映画『サプライズ(2011)』の概要:両親の結婚35周年を祝うために集まった一家が、ヒツジ、トラ、キツネのお面をかぶった侵入者に襲われるが、意外な人物が反撃に出る。新進気鋭のアダム・ウィンガード監督、サイモン・バレットが脚本を手掛けた。
映画『サプライズ』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:ホラー、サスペンス、アクション
監督:アダム・ウィンガード
キャスト:シャーニ・ヴィンソン、ニコラス・トゥッチ、ウェンディ・グレン、AJ・ボーウェン etc
映画『サプライズ』の登場人物(キャスト)
- エリン(シャーニ・ヴィンソン)
- クリスピアンの彼女。奨学金で大学に通っていて、以前はクリスピアンの助手をしていた。子供のころ、地球の終わりの妄想に憑りつかれた父により、特殊なサバイバルキャンプに参加させられ、生き抜く術を覚えた。クリスピアンの両親に顔を見せるために別荘を訪れるが、そこで侵入者と戦うことになる。
- クリスピアン(AJ・ボーウェン)
- ポールとオーブリーの次男。エリンと付き合っている。長男ドレイクからは太っているとからかわれていて、仲が悪い。エリンが通っている大学で働いているが、研究費が足りずに困っている。
- ドレイク(ジョー・スワンバーグ)
- デーヴィソン家の長男。妻ケリーを連れ、両親の結婚35周年を祝うために別荘にやって来る。クリスピアンとは不仲。
- フィリックス(ニコラス・トゥッチ)
- デーヴィソン家の三男。彼女のジーを連れ、別荘に来る。流されやすい性格で、ジーの言いなりになっている様子。
- ジー(ウェンディ・グレン)
- フィリックスの彼女。黒髪で、服装やメイクも黒を基調としている。不穏な雰囲気をまとっている。
- デーヴィソン家<ポール(ロブ・モラン)、オーブリー(バーバラ・クラプトン)、ドレイク(ジョー・スワンバーグ)、クリスピアン(AJ・ボーウェン)、フィリックス(ニコラス・トゥッチ)、エイミー(エイミー・サイメッツ)>
- 軍事産業会社のマーケティング担当として働いていた父ポール、神経質な母オーブリー、兄弟の中で唯一結婚している長男ドレイク、次男クリスピアン、三男フィリックス、長女エイミーの家族。お金持ちで裕福な家庭。ポールとオーブリーは、結婚35年目。
映画『サプライズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『サプライズ』のあらすじ【起】
リフォームしたばかりの郊外の別荘にやって来た、ポールとオーブリー夫婦。
別荘の鍵は開いていて、家の中には誰かがいるような物音が聞こえ、オーブリーは神経質になっていた。
そこに、クリスピアンと彼女のエリンが到着する。
翌朝には、長男ドレイクとケリー夫婦が到着。
オーブリーに手伝いを申し出たエリンは、隣人エリックへのお使いを頼まれる。
しかしいくら呼んでも、エリックは出てこなかった。
夜になり、長女エイミーと彼氏のタリク、三男エリックスと彼女のジーも到着。
ポールとオーブリーの結婚35周年を祝うため、家族が集合した。
食事が始まると、ドレイクとクリスピアンが喧嘩を始める。
そして、窓辺にいたタリクがボウガンの弓矢で打ち抜かれ、殺されてしまう。
オーブリーを庇ったドレイクは、肩を撃ち抜かれる。
妨害電波が出されており、携帯はつながらない。
助けを呼ぶため、一番足の早いエイミーが玄関から出ていこうとするが、ピアノ線が張られていてエイミーは首を切られて死んでしまった。
エリンは慣れた様子で、別の部屋への避難を促す。
映画『サプライズ』のあらすじ【承】
エリンがドレイクの怪我の状態を確認し、バーケードを作っている間、2階で泣き崩れていたオーブリーが殺されてしまう。
オーブリーの遺体のそばには、「次はお前だ」という血文字が残されていた。
ケリーは、ベッドの下に潜んでいた侵入者に襲われる。
パニックになって、別荘から飛び出したケリー。
追いかけようとしたドレイクは、肩に刺さったままにしていた弓矢を抜いて倒れてしまう。
クリスピアンは、別荘から脱出するため車を取りに行く。
しかし動かせる車は無かった。
隣の家に助けを求めたケリーは、エリックと恋人の死体を発見。
そしてヒツジのお面の人物に殺されてしまう。
別荘に戻ったクリスピアンは、助けを呼ぶためにもう一度外へ出る。
エリンは、気絶したドレイクを安全な場所に移動させ、別荘の中にいる侵入者に対抗する準備を始める。
そして、襲い掛かってきたトラのお面の人物を殺した。
ポールの姿が見えなくなり、フィリックスとジー、エリンの二手に分かれて探し始める。
ポールは、フィリックスとジーの目の前で、キツネのお面の侵入者に殺されてしまう。
映画『サプライズ』のあらすじ【転】
フィリックスは、目の前でポールを殺した事に文句をつける。
フィリックスとジーは、侵入者たちの仲間だった。
エリンが地下室周辺を探っている間、ヒツジのお面の侵入者は、トラのお面の人物を殺された事に激怒していた。
ドア一枚隔てた場所にエリンが潜んでいると気付いたヒツジのお面の侵入者は、エリンを殺そうとする。
だがドレイクが意識を取り戻し、気を取られた隙に、エリンに襲撃されて怪我を負う。
何食わぬ顔で戻ってきたジーは、エリンと罠を作り始める。
ドレイクと2人きりになったフィリックスは、兄を殺害。
様子を見に行ったエリンは、ポールの遺体を見つける。
キツネのお面の侵入者に殺されそうになり、2階の窓から飛び降りて逃げるが、足に怪我を負ってしまう。
外に潜んでいたヒツジのお面の侵入者に追われながらも、別荘の中に逃げ込むエリン。
ヒツジのお面の侵入者は、窓辺に仕掛けた手作りの罠に引っかかった。
フィリックスは、侵入者たちと仲間割れを起こす。
近くに隠れていたエリンは、その話を聞いてしまう。
映画『サプライズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
フィリックスの目的は遺産だった。
準備していた警察への緊急連絡メールの返事が届き、その音で、エリンが真実を知ったことがばれてしまう。
慌てて逃げ出したエリンは、ヒツジのお面の侵入者を殺すと、玄関ドアに大きな罠を仕掛ける。
エリンが別荘の中に隠れていると、キツネのお面の侵入者が戻って来た。
エリンはカメラのシャッターで罠を作り、3人目の侵入者を殺した。
フィリックスとジーは、エリンを殺そうとする。
しかし一枚上手だったエリンによって、2人も殺された。
だがエリンも、肩を刺されてしまった。
フィリックスの携帯に、クリスピアンから着信が届く。
クリスピアンも、フィリックスと組んで遺産を狙っていたのだった。
別荘に戻り、全員の死を知ったクリスピアンは、エリンを生き証人にするつもりだったとなだめる。
そして、遺産を2人で山分けしようと説得する。
そんなクリスピアンを刺殺したエリン。
だがそこに警官が到着し、殺人鬼と思われたエリンは撃たれてしまう。
罠が仕掛けられているのを知らない警官は、玄関の扉を開けた。
映画『サプライズ』の感想・評価・レビュー
動物のマスクを付けた犯行グループが、次々と一家を殺していく描写は驚きの連続だが、この物語で一番のサプライズは主人公エリンの強さにある。ホラー映画に出て来るヒロインのほとんどは、敵から逃げ惑い、追い詰められるばかりであるが、エリンは違う。ホラー映画の法則を打ち破る意味でも、この映画の存在はサプライズそのものである。
恋人の家族の間で起こる遺産相続問題に付き合わされた挙句、殺されそうになるエリンは不憫だが、彼女のたくましさには清々しさを感じ、視聴していても苦にはならない。そのため、この作品は何も気負いすることなく、気楽に見られるホラー映画だと言えるだろう。(女性 20代)
低予算のスプラッタ映画で家族が謎の暴漢グループに襲撃を受ける映画など、それこそ山のようにあり新鮮味を感じないが、それがこの映画の狙いであり、あえて既視感のある設定を用意することで裏切りを引き立たせている。アイデア自体はけして誰にも思いつかないものではないが、それを一番最初にしっかりした構成で作ったことに意義がある。ワンアイデアの映画はとかくそのアイデアに頼りがちだが、演出がホラー映画をしっかり研究しており基礎があるので、よりアイデアが活きている。このあたりに好感を持てない層からはただのスプラッタの一つとして扱われそうなのが不憫ではある。(男性 30代)
家族間の揉め事に巻き込まれた彼女がめちゃくちゃ強かったお話。動物のお面を被った犯人グループは『スクリーム』や『ハッピー・デス・デイ』をイメージさせるようなホラー要素満点でしたが、ストーリー自体はかなり笑える展開でした。
遺産目当てに家族を殺そうとしたのにある意味部外者の彼女がそれを阻むというのは予想外でとても面白かったです。強すぎるエリンに驚きますが、エリンの強さにタジタジになる犯人たちの様子も見所です。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
上辺だけ見れば、家族団欒の中に強盗が押し入り、しかも遺産目的の息子たちの差し金だった、そんなストーリー。
これではありふれたどこにでもありそうな映画だが、この映画の意外性は、強盗を容赦なく叩きのめしていく血まみれのヒロイン、エリンの存在だろう。
冒頭で別荘に違和感を覚える母親オーブリーの様子や、「明日は面白くなる」とエリンに告げるクリスピンのセリフから、何かが起こるであろう事、家族の中に強盗の手引きをしている黒幕がいるであろう事などは、なんとなく予想はつく。
そして、ケリーが隣の家で殺害されたにもかかわらず、クリスピアンが何も無かったような顔で「ケリーは隣の家にもいないし、逃げたのだろう」と言うことで、彼が黒幕なのも丸わかりなのである。
フィリックスとジーが黒幕だとわかるのも、開始1時間にも満たない早い段階だ。
だが、黒幕たちの誰もが予想しえなかったエリンの過去、世界が終わるという妄想に取り憑かれた父親からサバイバル術を叩き込まれ、12歳まで過酷な状況下で暮らしていたという事実こそが、この映画の要であり、サプライズでもあるのだ。
自分勝手な黒幕クリスピン、フィリックス、ジーよりも残酷で、ヒツジ、キツネ、トラよりも凶暴なのに、なぜエリンは憎めないキャラクターなのだろうか。
エリンは望んでサバイバル術を身に着けたわけではないが、使いこなす度胸を持っている。
しかし、恐怖を感じれば体は震え、複雑な感情があふれれば涙が流れ、感情が高ぶれば怒る、この作品の中で一番感情豊かで人間らしいキャラクターなのだ。
血まみれのダークヒロインだが、生きることに必死なひとりの女性でもあるのだ。
サプライズは、侵入者や黒幕に対して、これは予想つかないだろう、というエリンの存在のように思える。
そして、エリンが呼んだとは知らずナイフを持ったエリンを撃ち、そして誰もが忘れかけていたドアの罠にかかる、かわいそうな被害者の警察官。
原題の「YOU’ER NEXT」・・・次はお前だ・・・とは、黒幕が恐怖をあおるための言葉だけではなく、ラストの警察官に向けての意味も含んでいるのではないだろうか。
キツネのお面を被った人と、ひっかいたような文字で書かれた「サプライズ」の文字。
それがこの映画のDVDのパッケージ。
ジャンルには「スプラッター映画」。
しかし、予告編の印象は、「なんだか怖いものではなく、すごい映画なのでは?」。
世界的に有名なスタッフやキャストがいるわけではないのだが、エリンというキャラクターにとても圧倒される。
犯人がすでにわかっているストーリーの、トリックを探すのによく似た感覚を味わえる。
ラストは爽快、と予告映像で見たのだがその通りで、作中の残酷なシーンも「そのドアは開けるな!」と大声で叫びたくなるラストによって、なんだか印象が薄れてしまうから不思議。
そして少し笑ってしまうのは、お笑いのコントにありそうな瞬間だからだろう。
こんなにも爽快な気分で終わるサスペンス映画には、はじめて出会った。
ドワイト・トゥイリーのテーマソングもテンポが良くて癖になる。