映画『駆込み女と駆出し男』あらすじとネタバレ感想

駆込み女と駆出し男の概要:「わが母の記」や「クライマーズ・ハイ」などで知られる原田眞人監督の最新作。井上ひさしの「東慶寺花だより」を原作に、大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかりを迎えた人情時代劇。

駆込み女と駆出し男 あらすじ

駆込み女と駆出し男
映画『駆込み女と駆出し男』のあらすじを紹介します。

天保十二年。鎌倉の東慶寺は幕府公認の縁切り寺として知られていた。離縁を求めた女が東慶寺に駆け込み、尼として暮らすのだ。東慶寺の門前で縁切りの意志を示したあと、御用宿にて聞き取りが行われる。

ある日、縁切りを求めて、じょご(戸田恵梨香)とお吟(満島ひかり)という二人の女が東慶寺を訪れる。柏屋で聞き取り調査を行ったのは、医者見習いでありながら駆け出しの戯作者でもある信次郎(大泉洋)であった。主人の源兵衛(樹木希林)は二人に離縁までの流れを説明し、お吟は最高位の格付料を、じょごは最も下位の格付料を支払い、入山することとなった。

山で二年間の修業を行えば、旦那は必ず離縁に応じなければならない。駆込み女と駆出し男の人生はゆっくりと、奇妙に交錯していく。

駆込み女と駆出し男 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2015年5月
  • 上映時間:143分
  • ジャンル:時代劇
  • 監督:原田眞人
  • キャスト:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名 etc

駆込み女と駆出し男 ネタバレ批評

映画『駆込み女と駆出し男』について、感想批評です。※ネタバレあり

役者陣の演技が光る

しばしば日本映画をこき下ろすものの意見として役者の演技が拙いというものがある。しかし、本作をみればその考えが間違ったものであることがわかるだろう。ヒロインであるじょごを演じる戸田恵梨香についても同様である。彼女は役者として幅広く活躍しているものの、これといった立派な代表作には恵まれていなかった。もちろん、彼女の名が世に知れ渡ったのは間違いなく「デスノート」である。しかし、あの作品の評価は決して高いものではなく、ましてや役者としての戸田恵梨香の評価を高めるものでは少なくとも無かったはずである。しかし、本作の戸田恵梨香は全く違う。キャラクターが背負っていう運命や不条理をまさしく体現し、観客は彼女に感情移入せざるを得なくなる。もちろん、監督の演出力やまわりの役者陣とのアンサンブルが本作の評価を一段と高めているのは言わずもがなであるが、それに応えることができるポテンシャルを戸田恵梨香が秘めていたということは一観客として素直に喜ぶべきことである。

また、主演の大泉洋の存在も素晴らしい。まさしく「喜劇」を現代日本映画で正しく演じられる数少ない俳優である。周りを見回せば、過剰な演出で役者が変顔で意味不明なことを絶叫する邦画が多い中、大泉洋は抑えながらも観客の笑いを誘う演技力の持ち主である。言うなれば、「幕末太陽傳」におけるフランキー堺のようである。

突飛な演出をどうとるか

本作では、明らかに物語のトーンから逸脱した演出が何箇所か見られる。これをどうとるかで、観るものの評価が多少変わってくることは確かである。例えば、源兵衛を演じた樹木希林。原作では名前の通り、源兵衛は男性キャラクターであるが、なぜか映画では女性になってしまっている。これに対する論理的な理由付けはない。また、ひとりの尼の想像妊娠が発覚する下りでの、過剰な下ネタギャグなどもその一例である。原田眞人監督作品において、そういう要素がいままで見られた訳ではないため、作家性で片付けるわけにもいかない。何となく三池崇史を意識したような気はするのだが。

しかし、おそらくこの演出については作品の愛嬌とも言える部分で必然性のあるものではないだろう。この辺りをさらっと流して見れば、全体の良いリズム感に身をおもねることができるだろう。

駆込み女と駆出し男 感想まとめ

良い映画は必ず観客に「おみやげ」をくれるものである。それは時に観客の心にずっとのこり続ける感動であることもあるし、恐怖であることもある。例えば、「リング」を例に挙げてみよう。劇中に登場する「呪いのビデオ」は恐怖の対象であるが、あの映画が真に恐ろしいのは鑑賞後の日常にまで恐怖が侵食するからである。今でこそ少ないが、当時は「呪いのビデオ」よろしく、タイトルも何も書かれていない真っ黒なビデオテープが一家に一本はあったのだ。それがふと目に入った時、映画と日常がオーバーラップするのである。

本作もちゃんとおみやげを残してくれる。それは役者陣の持つしなやかな演技の強さのおかげでもあるのだが、シネフィルとしても知られる原田監督らしく、過去の映画の引用にも飛んだ作品であるので、そこを掘り下げる楽しみもあるのだ。

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