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映画『図鑑に載ってない虫』あらすじとネタバレ感想

映画『図鑑に載ってない虫』の概要:2007年に製作されたコメディ映画で、三木聡監督、脚本、主演は伊勢谷友介。フリーのルポライターが幻の虫を使った臨死体験のルポを依頼された事から、おかしな出来事に巻き込まれていく。

映画『図鑑に載ってない虫』 作品情報

図鑑に載ってない虫

  • 製作年:2007年
  • 上映時間:103分
  • ジャンル:コメディ
  • 監督:三木聡
  • キャスト:伊勢谷友介、松尾スズキ、菊地凛子、岩松了 etc

映画『図鑑に載ってない虫』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★★

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映画『図鑑に載ってない虫』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『図鑑に載ってない虫』のあらすじを紹介します。

フリールポライターの「俺」は”月刊黒い本”の美人編集長から臨死体験のルポを依頼される。
一旦死んで生き返ることができる、シニモドキという幻の虫が存在するというのだ。
相棒でアルコール中毒のエンドーは素っ頓狂な言動を繰り返してばかり。

先に依頼を受けていたが行方不明になったカメラマンの真島の自宅を訪ねるが、手がかりは無い。
そこで出会った鯉のぼりのような服を着た、奇妙な雰囲気の暴力団員からシニモドキの情報を尋ねられる。
「俺」を待っていたエンドーは、真島の自宅からとあるボート屋の電話番号を入手していた事を明かす。
そこにも手がかりは無かったが、1度死ねるSMクラブのチラシを拾ったエンドーはそこへ向かうことを提案し、出会った自殺願望の強いサヨコがシニモドキ探しを手伝うことに。
母親と死に別れたサヨコは、もう一度母親に会いたいというのだ。
そして暴力団を辞めた鯉のぼりの服の、目玉のおっちゃんと舎弟のチョロリも仲間に。

真島は師匠という男を探していたと判明し、エンドーが偶然手に入れた真島のカメラからホームレスの巣窟に師匠が居るとわかる。
ボートをレンタルしてそこに向かうと、シニモドキの情報を手に入れた真島がいた。
一部の海女さんが使っているとわかりそこへ向かうが、真島はひとり、旧日本軍の作った幻のトンネルに向かっていった。

古株の海女さんからシニモドキの捕まえ方を教えられ、やっとの思いで虫を手に入れたメンバー。
そしてエンドーと「俺」が臨死体験をする。
エンドーだけが目覚めずに救急車で運ばれ、サヨコ、目玉のおっちゃん、チョロリとも連絡がとれなくなった「俺」。

その後、偶然知ったサヨコの実家を訪ねてみる「俺」が見たものは、驚くべき真実だった。

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映画『図鑑に載ってない虫』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『図鑑に載ってない虫』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

脇役まで豪華キャストだが、脇役に徹する演技力の高さ

ギャグや軽い下ネタ、小ネタが中心のコメディ映画で、派手な色使いが印象に残る。
三木聡監督の他の映画作品で使っていた商店街のスピーカーから流される宣伝や、同じ登場人物がテレビドラマにも出演するなど、小ネタの使い方が細かい。

一番まともに見える伊勢谷友介演じる主人公の「俺」と、松尾スズキ演じるアルコール中毒で言動が不可解なエンドーが暴れまわる姿が面白い。
「俺」がボートの上で屈強な船長にヘッドロックをされている時に、エンドーが「ヘッドロックは山でしろ!」と叫んでいるが、この台詞は松尾スズキが考えたもので全く意味がわからない。
サヨコ役の菊池凛子はカンヌ国際映画祭をはじめ多くの賞を受賞したアメリカ映画「バベル」の次の出演作となっており、はっちゃけた演技が笑いを誘う。
目玉のおっちゃん役の岩松了やチョロリ役のふせえりは三木聡監督作品の常連だが、ふせえりは女性ながらも角刈りに挑戦している。

船長役が俳優の渡辺裕之、サヨコの母親役が高橋恵子、ツボマッサージ店のツボ師匠役には映画監督の園子温を起用するなど、脇役にも豪華なキャスティングを使っている。

細かすぎるネタと出来の差が激しい小道具は人を選ぶ

肝心の小ネタの道具に、雑な作りが多くみうけられる。
エンドーの頭から出る血しぶきはどう見てもテープだし、サヨコのリストカットの傷でわさびを擂る場面は、見ていて気持ちのいいものではない。
見世物小屋での臨死体験ショーも、小さなカニがうじゃうじゃ出てきて目を覆いたくなる気持ち悪さだ。
また、ネタが細かすぎて意味がわからない場面も多く見られる。

「俺」が死後の世界にいると理解した場面での、サヨコの母親の顔が骸骨になる場面はあっと言わせるものがある。

サヨコの猿の手の回想シーンは、本格的に怖がらせるようなホラーの作りになっている。
イギリスの怪奇小説の「猿の手」の内容を上手く使っているのも面白味がある。
死んでいたのは「俺」だったというどんでん返しのストーリーには驚かされるが、大団円で終わって安心できるストーリーになっている。


独特すぎる世界観でかなりシュールな作品でした。伊勢谷友介主演ということでなんとなく鑑賞しましたが、パッケージから漂うただものでは無い雰囲気は作品にもそのまま反映されていて、見る人を選ぶ作品かなと思います。
虫を使って臨死体験をするなんて可能なのかなと思っていましたが、そもそも臨死体験をしたい人たちの集まりというのがクセが強すぎますよね。怖いもの見たさの人もいれば、本当に死にたい人もいてリストカットの場面はゾッとするほど不快に感じました。
かなり特殊な作品なので、心して見た方が良さそうです。(女性 30代)

映画『図鑑に載ってない虫』 まとめ

独特の世界観で圧倒されることが多い三木聡監督の、スピード感のあるコメディ映画。
主人公の「俺」は、名前などは一切出てこずに一人称で通されている。
探偵物語の松田勇作をイメージしたような外見や、死後の世界の場面での服の色の違いなど、細かい芸が使われている。

くだらないギャグや下ネタが多く使われているが、教訓めいた台詞もあり、またサヨコの死にたい理由が母親に会いたいという純粋な感情から来ているという、人間の芯に触れるような場面もある。

シニモドキを捕まえるために夜の山へ入っていったメンバーが、その場でしなくてもいい告白をするシーン、その後に大量の虫が突撃してくるシーンは、効果音やキャストの動きが面白くて笑いが止まらなくなる。
真島の回想シーンにまで入り込んだエンドーの、「カンボジア難民」を「ナンボジアかんみん」と言い間違える校長先生の話も、何度見ても笑ってしまう。

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