映画『イニシエーション・ラブ』あらすじとネタバレ感想

イニシエーション・ラブの概要:『イニシエーション・ラブ』は、乾くるみによる小説の映画化作。視聴者は騙されたまま、結末のどんでん返しに驚く。ラブストーリーだが、ミステリー要素のある作品。監督は『SPEC』シリーズなどを手掛けた堤幸彦。

イニシエーション・ラブ あらすじ

イニシエーション・ラブ
映画『イニシエーション・ラブ』のあらすじを紹介します。

80年代後半。静岡の大学の数学科に在籍するさえない大学生、鈴木夕樹。女性と付き合ったことは全くなく、免疫がない。しかし、人数合わせで呼ばれた合コンで知り合った女性、成岡繭子に恋をする。古典文学が好きな繭子とは小説の趣味は合わなかったが、本の貸し借りをするうちに仲良くなる。

夕樹の「夕」が「た」とも読めるので「たっくん」と呼ばれ、鈴木は繭子を「まゆちゃん」と呼ぶようになる。鈴木は初めて会った日から繭子にファッションに気を遣うように言われ、変身することを決意する。メガネからコンタクトに変えたり、洋服もオシャレなものを買ったり。

秋の頃、鈴木は繭子の自宅に誘われる。その夜一緒に過ごした二人は、初体験をする。それからも二人は何度もデートをし、クリスマスの日、キャンセルが出たホテルで食事を楽しんでいた。

季節はかわり、鈴木は会社でいい成績を出し、東京への転勤が決まった。繭子と離れ離れになってしまうが、毎週のように静岡に戻って繭子と過ごしていた。二人の関係は変わらないかと思われたが、鈴木は会社の女性、石丸美弥子のことが気になり始める。美弥子からも想いを告げられ、いけないと思いつつも東京と静岡で二股をかける。

それからしばらくその状態が続き、ある日繭子に妊娠したことを聞かされる。どうするか迷うが、堕胎することを選択する。美弥子の方に気持ちが傾いていた鈴木は、次第に静岡にあまり帰らなくなり、ある時とうとう繭子を「美弥子」と呼んでしまう。それをきっかけに、二人は別れてしまう。鈴木はクリスマスに予約していたホテルのディナーをキャンセルするのだった。

美弥子とクリスマスを過ごしていた鈴木は、繭子の様子が気になってしまい急遽静岡へ向かう。ホテルに着いた鈴木が目にしたものとは――?

イニシエーション・ラブ 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2015年
  • 上映時間:110分
  • ジャンル:ラブストーリー、ミステリー
  • 監督:堤幸彦
  • キャスト:松田翔太、前田敦子、木村文乃、三浦貴大 etc

イニシエーション・ラブ ネタバレ批評

映画『イニシエーション・ラブ』について、感想批評です。※ネタバレあり

前半と後半の空白に隠されたトリック

この映画の一番の見どころはやはり、ラスト数分だ。鈴木の二股に振り回され、妊娠堕胎まで経験した繭子は悲劇のヒロインと思われたが、ラストですべてが覆るのだ。

トリックをばらすと、大学生のさえない鈴木が繭子と出会っていい方向に変わっていくパート(A)と、鈴木が就職して東京に転勤し、会社の女性と二股をかけるパート(B)は同時進行だったのである。映画をはじめから見ていると、大学→就職と、時系列に並んでいるように思えるが、実は繭子は同時進行で二人の「鈴木」と付き合っていたのだ。繭子は先に社会人の方の鈴木と付き合いはじめ、名前が「辰也」だったため「たっくん」と呼ぶ。そして合コンで出会った鈴木と親しくなり、名前は「夕樹」だったが無理やり「たっくん」と呼ぶことで、万が一呼び間違えてばれることがないようにしている。ラストで二人が初めて対面して、視聴者も真相を知る。原作では、ラストで美弥子が社会人の鈴木を「辰也」と呼ぶので、それがネタ明かしとなるが、映画ではさらにわかりやすく二人を対面させている。

持ち上げすぎなキャッチコピー

「あなたは必ず二回観る」だとか、「最後の五分、全てが覆る」と、観る前からやたらミステリーの巧妙さばかりが大げさに宣伝され、視聴者の期待はぐんぐん上がったと思う。確かに面白いミステリーだったと思う。ただ、これだけハードルを上げておいて、視聴者はどれほど巧妙なストーリーなのかと構えてみることになる。だから注意深く観ていれば途中で既に真相に気付くし、それに気づいてしまうともう大した映画とも思えない。蓋を開けてみれば、一人の女が同時に二人の「鈴木」と付き合っていた、これだけのシンプルなストーリーだ。事前に持ち上げすぎるのもいかがなものかと思った。

イニシエーション・ラブ 感想まとめ

この作品は映像化不可能と言われていたらしい。小説なら顔はわからないのでいくらでも読者を騙せるが、映画となるとそうはいかない。観客を騙しながらどう別人の二人を描くかが難しいのである。さえない方の鈴木は太っていて、繭子のために痩せる、というところで一応別人として描き分けているのだろう。でも結局どっちの鈴木も松田翔太なので、不自然な出来になってしまっている。

前田敦子演じる繭子の最後の表情は、これまでかわいそうだと思って観ていた観客にとっては二人の鈴木と同様に騙されていたわけで、小悪魔だな~!と思える良い表情で思わず苦笑いしてしまう。

さすが堤監督、ラストはしっかり説明してくれ、「結局どういうことだったの?」と感じることなく理解できるようになっていた。

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