映画『悪い奴ほどよく眠る』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「悪い奴ほどよく眠る」のネタバレあらすじ結末

悪い奴ほどよく眠るの概要:黒澤明監督が、日本社会を牛耳る役人たちの腐敗ぶりと、巨大な黒幕への復讐を誓った男の戦いと末路を描く。フランシス・フォード・コッポラ監督はこの作品に影響を受け、名作「ゴッドファーザー」の冒頭部分をコニーの結婚式に決めた。社会派サスペンスの名作。

悪い奴ほどよく眠るの作品概要

悪い奴ほどよく眠る

公開日:1960年
上映時間:150分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:黒澤明
キャスト:三船敏郎、森雅之、香川京子、三橋達也 etc

悪い奴ほどよく眠るの登場人物(キャスト)

西幸一(三船敏郎)
秘書として岩渕に信用され、娘の佳子と結婚する。岩渕の息子の辰夫とも友人。実は板倉という名前で、高校時代からの友人である西光一と戸籍をすり替えて岩渕に近づいた。私生児だが、父親は公団の課長補佐だった古谷という男で、5年前に飛び降り自殺をしている。
岩渕(森雅之)
日本未利用土地開発公団の副総裁。佳子や辰夫にとってはいい父親だが、裏ではかなりの悪事を働いている。政界への進出も考えている。
岩渕佳子(香川京子)
岩渕の娘で西の妻。幼い頃の事故が原因で片足が不自由になり、歩行には杖を必要とする。世間知らずのお嬢様で、子供のように純真。
岩渕辰夫(三橋達也)
岩渕の長男で佳子の兄。無職のドラ息子だが、人間としては汚れていない。自分のせいで佳子の足が不自由になったことに責任を感じ続けている。
守山(志村喬)
公団の管理部長。岩渕からの信頼は厚く、裏金の管理を任されている。上司には平身低頭を貫くが、部下に対しては冷酷。いかにも役人といった男。
白井(西村晃)
公団の契約課課長。守山の腰巾着として立ち回り、自分の地位を守ってきた。西の工作により精神的に追いつめられ、廃人となる。
和田(藤原釜足)
公団の契約課課長補佐。大竜建設と公団の贈収賄事件の責任を押し付けられ、自殺を図ろうとするが密かに西に保護される。西に説得され、岩渕たちへの復讐に協力する。
板倉(加藤武)
西の高校時代からの親友。西と同じく天涯孤独の身で、2人で協力して敗戦後の日本を生き抜いてきた。西と戸籍を交換して板倉になった。大学を出ている。

悪い奴ほどよく眠るのネタバレあらすじ

映画『悪い奴ほどよく眠る』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

悪い奴ほどよく眠るのあらすじ【起】

とある高級ホテルの大広間で、西光一と岩渕佳子の結婚披露宴が行われていた。佳子の父の岩渕は、日本未利用土地開発公団の副総裁をしており、披露宴には有村総裁をはじめとする政財界の大物に加えて、公団への贈収賄疑惑のある大竜建設の社長の姿もあった。会場外には大勢のマスコミが押しかけ、スクープを狙っていた。披露宴開始前、公団の契約課課長補佐の和田が、捜査二課の刑事に身柄を拘束される。司会を務める契約課課長の白井は、明らかに動揺していた。

5年前、公団は新庁舎建設地区に絡む不正入札を疑われ、当時の課長補佐だった古谷が新庁舎の7階から飛び降り自殺を図っていた。古谷の自殺によって事件の真相は闇に葬り去られ、岩渕、管理部長の守山、そして白井は、その後出世している。マスコミは彼らを“汚職のクリーンアップトリオ”と揶揄していた。

ぎこちない空気の中で披露宴は進行し、ケーキ入刀の時間を迎える。その時、会場に新庁舎型のケーキが運び込まれる。古谷が飛び降りた7階の窓には、一輪の赤いバラが刺さっていた。それを見た守山や白井は、苦虫を噛み潰したような表情を見せる。

公団と大竜建設の贈収賄疑惑は、総額120億円の税金が絡む大汚職事件に発展しようとしていた。検察側は両者が密会していた料亭の帳簿やハイヤーの送迎記録を調べ上げ、和田と大竜建設重役の三浦の取り調べを続ける。しかし2人は黙秘を貫き通す。検察側は三浦をすぐに別件で逮捕する段取りをして、三浦と和田を釈放する。

釈放された三浦を迎えに来た顧問弁護士は、“あくまであなたを信頼しているから、よろしく”という社長からの伝言を耳打ちする。すると三浦は顔色を変え、その場で走ってきたトラックに飛び込んで自殺してしまう。そして和田は行方不明となる。

悪い奴ほどよく眠るのあらすじ【承】

和田は火山口の崖上に立ち、自殺を図ろうとしていた。そこへ西が現れ、和田の自殺を止める。現場には遺書が残されており、和田は火山口へ飛び込み自殺を図ったものと考えられ、遺体は未確認のまま、和田の死亡が確定する。

西は和田を連れ出し、車から彼自身の告別式を見せる。そしてバーで密かに録音した守山と白井の会話を聞かせる。2人は和田の死亡を知って祝杯をあげていた。西は自分と一緒に復讐をしようと和田を誘う。和田は西の正体がわからずに戸惑っていた。

西はまず白井から追いつめていくことにする。巧みな工作で、岩渕と守山が白井の裏切りを疑うよう仕向けていく。裏金の横領を疑われ、白井は茫然自失の状態で自宅前まで帰る。そこで白井が見たものが、車のライトに照らされた和田の姿だった。

白井はその足で“和田を見た”と守山へ訴えに行く。裏金を隠していた貸金庫のことは和田と白井だけが知っており、もし和田が生きているなら、その金を金庫から出して白井のカバンに潜ませておくことも可能だ。白井は必死でそのことを守山や岩渕に訴えるが、2人は聞く耳を持たない。そして白井は正気を失っていく。

辰夫は、毎晩遅く帰宅する西の様子から、妹夫婦がうまくいっていないのではないかと危惧していた。しかし転んだ佳子に駆け寄った西の姿を見て、妹は愛されているのだと安堵する。ところが、西は佳子を決して抱こうとせず、佳子は胸を痛めていた。

白井は、和田の家族や公団の総裁にまで和田の生存を訴え始める。総裁から圧力をかけられた岩渕は、白井に謝罪するよう守山に命令する。守山は白井を料亭へ呼び出して和解しようとするが、白井は自分も古谷と同じ運命を辿るのだと、パニック状態になる。岩渕はこのまま白井を生かしておくのは危険だと考え、密かに殺し屋を雇う。

悪い奴ほどよく眠るのあらすじ【転】

西は殺されそうになった白井を助け、新庁舎へ連れていく。古谷が飛び降りた7階の部屋で、西は全ての真相を明かす。西の本名は板倉で、彼は古谷と愛人の間に生まれた私生児だった。5年前、父の自殺を知り、西は父を死に追いやった奴らへの復讐を誓う。親友の西光一と戸籍を交換し、岩渕を信用させて、佳子とも結婚したのだった。

白井へ自殺を強要する西を和田が止める。西も悪人になりきれず、白井を殺すことはできなかった。しかし白井はあまりの恐怖で完全に正気を失い、廃人になってしまう。そして翌朝、岩渕の命令で精神病院へ送られる。

西は美しい心を持つ佳子を本気で愛するようになっていた。佳子は岩渕の本性を知らず、父親を心から慕っていた。西は岩渕が憎かったが、佳子を傷つけるのはつらかった。

守山は発狂した白井が古谷の自殺した7階にいたことから、一連の出来事は古谷の身内による計画的な復讐行為ではないかと考える。守山は古谷の妻から古谷に隠し子がいた事実を聞き出す。古谷の妻は葬式の時に偶然写っていた男が、その隠し子ではないかと考えていた。守山は、電柱の影から悲しげに古谷の出棺を見送っている男の顔を確認して驚く。それは間違いなく西だった。

守山はすぐに岩渕の自宅を訪ね、西が古谷の息子だった事実を伝える。辰夫はその話を盗み聞きしており、何も知らずに帰宅した西に銃口を向ける。辰夫は佳子を復讐の道具にした西が許せなかった。西は全てを察して逃亡する。

西は板倉に協力してもらい、守山を軍需工場跡地の地下に監禁する。そして公団の総裁に、守山と和田を預かっていると脅迫電話をかける。西は、守山からリベートの証拠となる現金と通帳のありかを聞き出し、物的証拠を確保しようとしていた。そして証拠が揃えば記者会見を開き、公団の悪事を全て暴露し、その後自首するつもりでいた。

悪い奴ほどよく眠るのあらすじ【結】

守山は空腹に耐えきれず、現金と預金通帳の場所を暴露する。和田は、佳子に西の本当の気持ちを伝えてやりたいと考えていた。そして隙を見て地下から逃げ出し、佳子を工場跡地まで連れてくる。

和田から全てを聞いた佳子は、“私はとても幸せです”と西に告げる。しかしあんなに優しい父がそんな悪人だとはどうしても信じきれず、涙ぐんでいた。西は思わず佳子を抱きしめ、熱いキスを交わす。佳子は西を心から愛していたが、父を憎むこともできずに苦しんでいた。西は佳子に自分の父親の話を聞かせる。

西は幼い頃から“おじさん”と呼んで慕っていた古谷が、実の父親であることを知って連絡を断った。ところが5年前、古谷は西を探し出して泣きながら詫び言を言ってきた。西は出世のために自分を私生児にした古谷を許せず、冷たく突き放す。そのすぐ後、西は古谷の自殺を知る。古谷は現金書留で150万円もの大金を西に送っており、西は自分の冷酷な仕打ちを深く後悔した。そして、父親を死に追いやった岩渕たちへの復讐を誓ったのだ。

一方、岩渕は焦っていた。最悪の場合、今度は自分が腹を切らなくてはならない。岩渕は帰宅した佳子の様子を見て、西と会っていたことに気づく。そして佳子を騙し、睡眠薬を飲ませた上で西の居場所を聞き出す。佳子はそのまま眠り込んでしまう。

猟から帰宅した辰夫は、佳子から“西を撃ち殺したのか”と詰め寄られて驚く。岩渕は辰夫が西を殺しに行ったと嘘をついていた。佳子は父親に騙されたことに気づき、辰夫とともに工場跡地へ向かう。

跡地近くの線路では、貨物列車と車の衝突事故が起きていた。そして地下には号泣する板倉の姿があった。板倉は佳子を憎しみの眼差しで見つめ、西がどんな目に遭わされたのかを説明する。

板倉の留守中、西は岩渕に雇われた殺し屋たちによって、薬用アルコールを大量に注射された状態で車に乗せられ、貨物列車にぶつけられた。事故死した西の体内からは大量のアルコールが検出され、警察は西の酒酔い運転による事故と判断するだろう。おそらく和田もどこかで殺され、守山だけが知る物的証拠もすでに隠滅されている。板倉は自分の無力さを嘆き、“これでいいのか!”と絶叫する。佳子はあまりのショックでその場に崩れ落ち、正気を失っていく。

岩渕は記者会見で娘婿を亡くした悲壮な父親を演じ、総裁に報告の電話を入れる。そこへ佳子を連れた辰夫がやってくる。辰夫はかわいそうな佳子の姿を見せ、絶縁を宣言して去っていく。岩渕は動揺しつつもすぐに総裁との電話に戻り、自分の身分を保証してくれるよう深々と頭を下げる。

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