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映画『64 ロクヨン 前編』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『64 ロクヨン 前編』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『64 ロクヨン 前編』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『64 ロクヨン 前編』の結末までのストーリー
  • 『64 ロクヨン 前編』を見た感想・レビュー
  • 『64 ロクヨン 前編』を見た人におすすめの映画5選

映画『64 ロクヨン 前編』の作品情報

64 ロクヨン 前編

製作年:2016年
上映時間:121分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、ミステリー
監督:瀬々敬久
キャスト:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣 etc

映画『64 ロクヨン 前編』の登場人物(キャスト)

三上義信(佐藤浩市)
昭和64年に起きた未解決の少女誘拐殺人事件、通称ロクヨンを捜査していた刑事。今は県警の広報官。元同僚の妻・美那子との間にあゆみという娘がいるが、彼女は行方不明になってしまう。
雨宮芳男(永瀬正敏)
ロクヨン事件の被害者・翔子の父親。事件後は生気を失い、妻にも先立たれ、独り昭和64年に取り残されてしまっている。
幸田一樹(吉岡秀隆)
ロクヨン事件の時、自宅班だった元刑事の男。事件後すぐに警察を辞め、今はスーパーの駐車場で車の誘導をしている。事件のカギとなる「幸田メモ」を書いた人物。
秋川(瑛太)
記者クラブのリーダー的存在。東洋新聞記者。
赤間(滝藤賢一)
県警本部警務部長。三上の上司で、自分のキャリアのことしか考えていない。三上には、騒ぐ記者たちを力で抑えつけろ、などと指示をする。

映画『64 ロクヨン 前編』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『64 ロクヨン 前編』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『64 ロクヨン 前編』のあらすじ【起】

昭和64年1月5日。雨宮翔子という7歳の少女は、木の枝にカラフルな団子を付けたメーダマを持って出かけた。

夜になり、雨宮家に警察が集まっている。雨宮家は娘を誘拐され、犯人に身代金を要求されている。父・芳男は、電話で犯人に指定された喫茶店へ車を飛ばした。着いた先々で次の場所を指定され、最終的に山間部の橋からトランクを川へ落とした。

1月7日、昭和天皇は崩御し、世の中はそのニュースで溢れている。一方、廃車のトランクから翔子の遺体が見つかる。

平成14年12月4日。警察の三上義信は、元同僚の妻・美那子と共に女性の遺体の確認をしている。彼らは行方不明の娘・あゆみを探しているが、遺体は別人だった。

広報官になったばかりの三上は、交通事故の加害者の名前が匿名であることを記者クラブから責められている。三上は、妊娠8ヶ月の加害者の心身の状態を配慮しての判断だと説明するが、記者たちは納得しない。

たった一週間しかなかった昭和64年に起きたあの事件のことを警察はロクヨンと呼んでいる。時効まで一年が迫り、翌週に警視庁長官が視察に来るという。三上は警務部長の赤間から遺族との交渉を任せられる。

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映画『64 ロクヨン 前編』のあらすじ【承】

三上が雨宮家を訪問すると、やつれた芳男がいた。妻は一年前に脳梗塞で亡くなったという。雨宮は長官の慰問を断った。

三上家に無言電話があり、美那子はあゆみからの電話だと信じている。

加害者の実名を出さなければ本部長に抗議文を出すと言う記者クラブを止めるため、三上は東洋新聞の記者にネタを提供した。しかし三上は裏切られ、記者クラブのリーダー格である東洋新聞の秋川を先頭に、記者たちは抗議文を持って本部長の部屋へ押しかけた。三上と部下たちが必死に彼らを止めようとし、三上がうっかり抗議文の紙を破ってしまう。秋川は怒り、今度の長官の取材をボイコットすると言った。

12月7日、三上は雨宮の交渉のために、元同僚の望月を訪ねた。すると、望月は「幸田メモのことは何も言えない」と言った。三上は幸田メモのことを何も知らなかったが、当時の同僚たちをあたり、調べてみることにした。

美那子は無言電話があって以来、家に引きこもりがちになっていた。義信は、他の人の家にも無言電話がよくあるらしいと言った。そして義信は、父に似た自分の顔を整形したいと言った娘の姿を思い出した。

映画『64 ロクヨン 前編』のあらすじ【転】

幸田一樹はロクヨン事件の時自宅班だった男で、事件後すぐに警察を辞めていた。三上が柿沼という刑事に幸田のことを聞きに行くと、彼はスーパーの駐車場で働く幸田を監視していた。

ロクヨン事件には、公表されていない犯人からの電話が一つあった。テレコの不具合で警察は犯人の声を録り逃してしまったため、そのことは口外されていない。当時テレコの操作を担当していた日吉という若い刑事は、上司から少女が死んだらお前のせいだと言われ、事件以降部屋に引きこもってしまった。幸田は電話のことを報告書に書き、本部に提出しようとしたが、それは県警の組織ぐるみで隠蔽された。

三上は再び雨宮家へ行き、仏壇に線香をあげた。事件当時のことや自分の娘のことが頭によぎり、三上は言葉に詰まってしまう。雨宮は長官の慰問を許可した。

刑事部長が東洋新聞にネタを売り、県警の不祥事が報道された。赤間は記者クラブに頭を下げるよう三上に指示した。

三上が刑事部長の元へ行くと、今度の長官視察は、県警の刑事部長ポストに有能なキャリア組を置くためだということを知らされた。刑事部長は、記者クラブにあえて取材をボイコットさせるよう三上に言った。

映画『64 ロクヨン 前編』の結末・ラスト(ネタバレ)

三上は、広報官として匿名問題にケリをつけようとし、警察を辞める覚悟で記者クラブに話をしに行った。今後は実名を原則とすると三上が宣言すると、記者たちは、妊婦の名前と住所を公表しなければその言葉を信じられないと言った。三上は部下の制止を振り切り、記者クラブへ加害者の名前と住所を言った。加害者が公安委員の娘であること、被害者の老人が亡くなったこともすべて伝えた。三上の誠意ある行動にも関わらず、記者たちは「だから県警は信用できない」という結論を出した。

三上は、最後に被害者の老人の身の上話をした。彼は身寄りもなく、世の中も彼の死を知らない。ロクヨン事件の報道は、天皇崩御と重なり、極端に少なかった。今もう一度報道してほしいという三上の言葉を聞き、記者クラブは長官の取材をすることにした。

12月11日、長官視察の前日、誘拐事件が起きた。犯人はサトウと名乗り、2000万を要求し、丸越百貨店の一番大きなスーツケースを指定しているという。それはロクヨン事件と全く同じであった。三上は記者と報道協定を締結するよう命じられた。

映画『64 ロクヨン 前編』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

冒頭から誘拐事件で、身代金を持って振り回される父親役の永瀬正敏の熱演に引き込まれる。その後、警察関係者や記者クラブの面々など登場人物が増えていくが、主役級の俳優ばかりでその豪華さに驚いた。主役の佐藤浩市のにじみ出るような疲弊や苦悩がリアルで、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞の獲得も納得だった。

ストーリーが進むにつれ、事件内容ばかりではなくその周辺の人間模様や社内政治などが描かれ、多層的な構造に作品の深みを感じた。最後はロクヨンを模倣した事件が起こり、後編への期待が高まる終わり方だった。(女性 40代)


ずっと重苦しい雰囲気が続くので、観続けるのは精神力が必要だった。

当時の警察の様子や裏側を見たような感じで、やはり現代のようにネットやSNSなどが普及していない昭和において、今よりも警察の隠蔽や情報操作が容易く行われていたのだろうなと思った。

少女誘拐殺人事件にまつわる話なので、サスペンス要素が強いのかと思って観たが、意外にしっかりとした人間ドラマだ。模倣事件が起き、謎がさらに深まり後編に続く終わり方は良かった。(女性 40代)


重厚で骨太な一本。
前後編の前編となる本作では、事件そのものの謎が解明されていく様以上に、主人公と記者クラブの関係を始めとした「組織の中で働く人」のドラマが強く印象に残る。その根本は多くの会社員に響くのではないだろうか。登場人物達それぞれの想いが丁寧に描かれている分、話の展開に派手さはない。そして単純な良し悪しもない。その為ある程度観るときに体力と集中力が要求される。そこを楽しめるのであれば、十分お勧めできる一本。(男性 40代)


原作を読んでいましたが、映画も期待を裏切らない重厚な作りでした。昭和64年に起きた未解決事件を軸に、警察組織の内部抗争や記者クラブとの対立など、単なるミステリーでは終わらない奥深さがあります。三上の苦悩や葛藤がリアルで、観ていて胸が痛くなります。特に娘との関係に関しては、事件とは別の人間ドラマとしても強く印象に残りました。(40代 男性)


緊迫感のある展開が終始続き、目が離せませんでした。昭和と平成をつなぐ“64”というわずか7日間がこんなにも重く描かれるとは思わず、驚かされました。広報官という立場で板挟みにあう三上の姿がとても切なく、組織と個人の間で揺れる姿に心を打たれました。犯人探しよりも人間描写に重きが置かれていて、重厚なドラマとして秀逸です。(30代 女性)


最初は少し地味な印象を受けたけど、話が進むにつれてじわじわと引き込まれました。昭和の未解決事件が現在にどう影響しているのか、警察内の人間関係も絡んで複雑に展開するストーリーが見事。娘の失踪の件が終盤で語られるシーンは涙なしでは観られませんでした。前編だけでも完成度が高く、後編が気になって仕方ありません。(20代 男性)


事件そのものよりも、組織の中で闘う人々の姿がとても印象的でした。特に三上広報官のキャラクターが素晴らしく、正義感と葛藤が入り混じる演技が光っていました。警察とマスコミの関係や、情報公開のあり方も現代社会に通じるものがあって、ただの刑事ドラマではない深さを感じます。後編へと続くラストも秀逸でした。(50代 女性)


“64”という象徴的な数字が、こんなにも重い意味を持つとは思っていませんでした。未解決事件を追う話としてはもちろん、広報室の視点から描かれることでリアルな現場の空気感が伝わってきます。広報と報道のぶつかり合いのシーンは特に見応えあり。人間関係の軋轢、信念のぶつかり合いが見事に描かれていました。(30代 男性)


ストーリーが難解で、最初は置いてけぼりを食らったけど、後半にかけて一気に加速していき、気づいたら完全にのめり込んでいました。未解決事件と娘の失踪、そして組織内の対立という三重構造が見事で、すべてが三上という人物に集約されている。演じた佐藤浩市さんの存在感が圧倒的で、観る者を引き込む力がありました。(20代 女性)


昭和の終わりと平成の始まりがテーマになっているのがとても興味深かったです。刑事ドラマでありながら、時代の変化や社会構造も描かれていて、見応えがありました。主人公の三上がひとつの事件とどう向き合い、自分の過去とも折り合いをつけようとしている姿には胸が熱くなります。後編を観てからもう一度前編を観返したくなりました。(60代 男性)

映画『64 ロクヨン 前編』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『64 ロクヨン 前編』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

クライマーズ・ハイ(2008)

この映画を一言で表すと?

報道と正義の狭間で揺れる男たちの、実話に基づいた壮絶な群像劇。

どんな話?

日航機墜落事故を題材に、地元新聞社の記者たちが極限の中で真実を追う姿を描いた物語。事故の衝撃と同時に、組織内部の確執や記者としての信念も描かれ、スリリングで濃密なヒューマンドラマが展開されます。

ここがおすすめ!

『64 ロクヨン』同様、事件そのものだけでなく、それに向き合う人間たちの苦悩や葛藤がリアルに描かれており、観る者の心を強く揺さぶります。記者の正義、組織の論理、命の重み…すべてが胸に刺さる傑作です。

半落ち(2004)

この映画を一言で表すと?

嘘と真実の狭間にある、切なくも深い人間の葛藤。

どんな話?

元刑事が認知症の妻を殺害したと自首するも、「事件発生から出頭までの2日間の行動」を頑なに語らない。警察、検察、記者たちがその“空白”に潜む真相を追う中で、彼の静かな愛と苦悩が浮かび上がっていく。

ここがおすすめ!

『64 ロクヨン』に通じる重厚な人間ドラマが魅力。登場人物それぞれが抱える正義と感情が丁寧に描かれ、真相が明かされたときに訪れる感動はひとしお。静かで深い余韻を残す、心に沁みる作品です。

日本のいちばん長い日(2015)

この映画を一言で表すと?

国家の運命を託された人々の、覚悟と苦悩を描く歴史サスペンス。

どんな話?

終戦を迎える日本。ポツダム宣言受諾を巡り、天皇・内閣・軍部が極限の選択を迫られる。たった1日のできごとが、国の行方を大きく左右した、知られざる「8月15日」の裏側に迫った群像劇。

ここがおすすめ!

組織の論理と個人の信念がぶつかり合う展開は、『64 ロクヨン』と非常に共通するものがあります。登場人物それぞれが必死に何かを守ろうとする姿が胸を打つ、歴史と人間のリアルが詰まったドラマです。

孤高のメス(2010)

この映画を一言で表すと?

命をめぐる倫理と信念の対立を描いた、静かなる医療ヒューマンドラマ。

どんな話?

地方の病院に赴任した外科医が、当時認められていなかった脳死移植を決断。命を救いたいという医師の想いと、それを阻む制度や周囲の壁の中で、彼は信念を貫こうとする。

ここがおすすめ!

『64 ロクヨン』と同じく、理不尽な組織と信念の狭間で葛藤する主人公の姿が心を打ちます。事件性はなくとも、その静かな衝突と揺れ動く感情が深く描かれ、観る者に問いを投げかけてくる名作です。

検察側の罪人(2018)

この映画を一言で表すと?

正義とは何か。信じる道が交錯する、心理サスペンスの極致。

どんな話?

検事である最上と沖野。師弟関係にあった二人が、ある殺人事件をきっかけに対立していく。正義を信じる沖野と、過去に囚われた最上。彼らの内面にある「罪」と「正義」のズレが、静かに激しくぶつかり合う。

ここがおすすめ!

『64 ロクヨン』のような重層的な物語が好きな方にぴったり。一筋縄ではいかないキャラクターたちの心の機微、信念の対立、そしてどこか虚しさを感じるラストまで、息を飲む心理ドラマが展開されます。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    人間ひとりひとりの苦痛や悩みを抹消面からち密に描いた作品。誰もが分かり合えていない感じがして、見ていて辛く、重苦しいけれどだからこそ時折表現される優しさやひたむきさに突然胸を打たれる。

    そういう映画だとわかって観るもしくは、ヒューマンドラマを好む人にはいいが、そうでない人には退屈で終わる可能性も。ストーリーにあまり山場がなく、あるとすればロクヨンの模倣事件の発生だが、それは前編の最後。後編でどう収束させるか楽しみである。

  2. 匿名 より:

    ①文句なしの人間ドラマ

    もっとサスペンス要素が強いのかと思っていたが、いい意味で予想を裏切られた。どちらかというと謎が云々よりも、それにまつわる人間ドラマを描くのが9割、といった印象。主人公の三上は、外から見ていると一生懸命で熱心な刑事に見えるが、ロクヨンのせいで娘は失踪している。記者クラブの面々も、当時本当にそうだったのか知れないが(原作者が報道関係の人間なのであながち誇張ではないのかもしれない)、なかなかに強烈で、駆け引きに翻弄される三上の部下の様子もとても繊細に描かれていた。たたき上げの警察官とキャリアの間の軋轢も嫌というほどリアルに再現されている。

    また、ロクヨンで秘密を握ることとなり、十四年間という長い間自責に苦しむ二人の若き捜査班の苦悩も、静かに深く重く描かれており、三上の手紙を見た時は観客の私まで息苦しいほどだった。

    総じて何もかもが派手ではない映画である。大きな出来事があるわけでもない。だからこそ、一人一人の人間の生きざまというか、一挙手一投足、苦しみのひとつひとつが非常に迫ってくる。

    ②見ていて苦しい

    長所と短所は裏表である。先に記述したように、人間をひとつひとつ丁寧に描いているからか、大きな山場と呼べる部分はない。始終重苦しい雰囲気と、胸が詰まる思いで観続けるというのはなかなかに人を選ぶ気がした。私自身はこういうヒューマンドラマも嫌いではないが、映画に何を求めるかによっては、ただ苦しいばかりの退屈な映画になってしまうかもしれない。