映画『92歳のパリジェンヌ』の概要:92歳の誕生日を迎えたマドレーヌは、自分の体が思うように動かなくなってきたことを感じていた。前々から家族に話していた通り、2か月後に尊厳死を行うことを決意する。だが、家族は尊厳死を受け入れられず、マドレーヌを止めようとした。
映画『92歳のパリジェンヌ』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:パスカル・プザドゥー
キャスト:サンドリーヌ・ボネール、マルト・ヴィラロンガ、アントワーヌ・デュレリ、ジル・コーエン etc
映画『92歳のパリジェンヌ』の登場人物(キャスト)
- マドレーヌ(マルト・ヴィラロンガ)
- 92歳。元助産師。昔、活動家として色んな団体に参加していた。浮気も行っていたが、亡き夫はそんなマドレーヌを受け入れていた。病院で死ぬのが嫌で、自分の気力がある内に尊厳死を行うことを決める。
- ディアーヌ(サンドリーヌ・ボネール)
- マドレーヌの娘。夫と息子・マックスがいる。教師として働く。
- ピエール(アントワーヌ・デュレリ)
- マドレーヌの息子。ディアーヌの兄。自分勝手な母に腹を立てている。結婚しており、娘が2人いる。
映画『92歳のパリジェンヌ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『92歳のパリジェンヌ』のあらすじ【起】
マドレーヌは「入浴・着替え・階段を上る・荷物を持つ・車の運転」とメモ帳に書いて上から線を引いた。線を引いたのは、できなくなってしまったことだった。家族が集まってマドレーヌの92歳の誕生日を祝った。そこで、マドレーヌは家族に感謝の言葉を伝え、2か月後の10月17日に死ぬことを宣言した。
マドレーヌの娘のディアーヌと息子のピエールは、母を家まで送り届けた。ディアーヌが母の部屋に入ると、荷物が綺麗に纏められていた。ピエール達は母の尊厳死を受け入れることができなかった。特にピエールは母と折り合いが悪く、どう接すればいいのか分からず戸惑っていた。施設に入れればいいのではないかと提案するが、ディアーヌに止められる。ディアーヌは家族が傍にいてあげるべきだと考えていた。
ディアーヌは母を家に招こうとするが、頑なに拒否される。マドレーヌは自分の気持ちを理解してくれない娘に苛立ち、尊厳死を認めてくれと頼んだ。気力が残っている内に尊厳死を行うということは、前から家族に話してあったことだった。だが、ディアーヌは受け入れられなかった。マドレーヌの気持ちを理解してくれるのは、家政婦のヴィクトリアだけだった。
映画『92歳のパリジェンヌ』のあらすじ【承】
ディアーヌが何度電話しても母は出なかった。ディアーヌは何だか悪い予感がしたため、マックスに頼み母の家に送ってもらった。すると、部屋から煙が出ていた。幸い火事にはならなかったが、マドレーヌがトイレで倒れていたため、ディアーヌは救急車を呼んだ。身体が衰弱しているため、マドレーヌは入院することになった。ディアーヌとピエールは医師に母が尊厳死を希望していることを明かし、止めて欲しいと頼んだ。マドレーヌはディアーヌ達に自分の体が老いてしまったことを話し、尊厳死をさせて欲しいと訴えた。マドレーヌは30年前から病院では死にたくないと話していた。ピエールは頑なに嫌がり、ディアーヌは母の気持ちを考えて思い悩んだ。
マドレーヌは病院を出たところで、出産間近の女性と出会う。夫は医師を呼びに行き、マドレーヌが出産を手伝った。マドレーヌは昔助産師として働いていたのだ。だが、赤ちゃんを取り上げた後、マドレーヌは倒れてしまう。
映画『92歳のパリジェンヌ』のあらすじ【転】
マドレーヌはおねしょをしてしまい、看護婦におむつを渡される。マドレーヌは荷物を持ってきたディアーヌにおむつ姿を見せ、自分の現状を訴えた。衝撃を受けたディアーヌは、母を連れて家に帰ることにした。一緒に高価な食事を食べ、アルバムを見ながら昔を懐かしんだ。ディアーヌは母の入浴を手伝った。着替えも入浴も1人では満足にできない母の姿を見て、尊厳死を受け入れることを決意する。ただ、日にちは知りたくないのであやふやにして欲しいと頼んだ。
ピエールは母を責め立て、部屋にあった薬を奪っていった。マドレーヌは涙を流して悲しんだ。ディアーヌは兄の所業を知り、母を慰め励ました。そして、色んな医師に診てもらい、大量の薬を用意する手助けをした。その一方で、ディアーヌは母を自分で撃ち殺す夢を見て苦しんでいた。マドレーヌは仲直りするために息子を家に招くが、ピエールは行くことができずすっぽかしてしまう。
母の尊厳死について意見が対立し、家族はバラバラになってしまう。ディアーヌが夫と喧嘩してむしゃくしゃしているとき、看護助手の男性に出会う。ディアーヌはその男性に勧められ、トラック(競走路)の上を走った。ディアーヌは気分が晴れるのを感じた。
映画『92歳のパリジェンヌ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ディアーヌは母の家に行き、母の初恋の相手であるジョルジュの手紙を読んだ。ジョルジュは年老いた今でもマドレーヌを愛し、手紙を送り続けていた。ディアーヌは母を連れてジョルジュに会いに行くことにした。マドレーヌはジョルジュに会い、尊厳死を行うことを伝えた。2人が悲しそうに抱き合う姿を、ディアーヌは物陰からそっと見ていた。家に帰った後、マドレーヌはディアーヌと最後に会う日を決めた。ディアーヌは最期のときに電話して欲しいと母に頼み、家に帰った。
マドレーヌは部屋の整理を行った。人にあげる物には付箋を使い、メッセージを書き込んだ。ディアーヌは母が家政婦のために用意しているお金を見て、決行が4日後だと気づいていた。ディアーヌは不安な気持ちを夫に話した。両親の話を聞いたマックスは、オーストラリアに行く予定を取り止め祖母の元にいる決意をする。
ディアーヌは母に会い一緒に食事を食べた。泣きそうになると、席を立って涙を流した。ディアーヌは母を抱き締め家を出た。外ではマックスと夫が待ってくれていた。ディアーヌは夕食会を開くが、ピエール一家は来なかった。ディアーヌは母からの最期の電話を受け、別れを伝えた。その後、母から教えてもらったレシピを使い、お菓子を作った。ディアーヌは母を思って悲しんだ。
このお話は、尊厳死を求めて戦ったミレイユ・Jの実話を基に作られている。
映画『92歳のパリジェンヌ』の感想・評価・レビュー
マドレーヌおばあちゃんの最後まで「自分らしく」生き抜いた姿がとても印象的でした。「パリジェンヌ」という言葉がまさにぴったりなマドレーヌ。娘たちに理解して貰えなくても、自分の意見を貫いて自分なりの「美しい形」で最期を迎えた彼女を見るとこんなやり方もあるんだな、悪くないなと思わせてくれました。
死は誰にでも平等にやってきます。それを怖がるのでは無く、自分の好きなタイミングで迎え入れたマドレーヌを尊敬する素敵な作品でした。(女性 30代)
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