映画『悪人』あらすじとネタバレ感想

悪人の概要:2010年に公開され、モントリオール世界映画祭や日本アカデミー賞で評価された作品。「パレード」、「さよなら渓谷」なども映画化された、吉田修一の長編小説が原作。

悪人 あらすじ

悪人
映画『悪人』のあらすじを紹介します。

保険外交員の石橋佳乃が、遺体で発見される。
彼女は大学生の増尾圭吾に対し一方的に熱を上げていたが、出会い系サイトで知り合った清水祐一とも関係を持っていた。

警察は増尾を犯人だとにらんでいたが、真犯人は祐一だと断定される。

祐一は、出会い系サイトで知り合ったもう一人の女性、馬込光代と関係を持ち、2人は急速に惹かれあっていく。
だが、警察に追われていることを知った祐一は、光代を連れて逃げ出す。

事件当夜、佳乃と約束していたが振られ、増尾とドライブに出かけた2人の後を追ったところ、路上に放り出されていた佳乃を助けようとするがきつく当たられ、衝動的に彼女を殺してしまった祐一。
全ての真実を光代に告白した祐一は、一旦は警察に自首しようとするが、光代に引き止められて逃げる事を決意する。

マスコミが押し寄せる祐一の実家には、悪徳商法に騙されてしまった祖母と寝たきりの祖父が残され、かつて祐一を捨てた母が文句を言いに来る始末。
また、事件のきっかけを作ったとも言える大学生の増尾は、佳乃との間にあった事を、友人たちに面白おかしく話していた。
それを見た佳乃の父は激昂し、増尾と仲間たちを激しく責め立てる。

祐一と光代は世間から離れ、灯台に隠れてひっそりと暮らしていたが、警察に見つかるのは時間の問題だった。

悪人 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2010年
  • 上映時間:139分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、ミステリー
  • 監督:李相日
  • キャスト:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり etc

悪人 ネタバレ批評

映画『悪人』について、感想批評です。※ネタバレあり

善と悪が描かれたストーリー

三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」をはじめ、共演が多い妻夫木聡と深津絵里のW主演作品。

殺人を犯した祐一は当然悪人として描かれているが、被害者である佳乃、祐一と一緒に逃げた光代をはじめ、登場人物全員の善と悪がしっかり描かれたストーリー。
また、祐一の祖母が悪徳商法に騙されたり、祐一を捨てた母と祖母との確執、増尾が故人を悪く言うのをよく思わない友人の鶴田との距離感なども描かれ、周りを固めることも忘れないしっかりしたストーリーになっている。

仲間内で増尾のかっこよさを絶賛して祐一をバカにしつつ、増尾に車から追い出されたところを助けた祐一をレイプ犯として訴えると息巻く佳乃。
亡くなった佳乃からのメールを仲間内で回し読みしたり、佳乃の父親をバカにした発言を続ける増尾は、同じような嫌悪感が漂う。
センセーショナルな事件を扱うジャーナリストたちが、年老いた祐一の祖母に群がって容赦なくインタビューする、無意識の悪意のようなものも垣間見えて、善と悪について考えさせられる。

セリフには物語の舞台でもある福岡県の方言が使われていてリアリティはあるものの、馴染みのない場合は意味が通じにくくて困る。

キャストの演技力の高さがすごい

妻夫木聡が演じた祐一の、感情が見えないうつろな表情から、スイッチが入ったように悪に突き動かされて殺人を行ったり、光代の首を絞めたりする変化には見るものを驚かせる迫力がある。
深津絵里が演じた光代の、おどおどした印象を受ける接客や妹に対しても卑屈になっているイメージから、ラストシーンで「彼は悪人だった」とタクシーの運転手に告げる表情への変化も見もの。
本当に嬉しそうにケーキを食べているシーンは、女性なら感情移入しやすい場面のひとつ。

祐一の祖母役には樹木希林、佳乃の父役には柄本明など、脇を固めるキャストもしっかりしていて、安心感がある。

感想まとめ

見る側に“悪人は誰なのか”という重要な部分を委ねた設定は放り投げた印象があるが、キャスト陣の演技力の高さや感情移入しやすい内容、完成度の高さによって“考える映画”に変化させた作品。

妻夫木聡と深津絵里の演技が高く評価され、モントリオール映画祭やブルーリボン賞、日本アカデミー賞でも多くの賞を受賞している。
2004年の「69 sixty nine」2006年の「フラガール」に続き、李相日監督も高い評価を得た。

見た後に「本当の悪人は誰だったのか」と考えさせられ、見る人それぞれ違う意見が出るような作品だが、鑑賞後のひと時も含めて楽しめるであろう内容。
性的描写が多いためにPG12指定作品になっており、12歳以下には保護者の助言等が必要とされるので注意したい。

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