映画『たそがれ清兵衛』あらすじネタバレ結末と感想

たそがれ清兵衛の概要:『たそがれ清兵衛』は、藤沢周平の短編小説である同名小説と、これを表題作とする二つの短編小説を原作とする、山田洋次監督の映画。幕末のとある下級藩士の家族愛と人生を描く。

たそがれ清兵衛 あらすじネタバレ

たそがれ清兵衛
映画『たそがれ清兵衛』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

たそがれ清兵衛 あらすじ【起・承】

幕末。海坂藩の下級武士井口清兵衛は、労咳で妻を亡くし、幼い娘二人と痴呆症の老いた母の四人で暮らしていた。禄高はたった50石。御蔵番の仕事だけでは生活することもままならず、内職をしながら細々と生活している。
そんな事情もあり、いつも身なりは汚らしく、また夕刻の鐘が鳴ると仲間の誘いも断って真っ先に帰宅するために「たそがれ清兵衛」という渾名を付けられていた。
その身なりのひどさは、藩主に咎められ城中の噂にのぼるほどだったが、清兵衛本人はそれほど自分の身なりや暮らしを気にしてはいなかった。

ある日、帰宅すると上品で美しい女性が出迎えた。彼女は清兵衛の友人である飯沼の妹の朋江だった。朋江とは清兵衛が幼いころ遊んだ幼馴染の関係でもあった。朋江が酒癖の悪い夫と離縁したことはその日飯沼から聞いていた。

清兵衛の家で二人の娘たちも一緒に楽しい時を過ごした帰り、朋江を送っていくと飯沼家に朋江の元夫である甲田が来ていた。酔った甲田は暴れ、飯沼に果し合いを申し出たが、剣の腕が立つ清兵衛が代わりに買って出た。

果し合い当日。居合の名人と言われる甲田に、清兵衛は棒切れ一本で挑み、あっさりと打ち負かしてしまった。この噂はすぐに城中に広まる。

たそがれ清兵衛 あらすじ【転・結】

朋江はしばしば井口家に来ては世話をし、二人の娘とも仲良く接してくれた。
朋江の兄飯沼は、妹が清兵衛を想っていることを知り、彼女を清兵衛に嫁がせたいと申し出た。しかし、井口家と飯沼家では家の格が違う。たった50石の平侍と140石のお嬢様では、と清兵衛は断ってしまう。
それから朋江の訪れはなくなった。

その頃、藩では城主が若くして亡くなり、後継ぎが定まると藩の旧体制藩士への粛清が始まった。その内の一人、余吾善右衛門は切腹を命じられるが拒否し、自宅に立てこもってしまう。藩は討手をやるが、一刀流の善右衛門に全く歯が立たず、ついに清兵衛が上意討ちを命じられる。

藩命となれば、身なりも整えなければならない。だが一人ではどうにもならず、焦った清兵衛は朋江を呼ぶ。
朋江は快く引き受けてくれた。清兵衛はこの時、朋江への秘めた想いを打ち明けた。まだ遅くなければ妻になってほしいというが、朋江の縁談はもう既に進んでいた。
朋江は「戻る頃にはここにはいないが、無事でいてほしい」と言って清兵衛を送り出した。

善右衛門の屋敷で、長い果し合いの末清兵衛は善右衛門を討った。
傷を負って家族が待つ自宅へ戻ると、そこにはいないはずの朋江が待っていた。

その後、清兵衛は朋江を妻に迎えて幸せに暮らしたが、それは長くは続かなかった。戊辰戦争で官軍に撃たれた清兵衛は亡くなる。

たそがれ清兵衛 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2002年
  • 上映時間:129分
  • ジャンル:時代劇、アクション、ヒューマンドラマ
  • 監督:山田洋次
  • キャスト:真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、大杉漣 etc

たそがれ清兵衛 批評・レビュー

映画『たそがれ清兵衛』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

藤沢周平の作り出した世界

舞台となる庄内地方の海坂藩とは、藤沢周平の作品に登場する架空の藩。小国で、東北の田舎らしくのどかな印象のある美しい城下町である。藤沢周平作品はここを舞台としたものが多く、下級藩士が主人公となることが多い。
実際の歴史と関わる事柄もあるが、時代小説なのでほとんどはフィクションである。今回の映画では幕末という設定だが、原作では直接どの年代との明記はないものの、おそらく江戸中期であろうと思われる。

原作との相違点

この映画は、短編集『たそがれ清兵衛』のうち表題作の「たそがれ清兵衛」と「祝い人助八」、他の短編「竹光始末」を合わせたストーリーとなっていて、ストーリーの主軸はほとんどが「祝い人助八」である。「たそがれ清兵衛」から取られたのは、病気の妻がいる下級藩士という設定、上意討ちを命じられることくらいである。
どの部分がどの作品の場面なのか、注目しながら楽しんで観たが、山田洋次監督のオリジナル要素もあった。清兵衛の二人の娘である。映画ではこの二人の娘、そして年老いた母との家族愛にかなり重点を置いていたように思う。そこがこの映画の良さでもあり、山田洋次監督の過去の作品を思い返してみてもやはり家族愛をテーマにしたものが多いので、監督らしい演出と言える。
原作の「祝い人助八」は、この映画の清兵衛から家族を除けばそのままのストーリーで、それはそれで面白い傑作だが、山田洋次監督の演出により新しい藤沢周平作品の傑作が生まれたと思う。

たそがれ清兵衛 感想まとめ

山田洋次監督にとっては初の本格的な時代劇だったらしく、苦労は多かったようだ。設定の変更もあり、時代考証は大変だったと思うし、藤沢周平作品の斬り合いのシーンはなかなか再現が難しいように思う。時代小説の中でも、立ち合いを事細かく表現するのは他に類を見ないほどで、これが藤沢周平作品が愛される一つの理由でもある。そこを本当に素晴らしく表現しており、監督、そして主演の真田広之や田中泯らがどれだけ努力し演じたかが分かる。

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