映画『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常」のネタバレあらすじ結末

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常の概要:三浦しおんの青春小説「神去なあなあ日常」を、「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」といった青春映画に定評のある矢口史靖監督が2014年に映画化。さっぱりとした後味の青春コメディ映画に仕上がっており、屈託なく笑える作品。

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常の作品概要

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常

公開日:2014年
上映時間:116分
ジャンル:コメディ、青春、ヒューマンドラマ
監督:矢口史靖
キャスト:染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明、優香 etc

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常の登場人物(キャスト)

平野勇気(染谷将太)
東京在住の今時の若者。大学受験に失敗し、彼女にも振られ、パンフレットの表紙を飾る直紀目当てという不純な動機で、緑の研修生となる。神去村の中村林業に派遣され、飯田家に居候させてもらう。
石井直紀(長澤まさみ)
神去村の小学校の先生。以前、恋に落ちた研修生に裏切られたことがあり、村へ来る研修生を信用していない。美人だが、バイクを乗り回す男勝りな性格。
飯田与喜(伊藤英明)
中村林業で働く林業従事者。野性味溢れる山の男で、ひ弱な勇気をビシバシ鍛え上げる。妻のみきと子作りに励んでいる。
中村清一(光石研)
中村林業の社長で、社員からは“親方”と呼ばれている。先祖が守ってきた山林を大切にしている。祭りのリーダーでもある。妻の裕子は直紀の姉。やんちゃな息子がいる。
山根利郎(柄本明)
神去村の地区会長。自分に挨拶をしなかった勇気に反感を持っている。けんじという小太りの孫がいる。

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常のネタバレあらすじ

映画『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常のあらすじ【起】

大学受験に失敗し、彼女の玲奈にも振られてしまった平野勇気は、友人とカラオケで騒ぐ。虚しい気分の帰り道、勇気は、あるパンフレットの表紙の女性にビビッとくる。それは林業を学ぶ「緑の研修生」を募集するパンフレットで、まだ進路の決まっていなかった勇気は、非常に軽い気持ちで研修を受けることにする。

新幹線と電車を何本も乗り継いでたどり着いた研修場所は、とんでもない田舎だった。ここでは携帯の電波も入らず、勇気はすぐに引き返そうとする。しかし次の電車が来るのは6時間後。おまけに携帯を水没させて壊してしまい、勇気は途方にくれる。勇気は仕方なく、迎えにきてくれた林業組合の人の車に乗る。

研修生は1ヶ月間で林業の基礎を学び、資格が取れたら現場へ出て、1年間の研修期間を過ごす。勇気は、やる気のない態度で授業を受け、チェーンソーの指導に来てくれた飯田与喜に一喝される。おまけに鉈で怪我をしてしまい、勇気はホームシックにかかる。

やめる理由をあれこれ考えて事務所へ行くが、そこに恐ろしい与喜がいたので、勇気はこっそり逃げ出す。しかしバス停まで行く手段がなく、通りかかったバイクに乗せてもらう。

バイクを運転していたのは、あの表紙の女性、石井直紀だった。バス停で直紀に、“興味本位なら帰れ、迷惑や”と罵られ、勇気は意地でも最後までやり遂げようと心に誓う。ほとんどの研修生がやめていく中、勇気は頑張って資格を取り、センターを出る日を迎える。

勇気は神去村の中村林業で働くことになる。迎えに来てくれたのは、あの与喜だった。勇気は全く知らなかったが、神去村での居候先は与喜の家だった。

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常のあらすじ【承】

与喜は軽トラックで山道を疾走し、事故死した鹿の死体を持ち帰る。この一帯で最も山深いところに位置する神去村は、勇気の予想をはるかに超える田舎だった。

飯田家では、与喜の妻のみきと母親のしげが勇気を迎えてくれる。勇気は、すぐに中村林業の親方に挨拶へ行く。親方は与喜とともに、勇気を山へ連れて行ってくれる。

親方と与喜は、山の神様にお祈りしてから山へ入る。山では雨の中、中村林業の男たちが、倒れた木を引き上げる作業をしていた。勇気は斜面を滑り落ちて川に入ってしまい、尻から股間にかけて、大量の蛭に吸いつかれる。初日から股間をみんなに晒すという手痛い洗礼を受け、勇気はぐったりしてしまう。

飯田家の夕食では、鹿の刺身とマムシ酒を出され、勇気は食欲をなくす。与喜は町のホステスと浮気したらしく、みきは猛烈に機嫌が悪かった。勇気はすっかり疲れ果て、与喜たちの留守を見計らって、脱走を決め込む。

ところが、村からバス停のある町までは車で2時間以上かかることがわかる。もたもたしているうちに、町へ買い物に行く与喜たちに見つかってしまい、勇気も車に乗せられる。車には親方の奥さんの裕子と小学生の息子も同乗する。

勇気は携帯を修理に出し、与喜は懲りずにホステスを追いかけていた。その帰り道、勇気はついに直紀を見つける。与喜は、直紀が以前に緑の研修で来た男と大恋愛して同棲していたが、男が突然出て行ってしまったのだと教えてくれる。

いよいよ本格的な仕事が始まる。勇気は厳しくしごかれ、失敗を繰り返しながらもこの環境と仕事に慣れていく。研修期間は、残り258日になっていた。

与喜とみきが子作りする日。勇気は一晩どこかへ行くよう命じられる。与喜に煽られ、勇気は直紀の家へ行ってみるが、直紀の態度は冷たい。直紀は村の小学校の先生をしており、ちょうど学校へ行くところだった。勇気ものこのこと後をついて行き、子供達から“蛭に股をやられた奴や!”とからかわれる。孫のけんじを迎えに来た地区会長の山根は、自分に挨拶のなかった勇気に嫌味を言う。その晩は、親方の家に泊めてもらう。

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常のあらすじ【転】

勇気は初めてチェーンソーを使って木を切らせてもらい、改めて与喜のすごさを知る。丁寧に枝切りをした中村林業の材木は最高級品として知られ、かなりの高値で売れる。それでも、親方たちは次の世代のことを考え、木を乱獲したりはしない。

みきに頼まれて与喜たちの弁当を届けた直紀は、勇気と一緒に弁当を食べて好い雰囲気になる。勇気は、山の神様におにぎりを半分供える。

急に雨となり、勇気と直紀は軽トラックの中で雨宿りする。勇気は直紀に「愛羅武勇」と書かれたダサい手ぬぐいを貸してやる。直紀の彼氏が出て行った理由が、携帯の電波が入らないからだと知り、勇気は“町へ引っ越せばいいのに”と簡単に言う。それを聞いて直紀は怒り出し、そのまま帰ってしまう。

修理が終わった勇気の携帯には、玲奈から留守番電話が入っていた。玲奈は大学で「スローライフ研究会」というサークルに入っており、村を見学したいらしい。勇気は快くそれを承知し、村に都会の若者たちがやってくる。

若者たちは、はしゃぎ回り、写真や動画を撮りまくる。最初は勇気も彼らのノリに合わせていたが、村の人々を馬鹿にしたような態度にだんだん腹が立ってくる。勇気は“もう帰れ!”と彼らを一喝し、カメラのメモリーを捨ててしまう。

冬。山にも雪が積もり、村では祭りの打ち合わせが始まる。山の男たちは勇気を仲間と認め、打ち合わせに参加させる。

親方の家には村中の男が集まり、来年の大祭について話す。勇気に反感を持っていた山根は、勇気を仲間に加えることに難色を示す。村人からも“1年で村を出るような奴は仲間として認めない”という意見が出るが、与喜は“こいつはみんなが思っているよりちゃんと山の男だ”と言って、勇気をかばってくれる。

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常のあらすじ【結】

春が来た。今日は山の神様が木を数えると言われている山止めの日で、山へ入ることは禁止されていた。勇気たちと川べりで火を焚いていた子供達は、“火遊びをするな”と直紀に厳しく叱られる。けんじは“そんなんやから嫁に行けない”と口答えし、直紀を怒らせてしまう。

直紀に無視され、けんじはいじけてひとりで山へ入る。けんじが山で迷子になっていることがわかり、村は大騒ぎになる。男たちは清めのうがいをして山に入る。勇気も与喜たちと捜索に加わる。

山へ入った勇気は、神降ろしの霧の中で、誰かに手を引かれる。勇気は山の奥へと引っ張られ、山頂付近で突然手を離される。そしてそこでけんじを発見する。勇気の手には、なぜか米粒がついていた。

勇気はけんじをおぶって帰り、みんなから感謝される。孫を助けてもらった山根は、勇気に深々と頭を下げる。勇気は一躍英雄となるが、耳たぶにマムシが食いついていることに気づき、気を失って救急車で運ばれる。

勇気の耳たぶも回復し、村は祭りの日を迎える。勇気も褌姿になって祭りに参加するが、祭りの詳細は教えてもらえない。

親からのどうでもいい電話で遅れをとった勇気は、直紀にバイクで山頂まで送ってもらう。日の出とともに神事が始まり、勇気は与喜とのこぎりを引いて、巨大な御神木を切る。地響きを立てて倒れた御神木は、男たちの手で手際よく丸太にされ、木製の長い滑車に運ばれる。滑車の終わりには大きなしめ縄が用意され、山から滑り落ちた丸太はそこで止まることになっていた。

男たちと丸太を運んでいた勇気は、足に縄が絡まり、丸太から離れられなくなる。すでに動き始めた丸太は止められず、勇気は丸太にまたがり、猛スピードで麓まで滑り落ちていく。停車した丸太と勇気に、女たちが群がってくる。勇気に呼ばれて、直紀も丸太に駆け寄る。

勇気が帰る日が来た。与喜たちは泣きながら、駅で勇気を見送る。しげは、土産にマムシ酒を持たせてくれる。駅に行けなかった直紀は、バイクで線路沿いまで走り、「愛羅武勇」の手ぬぐいを高々と掲げる。勇気はその意味を理解しないまま、直紀に手を振り続ける。

1年ぶりの東京は、知らない街のようだった。勇気は自宅の前まで帰るが、木の匂いに誘われて、住宅の建設現場へ足を運ぶ。そこで勇気の心が決まる。

勇気は自宅の玄関前にマムシ酒を置き、そのまま神去村へトンボ帰りする。勇気は身も心も山の男になっていた。

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常の解説・レビュー

矢口史靖監督自身の最高傑作

矢口史靖監督と言えば『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』など、10代
20代の学生や青年たちが、活躍する作品が多くある。その中でも、本作はそれらの作品の集大成と言ってもいいだろう。

彼の作品は、すべてがオリジナル脚本の作品だが、今作は作家三浦しをんの小説『神去なあなあ日常』を基に監督自身の手で脚色された物語だ。監督にとっては、初めての試みだった。正確な脚本を執筆するにあたって、矢口監督は映画のディテールを求めて、小説の舞台となった三重県の奥地、神去村に何度も足を運び、本作の脚本を作り上げた。映画の中に、染谷将太演じる主人公・勇気が初めて林業の現場を訪れた時に、体中をヒルに吸われるシーンや初めて村に赴く道中に偶然出くわす鹿の死骸などは、監督が現地で行った時に実際に体験した事柄を物語に付け足している。細かいディテールに拘った演出が所々光るストーリーだろう。

本作では特に拘ったと言われているのは、映画の終盤に行われる祭りのシーンだ。原作を読み切った監督が、物語の軸をまず、この祭りのシーンを据え置くところから、映画の制作が始まった。その想いは、映像に十分表現されている。物語のクライマックスを飾る10分間の祭りのシーンは、日本映画史上屈指の名シーンだろう。そのシーンを撮影するために、総勢1600人のエキストラが用意され、山頂でのシーンは実に一週間かけて撮影されました。近年の映画では、アクションシーンや役者にとって危険なシーンはすべて、CGを使用するかスタントを採用する作品が多い中、監督は原作を読んだ時点で、すべてを実写で撮影しようとする無謀とチも言える大きなャレンジをしています。山頂で切り倒された千年桧を男性器に形作り、それを滑らす木製のレール、山の麓に作られた女性器のオブジェまですべて、原寸大で作られた美術セットなのだ。制作時間、日数、そして莫大な費用を要しながらも完成したクライマックスは、コメディ映画ながらアクション映画さながらの空前のスペクタクルシーンとして大いに盛り上がりを見せる名場面だ。ただ、このシーンには、性的な意味も大いに含まれていると考えれば、このシーンを不快に思う方もいるかも知れないと考慮できる。そのような方には私はオススメできないが、私個人はとても好きなシーンだ。今までの過去に公開された監督の映画たちの良い所だけを抜粋したような本作品は、まさに彼自身の最高傑作とでも言うべき位置にあるのかも知れない。

矢口監督と役者・染谷将太

拘りを見せたのは、映画のシーンだけでなく、役者のキャスティングにも監督は力を入れている。主人公の勇気のキャスティングは、映画の出来を左右する大きな役目だった。そのためには、役にぴったりの役者を見つけることだった。映画の制作も、脚本もまだなく、ただ矢口史靖監督が新作を撮ると言うオーディションだった。監督自身もプロデューサー陣も勇気に合った役者を見つけるのは、長い長い時間が掛かると覚悟していた。だが、オーディションの一日目に出会った青年、本作の主人公役でもある染谷将太に出会った瞬間、役にぴったりの役者だと、直感したらしい。この時点で染谷将太は園子温監督の作品『ヒミズ』にて、二階堂ふみと一緒に2011年の開催されたヴェネツィア国際映画祭にてマルチェロ・マストロヤンニ賞をW受賞。当時は日本国内外でも大きな話題を呼んでいた。そんな次世代の役者として注目を受けている中、本監督は最初、どんな人物なのか彼をまったく知らなかった。彼の作品を見たのは映画完成後。勇気の性格とはまったく真逆の暗い役柄が多かったと、後日本人が話しています。

染谷翔太はどちらかと言えば、比較的暗い役柄か映画に出演することが多いが、本作の出演は彼の子役時代から始まった役者人生の中で大きな転換期を迎えたのではないだろうか。彼の役者としての方向性を決定付けた明るい性格を持った主人公・勇気の存在は、彼の役者としての幅を広げた貴重な役柄だ。役者人生の中で一度巡り会うか会わないかの、大きな機会だっただろう。矢口監督本人も、染谷将太との出会いは映画『ウォーターボーイズ』の妻夫木聡の時に「若手の役者でスターを見つけた」受けた衝撃と今回染谷将太を人選した時の衝撃は一緒だと本人談。

染谷将太だけでなく、彼を取り巻く周囲の役者との化学反応は、大いにこの映画を盛り上げる活力にもなっている。助演の伊藤英明をはじめ、ヒロイン役の長澤まさみなど、皆個性を発揮しながらも、確かな演技力で主人公の染谷将太、はたまた映画自体を支えているのでしょう。だからこそ、日本で注目されたのは、監督をはじめ、彼らの功績がまさに、今までになかった林業の世界観を見事に表現、映像化出来たのは、傑作と位置づける価値があるでしょう。

WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常の感想まとめ

この映画で私自身が好きなシーンがいくつかあります。まず都会育ちの勇気が、初めて田舎に赴くために、冒頭で勇気が人にぶつからずスイスイ街中を歩き、街中を乗車するまでのシーンは、特殊な撮影法だ。これは、監督自身が新しく生み出した実験的な撮影法だ。監督はそれを“自分カメラ”と呼んでいるらしい。ハンディカメラを改良し、カメラを支えるアームを、染谷将太のリュックから伸ばし、股を通してレンズが本人の目の前にくるようにして、まるで人物に張り付いた面白い映像を撮影することに成功した。この撮影法に似たシーンは、韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のあるシーンに、とてもよく似ている。ユニークで、少し変わった撮影をしているが、実に良く出来た撮影だからこそ、私は好きなのです。

次に、林業シーンはすべて本物です。スタント入れずに、役者本人たちに数百メートル上の高い木に登るシーンでは、撮影班も役者と同じように機材を使って撮影したらしい。木々から見える雄大な自然のショットは、すべて本物のシーンなのです。また林業に携わる中村組を演じた役者たちは、実際に林業に従事した人物に見えるように一ヶ月早く現地入りし、経験を積んだそうです。このような努力のお陰で、私たち知らなかった林業という世界を上手に表現しているのです。

最後はやはり、主人公の成長物語でしょう。初めは軽い気持ちで参加した高卒したての若い青年が、林業の奥深さに触れて、少しずつ心情が変わっていく姿に感動を覚えます。今、大きく育った木々たちは、100年前に植えられた木。また今から植える苗は、100年後に大きく育つ木。先祖から代々受け継がれ、祖父から孫へと渡されるバトンのように、未来を見据えた林業の魅力に、勇気自身気付かされてゆくのです。ラスト、森林のあの爽やかな匂いを嗅いで、匂いの基を辿ると、そこには家を建てる大工と、その家の完成を待ち侘びる家族の姿を目にした勇気は、あの村に帰ってしまうのです。それは、命を張って大切に育てた木々が、人々の生活の支えになっている。それを支える林業の素晴らしさ。そんな仕事のやり甲斐を見つけたある一人の青年の成長物語が、この映画に詰まっているのです。

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