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映画『悪人』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『悪人』の概要:ある殺人事件を通して人間の善悪とは何かを問うていく。原作者の吉田修一が自ら申し出て、李相日監督と脚本を共同執筆している。妻夫木聡、樹木希林、柄本明といった実力派キャストの演技が見もので、ヒロインの深津絵里はモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した。

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映画『悪人』の作品情報

悪人

製作年:2010年
上映時間:139分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ミステリー、ラブストーリー
監督:李相日
キャスト:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり etc

映画『悪人』の登場人物(キャスト)

清水祐一(妻夫木聡)
親戚が経営する会社で、解体作業員をしている。幼い頃母親に捨てられ、育ての親の祖父母と長崎の小さな漁村で暮らしている。唯一の趣味は車で、運転もうまい。孤独を埋めるため、出会い系サイトを利用している。
馬込光代(深津絵里)
佐賀の国道沿いにある紳士服店の店員。地元を出たことがない地味な女性。現在は妹と2人暮らし。本気で誰かと出会いたくて、出会い系サイトで知り合った祐一と会う。
清水房枝(樹木希林)
祐一の祖母。娘が捨てた祐一を、我が子だと思って育ててきた。病気の夫を抱え、優しい祐一を何かと頼りにしている。現在も漁港で働き、生活費を稼いでいる。
石橋佳乃(満島ひかり)
博多の保険会社の外交員。実家を出て、会社の寮で暮らしている。出会い系サイトで知り合った祐一と金目当てで肉体関係を持っているが、本命は金持ちの大学生の増尾。
石橋佳男(柄本明)
佳乃の父親。久留米で妻の里子と小さな理髪店を営み、ひとり娘の佳乃を大事に育ててきた。佳乃が実家を出ることには反対だった。
増尾圭吾(岡田将生)
福岡の大学生。実家は湯布院の老舗旅館。苦労知らずのわがままなボンボンで、人の気持ちがわからない。しつこくメールしてくる佳乃を鬱陶しがっている。

映画『悪人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『悪人』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『悪人』のあらすじ【起】

清水祐一はガソリンスタンドで給油が終わるのを待つ間、携帯に保存してある石橋佳乃の動画を見ていた。下着姿の佳乃の動画を見ても、祐一は無表情なままだった。

数時間前。博多で保険の外交員をしている佳乃は、久留米から出てきた父親の佳男に知り合いを紹介してもらい、契約をまとめる。佳男は娘と食事するのを楽しみにしていたが、佳乃に先約があるからと断られる。

会社の同僚と鉄鍋餃子を食べにきた佳乃は、これから増尾圭吾に会うのだと得意げに話す。増尾はお金持ちの大学生で、最近ナンパされて知り合った。しかし増尾は、佳乃のことなど全く相手にしていない。

同僚と別れ、佳乃が向かった場所には祐一がいた。出会い系サイトで祐一と知り合った佳乃は、金目当てで体を許していた。佳乃は車の運転とセックス以外に取り柄のない祐一を、つまらない男だと見下していた。

今晩も祐一は佳乃に会うため、長崎から車を飛ばしてきた。ところが、そこへ偶然増尾が現れる。佳乃は舞い上がり、増尾に媚を売る。増尾は、祐一がコケにされるのを面白がり、佳乃をドライブに誘う。佳乃は祐一を冷たくあしらい、大喜びで増尾と行ってしまう。バカにされた祐一は強い怒り感じ、増尾の車を追う。

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映画『悪人』のあらすじ【承】

翌朝。祐一はいつも通り仕事に向かう。長崎の小さな漁村で、祖父母と暮らしている祐一は、親戚が経営する解体業社で働いている。祐一は与えられた環境で、黙々と生きていた。

同じ頃、福岡と佐賀の県境にある三瀬峠で、若い女性の絞殺死体が発見される。警察は被害者を石橋佳乃と断定し、佳男の自宅へ連絡する。電話を受けた佳男と妻の里子は、身元確認のため警察へ向かう。佳乃の遺体を確認した佳男は、無言のまま頷く。外で待っていた里子は、夫の様子から全てを察し、その場に崩れ落ちる。

佳乃殺害の容疑者は増尾だと見られていた。マスコミは佳乃が出会い系サイトで知り合った男とも関係があったと報じており、佳乃を売春婦呼ばわりする人までいた。佳男と里子は二重に傷つき、やり場のない怒りを感じていた。

翌日、祐一の祖母の房枝を警察が訪ねてくる。房枝からその話を聞いた祐一は、佳乃の動画を削除する。その直後、祐一の携帯に馬込光代からメールが入る。

光代と祐一は以前出会い系サイトを通じてメールのやり取りをしたことがあった。光代は佐賀の紳士服店で働く地味な女性で、家と仕事場を往復するだけの自分に虚しさを感じていた。2人は翌日に会う約束をする。

光代は金髪の祐一を見て動揺するが、努めて明るく振る舞う。今日は祐一が好きな灯台までドライブする予定だった。ところが祐一はいきなり“ホテルへ行こう”と言い出し、光代を驚かせる。光代は戸惑いながらもホテルへ行き、祐一に体を許す。光代は遊びではなく、本気で出会いを求めていた。しかし祐一から金を渡され、深く傷つく。

映画『悪人』のあらすじ【転】

警察は、名古屋へ逃亡していた増尾の身柄を確保する。しかし増尾は犯人ではなかった。警察は、当日佳乃と待ち合わせをしていた祐一の行方を追う。

事件当夜。増尾の車に乗り込んだ佳乃は、機嫌よく喋り続けていた。増尾は佳乃を弄ぶつもりで車に乗せたが、彼女のニンニク臭さに閉口する。増尾は苛立ち、真っ暗な峠で車から降りるよう佳乃に迫る。困惑する佳乃に増尾は暴行を加え、車から蹴り出す。佳乃はガードレールで額を強打し、呻き声をあげる。増尾はそのまま走り去る。

警察からその話を聞いた佳男は怒りに震える。佳男は思わず里子に八つ当たりしてしまう。

光代が働く紳士服店に、祐一がやってくる。祐一は光代に謝りたくて、長崎から車を飛ばしてきた。祐一は先日のことを謝罪し、自分も本気だったと白状する。2人はこれからも会う約束をして、光代は幸せな気持ちで祐一を見送る。

長崎へ帰る途中、祐一の携帯に房枝から連絡がある。房枝は“警察が来ている”と祐一に伝える。それを聞いて、祐一はすぐに電話を切ってしまう。

部屋へ帰った光代は、車の音を聞いて外を見る。アパート前の駐車場に、別れたばかりの祐一の車があった。光代は慌てて外へ飛び出し、祐一に事情を聞く。しかし祐一は何も答えず、強引に光代を助手席に乗せて、車を急発進させる。

翌日。光代は同居する妹と職場に電話で断りを入れ、祐一に付き合う。光代は祐一が話す気になるまで待つことにする。祐一はとある漁港の食堂で、“人を殺した”と告白する。

事件当夜。増尾の車を尾行していた祐一は、佳乃が車から蹴り出されたのを目撃する。祐一は佳乃に同情し、家まで送ってやると声をかける。しかし佳乃は自分の惨めさと怒りを、祐一にぶつける。一方的に祐一を“人殺し”と罵り、レイプ犯に仕立て上げて訴えてやると叫び出す。カッとした祐一は佳乃の首を締め、そのまま殺してしまう。

光代に全てを告白し、祐一は自首しようとする。光代はこのまま祐一と離れるのがどうしても嫌で、祐一を引き止める。祐一は光代の願いを聞き入れ、再び逃亡する。

映画『悪人』の結末・ラスト(ネタバレ)

2人は途中で車を乗り捨て、祐一が行きたがっていた灯台へ身を寄せる。そこは目の前に海が広がる、陸の孤島のような場所だった。

マスコミは、祐一を逃亡中の殺人犯として報道し始める。房枝はマスコミに取り囲まれ、つらい思いをする。釈放された増尾は、友人たちの前で佳乃を笑い者にする。佳男は娘を置き去りにした増尾に謝罪を求める。しかし増尾に反省の気持ちなど微塵もない。佳男は“一生そうやって生きていけ”と捨て台詞を残し、里子の待つ自宅へ帰る。

何もない灯台で、祐一と光代は寒さと飢えに耐えていた。買い出しへ行くという光代に、祐一は“もういい”と告げる。光代は抑えてきた感情が爆発し、罪を犯さなければずっと一緒にいられたのにと祐一を責める。祐一は自分の性分を嘆き、光代と出会って佳乃に対する罪悪感が生まれ、だからつらいのだと告白する。2人は泣きながら固く抱き合う。

公衆電話を利用した光代は、警察に保護されてしまう。警察は祐一が光代を連れ回していると考えていた。光代は交番の窓から脱出し、無我夢中で灯台へ帰る。

祐一は遠くから走ってくる光代の姿を見つけ、泣きながら壁に頭を打ち付ける。そして灯台を飛び出し、光代を抱きしめる。光代は自分の無力さを嘆き、こうなったのは自分のせいだと泣きながら詫びる。警察は光代を追って、灯台周辺に集まっていた。

警察の気配を感じた祐一は、突然“俺はあんたが思っているような男じゃない”と告げ、光代の首を絞め始める。光代は床に押し倒され、苦しげにもがく。祐一は突入してきた警察に取り押さえられ、もみくちゃにされる。呆然としたままの光代の手を、祐一は必死で掴もうとしていた。

後日。光代は弔いの花束を持って、事件現場を訪れる。光代が花を手向けようとした時、ちょうど佳男がやってきて、光代は思わずタクシーへ戻る。運転手は佳男の姿を見ながら犯人を罵る。光代は“あの人は、悪人なんですよね”とポツリと呟く。光代はその時、あの灯台で祐一と一緒に見た、あまりに美しい夕日を思い出していた。

映画『悪人』の感想・評価・レビュー

殺人を犯してしまった祐一と、一緒に逃げようと誓った光代の間に、今までとは違った二人の関係性が変わっていき、儚く感じた。また、佳乃に暴力をふるい、そのまま車を走らせた増尾への憎悪を露にしていた佳男の気持ちや、孫を本当の我が子のように愛して育ててきた房枝の想いがとても共感した。悪人と善人の違いを分かりやすく表現しており、現実的にもありそうな事件や人の感情をまとめていたため、とても考えさせられた映画である。それぞれの人柄や気持ちを、細かく演じたキャストにも注目をよせた。(女性 20代)


親がいくら愛情を持って育てていても、殺人を犯してしまった彼と、彼と共に逃亡してしまった彼女には、その愛が伝わっていなかったのだろうか、と切なくなりました。2人とも「自分は孤独で、誰にも理解してもらえていない」と感じているけど、本当は、とても愛されているのに…。愛することを知った2人はとても尊いけれど、もっと早くに出会えていれば、誰一人として不幸にならなかったのに、と感じずにはいられません。

被害者側、加害者側それぞれにしっかり焦点が当たって進んでいく、重くて苦しいストーリーですが、深く考えさせられる作品でした。(女性 20代)


何事も、事実だけで物事を判断してはいけない。
犯人だけの問題ではなく、その原因を使った方にも責任がある。
誰が悪人で、誰にとっての悪人で、ある意味では全員が悪人なのだ。
人間のずるさに、嫌悪感を抱いた。
誰にでもそういう要素が含まれているのだと思う。
人間の感情や人間らしさ、見逃してはいけない部分も見事に表現されていて、善悪について心底考えさせられた。
「最近の人は大切な人が少なすぎる」という台詞が印象深い。
大切なことが沢山詰まっている作品。(女性 20代)


満島ひかり演じる佳乃は映画の前半少ししか出番が無いが、私にはもの凄いインパクトを残した。佳乃は被害者ではあるが、善人か悪人かで言ったら「悪人」だと思うのだ。妻夫木聡演じる祐一の「悪人」の部分を引き出してしまったのは彼女だからである。

深津絵里演じる地味な紳士服店員の光代が祐一に惚れて、手放さないとばかりに彼を守ろうとするが、最後祐一が警察に逮捕された際、タクシー運転手に言った「あの人は悪人なんですよね」という言葉には、光代にとっては善人である祐一が世間にとっては悪人であり、それを自分に納得させることで日常に戻っていく、光代のもの悲しさを表していると感じた。(女性 40代)


芥川賞作家、吉田修一の最高傑作を李相日監督が映画化したこの作品。「誰が本当の悪人なのか」を問う作品でした。出会い系サイトで知り合った男女のトラブルにより、殺人に発展した事件を長崎、福岡、佐賀を舞台に様々な人の視点から描いた作品です。登場人物の気持ちに共感できるかで作品を楽しめるかが変わってくると思います。
孤独な男とその男を愛してしまった女。綺麗に聞こえるかもしれませんが、なかなか共感できるものではありませんでした。人によって感じ方が変わる作品だと思います。(女性 30代)


佳乃や増尾のほうがよほど性悪に見え、祐一だけが悪いのか考えずにいられません。善悪は簡単に判断できるものとは限らず、立場やものの見方によって大いに変わるのだろうと思います。人の業の深さや醜さ、汚さ等をまざまざと見せつけられますが、同時に思いやりや愛もしっかり示してくれる映画です。樹木希林、満島ひかり、深津絵里、その他主演者全員の演技にプロの凄みを感じました。五島列島の灯台のシーンはロマンチックで、大変美しいです。(女性 30代)

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みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」をはじめ、共演が多い妻夫木聡と深津絵里のW主演作品。

    殺人を犯した祐一は当然悪人として描かれているが、被害者である佳乃、祐一と一緒に逃げた光代をはじめ、登場人物全員の善と悪がしっかり描かれたストーリー。
    また、祐一の祖母が悪徳商法に騙されたり、祐一を捨てた母と祖母との確執、増尾が故人を悪く言うのをよく思わない友人の鶴田との距離感なども描かれ、周りを固めることも忘れないしっかりしたストーリーになっている。

    仲間内で増尾のかっこよさを絶賛して祐一をバカにしつつ、増尾に車から追い出されたところを助けた祐一をレイプ犯として訴えると息巻く佳乃。
    亡くなった佳乃からのメールを仲間内で回し読みしたり、佳乃の父親をバカにした発言を続ける増尾は、同じような嫌悪感が漂う。
    センセーショナルな事件を扱うジャーナリストたちが、年老いた祐一の祖母に群がって容赦なくインタビューする、無意識の悪意のようなものも垣間見えて、善と悪について考えさせられる。

    セリフには物語の舞台でもある福岡県の方言が使われていてリアリティはあるものの、馴染みのない場合は意味が通じにくくて困る。

  2. 匿名 より:

    妻夫木聡が演じた祐一の、感情が見えないうつろな表情から、スイッチが入ったように悪に突き動かされて殺人を行ったり、光代の首を絞めたりする変化には見るものを驚かせる迫力がある。
    深津絵里が演じた光代の、おどおどした印象を受ける接客や妹に対しても卑屈になっているイメージから、ラストシーンで「彼は悪人だった」とタクシーの運転手に告げる表情への変化も見もの。
    本当に嬉しそうにケーキを食べているシーンは、女性なら感情移入しやすい場面のひとつ。

    祐一の祖母役には樹木希林、佳乃の父役には柄本明など、脇を固めるキャストもしっかりしていて、安心感がある。

  3. 匿名 より:

    見る側に“悪人は誰なのか”という重要な部分を委ねた設定は放り投げた印象があるが、キャスト陣の演技力の高さや感情移入しやすい内容、完成度の高さによって“考える映画”に変化させた作品。

    妻夫木聡と深津絵里の演技が高く評価され、モントリオール映画祭やブルーリボン賞、日本アカデミー賞でも多くの賞を受賞している。
    2004年の「69 sixty nine」2006年の「フラガール」に続き、李相日監督も高い評価を得た。

    見た後に「本当の悪人は誰だったのか」と考えさせられ、見る人それぞれ違う意見が出るような作品だが、鑑賞後のひと時も含めて楽しめるであろう内容。
    性的描写が多いためにPG12指定作品になっており、12歳以下には保護者の助言等が必要とされるので注意したい。