映画『ツナグ』あらすじネタバレ結末と感想

ツナグの概要:『ツナグ』は、辻村深月の同名小説の映画化作。死者との絆を描くファンタジーテイストの作品。「ツナグ」は、死んだ人に一度だけ会わせてくれる。「ツナグ」の見習いを松坂桃李が演じる。

ツナグ あらすじネタバレ

ツナグ
映画『ツナグ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

ツナグ あらすじ【起・承】

死んだ人に一度だけ会わせてくれる「ツナグ」という人物がいる。都市伝説のようなうわさがある。
その「ツナグ」は、まだ高校生の少年・歩美。祖母のアイ子から引き継ぐための見習い中である。依頼者は半信半疑だが、亡くなった母に土地の権利書の場所を聞くために彼に頼るしかない。
歩美は確かに依頼者と死んだ母を面会させ、生前言えなかったことを言えた依頼者に感謝された。

次の依頼者はなんと同級生の少女だった。嵐は、同じ部活だった友人に再会したいという。その友人御園は、自転車で通学中に凍った坂で滑り、事故死してしまったのだ。嵐はその坂が凍ることを知りつつ、水道の水を流しっぱなしにした。そのころ部活で主役の座を争っていて、なんとか自分が勝ち取りたいと思ったからだった。
嵐は御園の死を自分のせいだと思い、謝るために再会しようとしたのだった。
死者にとっても、生者との面会は一度きりだ。歩美は御園の承諾を得るためにまず先に面会する。
生前歩美を好きだった御園は、再会を喜ぶ。だが、その時嵐も歩美に好意を寄せていることに気付き、歩美にある伝言を託し、面会を承諾する。
嵐は御園と再会し、何事もなかったかのように明るく、主役を争う前のように話をすることができた。二人は楽しい思い出を語り合い、嵐はとうとう水道のことを謝らずに面会を終える。最後まで明るく接した御園は、「歩美に『伝言はないか』と聞いてみて」と言い、二人は別れる。
嵐は歩美に伝言がないか尋ねた。歩美は「『道は凍ってなかったよ』って言ってた」と伝える。御園は道が凍っていたことを知っていたのだ。そしてそれが嵐のしたことだということも。面会は一度きり。嵐は御園に謝らなかったことを後悔し、嘆いた。

ツナグ あらすじ【転・結】

次の依頼者は、消えた恋人を探す男・土谷。恋人のキラリは、名前も出身地もでたらめの女性だった。だが面会を承諾する。
土谷は恋人が死んでいたことにショックを受け、会うのが怖いと言ってためらう。説得してキラリと再会すると、そこではじめて彼女の本当の姿や、土谷への想いを知る。
土谷は真実を知り、前を向いて生きようと決意する。

歩美は「ツナグ」見習いをする中で、これは生きる者のエゴではないかと疑問を抱いていた。だが、続ける中でこの仕事に誇りを感じ始めていた。
歩美はアイ子に「ツナグ」を引き継ぐと告げる。そんな歩美に、「ツナグを継げば自分が会いたい人には会えない」と言い、歩美の両親が死んだのは自分のせいだと、長年隠していた秘密を語り始める。
歩美の父は「ツナグ」だった。だが、そのことを妻には隠していた。母は、「ツナグ」の道具である鏡を見てしまった。これを見た者は死ななければならず、そして「ツナグ」である父も死ななければならないルールだった。こうして両親は事故で死んでしまったのだ。
アイ子は「自分が彼女に「ツナグ」のことを話していればよかった」と悔いる。
歩美は真実を知っても「ツナグ」を引き継ぐ決心に揺らぎはなかった。そして、「自分が「ツナグ」を誰かに譲ったらおばあちゃんに会わせてもらう」と伝えた。

ツナグ 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2012年
  • 上映時間:129分
  • ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
  • 監督:平川雄一朗
  • キャスト:松坂桃李、樹木希林、佐藤隆太、桐谷美玲 etc

ツナグ 批評・レビュー

映画『ツナグ』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

嵐と御園の友情

いくつかの依頼者のストーリーの中でも、嵐と御園のストーリーは素晴らしかった。
「道は凍ってなかったよ」と言う一言、これを聞いた時の嵐の後悔はすさまじいのだが、この一言はかなり謎が多い。なぜ御園は後になって伝言を伝えるように言ったのか。
御園は元々嵐と争うつもりはなく、本当に慕っていた。主役を争うことになって、「嵐にはかなわないよ」と言ったのを嵐は「あたしにはかなわないよ」と聞き間違え、怒りからあのような行動に出てしまったわけだが、その嵐の嫉妬・怒りを御園は知らない。
しかし、あの道でいつも水が出しっぱなしになり、凍ったら危ないということは通学を共にしていたから知っていた。
映画では、嵐が蛇口をひねり水を出したところを御園が見ていた(嵐の見間違い・もしくは恐怖からの幻想の可能性もある)描写があるため、「御園は嵐の殺意を知っていた」ともとれるが、明言はできない。
御園は、生前自分が歩美のコートを見て褒めたことをそっくりそのまま嵐が歩美に告げたことを知り、伝言を託している。
これを嵐の立場から見れば、自分が好きだった人を嵐も好きかもしれない。だから仕返しとして十字架を背負わせた、ということになる。自分の罪を重く感じていたからこそ、嵐はこう受け取ってしまったのだ。それは必然である。
だが、御園は本当に嵐の殺意を知っていたのだろうか。ここが一番疑問なのである。嵐は一方的に御園を見下し、敵視し、嫉妬していた。だが御園は嵐を親友として慕っていた。あの蛇口をひねる瞬間のことだって、実際その場にいたかどうか定かではないのだから、その場合は殺意を知るはずがない。
だから、本当のところはどうだったのか、何度考えてもわからない。
ただ、嵐が「御園は自分の殺意を知っていた」そして仕返しとして重い十字架を背負わせたと感じていることは確かである。御園が本当に殺意を知っていたのだとしても、はたまた大好きな親友だと信じていたのだとしても、二人の想いは通じ合わないまま最後のチャンスを棒に振ってしまったということだ。
この謎を解明することはできなかったが、たった一度の機会をムダにし、後悔して泣き叫ぶシーンは胸に突き刺さった。映画のエピソードの中で一番印象的なストーリーだ。

ツナグ 感想まとめ

作中のストーリーの主軸は、歩美とアイ子。「ツナグ」をやっていく中で生じた疑問は、同じく「ツナグ」を通して決意に変わった。この二人のエピソードや、大体の依頼者のエピソードが幸せな形ですっきり終わっているのに対し、嵐と御園のストーリーは疑問を残したまま終わってしまった。映画を観てから何度も何度も考えているが、未だに自分の中で答えが見つかりそうにない。取り方によってはどっちの意味でも受け取れる、秀逸なストーリーである。

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