映画『野火(2014)』あらすじネタバレ結末と感想

野火(2014)の概要:2015年の日本映画。1959年に市川崑により製作、公開された題材を塚本晋也が新たに製作したバージョン。フィリピン戦線で肺の病に犯された主人公が劣悪な環境の中、一人で孤独の中戦い抜き精神的に限界を迎えていく物語。

野火 あらすじネタバレ

野火
映画『野火(2014)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

野火 あらすじ【起・承】

第2次世界大戦中のフィリピン・レイテ島。
敗戦が見えてきている日本軍がまだそこでは戦っていた。
1等兵の田村(塚本晋也)は肺病を患い、上官に野戦病院に行くように指示される。
しかし実際に病院に行くと、そこでは死ぬか生きるかという程の怪我をした兵士ばかりで食料も少なく、田村は医師から帰宅するよう命じられた。

陣営に戻るが戦力にならない田村を、上官は何故戻って来たのかと病院に送り返す。
そのやり取りを何度もされた田村は、部隊に戻りにくい状況下で悩む。

ある日野戦病院の近くで兵士二人組に出会う。
安田は足を怪我し、永松という男を僕のように利用していた。
田村に気がついた永松は、田村の持っている食料の芋を盗もうとしている。
そんな時、野戦病院は攻撃に遭い燃えて無くなってしまった。

一人島をさまよい始めた田村は、ある小さな村を見つける。
その村には教会があり、田村は入ってみることにする。
椅子でうたた寝をした田村が目を覚ました時、近くの水辺で遊んでいた若い男女がその教会に入ってきた。
ただマッチをくれないかと頼んだ田村だったが、女性が殺されると思い発狂し始めてしまう。
その気は無かった田村だったが女が騒ぎ続けるため、思わず銃で撃ち殺してしまった。
連れの男性は逃げていった。
教会の地下倉庫には塩があり、田村はその塩を手にしてその場を離れた。

その後田村は、偶然生き残った3人の日本兵から自分の隊が全滅し、残った兵士はパロンポンに集合するという命令が下っていることを知った。
そこから船で帰国出来るというのだ。
田村が持っている塩に気がついた伍長は、頼りなさそうな肺病ではあるが仲間にすることを決める。
彼らの態度は横柄ではあったが、頼れそうなものでもあった。
そして笑いながらではあるが、別の戦場では人肉を食ったとも言っている。

野火 あらすじ【転・結】

パロンポンは決して近くは無い。
しかも密林の中を歩いて行くため、敵の目を気にしながらの歩行は苦しかった。
次第に日本兵の死体も増え、事態は緊迫してきていることを肌で感じる。
そんな時、安田と永松に再会する。
彼らはまだ煙草と食べ物を交換する行為を行っていた。

ようやくこの丘を登ればパロンポンである。
しかし丘の上は平原になっているため、空からは目に付きやすい。
敵の目を欺くことは難しいのだ。
伍長達に言われるがまま夜を待つ田村。

夜が来た。
いざパロンポンに向けて丘を上り始める日本兵だったが、案の定、敵からの攻撃が始まった。
逃げる場所が無い兵士達はほぼ全滅に近かった。
かろうじて生き残ることが出来た田村は、瀕死の重傷を負った伍長を見つける。
伍長は「自分が死んだら自分の腹の肉を食っても良い」と田村に言った。
伍長が死んだ後、田村は幻覚を見てしまう。
飢餓状態の中、田村は再び現れた永松に水と猿の肉をもらうことが出来た。

その後田村は再会した安田に、言葉巧みに自分の所有していた手榴弾を奪われる。
しかもそれを田村に投げつけてこようとしたため、田村は急いで逃げた。
しかし手榴弾は田村の片腕をかすめてしまう。
田村の腕の肉はもぎとられるが、田村は何とそれを口に入れた。

永松は田村に安田を殺して肉を食らおうと提案する。
どうしたら良いか悩む田村をよそに、永松は安田を撃ち殺しその肉を解体し食らいつく。
田村はそんな永松に銃を向けた。

生き延びた田村は日本の自宅で手記を執筆中である。
その後ろ姿は危機せまるものがあり、狂気さえ感じる。
あの時の思い出を鮮明に覚えているのだった。

野火 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2014年
  • 上映時間:87分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
  • 監督:塚本晋也
  • キャスト:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作 etc

野火 批評・レビュー

映画『野火(2014)』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

見る必要があるかどうか

本作品はしんどい作品である。
戦争映画が好きな人や、グロい作品が好きな人には好評価であろう。
しかし、そもそもこの作品を見る必要があるのかどうかと問われると、必要性は無い。
もっというと何の特も無い映画である。

確かにリアリズムを追求し、戦争と言うものを的確に表現しているのかもしれない。
芸術としても評価されるのに値するのであろう。
ただ見ていると気持ちのよいものではないし、娯楽作品としての映画では全く無い。
早送りしたくなるほどのグロさである。
果してここまでの描写が必要なのかどうか。
これは意見が別れるところであろう。

塚本晋也の演技力には圧巻

上記のような演出上の凄さはあるが、塚本晋也の才能は確かである。
監督も主演もこなした彼の卓越した能力は圧巻であった。

特に上司に翻弄されるオドオド感を出していた冒頭。
次第に精神的に疲弊していきながら、それ以上に場になれてタフになっていくように見える、曖昧な人間像のようなものを使い分けているのが上手かった。
人間の狂気のようなものをリアルに演じ分けているのだ。

また、戦争の恐怖を敵とではなく味方同士、自分との戦いとして描くことで規模が小さくなりがちな作品も、余計に恐怖心を仰ぐように仕上げているのもさすがである。

野火 感想まとめ

戦争映画は嫌いだ。
どの映画を見てもハッピーエンドで終わる物は無く、個人的に血を見るのが嫌いな自分には不向きなジャンルである。
本作品はその頂点を極めた作品であった。

リアルさを追求するあまりなのだろう。
極限状態の人間の心理状態を描いているだけではなく、目をそらしたくなるような描写が多い。
とてもじゃないがお茶の間で暇な時間に見るような作品では無いのだ。

二度とみるわけもない作品ではあるが、この作品の凄さは認める。
好き嫌いに関係無く見れば戦争を後世に伝えていく貴重な作品であることは間違い無いだろう。

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