映画『2001年宇宙の旅』の概要:スタンリー・キューブリック監督が1968年に公開した、SF映画の金字塔。月で発見された石板の謎を解明する為木星へ出発した、探査チームの旅を描く。50年近くの時を経ても「映画史上最高の作品」の一つとして評価される名作。
映画『2001年宇宙の旅』の作品情報
上映時間:139分
ジャンル:SF
監督:スタンリー・キューブリック
キャスト:ケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルヴェスター、ダニエル・リクター etc
映画『2001年宇宙の旅』の登場人物(キャスト)
- デヴィッド・ボーマン船長(キア・デュリア)
- 木星探査船「ディスカバリー号」の船長。ディスカバリー号の真の目的(謎の石板モノリスの真相解明)を知らされていない。最後まで生き残り、木星の衛星軌道上にあるもう1つの謎の石板に辿り着く。
- プール副船長(ゲイリー・ロックウッド)
- 木星探査船「ディスカバリー号」の副船長。船外での作業中に、HAL9000によって殺害される。
- ヘイウッド・フロイド博士(ウィリアム・シルベスター)
- 月で発見された謎の石版(通称「モノリス」)の真相解明に携わる科学者。地球からディスカバリー号に指示を送っている。
- HAL9000(ダグラス・レイン)
- ディスカバリー号に搭載されている人工知能。人間のように考え、会話することができる。ディスカバリー号の航行管理から冬眠中の科学者3名の生命維持管理まで行っている。何らかの異常が発生し、乗組員を殺し始める。
映画『2001年宇宙の旅』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『2001年宇宙の旅』のあらすじ【起】
太古の時代、猿人はまだ他の獣と同じような存在だった。そこに謎の黒い石板(通称モノリス)が現れた。これをきっかけに、1匹の猿人が道具を使うことを覚える。この猿人は獣を倒し、他の猿人に対しても優位に立つこととなる。
2001年。宇宙への進出が進み、月に月面基地が建つようになった時代。ヘイウッド・フロイド博士がアメリカ合衆国から月面基地へ派遣される。彼がここにやってきた理由は、月で発見された謎の黒い石板「モノリス」だった。その石板は、400万年前に飛来した物と考えられた。アメリカ合衆国は「モノリス」の存在を世間から隠すため、月面基地で伝染病が発生しているとのデマまで流して、人々を月から遠ざけていた。フロイド博士の調査中、太陽光を浴びた「モノリス」は、木星に向けて謎の磁力を発し始める。
18か月後。木星探査のため、宇宙船ディスカバリー号が宇宙に出た。ディスカバリー号には人工知能のHAL9000が搭載されている。これは自律的に考えることのできる最高の人工知能で、船の航行管理から目的地まで冬眠状態となっている3名の科学者の生命維持まで任されていた。デヴィッド・ボーマン船長とプール副船長は、船を無事木星まで届けるため冬眠には就いていない。彼ら2人は、謎の石板「モノリス」の存在を知らされていなかった。
映画『2001年宇宙の旅』のあらすじ【承】
ボーマン船長と談話していたHAL9000は、突然月で発見されたという石板の噂を話し始め、今回の木星探査の目的について疑問を呈する。更にHAL9000は通信ユニットの故障を報告する。しかし通信ユニットに異常は見られず、ボーマン船長とプール副船長はHAL9000の異常を疑い始める。
2人はHAL9000に聞かれぬよう、小型ポッド内で、HAL9000の思考部を停止させようという話し合いを設ける。しかしHAL9000は彼らの口の動きを読み、2人の話し合いの内容を知ってしまった。
プール副船長は1人船の外に出て作業をしていた。しかしHAL9000の行動によって宇宙服が機能しなくなり、殺害されてしまう。更に、冬眠中だった3人の科学者達も、HAL9000に生命維持装置を切られ亡くなってしまう。ボーマン船長は宇宙に投げ出されていくプール副船長の姿を見て事態を察知、小型ポッドでプール副船長を救いに行く。しかしプール副船長は既に息絶え、ボーマン船長は彼の亡骸をポッドの手に抱えディスカバリー号の入り口へ帰って来た。
映画『2001年宇宙の旅』のあらすじ【転】
ポッドに乗ったボーマン船長は、HAL9000に船の扉を開けるよう命令するが、HAL9000は応じようとしない。HAL9000はボーマン船長とプール副船長の口の動きから自分の思考部を停止しようとしていると知り、乗組員全員の殺害を試みたのだ。ボーマン船長はプール副船長の亡骸を放り出し、ポッドの手で扉を手動操作して開けた。そして爆風を使って、無理やりディスカバリー号へ帰還した。
ボーマン船長はHAL9000の中枢部へ向かい、彼の思考部を停止させる。HAL9000は「もう逆らわないからやめてくれ」と懇願したが、殺されかけたボーマン船長にそれを聞き入れるつもりはなかった。HAL9000の思考部はゆっくりと停止した。その時、突然1本のテープが再生される。それはフロイド博士からディスカバリー号の乗組員達に宛てた、木星到達時に再生されるはずのメッセージだった。これを聞き、ボーマン船長は木星に磁力を発し続ける謎の石板「モノリス」の存在、そして自分達の真の目的を初めて知るのだった。
映画『2001年宇宙の旅』の結末・ラスト(ネタバレ)
ボーマン船長1人を乗せたディスカバリー号は、木星の衛星軌道上に辿り着いた。そこには月で発見された「モノリス」と同じような形の、しかも月のものよりも更に巨大な、黒い石板が浮かんでいた。石板に遭遇したボーマン船長のポッドは激しく揺れ始め、突如眩い光に包まれる。
長い光の道を通り抜けたボーマン船長のポッドは、気づくと地球にあるようなとある部屋に辿り着いていた。ボーマン船長はポッドを出て、部屋に降り立った。その部屋には時間の概念がないのか、そこで生活するボーマン船長は、中年でもあり、老人でもあり、同時に死の間際の年齢でもあった。ついに死を前にしてベッドに横たわる年老いたボーマン船長は、部屋の中に浮かぶ黒い石板を目にする。その瞬間、ボーマン船長の姿は胎児の姿に変化した。ボーマン船長は既に、人類を超えた存在となっていたのだ。
月と地球が映し出される。人類の枠を超えた存在となったボーマン船長は、宇宙から地球の姿をじっと見つめるのだった。
映画『2001年宇宙の旅』の感想・評価・レビュー
大好きな作品。映像も音響も素晴らしく圧倒的。映画館で観るべき作品。
50年前の作品とは到底思えない。音の圧がすごい。視覚にも刺激的。とにかく観ていて感性を揺さぶられる。
ストーリー展開は正直よくわからなかった・・・猿たちがモノリスに触れヒトへと進化していく。このモノリスとは何なのかと考えていては置いていかれる。
とにかく感性にビシビシと響いてくる映像美と音にやられてしまう。(女性 40代)
難解なので何度か繰り返し考察しながら観るべきだったのだろうか。
もう50年以上も前の作品だが、古さを全く感じさせない。それどころか新しくさえ見えるその撮影技術には脱帽だ。
神秘的な映像美や音響に迫りくるものがあり、圧倒された。
モノリスが意味するものとは何か。
正直なところ本作を理解し切れていないのは心苦しい。
色々と考察の余地があるようだが、もしかしたらこれは、ただ感じる映画なのかもしれない。とても哲学的で触発された。(女性 20代)
“進化した人工知能が人間を裏切る”という展開はSF映画ではややありがちだが、では最も印象的なのはどれか?と聞かれたら、私はこの映画に出てくるHAL9000を挙げるだろう。派手なアクションや戦闘シーンはないが、宇宙の彼方で繰り広げられる、人間と人工知能の静かな、しかし手に汗握るやりとりはかなりの見応えがあった。
ラストの急展開には盛大な置いてきぼりをくらうが、かといってつまらない、とはならないのがスタンリー・キューブリック作品の魅力だと思う。映画というより幻覚でも見たような気分になる、不思議な作品。(女性 30代)
この映像がCGを使わずに作られているなんて、今の若い人には信じてもらえないかもしれない。
いくつかのパートに分かれているが、夢があるのはパンナムの旅客宇宙船での旅の様子のシーンあたりか。HALが暴走(厳密にはそうではないのだが)する辺りはちょっと怖い。最後の30分は原作を読まないと何が起きているか全く分からないが、クラシック音楽の効果的な使われ方も手伝い幻想的で陶酔感に溢れる。
何が何だか分からなくても、何かすごいものを観たと思える一本。(男性 40代)
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みんなの感想・レビュー
これは紛れもなく1968年公開の映画である。同時代のSF映画を観てもこれほどの撮影技術は存在しない。1960年の大作「スパルタカス」から8年。まったくスタンリー・キューブリックの撮影技術の高さには驚いてしまう。メカニカルな要素としても金属感の少ない白が基調のテクスチャーを使用し、宇宙空間での表現にしても光と影のコントラストが素晴らしく、重厚感とスケール感は見事としか言いようがない。当時の円谷プロの技術と頭の中で比較してみたが、ついつい苦笑してしまった。スパルタカス主演のカーク・ダグラス曰く「キューブリックは才能のあるクソッタレ」らしいが、クソッタレにしてはえらい映画を撮ったものだと感心するばかりである。
SF映画史上屈指の名作とも言われる、キューブリック監督の代表作。月面から木星への旅を通し、謎の物体 “モノリス”とのファーストコンタクトを描く。
ストーリーの解説的表現を極度に押さえたイメージキャプチャーのような映像が、観る側のイマジネーションを触発する。
所詮はSFなのでこのようにイメージの連鎖のみで撮影されるというのは、ある意味道理が通っていると感じる。仮に四次元の世界を妄想したところで人の頭で描けるものだろうかという疑問も湧くわけであり、宇宙空間で何が起ころうと、人間の想像に遙か及ばない現象が発生するのは何の不思議もないのだ。映画という枠の中でこういった実験ができるというのは撮影者の特権であるとも思うのだが、キューブリックほどのイマジネーションを持つ人物がいないということだろう。フェリーニやアラン・レネの心象風景のペインティングとも違う。ある意味で映画の中にシュルレアリスムを持ち込んだ第一人者とも言えるだろう。
映画史上最高傑作❗
SFという最も撮影技術進歩に影響されやすいジャンルで、約50年前のこの作品を越える映画が未だ存在しない現実。
キューブリック…恐るべし❗
「美しき青きドナウ」と言うより、「ツァラトゥストラはかく語りき」。
映画と言うより、形而上学的な哲学。
SFと言うより、宇宙物理そのものを感じさせる。
映画史上最高傑作❗