この記事では、映画『37セカンズ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『37セカンズ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『37セカンズ』の作品情報

上映時間:115分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ、青春
監督:HIKARI
キャスト:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子 etc
映画『37セカンズ』の登場人物(キャスト)
- 貴田ユマ(佳山明)
- 生まれながらに脳性麻痺を患い、半身不随である車いすの女性。自立したいと強く願っており、様々な人と出会う中で人生の在り方を大きく変えていく。
- 貴田恭子(神野三鈴)
- 大きな病気を抱える娘を女手一つで育てる母親。唯一の家族であるユマに依存しており、過保護すぎることでユマを圧迫してしまっている。
- 俊哉(大東駿介)
- 舞の顧客であるクマさんのヘルパー。ユマの感性に惹かれ、できる限りのサポートをしながら変化を目の前で感じていく。前向きなユマの影響を受け、自身も少しずつ変化を求めるようになる。
- 舞(渡辺真起子)
- 障害者専門の風俗嬢。ずば抜けた明るさで人を魅了し、ユマの成長にも目一杯手を貸してくれる存在。
- サヤカ(萩原みのり)
- ユマの学生時代からの友人。漫画を描けるユマの才能を利用しつつ、ビジネスパートナーとして助けを求め続ける。裕福な家庭で育ち甘やかされている。
映画『37セカンズ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『37セカンズ』のあらすじ【起】
降車の手助けをしてくれる駅員に丁寧にお礼を述べながら、改札の前で待つ母の元に向かうユマ。脳性麻痺の影響で、一人でお風呂に入ることはおろか洋服の脱ぎ着も一人でできないユマは、母親の視界の中だけで生きていた。
漫画を描くのが得意なユマは、友人・サヤカのゴーストライターとして仕事をしていた。編集担当者にすら真相を伝えていないサヤカは、ユマの取り分も含め全て自分の物にしようとしていた。大きく反論はしないものの、自分の存在を隠そうとするサヤカの無茶な要望に耐えながら何かアクションを起こしたいと考えていたのだった。サヤカに内緒で編集担当に自分の作品を見てもらうが「サヤカの作品と似ている」と言われてしまい落ち込むユマ。偶然、草陰に捨てられているアダルトマンガ雑誌が目に入った。漫画家の募集が載っていることに気付いたユマは、自宅に持ち帰り自ら売り込みを始める。一社だけ原稿を見てもらえることになり、急遽原稿を書き上げるのだった。
アポイントを取った編集者に出向いたユマ。女性編集長に原稿を見せると、とてもいい反応を受けたものの「妄想のアダルトマンガ」だと指摘を受けてしまった。経験をすることがあったら改めて原稿を書けばいいと前向きな言葉をもらったユマは、ひとまず自宅でアダルトサイトの動画を見てデッサンを重ね自分の身体で真似をしてみることから始めるのだった。
映画『37セカンズ』のあらすじ【承】
母親に見つからないようにアダルトサイトを隠したユマは、出会い系サイトの広告を見つけた。その日から、母親には内緒で様々な男性と会い続けるようになる。「障害者」という壁は言葉では超えられても、実際に壊して接してくれる男性は少ない。デートの約束をすっぽかされたユマは夜の繁華街へと車椅子を走らせた。
ユマは勇気を持って風俗店のキャッチの男性に「男性を紹介して欲しい」と声をかける。その男性の指示通りにホテルに向かうと、ヒデという男性が部屋を訪ねてきた。話しやすい雰囲気のヒデに、一番体験してみたかったキスを求めるが、お店の規則でダメだと断られてしまう。初めてのことばかりで戸惑うユマは、無意識にお漏らしをしてしまった。ヒデはユマをやんわりと拒絶し、料金だけを求め先に部屋を出ていってしまった。
一人残されたユマ。不運にもエレベーターが故障しており立ち往生していると、同じく車いすに乗った男性と綺麗な女性のカップルが部屋から出てきた。女性の名前は舞。車椅子の男性・クマさんは舞の客だという。二人と偶然出会い、クマさんのヘルパーである俊哉が近くのバス停まで送ってくれたことで無事に帰路に就けたユマ。家で待ち構える過保護な母親から解放される兆しを舞に抱くのだった。
後日、「バイブレーターを買いたい」という他の人には頼めない願いを舞に話してみた。快く了承してくれた舞は、希望の買い物だけではなく化粧品や洋服も見繕いに外の世界に連れ出してくれるのだった。
映画『37セカンズ』のあらすじ【転】
舞と別れ、帰宅する前に着替えやメイクを落としに行くユマ。その頃、母親にはユマが職場に来ないとサヤカから連絡が入ってしまった。自分が把握していない娘の行動に過剰な反応を示す母親は、帰宅したユマを叱り散らした。翌日もユマは仮病を使って職場を抜け出した。「具合が悪い」というユマよりも原稿の出来上がりを心配するサヤカ。ユマは舞と合流し、夜の町に繰り出すのだった。
連日帰宅が遅いユマを迎えに行こうとした母親だったが、当然ユマはサヤカの元にはいない。サヤカからそのことを聞いた母親は、何か情報を得るためにユマの部屋を探り回る。その頃ユマは初めてのお酒で酔いつぶれていた。俊哉に家の近くまで送ってもらったユマは、笑顔で帰宅する。しかし、自宅では母親がアダルトグッズを見つけ放心状態になっていた。一方的に怒り続ける母親に、「何もやらせてくれない」とようやく本音をぶつけたユマ。父親が出ていったのも、母親がすべてに対して過保護だからだと余計なことまで言ってしまったユマ。翌日から携帯電話も取り上げられ、部屋から出られないように鍵がかけられていた。
リハビリ中のユマを監視するように見守る母親。トイレに行くといい、ユマは意を決して病院を抜け出した。心配する母親をよそに、舞と俊哉の力を借りて思う存分「家で」をすることにしたユマ。しばらくは俊哉の家に世話になることになった。
ユマを失った母親は、夫がユマのために送り続けていた絵葉書を手に取っていた。母親は隠しているつもりでいたが、実はユマは一枚だけ自分で受け取っていた。自立するためにも父親に会いたいと思うユマは、翌日俊哉に付き合ってもらい絵葉書の発送元を訪ねるのだった。
映画『37セカンズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
「もう仕事はできない」というユマの置き手紙に慌てるサヤカ。もちろん心配しているのはユマではなく仕事についてだった。その頃、海辺のアトリエに着いたユマと俊哉。父親は5年前に亡くなっており、そこに居たのは父親の弟だった。実は双子の姉・ユカがいることも知ったユマは、母親に「もう少しだけ待って」と連絡をし、一世一代の旅に出る決断をした。
ユマは俊哉に付き添ってもらい、タイで教師をやっているユカに会いに行く。学校を訪ね、初めてユカに会えたユマは、まず父親について尋ねた。ユカも母親について尋ねると、「過保護だ」と言いながら「私がこの体じゃなければ」とどうにもならない後悔を口にしてしまう。実はユマの存在を知っていたユカは、別れ際に「会うのが怖かった」と正直に告げた。手を取り合って二人は再会を誓うのだった。
帰国前の夜、ユマは後に生まれたのが自分でよかったと呟いた。出産時、37秒呼吸が止まったことで生まれながらに脳性麻痺を患ったユマは、新たな出会いを機に自分の人生は間違いでなかったと思えるようになったのである。帰国したユマは、タイで出会った人やユカの似顔絵を母親に見せた。自分の見えないところで成長しているユマをぎゅっと抱きしめ、二人は絆を確かめ合うのだった。
好きな服を着て、思う存分メイクもヘアセットもしたユマは、編集長にお礼を言いに出向いた。見違えたユマの表情と原稿を見た編集長は、「いい作家がいる」とユマの後押しをするのだった。
映画『37セカンズ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
無意識に壁を作っていることを痛感させられる一作であった。ユマが抱えている身体的な障害と、誰しもが持っている心の障害の重さは変わらない。ただ目に見えるのかそうでないかの違いである。一方的に愛情を押しつけてしまう過保護な母親も、心の障害を持つ一人だろう。主演の佳山明はもちろんのこと、神野三鈴と大東駿介の名演が光る今作。スポットはユマに絞られてはいるものの、二人の愛情があってこそ成り立つ物語であった。(MIHOシネマ編集部)
こういう作品を見る度に、自分が「障害」というものにどんなイメージを持っているのか思い知らされて、恥ずかしくなります。
障害なんて関係ない、どんな人間でも平等だと思っている「つもり」でしたが、無意識に自分とは違う部分に注目してしまい、心の中を炙り出されたような気持ちになりました。
違いは誰にでもあるし、それは障害があっても無くても変わらないこと。それを改めて感じさせられ、今後の考え方に大きく影響を与えられた作品です。
目を背けたくなってしまうような内容もありますが、多くの人に見て欲しいです。(女性 30代)
障害を抱える女性の成長と変化の物語。
障害者を題材にした映画の中で、しかも邦画で、こんなにも自由で大胆に描いた作風に感動した。性欲を満たしたい、友達とお酒を飲んで騒ぎたい、親から離れて自立したいといった欲求は誰しもが抱くものである。障害者でも健常者でも、同じ人間であることに変わりなく、自分らしく生きたいのだ。
この作品は障害者だけでなく、社会的弱者にとって希望の光となるような作品だと感じる。きっと多くの人の救いになるはずだ。(女性 30代)
主人公ユマが「37秒」の未熟児として生まれた過去を背負いながら、自分の人生を取り戻そうとする物語が胸に刺さった。人気漫画家の影武者のように扱われていた彼女が、性や自立を求めて外の世界へ踏み出す姿は痛々しくも力強い。風俗店での経験や、母との衝突を経て、自分の意思で創作する決意を固めるラストが希望に満ちていた。(30代 男性)
母親の過干渉とユマの葛藤がリアルだった。愛ゆえの束縛が、彼女の可能性を狭めている構図が切ない。性風俗の世界に足を踏み入れる展開は衝撃的だが、彼女が「普通」を体験したいという切実な願いの表れだと感じた。最後に自分の名前で作品を描き始める姿に涙が出た。(40代 女性)
障がいをテーマにしながら、過度な感傷に流れないのが良い。ユマが性を求める姿は生々しいが、それこそが彼女の主体性だと思う。母との確執や双子の姉との関係が少しずつ明らかになる展開も丁寧。自立とは何かを問いかける静かな力作。(20代 男性)
ユマの不器用な一歩一歩が愛おしい。人気漫画家のゴーストライターという立場から抜け出そうとする決意が印象的だった。風俗店の青年との出会いが彼女の視野を広げるきっかけになるのも自然。ラストの再出発は決して派手ではないが、確かな希望を感じた。(50代 女性)
性や障がいという難しいテーマを真正面から描いている。ユマが「経験」を求めて行動する姿は勇敢だ。母親との対話シーンは胸が締めつけられる。守られてきた存在が、自分の人生を選び取る物語として強く心に残った。(30代 女性)
淡々とした演出がリアリティを生む。ユマが自分の力で仕事を得ようとする姿勢に共感した。双子の姉の存在が明らかになる場面は意外性があり、家族の複雑な感情が浮き彫りになる。最後に自分の物語を描き始める姿が印象的。(40代 男性)
ユマの目線で描かれる東京の風景が新鮮だった。社会のバリアだけでなく、心のバリアを越えていく過程が丁寧。風俗店での出来事はショックだが、彼女の成長の一部として描かれている。静かだが確かな前進を感じるラストが良い。(20代 女性)
映画『37セカンズ』を見た人におすすめの映画5選
最強のふたり
この映画を一言で表すと?
障がいと友情が生み出す、人生を肯定する実話ドラマ。
どんな話?
事故で全身麻痺となった富豪と、介護経験のない若者が出会う。最初は噛み合わない二人だが、次第に心を通わせ、互いの世界を広げていく。ユーモアと温かさに満ちた実話ベースの物語。
ここがおすすめ!
障がいを特別視せず、人間同士の関係性として描く姿勢が共通。重さの中に軽やかな笑いを織り交ぜ、観る者に前向きな余韻を残す。自立と尊厳を描く作品が好きな人に最適。
コーダ あいのうた
この映画を一言で表すと?
家族と夢のはざまで揺れる少女の成長物語。
どんな話?
聴こえない家族の中で唯一耳が聴こえる少女が、歌う才能を見出される。家族を支える責任と、自分の夢を追う気持ちの間で葛藤しながら、進むべき道を選んでいく。
ここがおすすめ!
家族愛と自立のテーマが37セカンズと響き合う。守られる側から自分の意思で一歩踏み出す姿が胸を打つ。温かさと切なさを同時に味わえる感動作。
湯を沸かすほどの熱い愛
この映画を一言で表すと?
母の強さと優しさが胸を打つ、濃密な家族ドラマ。
どんな話?
余命宣告を受けた母親が、家族の問題を一つずつ解決しようと奔走する。娘との関係や夫の過去と向き合いながら、残された時間を全力で生きる姿が描かれる。
ここがおすすめ!
母と娘の複雑な関係を丁寧に描き、感情のぶつかり合いがリアル。家族の愛と自立の物語として深い共鳴を生む。心に長く残る人間ドラマ。
ブルーバレンタイン
この映画を一言で表すと?
愛の始まりと終わりを静かに見つめる、痛切なドラマ。
どんな話?
若き日の情熱的な恋と、数年後にすれ違う夫婦の姿を交錯させながら描く。愛が変質していく過程をリアルに映し出し、関係性の難しさを浮き彫りにする。
ここがおすすめ!
理想と現実のギャップ、感情の揺らぎを繊細に描く点が共通。派手さはないが、人物の内面に深く迫る演出が心を掴む。人間関係のリアルを味わいたい人に。
万引き家族
この映画を一言で表すと?
血縁を超えた絆を描く、静かな社会派ドラマ。
どんな話?
万引きで生計を立てる疑似家族が、ひとりの少女を迎え入れる。やがて彼らの秘密が明るみに出る中で、家族とは何かが問い直される。社会の隙間で生きる人々の物語。
ここがおすすめ!
社会の枠組みと個人の尊厳を描く視点が共鳴する。派手な展開はないが、人物の感情が丁寧に積み重ねられる。観終わった後に静かな問いが残る秀作。



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