映画『幕が上がる』あらすじとネタバレ感想

幕が上がるの概要:劇作家として知られる平田オリザの原作を「踊る大捜査線」シリーズなどで知られる本広克行監督が、人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」を主演に迎え映画化。

幕が上がる あらすじ

幕が上がる
映画『幕が上がる』のあらすじを紹介します。

演劇部に所属する高橋さおり(百田夏菜子)は、年に一度の演劇の全国大会で地区予選を突破することを夢見ていた。ある日、強豪校の演劇部に所属していた中西悦子(有安杏果)がさおりの学校へ転校してきた。演劇部に所属することを渋る悦子だったが、さおりの強い要望に心動かされ、さおりの所属する演劇部の発表を見に行くことになる。

そんな最中、新任の女性教師である吉岡(黒木華)がさおりの学校へ赴任する。ひょんなことから、吉岡がかつて学生演劇の世界で名を轟かせていたことを知ったさおりは、自分たちの演劇部に吉岡先生を顧問として迎えようと画策する。はじめの内こそ乗り気ではなかった吉岡であったが、さおりたち演劇部の情熱に押され、顧問となる。しかし、そこで吉岡が提示した目標は次の大会で地区予選を突破するだけでなく全国大会を目指す、というものだった。

新たなメンバーや顧問を迎え、演劇に青春を捧げた彼女たちの奮闘が始まる。

幕が上がる 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★☆☆☆
  • 演出:★★☆☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2015年2月
  • 上映時間:119分
  • ジャンル:青春
  • 監督:本広克行
  • キャスト:百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果 etc

幕が上がる ネタバレ批評

映画『幕が上がる』について、感想批評です。※ネタバレあり

2015年の「アイドル映画」

本作においていろいろとリアリティのなさというものが目立つが、おそらくこれは意図的なものであるといえるだろう。簡単に地区予選を突破しすぎ、とか高校生なのに恋愛の匂いがない、とかこういった特徴は一般の青春映画では単なるウィークポイントに過ぎないが、本作は青春映画である以前にアイドル映画でもあるのだ。ももクロというアイドルをたてるために、本作においてはある程度の無菌漂白化は避けられないのだ。しかし、それに加えて本作では実際のももクロにも共通するような要素が散りばめられている。例えば2011年の早見あかりの脱退。これは本作における吉岡先生の行く末とだぶるように作られている。吉岡先生は最終的に学校を辞め、再び自分が信じる演劇の世界に身を投じるのだが、それを単なる身勝手とは描かず、行く先こそ異なれど心の向かう先は同じというバランスで描いているのだ。これはまさにメンバーの脱退という実際のももクロが経験したことと重なるのだ。

脚本に喜安浩平という名采配

演劇に取り憑かれたひとを描く上で演劇に精通した人物を脚本に起用するというのは簡単に考えつく作戦であるが、本作では演劇の世界で活躍する喜安浩平を起用している。喜安浩平は声優としても活躍しており、まさに演じるという行為にさまざまな角度から向き合っている人物である。加えて彼は「桐島、部活やめるってよ」の脚本も手がけていることからも、何かにとりつかれた人間を客観的な視点から描くということに長けている人物であるといえる。本作で描こうとしている要素を最大限に活かせる素晴らしい人物配置である。

不要な演出が目立つ

ここまでは主に良いポイントを指摘してきたが、最後にマイナスポイントを指摘する。それは主に演出面についてである。

さおりの夢シーンやところどころ挿入されるメタ的小ネタの数々など、どう考えても物語のテンションからそれた演出が明らかにノイズになっている。すなわち監督の責任である。堤幸彦などについても言えることであるが即物的なギャグだけに物語の陽性さを担わそうとするのはお世辞にも賢明な判断とは言えない。

幕が上がる 感想まとめ

監督の本広克行の演出技法についての疑問が残る結果になってしまったが、ひょっとすると制作側はももクロと本広監督を掛け合わせることで生じたかもしれない化学反応に賭けたのかもしれないともいえる。

アイドル映画はときに一般映画においては不要と思われるような演出のお陰でその存在をより強固なものにすることがある。それはその映画に登場するキャラクターとそれを演じるアイドル自身との間にある「ほつれ」が魅力となるからである。

しかし、本作では本広監督の奇抜な演出はももクロをたてるというよりは本広克行という自分自身にフォーカスを当てようとしているために単に嫌味にしかなっていないのである。

理想を言えば、大林宣彦監督あたりが撮った「幕が上がる」を見てみたいという思いも私の中にあるのは事実である。

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