日ゆきえは大家さんにお金を借りていた。イサオがゆきえの給料袋をまるごと盗んだのだ。
「ちゃぶ台ひっくり返すの36回目や!ひどい男やなー。」
給料が入って、ゆきえはイサオに美味しいものを食べさせようとした。しかし、怒りっぽいイサオは、ちゃぶ台ごとひっくり返したのだった。
「あのひとね、ああ見えていいとこあるんだから。」

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映画『自虐の詩』のあらすじ【承】

喫茶店で仲間とだらだらするイサオは、寒さに震えながら出前を運ぶゆきえを見てしまった。窓を新聞紙で隠して思いっきり目をそらした。
「おい、弁当。明日から、仕事。」
思ったことがあったのか、イサオは仕事に出ると言い出した。大喜びしてイサオに抱きつくゆきえ。筑前煮、卵焼き、紅じゃけ。上機嫌で豪華なお弁当を作り始めた。

交通整理のバイトをはじめたイサオは先輩に怒鳴られていた。イサオは全く仕事ができなかった。そこにヤクザ時代の知り合いが、高級そうなベンツで通りがかる。
「おまえほんとにあのブスのためにヤクザやめたの?あの女、昔・・・・・・」
ゆきえは息をきらせながら警察にかけこむ。いさおは暴言を吐いた2人組をぼこぼこに殴って、警察に連れて行かれていた。
「おまえはこの世界で生きる男や。悪いようにはせえへん。」
イサオは、評判を聞きつけた大阪の組長にスカウトされていた。うまくいかないイサオの心は揺れていた。

ゆきえはバイト先のラーメン屋に出勤した。ラーメン屋の店主はゆきえのことが好きで、
プロポーズをしたが断られてしまっていた。
「この人うちのお父さんです!!!」
ラーメン屋の奥から出てきた謎のおじさん。彼は18年の刑期を終えて出所した、ゆきえの父親だった。

映画『自虐の詩』のあらすじ【転】

パチンコで勝って酔っぱらったイサオは、仲間とゆきえのラーメン屋になだれこむ。しかし、運悪く父親とはちあわせになってしまう。揉み合いになる2人にゆきえが叫んだ。
「赤ちゃんができたの!!!!!」
ある日、ゆきえは産婦人科にいた。
「おめでとうございます。3ヶ月ですよ。」
イサオは札束をゆきえに押し付け、無言で店を飛び出してしまった。

空を見上げて悩むイサオのもとに、ヤクザの組長が現れた。
「おまえには一流のヤクザの血が流れとる。あの親父の血が。 腹くくれ。」
ゆきえはまた語りかける。
「前略、お母ちゃん。私は本当にこの子を産んでいいのでしょうか?」

大家さんが大阪の街を必死に走る。イサオを見つけて胸ぐらを掴み、叫ぶ。
「ゆきえちゃんが!意識不明の重体や!あんたの子供が!死にかけとるんや!」
ゆきえは配達の途中で、歩道橋の上から落ちる事故にあっていた。いさおは病院へ走る。人を、自転車を、看板を、なぎ倒しながら。

映画『自虐の詩』の結末・ラスト(ネタバレ)

ゆきえは夢を見ていた。

「貧乏!」
ばかにされながら、友達と弁当を食べるゆきえ。
内職をしているところに、父親は女を連れて帰ってきた。
「貧乏!」
一方父親も新しい嫁にばかにされていた。どうしても結婚したい父親は銀行強盗を計画した。原因は、新しい母親のせいだったのだ。父親が逮捕されたせいで、ゆきえは孤立した。でも、友達の熊本さんはゆきえに、
「近ぐさいても、遠ぐさいても、あんたのこと忘れね。」
「嬉しいときも、悲しいどきも、あんたと友達でいっから。」
「ずっと友達でいっから。」

手術は続く。血は全く止まらない。

「気持ち悪い!シャブ中!」
ゆきえは昔、誰にでも1000円でやらせる有名な娼婦だった。イサオはそんなゆきえが好きでいつも見守っていた。薔薇を送り、客からゆきえを守り、でも絶対に手は出さなかった。
「愛しています。ここを出て一緒に暮らしましょう。」
更生施設から出てきたゆきえを、ヤクザを辞めたイサオが待っていた。海を2人で見つめながら言った。
「また、来ましょうね。」

目を覚ましたゆきえのまわりには、ゆきえを心配そうに見つめるイサオ、大家さん、父親、イサオの友達がいた。
イサオは涙を流しながらゆきえに言った。
「海に行こうな、3人で。」

「前略、お母ちゃん。この世は、幸も功も不幸もないのかもしれません。でも、意味はあるのです。」
海で幸せそうな夫婦が寄り添っていた。手には産まれたばかりの命が、笑っていた。

映画『自虐の詩』の感想・評価・レビュー

一見、不幸そうなゆきえとイサオですが、相手が気付かない所でお互いのことを心から大切に想っている、自虐というより自己犠牲的な愛に感動しました。
感動すると同時に笑えてしまう、心温かくなる作品です。
相手を思いやる心を失くしてしまった、そんな今、もう一度観直したいそんな映画。
原作の4コマ漫画も読んでみたくなりました。

クセの強い不器用な役の代表のような阿部寛がしっくりくるのはもちろんのこと、中谷美紀の薄幸さも負けていません。(女性 40代)


何と言っても葉山イサオのちゃぶ台返しが綺麗に決まるところが良い。後で床に落ちたご飯を片付ける森田ゆきえを思えば可哀そうではあるのだが、あそこまで綺麗に机がひっくり返るのは見ていて清々しい。そして、机がひっくり返された日を密かに数える大家さんのシーンが、シュールでおもしろかった。イサオは無口で不器用な男だが、必死に病院に向かう姿を見てゆきえへの深い愛情を感じた。破滅的な雰囲気が漂いながらも、思わずふっと笑ってしまう楽しさがある作品。(女性 30代)


自分がゆきえの立場だったらこんな人生もう嫌だと投げ出してしまいそうになるほど「不幸」だと思ってしまいましたが、ゆきえにとって人生は不幸の連続では無かったようです。ゆきえのことをずっと見守り、ゆきえのためにヤクザをやめたイサオの優しさと男らしさがなんとも微笑ましくて、阿部寛が演じることでイサオのキャラクターが仕上がっていました。
遠藤憲一やカルーセル麻紀など脇を固める俳優陣も大物揃いなので飽きずに見られる作品でした。(女性 30代)

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