『風立ちぬ』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

日本アニメーション界の王様・宮﨑駿の引退作。堀辰雄の小説『風立ちぬ』と零戦を設計した堀辰雄、そして宮崎の父や宮崎本人を反映させた男・堀越二郎を主人公に、彼が生きた昭和初期、ファシズムへ向かって突き進んでいく日本を描く。

あらすじ

風立ちぬ』のあらすじを紹介します。

地方の立派な日本家屋に住む堀越二郎。彼は飛行機が大好きで、よく飛行機に乗る夢を見ていた。しかし彼は近眼で目が悪く、絶対に操縦士になることはできなかった。いつしか彼は飛行機の設計士になることを夢見るようになり、彼の夢の中にイタリアの戦闘機設計士・カプローニが登場するようになる。成績優秀だった堀越は東京帝国大学に入学し、設計士になるべく勉強に励んでいた。そんなある日、彼が地元から東京へ帰っている電車の中で菜穂子という少女と出会った。彼女と軽い言葉を交わした後、あの関東大震災がやってきた。菜穂子と彼女の家の女中を助け、彼女たちの前からさっそうと去っていった。時は過ぎ、堀越は同級生の本庄と共に三菱重工業に入社し、飛行機設計士になる夢を叶えたのだった……。

評価

  • 点数:100点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2013年7月20日
  • 上映時間:126分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:宮崎駿
  • キャスト:庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、スティーブン・アルパート etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『風立ちぬ』について、3つ考察・解説します。※ネタバレあり

なんで主人公を庵野秀明が演じるの?

『風立ちぬ』で最初に話題になったのは、エヴァンゲリオンシリーズで知られる監督・庵野秀明が主人公の西友を務めたことでしたね。声優初心者の彼がなぜ大抜擢されたのか?それは、主人公の堀越二郎という男がめったに感情を表に出すことがなく、何を考えているかわからない人だからです。声優や有名な俳優が声優を務めると堀越二郎という男に人格を芽生えさせてしまうので、素人の棒読みでなければいけなかったのです。

軽井沢で登場するドイツ人は何者?

彼が何者なのか?様々な説がありますが、一番有力で説得力があるのは、彼がリヒャルド・ゾルゲだという説です。ゾルゲは日本で暗躍したソ連のスパイで、日本の同盟国・ドイツ人のふりをしてスパイ活動を行っていました。彼と堀越が合唱した曲を覚えていますか?あれは『会議は踊る』というドイツ映画の主題歌『ただ一度だけ』という曲です。

一番最後のシーンは何?

ラストシーンについての解釈もたくさんあるんですよね。映画評論家・町山智浩氏の説(というか結論ですが)によれば、あれはダンテの『神曲』における煉獄だということです。あれは堀越二郎の妄想でも夢でもなく、天国と地獄の間だったんです。
菜穂子が「生きて…」というセリフを言いますが、あれは絵コンテ、つまり宮﨑駿流の『脚本』では「来て…」というセリフでした。つまり、菜穂子は天国からの使者でした。二郎を迎えたカプローニはさすれば地獄からの使者であったということ。二郎は菜穂子の姿を見て涙ながらに感謝の意を告げ、カプローニとワインを飲みに行きますよね。画面的には、下。丘の向こう側へ並んで歩いて行きました。つまり、どういうことか。分かりますね?

まとめ

この映画にはあらゆるシーンで異なる解釈を考えることができます。そこが私が気に入っているところで、日本を舞台にした日本人の話なのにここまで何を考えているのか、今のシーンが何なのかを理解するのに時間がかかる映画はないんです。ただ、筋は通っている。本庄は自己中心的な思考で行動しているし、菜穂子は二郎に気に入ってもらうために自分を演出することをためらいません。
私は劇場で5回『風立ちぬ』を見て、全てで号泣してしまいました。それぞれ異なる解釈が頭のなかに浮かんできて、毎回泣いていたんです。不思議な映画ですよ。とんでもない魅力を持った映画です。私は『風立ちぬ』を題材にして文章を書け!と言われればいくらでも書ける自信があります。書く間に何度も何度も映画を見なおさなきゃいけないので、それもまた楽しみ。私はここまで思ってしまうほどハマりました。
ただ、ダメな人にとってはとことんダメな映画に違いありません。劇中に説明は全く無いので、理解できないことがストレスになる人には向いていません。それでも宮﨑駿の引退作なのですから、すべての人に見ていただきたいですけどね。映画は素晴らしいなと築かせてくれる大傑作です。

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