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映画『マーティン・エデン』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『マーティン・エデン』の概要:ジャック・ロンドンの自伝的小説『マーティン・エデン』を原作とした映画。イタリアはナポリの労働者階級に生まれたエデンは、上流階級のエレナと出会い文学の世界に目覚めた。彼女と同じように考え、話し、学びたいと望む彼は独学で読み書きを覚えて作家を志すようになる。

映画『マーティン・エデン』の作品情報

マーティン・エデン

製作年:2019年
上映時間:129分
ジャンル:伝記、ヒューマンドラマ
監督:ピエトロ・マルチェッロ
キャスト:ルカ・マリネッリ、ジェシカ・クレッシー、カルロ・チェッキ、ヴィンチェンツォ・ネモラート etc

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映画『マーティン・エデン』の登場人物(キャスト)

マーティン・エデン(ルカ・マリネッリ)
労働者階級に生まれ、11歳の頃から数か月間大型船に乗っては金を稼ぐという生活をしている青年。小学校は四年生の時に行かなくなった。長い航海から戻りマルゲリータと寝た次の日、門番に虐められていたアルトゥーロを助けたことでオルシーニ邸へ招待され、エレナと知り合い恋に落ちる。彼女やオルシーニ家の人々のように高尚で文化的な生活を送りたいと思った彼は、古本を買い漁り独学で読み書きや文法を学んで作家を志すようになる。姉ジュリアと夫ベルナルド、彼らの子供達が暮らすアパートに居候しており、義兄とは不仲。
エレナ・オルシーニ(ジェシカ・クレッシー)
アルトゥーロの妹。詩に興味があると言う初対面のエデンと会話が弾み、互いに惹かれ合う。彼が作家を目指すと打ち明けた際は頻りに小学校からやり直した方が良いとアドバイスしたが、自分の文法書を貸したりフランス語を教えたりと積極的に協力する。しかし、エデンの応募する小説が落選続きであること、彼が反社会主義者としてブルジョワを批判したことなどから気持ちが冷めてしまう。
ニーノ(ヴィンチェンツォ・ネモラート)
エデンの親友。共に日雇い労働に勤しんだ仲で、エデンが作家として大成してからは彼の元で働く。
マリア(カルメン・ポメッラ)
エデンがジュリアのアパートを離れ、新居を探して郊外へ向かった際に出会ったシングルマザー。夫に先立たれ、幼い子供と残されたことへ精神的にも経済的にも不安を感じていた彼女は、夢を追うエデンという青年へ屋根裏部屋を貸した。家事を手伝い子供達とよく遊び、勉強を怠らず机に向かう彼を応援する。
ラス・ブリッセンデン(カルロ・チェッキ)
上流階級が集うパーティで、詩を披露したエデンへ声をかけた老人。社会派の記事を扱う雑誌社を経営している反社会主義者。後にエデンの盟友となる。
マルゲリータ(デニーズ・サルディスコ)
長年エデンへ想いを寄せているカフェの店員。彼同様身分は低いが献身的で美しく、必死で這い上がろうとするエデンを陰ながら見守る。

映画『マーティン・エデン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『マーティン・エデン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『マーティン・エデン』のあらすじ【起】

長い航海から戻り、船上でマルゲリータと体を重ねたエデンが翌朝目を覚ますと、ひ弱な青年が港で暴行されているのを目撃した。正義感があり腕っぷしの立つエデンは、青年を虐める大柄な男を返り討ちにし、助かった青年はお礼に彼を自宅へ招待した。

青年はアルトゥーロ・オルシーニといった。彼の邸宅へ案内されたエデンはエレナと出会い、兄にも増して意気投合した。彼らの母マティルデは、船旅に慣れていて逞しく、恐れ知らずな上にハンサムでユーモアのセンスまで抜群なエデンと接して「政府は教育費を増やして、貧しい境遇の人でも学校へ行かせるべきだわ」と話した。屋敷を後にするエデンは初めて触れたブルジョワジーの生活様式に感動し羨望を抱くと共に、教養があり美しいエレナへの恋心を自覚した。

学びへの喜びに気付いたエデンは、手当たり次第に中古の本を買い漁ると、分からない箇所を訊ねるためエレナの元へ通った。エデンは「あなた方を目指したい。あなた方みたいに話し、考えたい」と彼女へ打ち明け、エレナは自身の文法書を貸した。

船旅へ出たエデンは、読み書きの勉強を兼ねてエレナへ詩を送るようになった。ある日、船が故障して船長がクルーの削減を決めたため、エデンはニーノと共に鎮物工場で働いた。エデンは手紙に詩を書いて送り続けていたが、彼女はエデンの扱うテーマが「自分の経験と隔たり芸術的評価が下せない」との返事を寄越した。

鎮物工場の現場監督は横暴な男だった。重労働の中休みも与えられず怒鳴られ続け、限界を迎えたニーノは遂に監督を殴り飛ばしてしまった。止めに入ったエデンはとばっちりを受け二人揃って給料を渡されず解雇となったが、彼らは監督を待ち伏せると働いた分の金を奪い返してナポリへ戻った。

映画『マーティン・エデン』のあらすじ【承】

数か月ぶりにエレナと再会したエデンは、独学での勉強を続けて作家になると打ち明けた。彼女に「あなたには教育が必要です」と言われたエデンは雑誌社の面接を受けたが、一般教養が著しく欠けており、エレナが言うように小学校への入学を勧められた。エデンはかつて小学校のクラスにいた知恵遅れの老人が、震える手で文字を書き笑い者にされていた記憶が蘇り、やはり小学校への再入学はやめることにした。

短篇小説を募る新聞広告を見たエデンは、その日から物語を書き始めた。彼の処女作を読んだジュリアはテーマが「暗すぎる」と評し、あまりに現実的で救いのない話に難色を示した。諦めないエデンはありったけの貯金をはたいて中古のタイプライターを購入し、短篇を仕上げては新聞社へ送った。

ハーバート・スペンサーの『第一原理』を読みふけるエデンは階級闘争に感心を持ち、ストを起こす社会主義労働者らの集まりを覗きに行った。一方で、新聞社へ送った小説は全てエデンの元へ返送されており、彼はその度に新作を送り続けた。

貯金が底を尽いたエデンだったが、エレナとフランス語で会話できる程に語学が上達していた。勉強資金を稼ぐため再び航海へ出るという彼へ、エレナは、父やガルジューロ氏に支援して貰えるからと引き留めた。二人は初めてキスを交わし、互いに会った日から愛しあっていたことを知った。

浮かれて帰宅したエデンは、返ってきた小説の山を見て嘲笑するベルナルドと喧嘩し、姉夫婦の家を飛び出した。

映画『マーティン・エデン』のあらすじ【転】

人里離れた街で執筆活動に専念しようと考えたエデンは、郊外へ向かう列車に乗り込んだ。彼は偶然隣り合わせた未亡人マリアと二人の子供達に出会い、彼女の家の屋根裏部屋を借りることになった。

新しい生活を始めたエデンは、晴れて恋人となったエレナへ手紙を出した。自分の文章の欠点を見つめ直し、語彙を増やして執筆に励む彼は「才能を試すために二年ほしい」と伝え、エレナは「ダメとは言えない。でも、私達二人の最良の選択は働いて稼ぎを得ることでしょ。パパが手を貸してくれます。でも何よりも私を優先してね」と返事を書いた。

マリアが仕立てたスーツに身を包んだエデンは、エレナに招待されたパーティで彼女と久々の再会を果たした。彼はその場で、同じように貧民街出身のガルジューロ氏を紹介されたが、人の手を借りたくないエデンはこっそり名刺を投げ捨てた。エデンはその後、マティルデが招待客らへ、娘が労働者階級の人間と交際しているのが恥ずかしいと貶しているのを聞き、生まれながらに貴族である彼らと自分との隔たりを意識してしまった。

屋敷を後にしたエデンは、ルス・ブリッセンデンに声をかけられた。ルスは、自分を見下す上流階級の客の前で自作の詩を披露したエデンの度胸を褒め、馴染みのバーへ彼を連れて行くと、彼を“鷲の雛”と周囲に紹介した。

エレナは遂に、生々しい苦しみを描くエデンへ「世界観を変えて希望を書いてみては」と提言した。「それこそ現実だ」と反論する彼に我慢できなかったエレナは「あなたの書く物は売れないわ、結婚も無理。家族にもなれない」と言い放った。エデンは彼女の腕を引くと、粗雑で猥雑で、貧困に溢れた自分の故郷を見せて「こんな世界を書くのは恥なのか」と問い詰めた。エデンの態度と、庶民の暮らしを見ないよう努めていた彼女は傷ついて屋敷へ帰った。

エレナと喧嘩別れしたエデンの小説は、依然採用には至らなかった。しかし、過労で床に臥せる彼の元へ「貴殿の短篇『背教者』を雑誌に掲載させて頂きます」との報せと共に20万リラの小切手が届き、エデンとマリアは抱き合って喜んだ。

映画『マーティン・エデン』の結末・ラスト(ネタバレ)

エデンは、『背教者』が掲載された雑誌『英雄(エロイカ)』を携えてルスの元を訪ねた。エデンの小説を読んだ彼は一時喜んだが、すぐに「エレナは諦めて船に乗れ。ありのままを受け入れる女を探せ」と元の生活へ戻るよう言うと、社会主義支持派の集会にエデンを連れて行き、社会主義不要論を壇上で語れと言った。彼は言われた通り社会主義の欠点を説いたが、翌日の新聞の一面には“エデンは社会主義者である”と書かれていた。一方で、ルスの体調は悪化の一途を辿っていた。

オルシーニ邸へ招待されたエデンは、そこに居合わせた自由主義を自称する医者や判事らと口論になり、自らの立場にあぐらをかき庶民の苦しみを理解しない彼らこそ社会主義に毒されていると声を荒げた。彼らとの本質的な階級の差もさることながら、思想の違いを埋められないエデンは、その日以降エレナへ近付くことが許されなかった。

ルスの元を訪れたエデンは、彼のアパートの前に警察や救急車が詰め寄るのを見て、慌てて彼の部屋を覗いた。ルスは拳銃自殺した後だった。恋人も盟友も失ったエデンは自暴自棄になり、軍人との無謀な決闘に挑み傷ついたところを、編集者で友人のレナートやニーノ、マルゲリータに助けられた。

その後エデンはマルガリータに支えられ、レナートの出版社から多くの書籍を出版し大作家へ成り上がった。しかし、富も名声も手に入れた彼の心は、絶望によって崩壊していた。講演会に臨んだエデンは会場にエレナの姿を見つけると、大衆に向かって「昔は拒まれ、今は売れる本の著者だ。中身は何一つ変わらないのに私を拒んだ人達が今私に感心を寄せている」と声を荒げた。

エデンがアメリカへ渡る日、エレナは彼の元を訪ねると「ママがマッティ判事との結婚話を進めているの、本当はあなたと結婚したい」と縋った。エデンは、全部棄てると言う彼女の言葉を遮り「もう手遅れだ、よくもここまで来られたな」と怒鳴り散らして彼女を追い返した。

泣きながら帰るエレナの姿を窓辺から見下ろすエデンは、彼女の横を通り過ぎる青年に釘付けになった。それはまさしく、船乗りだった頃の自分であった。エデンは急いで後を追いかけ浜辺へと辿り着き、沈みゆく太陽に向かって一直線に海を泳ぐと沖の背へ消えていった。

映画『マーティン・エデン』の感想・評価・レビュー

ジャック・ロンドンの自伝的小説『マーティン・エデン』を映画化。舞台をアメリカからイタリア南西部へ移し、貧しい中で夢を抱く不遇の青年の躍進を生々しく描く。

ラストの“若き日の自分を追いかける”描写があまりに切なく苦しかった。金はないが愛する美しい人がいて、目標に向かってひたむきに勉強しやりたいことを全うしている期間が、彼にとって一番充実していた輝かしい日々だった。夢が叶い金が有り余っても、愛した人と理解しあえないことの方が絶望的だった。これは“大作家”の人生に限ったことではなく、全ての“懸命に生きる人”に当てはまる希望と絶望ではないか。(MIHOシネマ編集部)

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