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映画『37セカンズ』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『37セカンズ』の概要:ロサンゼルスを拠点にCM業界で活躍するHIKARI監督の長編デビュー作。脳性麻痺を患いながら、過保護な母親から自立を目指す女性を追う一作。ベルリン国際映画祭パノラマ部門で観客賞とCICAEアートシネマ賞を受賞している。

映画『37セカンズ』の作品情報

37セカンズ

製作年:2019年
上映時間:115分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ、青春
監督:HIKARI
キャスト:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子 etc

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映画『37セカンズ』の登場人物(キャスト)

貴田ユマ(佳山明)
生まれながらに脳性麻痺を患い、半身不随である車いすの女性。自立したいと強く願っており、様々な人と出会う中で人生の在り方を大きく変えていく。
貴田恭子(神野三鈴)
大きな病気を抱える娘を女手一つで育てる母親。唯一の家族であるユマに依存しており、過保護すぎることでユマを圧迫してしまっている。
俊哉(大東駿介)
舞の顧客であるクマさんのヘルパー。ユマの感性に惹かれ、できる限りのサポートをしながら変化を目の前で感じていく。前向きなユマの影響を受け、自身も少しずつ変化を求めるようになる。
舞(渡辺真起子)
障害者専門の風俗嬢。ずば抜けた明るさで人を魅了し、ユマの成長にも目一杯手を貸してくれる存在。
サヤカ(萩原みのり)
ユマの学生時代からの友人。漫画を描けるユマの才能を利用しつつ、ビジネスパートナーとして助けを求め続ける。裕福な家庭で育ち甘やかされている。

映画『37セカンズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『37セカンズ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『37セカンズ』のあらすじ【起】

降車の手助けをしてくれる駅員に丁寧にお礼を述べながら、改札の前で待つ母の元に向かうユマ。脳性麻痺の影響で、一人でお風呂に入ることはおろか洋服の脱ぎ着も一人でできないユマは、母親の視界の中だけで生きていた。

漫画を描くのが得意なユマは、友人・サヤカのゴーストライターとして仕事をしていた。編集担当者にすら真相を伝えていないサヤカは、ユマの取り分も含め全て自分の物にしようとしていた。大きく反論はしないものの、自分の存在を隠そうとするサヤカの無茶な要望に耐えながら何かアクションを起こしたいと考えていたのだった。サヤカに内緒で編集担当に自分の作品を見てもらうが「サヤカの作品と似ている」と言われてしまい落ち込むユマ。偶然、草陰に捨てられているアダルトマンガ雑誌が目に入った。漫画家の募集が載っていることに気付いたユマは、自宅に持ち帰り自ら売り込みを始める。一社だけ原稿を見てもらえることになり、急遽原稿を書き上げるのだった。

アポイントを取った編集者に出向いたユマ。女性編集長に原稿を見せると、とてもいい反応を受けたものの「妄想のアダルトマンガ」だと指摘を受けてしまった。経験をすることがあったら改めて原稿を書けばいいと前向きな言葉をもらったユマは、ひとまず自宅でアダルトサイトの動画を見てデッサンを重ね自分の身体で真似をしてみることから始めるのだった。

映画『37セカンズ』のあらすじ【承】

母親に見つからないようにアダルトサイトを隠したユマは、出会い系サイトの広告を見つけた。その日から、母親には内緒で様々な男性と会い続けるようになる。「障害者」という壁は言葉では超えられても、実際に壊して接してくれる男性は少ない。デートの約束をすっぽかされたユマは夜の繁華街へと車椅子を走らせた。

ユマは勇気を持って風俗店のキャッチの男性に「男性を紹介して欲しい」と声をかける。その男性の指示通りにホテルに向かうと、ヒデという男性が部屋を訪ねてきた。話しやすい雰囲気のヒデに、一番体験してみたかったキスを求めるが、お店の規則でダメだと断られてしまう。初めてのことばかりで戸惑うユマは、無意識にお漏らしをしてしまった。ヒデはユマをやんわりと拒絶し、料金だけを求め先に部屋を出ていってしまった。

一人残されたユマ。不運にもエレベーターが故障しており立ち往生していると、同じく車いすに乗った男性と綺麗な女性のカップルが部屋から出てきた。女性の名前は舞。車椅子の男性・クマさんは舞の客だという。二人と偶然出会い、クマさんのヘルパーである俊哉が近くのバス停まで送ってくれたことで無事に帰路に就けたユマ。家で待ち構える過保護な母親から解放される兆しを舞に抱くのだった。

後日、「バイブレーターを買いたい」という他の人には頼めない願いを舞に話してみた。快く了承してくれた舞は、希望の買い物だけではなく化粧品や洋服も見繕いに外の世界に連れ出してくれるのだった。

映画『37セカンズ』のあらすじ【転】

舞と別れ、帰宅する前に着替えやメイクを落としに行くユマ。その頃、母親にはユマが職場に来ないとサヤカから連絡が入ってしまった。自分が把握していない娘の行動に過剰な反応を示す母親は、帰宅したユマを叱り散らした。翌日もユマは仮病を使って職場を抜け出した。「具合が悪い」というユマよりも原稿の出来上がりを心配するサヤカ。ユマは舞と合流し、夜の町に繰り出すのだった。

連日帰宅が遅いユマを迎えに行こうとした母親だったが、当然ユマはサヤカの元にはいない。サヤカからそのことを聞いた母親は、何か情報を得るためにユマの部屋を探り回る。その頃ユマは初めてのお酒で酔いつぶれていた。俊哉に家の近くまで送ってもらったユマは、笑顔で帰宅する。しかし、自宅では母親がアダルトグッズを見つけ放心状態になっていた。一方的に怒り続ける母親に、「何もやらせてくれない」とようやく本音をぶつけたユマ。父親が出ていったのも、母親がすべてに対して過保護だからだと余計なことまで言ってしまったユマ。翌日から携帯電話も取り上げられ、部屋から出られないように鍵がかけられていた。

リハビリ中のユマを監視するように見守る母親。トイレに行くといい、ユマは意を決して病院を抜け出した。心配する母親をよそに、舞と俊哉の力を借りて思う存分「家で」をすることにしたユマ。しばらくは俊哉の家に世話になることになった。

ユマを失った母親は、夫がユマのために送り続けていた絵葉書を手に取っていた。母親は隠しているつもりでいたが、実はユマは一枚だけ自分で受け取っていた。自立するためにも父親に会いたいと思うユマは、翌日俊哉に付き合ってもらい絵葉書の発送元を訪ねるのだった。

映画『37セカンズ』の結末・ラスト(ネタバレ)

「もう仕事はできない」というユマの置き手紙に慌てるサヤカ。もちろん心配しているのはユマではなく仕事についてだった。その頃、海辺のアトリエに着いたユマと俊哉。父親は5年前に亡くなっており、そこに居たのは父親の弟だった。実は双子の姉・ユカがいることも知ったユマは、母親に「もう少しだけ待って」と連絡をし、一世一代の旅に出る決断をした。

ユマは俊哉に付き添ってもらい、タイで教師をやっているユカに会いに行く。学校を訪ね、初めてユカに会えたユマは、まず父親について尋ねた。ユカも母親について尋ねると、「過保護だ」と言いながら「私がこの体じゃなければ」とどうにもならない後悔を口にしてしまう。実はユマの存在を知っていたユカは、別れ際に「会うのが怖かった」と正直に告げた。手を取り合って二人は再会を誓うのだった。

帰国前の夜、ユマは後に生まれたのが自分でよかったと呟いた。出産時、37秒呼吸が止まったことで生まれながらに脳性麻痺を患ったユマは、新たな出会いを機に自分の人生は間違いでなかったと思えるようになったのである。帰国したユマは、タイで出会った人やユカの似顔絵を母親に見せた。自分の見えないところで成長しているユマをぎゅっと抱きしめ、二人は絆を確かめ合うのだった。

好きな服を着て、思う存分メイクもヘアセットもしたユマは、編集長にお礼を言いに出向いた。見違えたユマの表情と原稿を見た編集長は、「いい作家がいる」とユマの後押しをするのだった。

映画『37セカンズ』の感想・評価・レビュー

無意識に壁を作っていることを痛感させられる一作であった。ユマが抱えている身体的な障害と、誰しもが持っている心の障害の重さは変わらない。ただ目に見えるのかそうでないかの違いである。一方的に愛情を押しつけてしまう過保護な母親も、心の障害を持つ一人だろう。主演の佳山明はもちろんのこと、神野三鈴と大東駿介の名演が光る今作。スポットはユマに絞られてはいるものの、二人の愛情があってこそ成り立つ物語であった。(MIHOシネマ編集部)


こういう作品を見る度に、自分が「障害」というものにどんなイメージを持っているのか思い知らされて、恥ずかしくなります。
障害なんて関係ない、どんな人間でも平等だと思っている「つもり」でしたが、無意識に自分とは違う部分に注目してしまい、心の中を炙り出されたような気持ちになりました。
違いは誰にでもあるし、それは障害があっても無くても変わらないこと。それを改めて感じさせられ、今後の考え方に大きく影響を与えられた作品です。
目を背けたくなってしまうような内容もありますが、多くの人に見て欲しいです。(女性 30代)


障害を抱える女性の成長と変化の物語。
障害者を題材にした映画の中で、しかも邦画で、こんなにも自由で大胆に描いた作風に感動した。性欲を満たしたい、友達とお酒を飲んで騒ぎたい、親から離れて自立したいといった欲求は誰しもが抱くものである。障害者でも健常者でも、同じ人間であることに変わりなく、自分らしく生きたいのだ。
この作品は障害者だけでなく、社会的弱者にとって希望の光となるような作品だと感じる。きっと多くの人の救いになるはずだ。(女性 30代)

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