映画『12人の優しい日本人』あらすじネタバレ結末と感想

12人の優しい日本人の概要:名作「十二人の怒れる男」の日本版オマージュであるこの作品は、日本に陪審員制度があったらという設定で、陪審員たちの討論の様子を描いた作品である。

12人の優しい日本人 あらすじネタバレ

12人の優しい日本人
映画『12人の優しい日本人』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

12人の優しい日本人 あらすじ【起・承】

復縁を無理やり迫られた妻が道路に夫を突き飛ばし、夫がトラックに轢かれ即死した事件で、被告人の妻を有罪にするか無罪にするかの陪審員審理が行われた。会議室には個性豊かな一般市民の12人が集められた。

審理が始まるや否や、早速、無罪か有罪かを挙手で決めることになる。そこで全員が無罪に手を挙げた。それじゃあ終わり。と帰るものも現れるが。一人の男が「話し合いがしたいんです」と有罪と意見を覆す。

文句を言う者もあるが話し合いが続行する。無罪を選んだ者たちのほとんどが、「なんとなく…」「被告の女性が殺人をするようには思えない」等根拠があって無罪を選択したわけではないようだ。しかし無罪を有罪に変えようとする人物はいない。

そこで、無記名投票で他に有罪が二人以上いたら、議論を続行し、そうでなければ評決不一致にしようという意見がでた。結果、有罪2に対し無罪が11。最初に有罪に意見を覆した男が2枚投票していた。皆、男に非難を浴びせるが、一人論理的な意見ができる聡明な老人が有罪に意見を覆し、話し合いが続行する。

正当防衛かどうかを話し合いながら様々な可能性は浮かび上がってくる。そこで論理的思考にこだわる女性が有罪に意見を変える。すると聡明な老人が自分は話し合いがしたかっただけ、と無罪に意見を戻す。

12人の優しい日本人 あらすじ【転・結】

被告が子供のために夕食のピザを買っていたことから、帰りが遅くなることを予期していたということで、被告に殺意があったことが立証された。そこで意見は6対6になる。

無罪派は感情的にしか意見を述べられない男や、根拠がうまく説明できない気の弱い女性など無罪の理由を的確に説明できないので、話し合いが進まない。審理は徐々に各々の感情が紛れ込んでくる。陪審長はかつて有罪判決したことがあり、被告が死刑になったことがトラウマだった。そのため今、無罪を選んでいる。そんな事情を汲んで一人の若い強面の男が、被告には殺意はなかったことで、傷害致死で有罪として立証することを提案する。評決不一致を避けるためと思えば、無罪派だった5人もその提案に乗るが、たった一人の男が無罪の意見を変えない。

まだ話し合いの中に穴がある気がするがそれが何なのかぴんと来ない気の弱い女性も無罪に意見を変え、みんなだんだん面倒になってくる。無罪派の二人がぴんとこない理由を探るべく、話し合いは続行。5歳の息子がピザ1枚は食べきれないという観点から、被告はピザを自分も帰宅して食べる気でいたので殺意は立証できないという意見が出る。更に目撃証言をしたおばさんが「死んじゃえ」と被告が叫んだのを「ジンジャエール」と聞き間違えたのではないか、という意見で盛り上がり、従うばかりだった陪審員たちの意見も取り入れられていく。この意見で無罪派が一挙に増える。そして被害者が自らトラックに飛び込んだ説が濃厚となる。
最後にピザが届いてその大きさに11人が無罪で納得する。被告を別居中の妻と重ね合わせていた最初に「話し合いがしたいんです」と言った男も最後は無罪で納得し、全員一致無罪で物語は終了する。

12人の優しい日本人 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1991年
  • 上映時間:116分
  • ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
  • 監督:中原俊
  • キャスト:塩見三省、相島一之、上田耕一、二瓶鮫一 etc

12人の優しい日本人 批評・レビュー

映画『12人の優しい日本人』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

キャラクターの緻密さ

一つの場所のみで展開されるこの映画。舞台を観ているかのようで、低予算でも撮影ができそうだ。一見みる人にとって退屈な映画なのでは?と感じるかもしれない。しかしそんなことは微塵も感じさせないのである。12人の陪審員たちそれぞれのキャラクターが巧妙に描かれているからだ。
12人それぞれは人間味溢れるどこにでもいるような人物。だが議論するとなると化学反応が起こってしまうような価値観が違う人間たちである。仕事に戻りたい男。話の腰を折ってひとまず目立とうとする男。自分の興味のある分野でしか活躍できない男。誰にでもいい顔をしたい女。等、キャラクターの人間性がよく描かれている映画なのだ。各々がどんな人間なのかがどことなく想像できるので話す言葉にも選択する有罪無罪の評決にも納得がいく。これだけタイプの違う人間に議論をさせたところが見どころである。

日本人でやる面白さ

もともと日本人は議論が下手である。上を持ち上げるための意見だったり、多勢に無勢だからと、自分の意見がどこにあるのかすら分からぬままでいることもあるだろう。統率する人とそれに合わせる人という強弱のある構図がこの映画にも描かれていた。だがこの映画では爽快なことに、意見するのが下手な人間たちほどいい目の付け所を持っているのである。フィーリングが有罪ではないと言っているという眼鏡の禿げた男性の意見はいかにも日本人らしい。心の中に意見をとどめたまま発揮せずに生きていくことに慣れ過ぎて、心の中で整理がつかないのだろう。日本人の象徴的なキャラクターだと感じた。

12人の優しい日本人 感想まとめ

見ていてこれほど爽快な映画はない。退屈させないし、納得できる答えを導き出した陪審員をみているとこちらも視聴者として納得して映画を観終えられるからだ。
「12人の怒れる男」という秀逸な映画を舞台化したもののリメイク作品だが、日本バージョンに置き換えてこんなにも面白みが増す映画を観たのは初めてだった。
陪審員は基本的には感情論で話を進めてはいけないのだろうが、人間であれば己の抱えている現状から意見を出してしまうのは当然だと思う。キャラクターたちが抱えているバックボーンが浮かび、最後まで一人有罪と言い続ける男の哀れさには気持ちのいい感情ではないが憐れみで感情移入してしまった。

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