映画『みなさん、さようなら(2012)』あらすじネタバレ結末と感想

みなさん、さようなら(2012)の概要:第一回パピルス新人賞に輝いた、久保寺健彦による青春小説を映画化した今作の監督を務めるのは、今年公開した「殿、利息でござる!」でも話題を集めた中村義洋。社宅からでないことを決めた悟と、彼を取り巻く人々の物語です。

みなさん、さようなら あらすじネタバレ

みなさん、さようなら
映画『みなさん、さようなら(2012)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

みなさん、さようなら あらすじ【起・承】

悟少年は、社宅が大好きです。小学校の同級生は皆社宅に住んでおり、昼も夜も彼らと一緒にいられるからです。
しかし春から通う中学校には、学区の違う子どもたちも大勢集まります。
そこで彼は、社宅から出ずに生活していくことを決めます。社宅の安全と平和を守ることが自分の使命だと、強く信じるようになります。
看護師で、何事にも寛容な母は、これを許します。中学校の担任は何度も説得に訪れますが、悟の決意は変わりません。
同級生たちは、そんな悟のことを変なやつだと笑いながらも、変わらず仲良くしてくれます。
社宅には、商店街も郵便局も派出所だってあります。コマーシャルでは、社宅から出ずに生活できると声高に謳っています。悟の生活は順風満帆のはずでした。

しかし登校したこともない中学を卒業して、いざ前から目をつけていた社宅内のケーキ屋に就職しようと店を訪れた悟に、店長は雇う余裕はないと突っぱねます。
同じころ、悟のかつての同級生たちは続々と社宅を出て行っていました。社宅生活はかつてのような夢の暮らしではなくなり、社会ではマイホームにあこがれを持つ世帯が増えていたのです。
それでもケーキ屋をあきらめきれない悟は、店長の無理難題を何とかこなし、就職することになりました。

みなさん、さようなら あらすじ【転・結】

悟の隣の部屋には、同級生の有理の家族が暮らしています。彼女は有名な優等生でしたが、悟と話すベランダでは、隠れて煙草を吸っていました。口数の少ない彼女には、悟にも言えない悩みがあるようでした。
女の子を意識する年齢になり、有理を気に掛ける悟でしたが、彼女はなかなか心を開きます。体を触らせてくれても、すんでのところで悟を止める彼女に、悟はもやもやする思いを募らせます。

ケーキ作りも板についたある日、悟は運命の女性と再会します。名前は早紀。小学校の同級生であり、社宅内の保育園で働くために学校に通っていると打ち明けます。初恋の彼女との再会に浮かれる悟は、なんとか早紀との交際まで漕ぎ着けます。
しかし早紀は、頑として社宅を出ようとしない悟との社宅内で終わる人生への覚悟ができず、悟からのプロポーズを断ってしまいます。

そんな時、社宅にブラジル人家族が越してきます。見た目は完全にブラジル人でも、流暢に日本語を話す少女マリアとひょんなことから仲良くなった悟は、マリアの母親の恋人から襲われそうになっていた彼女を決死の想いで救い出します。悟の、平和を守るという決意はまだ、胸の奥にあったのでした。

しかしそんなある日、母に病気が発覚します。悟以外に頼る家族のいない母は無理をして、急死してしまいます。彼女の遺書には、団地から出られるようになったら、故郷の海に骨をまいてほしいと書かれていました。

ある朝、悟は決意します。社宅を出て、母の故郷へ旅立つ決意です。
その一歩は、彼にとってかけがえのない一歩となったのです。

みなさん、さようなら 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2012年
  • 上映時間:120分
  • ジャンル:コメディ、ラブストーリー、青春
  • 監督:中村義洋
  • キャスト:濱田岳、倉科カナ、永山絢斗、波瑠 etc

みなさん、さようなら 批評・レビュー

映画『みなさん、さようなら(2012)』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

濱田岳×中村義洋

アヒルと鴨のコインロッカー」、「ポテチ」に引き続き、三作目となる濱田岳×中村義洋のコンビが送る青春映画です。
映画界ではよくある話として、監督には誰でもお気に入りの役者がいます。
たとえば、「誰も知らない」以降カンヌ常連の是枝監督は樹木希林さんを多く起用していますし、世界のクロサワこと黒澤明監督は三船敏郎さんとのタッグが有名です。
数多くの作品を共に製作することで、チームワークももちろんですが、役者に最適な配役が見えてきたり、役者からストーリーが浮かぶことも多いようです。

今作でも、息の合った監督と俳優らしく、変わった設定の変わった役ながら、まるで濱田岳さんのために用意された役柄のように馴染んでおり、違和感なく物語に入り込むことができます。主人公・悟少年のとぼけたキャラクターが愛おしいからこそ、この映画はこんなにも愛らしいのだと思います。

狭い世界の愛おしさ

この映画の中で、社宅から出ようとしない悟を責める人間はとても少ないのも特徴のひとつです。これは確かに、社宅に固執する少年が大人になり社宅を出られるようになる日までを描く成長物語の側面も持っていますが、狭い世界をしっかりと守ろうとすることの大切さも、同時に描かれているように感じられてなりません。
それは、悟が社宅全体を「家族」のように感じているからにほかなりませんし、誰かを大切にする思いの強さに、観客は強く心を打たれるのでしょう。

コミカルな劇中音楽

今作は全編を通して、悟のとぼけたキャラクターに似合いの緩いコメディタッチなのですが、それを盛り上げるのが、童謡のように明るくコミカルなBGM。まるで教育テレビのアニメーションのような、印象に残るサウンドは、この映画にぴったりです。

みなさん、さようなら 感想まとめ

今作で取り上げられる社宅は、現代のマンションやアパートとは少し毛色の違う、全体で共同生活をしている意識のある住空間だったのだな、と今作を鑑賞し改めて感じました。たとえるなら江戸時代の長屋のような場所でしょうか。
人付き合いは煩わしいとされ、隣に住んでいるのがどんな人間かも知らないような現代、今作で描かれる世界は、少しだけ眩しく映ります。何かトラブルがあったときに頼れる他人の存在は、とても尊いもののように思えるのです。
あなたには、そんなご近所さんがいるでしょうか?

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