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2016年12月公開映画一覧&おすすめ注目映画

寒さが一段と厳しくなってくるこの時期。2016年12月、劇場ではホットなヒューマンドラマが次々と公開される。メリル・ストリープ、マギー・スミス、ヘレン・ミレン、グロリア・ピレスといった各国を代表するベテラン女優たちがそれぞれに渾身の演技で私たちの心を温めてくれるはず。お楽しみに!

2016年12月公開のおすすめ注目映画

マダム・フローレンス!夢見るふたり

作品タイトル:マダム・フローレンス!夢見るふたり
公開日:2016/12/1(木)
期待度:80%

フローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)はニューヨーク社交界のトップ・セレブ。幼い頃から音楽を愛してきた彼女は40代でソプラノ歌手となるのだが、なんと彼女はとんでもない音痴だった!夫のシンクレア(ヒュー・グラント)は自分の音痴さに気づかない天真爛漫な妻を守るため、あらゆる手を尽くしてきた。ところが彼女が“カーネギーホールでコンサートをしたい!”と言い出したからさあ大変!シンクレアもピアノ伴奏を任されたコズメ(サイモン・ヘルバーグ)も困り果ててしまう…。

「絶世の音痴」と呼ばれた76歳の歌姫が由緒あるカーネギーホールでコンサートを開いたという嘘のような本当の話が映画になった。この魅惑の歌姫フローレンスには“彼女にしかできない”という絶対的な理由で名女優メリル・ストリープが指名されている。あのヒュー・グラントが震え上がったというメリルの魂の演技とはどれほどすごいのか。メリルは音痴に歌う猛特訓をしてこの役に挑んだというのだから、どうしてもその歌声を聴いてみたくなる。さらに監督は実力派女優の魅力を引き出すのがうまいスティーヴン・フリアーズ。まさに盤石の布陣を揃えた本作への期待度は当然高い!

変態だ

作品タイトル:変態だ
公開日:2016/12/10(土)
期待度:65%

凡庸な男(前野健太)がミュージシャンとなり、可愛い妻(白石茉莉奈)と平凡な家庭を築くのだが、男には長い付き合いの愛人がいた。ある時、愛人を連れて地方公演の仕事へ向かった男はライブ会場で妻を発見し、豪雪の雪山で修羅場を迎える。

企画・原作・脚本がみうらじゅん、監督は63歳にして映画監督デビューを果たす安斎肇。この2人は本職(イラストレーター)とは別になんとなく面白そうなことを色々とやっている。2人はとても仲がいい。「勝手に観光協会」というユニットを組んで47都道府県のご当地ソングを勝手に作ってCDまで発売している。2人には“ずっと長髪”という共通点もある。

そんな2人が長編映画を作ってしまった。ジャンルは「青春ロックポルノムービー」であり、原作者のみうらはアブノーマルへの飽くなき憧れをテーマにしたらしい。主演を務めるのはシンガーソングライターの前田健太。彼もまたあらゆるジャンルで多彩な才能を発揮しており、2011年には第14回みうらじゅん賞(みうらがあげたい人にあげる賞)を受賞している。何もかもが未知数のこの作品。どんなもんか予想がつかないだけに興味をそそられる。

ヒッチコック/トリュフォー

作品タイトル:ヒッチコック/トリュフォー
公開日:2016/12/10(土)
期待度:75%

映画好きでアルフレッド・ヒッチコックの名前を知らない人はまずいないだろう。「レベッカ(1940)」「裏窓(1954)」「めまい(1958)」「サイコ(1960)」「(1963)」など、ヒッチコックの代表作をあげ始めるとキリがない。当然この映画界の巨匠に影響を受けた監督は多く、フランス映画に新風を巻き起こしたフランソワ・トリュフォー監督もその中の1人だ。

1962年、当時30歳だったトリュフォーが62歳のヒチコックに自ら熱烈な手紙を書いてインタビューを申し込み、ヒッチコックはそれを喜んで受け入れた。同年のヒッチコックの誕生日に始まった貴重なインタビューの内容は4年もかけて編集され「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」として書籍化される。この本は発売から50年を経た現在でも世界中で重版され続け、映画作りの教科書として多くの映画人に愛読されている。

本作は実際のインタビューの音源を聞けるのはもちろんのこと、その後のヒッチコックとトリュフォーの友情についても掘り下げたドキュメンタリー映画となっている。さらにこの「映画術」に影響を受けたマーティン・スコセッシ、ウェス・アンダーソン、デビッド・フィンチャー、黒沢清など、すごい顔ぶれの10名の映画監督がこの本とヒッチコック映画の素晴らしさ、さらに的確な質問でヒッチコックの魅力を引き出したトリュフォーの鋭い分析力について語っている。コアな映画ファンならばどうしても見ておきたい。

ミス・シェパードをお手本に

作品タイトル:ミス・シェパードをお手本に
公開日:2016/12/10(土)
期待度:75%

ロンドンの街角に駐車したポンコツ車で気ままに暮らすミス・シェパード(マギー・スミス)は、身なりはみすぼらしくても気高い精神の持ち主で哀れみや同情を嫌う。しかし警察に車の退去命令を出された時に声をかけてくれた劇作家のベネット(アレックス・ジェニングス)の親切には甘え、そのままベネットの自宅の駐車場に15年も居座ってしまう。この不思議な自由人ミス・シェパードとは一体何者で、どんな人生を歩んできたのか?その謎がある日明らかになる…。

原作者のアラン・ベネットが実際に経験した実話を舞台劇として脚本化し、その舞台でミス・シェパードを16年に渡って演じてきたのが本作でも主演を務めるマギー・スミスだ。長年舞台でミス・シェパードを演じてきたマギーには、この特異な老女の心の隅々までが理解できているのだろう。そうでないとこれほど長く舞台で同じ役を務めることは不可能だ。本人よりも観客が飽きてしまう。本作ではまずこのマギー・スミスの女優魂を堪能したい。自由人ミス・シェパードになりきったマギー・スミスはどんな人生のお手本を見せてくれるのか。じわじわと胸にきそうな深みを感じる作品だ。

幸せなひとりぼっち

作品タイトル:幸せなひとりぼっち
公開日:2016/12/17(土)
期待度:80%

妻に先立たれ、孤独に暮らす59歳のオーヴェ(ロルフ・ラスゴード)は気難しい男として近所の人たちから敬遠されていた。長年真面目に勤務してきた鉄道局もクビにされ、生きる気力を失くしたオーヴェはついに自殺を図る。しかし向かいに引っ越してきたパルヴァネ家の車がオーヴェの自宅の郵便受けを直撃してきて自殺は中断。手料理を持って謝罪に来たパルヴァネ(バハー・パール)はオーヴェの孤独を癒してくれ、オーヴェは自分の悲しい過去と向き合えるようになっていく。

スウェーデンの作家フレドリック・バックマンの同名原作小説は全世界で250万部を売り上げる大ベストセラーとなっている。それを映画化した本作もスウェーデンでは160万人を超える動員を記録している。スウェーデンの人口が約990万人であることを考えると、これはすごい記録だ。主人公のオーヴェを演じたロルフ・ラスゴードは本作でゴールデン・ビートル賞(スウェーデンで最も権威のある映画賞)主演男優賞を受賞し、さらに観客賞も受賞している。一般の観客に支持されるというのは、俳優として最高に名誉なことではないだろうか。それだけ多くの観客の胸に響いたこのヒューマンドラマは、私たち日本人にもきっと大きな感動を与えてくれることだろう。

ニーゼと光のアトリエ

作品タイトル:ニーゼと光のアトリエ
公開日:2016/12/17(土)
期待度:75%

1940年代のブラジル。ペドロ2世病院に勤務し始めた精神科医のニーゼ(グロリア・ピレス)は、電気ショック療法で患者が苦しむ様子を見て衝撃を受ける。ニーゼは患者に強い苦痛を与える暴力的な治療に強く反発し、患者に絵の具を与えて自由に絵を描いてもらうというアートセラピーや動物セラピーを実践する。しかし同僚の医師たちの反感により、ニーゼの新たな試みが思わぬ事件に発展してしまう。

心にも自然治癒力があると信じて従来の心理療法の常識にとらわれず、愛と芸術の力で患者と向き合おうとした伝説の女医ニーゼ・ダ・シルヴェイラの実話をホベルト・ベリネールが監督・脚本を務めて映画化した。主人公のニーゼをブラジルの国民的女優であるグロリア・ピレスが演じ、高い評価を得ている。

ニーゼは“よく聞き、観察し、口は出さない”という姿勢を貫き、暴力で患者を威圧するようなことは決してしない。これは医師と患者に限らず、親子でも夫婦でもそうあるべき姿勢なのではないだろうか。ニーゼの愛は悩み多き私たちにとっても光となってくれるに違いない。

スモーク

作品タイトル:スモーク
公開日:2016/12/17(土)
期待度:85%

1990年、ニューヨークのブルックリン。タバコ屋を営むオーギー(ハーヴェイ・カイテル)は14年間も毎朝8時に同じ場所で写真を撮り続けてきた。最愛の妻を亡くしたショックで何も書けなくなった作家のポール(ウィリアム・ハート)や麻薬中毒の娘を持つ元恋人のルビー、偶然拾った大金のせいでギャングに命を狙われている黒人少年のトーマスなど。それぞれの人生がニューヨークの片隅でふわりと溶け合い、繋がっていく…。

原作はポール・オースターの短編小説「オーギー・レインのクリスマス・ストーリー」であり、映画の脚本も原作者のポールが担当し、監督は香港出身のウェイン・ワンが務めている。

1995年10月の日本での公開時、単館上映でありながら口コミで評判が広がり、最終的には9万人もの観客数を動員したという伝説の名作がデジタルリマスター版となって日本の劇場に帰ってきた。YEBISU GARDEN CINEMAでの公開を皮切りに全国ロードショーが展開されるという映画ファンにとっては願ってもないこのチャンスを逃す手はない。本物の名作はどんな時代にも人の心に潤いを与えてくれる力を持っている。

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

作品タイトル:アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
公開日:2016/12/23(金)
期待度:70%

イギリス軍の将校キャサリン・パウエル大佐(ヘレン・ミレン)は、テロリスト捕獲作戦の指揮をとっていた。前線のケニアのナイロビに向かっているのは無人のドローン偵察機であり、イギリス、アメリカ、ケニアの司令官たちは戦場から遠く離れた各国の安全な会議室にいる。偵察機は凶悪なテロ集団のアジトを突き止め、大規模な自爆テロを阻止するためにミサイルが準備される。ところがそのアジトの前では幼い少女がパンを売っており、攻撃をすれば彼女が巻き添えとなることは免れない。パウエル大佐と各国の司令官たちは、非常に難しい選択を迫られることになる。

どこまでも進化を続けるIT技術は新しい戦争の形を生み出している。司令部やドローンを操作するパイロットの戦場はモニターの中にある。攻撃する側は常に安全地帯にいてモニターを見ながら命令を出し、モニターを見ながらミサイルを発射する。それはまるでバーチャルな世界で繰り広げられるゲームのようではないか。それだけに命令を下す人間には命とリアルに向き合える高度なモラルが要求される。そうでないと、取り返しのつかない事態になるであろうことは容易に想像がつく。この映画を通して新しい時代の戦争を体感し、ドローンと人間の付き合い方、さらには普遍的な正義とは何かを考えておくべきかもしれない。

2016年12月公開映画一覧

公開日 作品タイトル
2016/12/1(木) マダム・フローレンス! 夢見るふたり
2016/12/2(金) CYBORG009 CALL OF JUSTICE 第2章
2016/12/3(土) ちょき
2016/12/3(土) 古都
2016/12/3(土) アズミ・ハルコは行方不明
2016/12/3(土) 浅草・筑波の喜久次郎 浅草六区を創った筑波人
2016/12/3(土) いたくても いたくても
2016/12/3(土) 貌斬り KAOKIRI 戯曲「スタニスラフスキー探偵団」より
2016/12/3(土) 黒子のバスケ ウインターカップ総集編  扉の向こう
2016/12/3(土) 時代劇は死なず ちゃんばら美学考
2016/12/3(土) JACO
2016/12/3(土) チェインクロニクル ヘクセイタスの閃(ひかり) 第1章
2016/12/3(土) ちぇんくろ学園!
2016/12/3(土) 沈黙のアフガン
2016/12/3(土) TOKYO CITY GIRL 2016
2016/12/3(土) ひかりをあててしぼる
2016/12/3(土) 福田敬子 女子柔道のパイオニア
2016/12/3(土) マックス・スティール
2016/12/3(土) METライブビューイング2016-17 モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」
2016/12/3(土) RWBY Volume3
2016/12/3(土) LEGACY TIME
2016/12/9(金) 英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17 ロイヤル・オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」
2016/12/9(金) CYBORG009 CALL OF JUSTICE 第3章
2016/12/9(金) ブラナー・シアター・ライブ2016 「エンターテイナー」
2016/12/10(土) 海賊とよばれた男
2016/12/10(土) モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ
2016/12/10(土) A.I. love you
2016/12/10(土) アオサギとツル
2016/12/10(土) After 10 Years
2016/12/10(土) 仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト with レジェンドライダー
2016/12/10(土) キツネとウサギ
2016/12/10(土) 霧の中のハリネズミ
2016/12/10(土) 狂い咲きサンダーロード
2016/12/10(土) ケルジェネツの戦い
2016/12/10(土) スクラップ スクラッパー
2016/12/10(土) 25日・最初の日
2016/12/10(土) ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た
2016/12/10(土) 話の話
2016/12/10(土) ヒッチコック/トリュフォー
2016/12/10(土) 変態だ
2016/12/10(土) ミス・シェパードをお手本に
2016/12/10(土) 闇金ドッグス4
2016/12/11(日) 天国はまだ遠い
2016/12/16(金) ドント・ブリーズ
2016/12/16(金) ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー
2016/12/17(土) ぼくは明日、昨日のきみとデートする
2016/12/17(土) 風に濡れた女
2016/12/17(土) イノセント15
2016/12/17(土) うさぎ追いし 山極勝三郎物語
2016/12/17(土) 映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!
2016/12/17(土) エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街
2016/12/17(土) サクソン ヘヴィ・メタル・サンダー
2016/12/17(土) SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー
2016/12/17(土) 幸せなひとりぼっち
2016/12/17(土) シド・アンド・ナンシー
2016/12/17(土) 女流棋士の春
2016/12/17(土) 好きになるその瞬間を。 告白実行委員会
2016/12/17(土) スナックワールド 人嫌いのレニー
2016/12/17(土) スモーク
2016/12/17(土) 高江 森が泣いている2
2016/12/17(土) ニーゼと光のアトリエ
2016/12/17(土) ねぼけ
2016/12/17(土) はるねこ
2016/12/17(土) ヒトラーの忘れもの
2016/12/17(土) フィッシュマンの涙
2016/12/17(土) 皆さま、ごきげんよう
2016/12/23(金) バイオハザード ザ・ファイナル
2016/12/23(金) アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
2016/12/23(金) 聖杯たちの騎士
2016/12/23(金) 天秤をゆらす。
2016/12/23(金) TOMORROW パーマネントライフを探して
2016/12/23(金) ピートと秘密の友達
2016/12/23(金) ポッピンQ
2016/12/23(金) MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間
2016/12/23(金) ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿
2016/12/23(金) ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男
2016/12/23(金) 土竜の唄 香港狂騒曲
2016/12/24(土) オアシス スーパーソニック
2016/12/24(土) こころに剣士を
2016/12/24(土) 14の夜
2016/12/24(土) ストーンウォール
2016/12/24(土) 太陽を掴め
2016/12/24(土) ワイルド わたしの中の獣
2016/12/24(土) 若者のすべて
2016/12/31(土) 甲鉄城のカバネリ 総集編 前編 集う光
2016/12/31(土) MERU メルー

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