映画『7月4日に生まれて』の概要:アメリカの独立記念日7月4日に生まれたロン・コーヴィックは、愛国心が強く、自ら海兵隊に志願する。ベトナム戦争の後遺症が題材の作品。ロンは実在の人物で、自らの自伝的小説がオリバー・ストーン監督により映画化された。
映画『7月4日に生まれて』の作品情報
上映時間:145分
ジャンル:アクション、戦争
監督:オリヴァー・ストーン
キャスト:トム・クルーズ、レイモンド・J・バリー、キャロライン・カヴァ、キーラ・セジウィック etc
映画『7月4日に生まれて』の登場人物(キャスト)
- ロン・コーヴィック(トム・クルーズ)
- 1947年7月4日に生まれ、敬虔なクリスチャンの家庭で育つ。自ら志願しベトナム戦争へと参戦するが、そこで壮絶な経験をする。戦場で脊髄を損傷し車椅子生活を余儀なくされ、除隊後しばらくは精神的に不安定な状態になる。
- ドナ(キーラ・セジウィック)
- ロンの幼馴染で美しい女性。友達も多い。ロンとドナはお互いに思いを寄せながらも、すれ違ってしまう。反戦活動のデモに積極的に参加している。
- チャーリー(ウィレム・デフォー)
- ベトナム戦争からの帰還兵。ロンと同じく下半身不随で車椅子に乗っている。メキシコでロンと出会う。
映画『7月4日に生まれて』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『7月4日に生まれて』のあらすじ【起】
少年たちが森で戦争ごっこをして遊んでいる。その中にロン・コーヴィックもいる。
1956年ロングアイランド・マサピークア。独立記念日のパレードが行われている。ロンは父に肩車され、国旗を振っている。
そこへ、女友達のドナがロンへプレゼントを持ってきてくれた。アメリカの独立記念日である7月4日は、ロンの誕生日でもあったのだ。ニューヨークヤンキースのキャップを貰ったロンは大喜びである。
テレビではケネディ大統領が演説をしている。ロンの母は、ロンが大統領の前で立派に演説している夢を見たという。たくさん兄弟がいる中で、長男のロンは母親からの期待を一身に受けていた。
高校卒業後は海兵隊への入隊を決めたロン。ドナは大学へ進学するという。ロンはドナをプロムへ誘おうとするが、ドナは既に相手を決めていた。
本当はこの町にずっと居たいという気持ちと、国のために戦場で戦いたいという気持ちに揺れる中、自分の思いの赴くまま、家を飛び出しプロム会場へと向かうロン。外は大雨である。
ドナを見つけたロンは、びしょ濡れのままダンスを申込み、二人は踊った。
映画『7月4日に生まれて』のあらすじ【承】
1967年10月ベトナム。ロンはベトナム戦争の前線にいた。米軍は砂浜から敵陣地へ向かって銃を撃っていた。
様子を見てくるよう命じられ村へ着くと、大勢の民間人が倒れていた。ロン達は急いで衛生兵を呼んだが、敵の大群がすぐそこまで迫っており、すぐに退散するよう命令される。
そんな混乱状態の中、ロンは誤って仲間のウィルソンを撃ってしまう。
1968年1月。うだるような暑さの中、突然銃撃戦が始まった。脚を撃たれたロンは、上半身だけを使って一心不乱に銃を撃っていた。すると、今度は肩のあたりを撃たれ倒れてしまう。
仲間に助けられたロンは、ブロンクス海兵病院に入院中である。医師の診断によると、脊髄をやられ下半身が麻痺してしまったため、歩けるようになる可能性はゼロだという。
1969年、退院したロンは実家へ戻り、家族に暖かく迎えられた。
ベトナム戦争で戦ったことを誇りに思うロンだったが、世の中では反戦勢力が広がっていた。弟や妹たちもロンの話に耳を貸さない。
映画『7月4日に生まれて』のあらすじ【転】
ロンはドナと数年ぶりに再会した。ドナは反戦デモに積極的に参加しており、ロンもシラキュース大のデモについて行った。デモ隊と警察の激しいぶつかり合いの中で、ロンはドナを見失ってしまう。
何が正義か分からなくなり、酔っぱらって帰ってきたロンは大声で騒ぎ始める。
父に勧められ、メキシコへと旅立ったロン。髭も髪も伸びて小汚い恰好である。売春宿には、ロンと同じようにベトナムで戦い、車椅子に乗った帰還兵たちが大勢集まっている。そこでチャーリーという男に話しかけられ、意気投合する。
ある日、チャーリーが売春婦にバカにされたと騒ぎ、ロンも一緒にその宿を飛び出した。
タクシーに乗り込み別の町の売春宿へ向かおうとするが、タクシー運転手と口論になり、何もない道で降ろされてしまう。
二人は喧嘩を始め、車椅子から転げ落ちてしまう。天を仰ぎながら、ロンはチャーリーに弱音をこぼした。昔は迷いなどなかったのに、今は全て見失い、これからどうすればいいのか分からないと。
映画『7月4日に生まれて』の結末・ラスト(ネタバレ)
意を決したロンは、アメリカへと戻り、ウィルソンの墓へ向かった。
墓参りの後、ウィルソンの実家へも訪問した。両親によると、ウィルソンが死んだ時の状況はよく分かっておらず、知らされてないということだった。
ロンは重い口を開き、当時の混乱した状況を話し始めた。そして、自分が誤ってウィルソンを殺してしまったと告白した。それを聞いたウィルソンの母は「あなたもさぞ辛かったでしょう」と優しい言葉をかけてくれた。
戦争反対を掲げたデモに、ベトナム参戦兵士としてロンも参加していた。1972年の共和党大会でロンはテレビカメラを向けられ、政府は国民に嘘をつき罪なき者を苦しめていると強く主張した。
4年後、民主党大会でロンは演説の機会を与えられた。「ロンが大統領の前で演説しているのを夢で見た」という母の言葉が思い出された。
出番の直前、インタビュアーに心境を聞かれたロンは、やっと故郷へ戻って来た気分だと話した。
自分を取り戻したロンは、車椅子でさっそうと舞台へとあがって行った。
映画『7月4日に生まれて』の感想・評価・レビュー
本作は、アメリカの独立記念日に生まれ、自らベトナム戦争に志願した愛国心溢れる青年の葛藤や苦悩を描き、ベトナム戦争の後遺症を題材とした反戦争作品。
軍人でありながらも最後は反戦運動の中心人物となる青年を若き日のトム・クルーズが熱演。
戦争によって負傷し故郷に帰るも誰も讃えてくれない苦悩、戦争が生んだ膨大な被害と人々の苦しみにひたすら心が痛んだ。
自分が戦争のない国、平和な時代に生まれた感謝の気持ちが込み上げてきた。(女性 20代)
アメリカ独立記念日に生まれたひとりの男の壮絶な人生の物語。主人公のロンを演じたのはトム・クルーズです。彼と言えばハンサムで女性ウケする役を演じることが非常に多いイメージですが今作で彼が演じたロンは愛国心の塊で、自分のことよりも誰かのために生きようとする素晴らしい人間でした。
7月4日に生まれたことは他人からすればどうでもいいことでしょう。しかし、ロンは誕生日に運命を感じ、自分の国を心から愛し、国のために戦います。彼がここまで強くいられた理由は沢山あったと思いますが、誕生日もそのひとつだったのだろうと思います。(女性 30代)
「プラトーン」の続編を想定されて描かれたベトナム戦争映画。戦争が酷いことも帰還兵がPTSDに苦しんでいることも大抵の人なら十分に知っているだろうけど、その上で「同士討ち」という敵を撃つよりも恐ろしいことを経験したことに加えて、独立記念日に生まれ祖国に誇りを持って生きてきて祖国のために戦ったのに、帰還したら祝福されるどころか反戦デモに巻き込まれて黒人差別という問題も絡んでくる大混乱の時代に晒されたという人物の衝撃の実話。
見てるだけで辛かったしメキシコでの出来事も凄い心が痛かったけど、全部実話なんだと思うとこの映画の貴重さ、監督の思い、ベトナム戦死者帰還兵たち全てが尊い。(女性 20代)
定期的に出てくるベトナム戦争物。あらためてベトナム戦争がアメリカ人に残した傷跡は大きいのだろうなと思わずにいられない。ただこれは本当に他人事なのだろうか。為政者が「愛国」を声高に叫んだり過剰に敵の存在を意識させたりするとき、純粋にそれを信じ切ってしまって良いのかということ。正しい正しくないは時代と共に変わる。多数決で「正しい」と定義されたことが、未来の自分の幸せに貢献するかは分からないのだ。
トム・クルーズの熱演光る一本。(男性 40代)
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