映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』の概要:14年前にボラットが主演を務めた映画はアメリカで大ヒットとなったが、祖国カザフスタンでは大バッシングを浴び、彼は収容所で強制労働を強いられる日々を過ごしていた。ある時大統領から呼び出されたボラットは、カザフスタンの名誉を回復するためアメリカへ貢ぎ物を贈る重要任務を任される。
映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:コメディ
監督:ジェイソン・ウォリナー
キャスト:サシャ・バロン・コーエン、マリア・バカローヴァ、トム・ハンクス etc
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映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』の登場人物(キャスト)
- ボラット・サグディエフ(サシャ・バロン・コーエン)
- カザフスタン国営テレビのリポーター。前作のヒットでカザフスタンに恥をかかせたとして投獄され、終身刑を言い渡された。ある日突然大統領に呼び出され、トランプ主導の独裁国家であるアメリカと仲良くしてカザフスタンも“独裁者クラブ”に入れるよう、おサルのジョニーを貢いでこいと命じられる。
- トゥーター・サグディエフ(マリア・バカローヴァ)
- ボラットの娘。15歳。カザフスタンの価値観から人ではなく“家畜”として扱われていたが(他の家の娘達も同様)、ボラットと共にアメリカへ渡り全く新しい価値観・文化と出会ったことで自らの人権を自覚するようになり、父親の元を離れリポーターとして活動を始める。
- ジェニス・ジョーンズ
- アメリカのベビーシッター。ボラットによって鎖に繋がれたまま預けられたトゥーターからカザフスタンの常識を聞かされ、国や父親の教えが全てではないと説明する。
映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』のあらすじ【起】
ボラットが主演を務めた『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』は、アメリカ“と”合衆国で記録的な大ヒットとなった。その代償としてカザフスタンは世界中の笑い者となり、カリウムと陰毛の輸出量が大幅に下落したことで自殺者が急増、伝統の“ユダヤ人追い祭り”も中止され、国民に残されたのは“ホロコースト記念日”だけになってしまった。責任を問われたボラットはリポーターの職を追われ、終身刑を受け強制労働を強いられる日々を送っていた。
14年が経ち、ボラットは突然ナザルバエフ大統領に呼び出された。大統領は、邪悪なオバマによってめちゃくちゃにされたアメリカが、救世主“マクドナルド”・トランプによって復活した今、自分もプーチンやボルソナーロ、金正恩らと仲良くして彼らの仲間入りを果たしたいと言い、トランプへ貢ぎ物を持って行くようボラットへ命じた。しかし、ボラットは以前トランプ・インターナショナル・ホテル&タワーの植え込みで脱糞したことがあるため、代わりに“アメリカ1の女好き”マイケル・ペンスに会うことにした。貢ぎ物は、カザフスタンの文化大臣であり人気ポルノスターであるおサルのジョニーであった。
身支度を整えたボラットは医師から「“ジプシーの涙”が守ってくれる」と謎の注射を打たれ、アメリカへ渡る前に故郷の村を訪れた。しかし、自宅は隣人によって家族ごと乗っ取られており、ボラットには家畜(=娘)だけが残された。
ジョニーが豪華客船で航海する一方で、ボラットは貨物船で世界中の港を回り、ジョニーより22日遅れてテキサス州へ到着した。ボラットはジョニーと合流する前に近所の“村”を散策しようとしたが、道行く人は皆ボラットを認識しており、自分の人気ぶりが極秘任務に支障をきたすと感じた彼はパーティグッズを買い込んで変装した。さらに、彼はアメリカ“と”合衆国の全国民が電卓(スマホ)に夢中だと気付き、リサイクルショップの店員ブライアンから電卓を購入した。
映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』のあらすじ【承】
ジョニーとの待ち合わせ場所へ到着したボラットがコンテナを開けると、中からは娘が現れ、彼女はジョニーを食料だと思い食い散らかしてしまっていた。途方に暮れたボラットだったが、偶然テレビで1992年にトランプが女性を集めてパーティをしていた映像を見た彼は、娘を差し出すことを決めた。
「第2のメラニアになれる」と大喜びする娘を前に、ボラットは彼女が大事に持っていた『娘の飼い主用マニュアル(農林・野生動物省公式出版物)』を参考にして檻やガスボンベを用意した。その際、ボラットは彼女にトゥーターという名前があることを初めて知った。
ボラットは、トゥーターを副大統領に相応しい女にするため美容室やメイクスタジオ、ドレスショップを巡った。服屋のオーナーを務める女性を目の当たりにしたトゥーターは、女に仕事ができるという事実に驚いたが、ボラットははぐらかした。次にアメリカの女の子の行動を観察するため遊園地を訪れたボラットは、初めはトゥーターをリードで繋いで歩いていたが、彼女にせがまれ手を繋いではしゃいだ。
ボラットはトゥーターにドレスを着せると、デビュタントコーチのジーン・シェフィールドの元を訪れ、舞踏会に参加させてもらった。ダンスを披露する際、社交ダンスを知らない親子はカザフスタン伝統の“生殖の踊り”を披露し、トゥーターは参列者の前で経血の溢れ出る陰部を晒した。その夜、ボラットは「皆から嫌われる私はメラニアになれない」と泣く娘をトレーラーへ上げ、温かい毛布をかけてやった。
映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』のあらすじ【転】
翌日、ペンスの演説があると知ったボラットはトランプに変装すると、トゥーターを肩に担いで保守派の集会所へ乗り込んだ。しかし、COVID-19は脅威でないと語るペンスは、乱入したボラットに一瞥をくれた。
計画が失敗に終わり落ち込む父へ、すっかり電卓を使いこなしたトゥーターは「トランプの他の友達に貢げば?」とグーグルの検索画面を見せた。トランプと親交が深く唯一逮捕されていない“巨乳好き”ルドルフ・ジュリアーニを見たボラットは、トゥーターに豊胸施術を受けさせることを決めた。しかし、手術費用があと72ドル足りなかったため、ボラットはトゥーターをベビーシッターに預けて仕事を始めた。
プロのベビーシッターであるジェニス・ジョーンズは、ボラットのトゥーターへの接し方に異常を感じていたが、彼女を車に乗せた際「女に運転はできない」とパニックになるトゥーターを見て「お父さんの教えが全てじゃない」と諭した。ジェニスは豊胸手術を受けると言うトゥーターに「あなたはどうしたいの?アンタは可愛いよ、自分で考えなさい」と声をかけ、ボラットとの待ち合わせ場所である美容整形センターへ送り届けた。
ジェニスの他にも車を運転する女性達を目の当たりにしたトゥーターは、丁度車を降りた女性の後に続いてとあるビルに入った。そこではヒルズボロ共和党の女性クラブが会合を行っており、自分で考え行動する同性の存在に混乱したトゥーターはトイレへ駆け込むと、禁忌とされていたバジン(陰部)に触れ自由に目覚めた。
ビルを出たトゥーターは父に呼び止められたが、「今のままで綺麗だから手術しない」と言ってマニュアルを投げ捨て、“ホロコーストは嘘”というフェイスブックのページをボラットへ見せ彼の前から去った。
映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』の結末・ラスト(ネタバレ)
計画が頓挫し、何よりホロコーストが嘘だったと知ったボラットは、銃乱射事件に巻き込まれて死ぬためにユダヤ人のコスプレをしてシナゴーグへ向かった。そこで本物のユダヤ人であるジュディスと出会ったボラットは、怯えながらも彼女がホロコーストを生き延びた人物と知るや「ホロコーストは実在した!」と喜びトゥーターを探しに向かった。
街はCOVID-19の蔓延により閑散としていたが、ボラットは偶然トランプ支持者でありQアノン信者の男性達と出会い、疫病が終息するまで彼らの家で生活を始めた。ある日、Qアノンのサイトで反ワクチンの呼びかけをするトゥーターの動画を見つけたボラットは、彼女がリポートを担当するデモの会場へ向かった。ボラットの元へ戻らなければ彼が処刑されると知ったトゥーターは、一人でジュリアーニへの取材を決行した。
祖国の栄光は取り戻せるが「胸が痛く、何かが足りない」と思うボラットは、ようやく娘を愛していたことに気付き、音声スタッフのふりをしてトゥーターの元へ駆けつけると、服を脱ごうとしていたジュリアーニの前から娘を奪い返した。
処刑覚悟で国へ戻ったボラットとトゥーターだったが、ナザルバエフ大統領は彼らを咎めなかった。トゥーターが壁に目をやると、そこには「世界中に復讐する方法」というウイルス拡散計画の全貌があった。出国前に“ジプシーの涙”ことCOVID-19を打たれたボラットは大統領に利用されたことに気付くと、電卓をリサイクルショップのブライアンに繋げて「計画は大成功だ」と語る大統領の言葉を録音させた。
3ヶ月後。リポーターに復帰したボラットは、国内初の女性リポーターとなったトゥーターと共に、カザフスタンの新しい祭り“アメリカ人追い祭り”の取材を行った。
映画『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』の感想・評価・レビュー
「この映画は3歳以下の視聴を禁ずる」「提供:カザフスタン情報省」「制作:カザフスタン農林・野生動物省」「協力:アルマトイ疾病管理センター」の文言から始まるこの映画、開始当初は呆れて直視できないほどエッジの効いた皮肉が続き、どこまで“本気”で脚本を書いているんだろうと不安になった。
しかし、展開が進むごとにのめり込んでいき、最後には感動すら覚えた。この映画を観てクスっとも笑えない人間とは分かり合えない気さえする。作中で“世界有数のフェミニストの国”となったカザフスタンが嫁の代わりに婿を売るようになるオチは、あまりにおかしかった。論破や淘汰や排除ではなく、共存が求められる社会について考えるきっかけとして最高の映画である。(MIHOシネマ編集部)
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