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映画『九月の恋と出会うまで』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『九月の恋と出会うまで』の概要:芸術家ばかりが住むアパートへ引っ越したヒロイン。彼女はある夜、部屋の通風口から1年後の未来にいるという人物の声を聞き、強盗殺人から命拾いする。ヒロインは同じアパートに住む小説家を目指す青年と協力して、謎の声の人物を探すことにするのだった。

映画『九月の恋と出会うまで』の作品情報

九月の恋と出会うまで

製作年:2019年
上映時間:106分
ジャンル:SF、ファンタジー、ラブストーリー
監督:山本透
キャスト:高橋一生、川口春奈、浜野謙太、中村優子 etc

映画『九月の恋と出会うまで』の登場人物(キャスト)

平野進(高橋一生)
小説家を目指し日夜、執筆活動を続けているサラリーマン。いつも寝ぐせをつけた頭で、意外とお人よし。料理上手で四角四面な人物であるが、話せば丁寧で気軽。SFが大好きで人見知り。
北村志織(川口春奈)
写真を趣味に持つ旅行代理店のOL。引っ越したばかりの部屋の通気口から、未来の平野という人物の声を聞く。人当たりが良く明るい。人見知りをしない性格。
森秋真一(古舘佑太郎)
アパートのオーナーである権藤の孫で、志織の大学時代の恋人。アメリカの大学院へ留学し志織とはそれっきりになっていたが、海外での仕事を得た後、志織を迎えに来ようとしていた。現実主義者でエリート。
権藤(ミッキー・カーチス)
アパートのオーナー。住人が部屋を選ぶのではなく、部屋が住人を選ぶのだと豪語する不思議な人物。事あるごとに志織へと重要な言葉をかける。非常に穏やかで和やかな雰囲気を持つ。

映画『九月の恋と出会うまで』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『九月の恋と出会うまで』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『九月の恋と出会うまで』のあらすじ【起】

旅行代理店に勤める北村志織は、写真を撮るのが趣味。彼女は芸術家ばかりが住むアパートに引っ越したばかりでオーナーの権藤、同じアパートに住むチェリストや女優と和やかに挨拶をする。しかし、平野進は挨拶をしても不愛想で、小さく頭を下げ通り過ぎる程度だった。

ところがある夜、時計が9時を示した時、部屋の通気口から1年後の未来にいる平野だという声が聞こえてくる。彼の部屋は中庭を隔てて向かいにあるため、通気口から声が聞こえるはずもない。到底、信じられないと言った志織に未来の平野は天気や芸能ニュースで、これから起こる出来事を話した。すると、平野の言う通りの出来事が数日内に発生する。本当なのだと信じた彼女は、平野の頼みを聞くことに。それは、過去の平野を尾行することだった。

平野進はいたって普通の会社員。尾行中はなるべく写真を撮って欲しいと言われているため、平野に見つからないよう彼の後を追った。すると、平野はいつも寝ぐせ頭で気が良く、一人でパフェをドカ食いするなど可愛い面もある。毎夜、未来の平野に尾行の様子を報告しつつ、笑い合った。

そんなある夜、仕事終わりに平野を尾行した志織。彼が人気のないトンネルで岩の欠片を手に振り回している場面を目撃してしまう。その後、平野はアパートへ帰宅したが偶然、女優と出会った志織は彼がどういう人物なのか聞いてみた。すると、部屋で包丁を振り回しているのをチェリストが見たらしいという話を聞く。悪い人ではないはずだが、近寄らない方が良いと忠告されるのであった。

そこで、未来の平野にどういうことなのか詰め寄る。すると、相手は明日一日、尾行したら全てを話すと言ってくれる。しかし、翌朝になって志織は38度以上の発熱に見舞われてしまう。それでも彼女は平野の尾行へ向かったが、午後3時になって奇妙な風が彼女を襲った。平野も見失ってしまうし、熱もあってふらつきながら帰宅した志織。ところが、部屋の鍵が開いており、中に入ると酷く荒らされているのだった。
警察を呼んで調査してもらった後、未来の平野と話そうとしたが、声が全く聞こえない。向かいの部屋を見ると、平野がエアコンを使っているようだった。

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映画『九月の恋と出会うまで』のあらすじ【承】

彼が洗濯物を干すために姿を見せていたため、慌てて声をかけた志織。すると、初めて聞いた平野の声と通気口から聞こえていた声が違うことに気付く。
平野はエアコンの稼働音がうるさかったのかと思い、志織の部屋へと直接謝りに向かった。すると、彼女が突然、倒れてしまう。平野は熱で倒れた志織を看病し、薬やおかゆを作って用意。目が覚めた彼女へ注意を促すとすぐに部屋を去った。

翌日の夜、平野の帰宅を待ち伏せて礼を言った志織。彼女は思い切って未来の平野と通気口を通じて話したことを明かした。自分の部屋へ案内し彼に事情を説明。とても信じられない話なのに、平野は簡単に信じると言う。彼はどうやらSFが大好きらしい。未来の平野をシラノと呼び、自分であるはずがないと断言。
そこへ、警察がやって来て空き巣の犯人が逮捕されたと報告される。犯人はどうやら強盗殺人犯だったらしく、たまたま志織が平野の尾行で不在だったため、命拾いした上に被害総額は3万円で済んだ。その話を聞いた平野は帰り際、シラノは志織を救うために尾行をさせたのではないかと言うのだった。

翌日、帰宅すると権藤から孫が居候することになったと聞く。その後、平野から部屋に来て欲しいと連絡が入り、彼の部屋へ。そこで、タイムパラドックスの話を聞いた。志織が助かったことで、未来ではシラノが彼女を助ける理由がなくなる。すると、どうなるか。平野は今後、3つのパターンのどれかが起こる可能性があると提示。矛盾を繰り返すか、未来が分岐してパラレルワールドが発生するか。あるいは最悪、歴史の修正が行われ志織の存在そのものが消えてしまうかである。そこで、平野は助かる方法として辻褄を合わせればいいと言い、彼女にシラノとの会話をできるだけ思い出すよう促した。

映画『九月の恋と出会うまで』のあらすじ【転】

一晩中、考えて眠れなかった志織。翌朝、出勤する平野と遭遇し、タイムパラドックスについて相談した。助かった志織には今後、再び命が危険に晒されるか、矛盾を解消しようとする時間が周囲の人々へと危険を及ぼすことも十分に考えられる。だが、平野は助かる未来が必ずあるはずだと志織を励ますのであった。

その日、仕事中に自分の存在が消えてしまう白昼夢を見た志織は、帰宅後に平野を訪ねる。シラノとの会話で街一番のレストランで食事をしようと約束したが、大学時代に付き合っていた森秋真一とも同じ約束をしていたことを報告。森秋はアメリカの大学院へ留学し携帯も変えてしまったようで、連絡が取れなくなっていた。そこで、平野はFacebookで彼の存在がないか検索したが、森秋はFacebookを利用していなかった。

次の休みの日、2人で大学を訪ねてみる。小説家を目指している平野だったが、執筆の方はあまり進んでいない様子。2人は他愛無い会話を続け、次第に距離を縮めていく。事務局にて同窓会名簿を借りたが、森秋の住所は大学時代から更新されていなかった。

その帰り、街を一望できる公園へ。平野から誕生日プレゼントをもらう。自分の誕生日であることも忘れていた志織は、記念に彼と一緒に写真を撮った。
アパートへ帰ると引っ越し業者が来ている。先日聞いていた権藤の孫が引っ越して来たのだろう。その孫が実は森秋真一だったことが判明。2人の様子を目にした平野はすぐに部屋へと帰ってしまった。その後、トークアプリにて森秋から正確な再現をしてもらうよう促される。平野は自分の役目はもう終わったのだと自覚し、執筆に専念するらしい。

翌日、会社へ出勤した志織は、昇進も兼ねて多店舗への異動を打診される。引っ越したばかりだったが、異動となるとまた別の場所へ引っ越ししなければならない。そんな時、仕事終わりに森秋から食事に誘われ、やり直そうと言われるのだった。

映画『九月の恋と出会うまで』の結末・ラスト(ネタバレ)

思い悩んだ志織は、平野が休みの日に有給を取って彼と話をすることにする。近況報告をすると、平野は条件が揃ったと言う。志織が異動で引っ越せば、彼女の部屋が空く。そこへ森秋が入れば志織を助けることができる。平野は自分が関わらなくても、運命通りに進んでいたのだと苦笑いした。だが、志織は引っ越したくないと言う。自分を助けるシラノに平野がなれないのかと言い募ったが、平野は小説を理由に彼女の言葉を拒否。森秋に全てを話して過去の志織を助けてもらい、志織は転勤するのだと半ば無理矢理に約束させられてしまった。

口に出さなくても互いに惹かれ合っていた2人は、それぞれの部屋へ戻って胸の痛みに耐える。志織は転勤を決め平野とは挨拶することもできずにアパートから去った。

1年後、運命の日。半休を取って海へ向かった志織。午後3時に正確な再現がされなければ、彼女は消えてしまう。静かな海でその時を迎えたかった。ところが、時間になった瞬間、平野から着信がある。彼は、シラノは自分だったのだと志織の前に姿を現したのだった。

志織が引っ越した後、思い悩んだ平野は森秋と話をしたが、森秋は仕事で再び海外へ行かなければならず、志織の話も信じられないので約束は守れないと言った。そこで、平野は志織を救うべく権藤に部屋を移らせて欲しいと頼み込む。だが、オーナーは彼に本当の小説家になれと言って、部屋を移らせてはくれなかった。平野は会社を辞めて、半年かけて小説の執筆に打ち込んだ。そして、彼はとうとう小説で新人賞を取る。授賞式の日は志織が初めてシラノの声を聞いた日だった。

授賞式の会場から真っ先に志織の部屋へ向かうと夜の9時ぎりぎり。通風口には公園で一緒に撮った写真が挟まれていた。
写真を目にして平野が涙に暮れた時、奇跡が起こる。一陣の風と共に通風口から音楽が聞こえる。時が繋がったのだ。そうして、平野はシラノとなって志織を救った。

浜辺で再会した2人は互いに気持ちを明かし、この先も共に生きていける喜びを分かち合う。その後は街一番のレストランへ。平野が受賞した小説を志織へと渡す。2人の出会いと恋を書いた小説。もちろん、小説はハッピーエンドだと2人は笑い合うのだった。

映画『九月の恋と出会うまで』の感想・評価・レビュー

原作は「書店員が選んだ、もう一度読みたい恋愛小説第1位」に輝いた、作家松尾由美著作の同名小説。タイムパラドックスをテーマに、写真を趣味に持つヒロインと小説家志望の青年が少しずつ距離を縮める様子が繊細に描かれている。

小説家志望のサラリーマンを高橋一生が演じているが、彼は元々うんちく好きであるため、今回の役ははまり役だったのではないかと思う。ヒロインの川口春奈はイメージ通りの清純さが前面に出ており、とても爽やか。強いて言うなら、1年後にヒロインが消えてしまう恐怖感をもっと描いても良かったのではないかと思う。原作が1位に輝くのも頷けるストーリー。(MIHOシネマ編集部)


原作が書店員が選ぶオススメの恋愛作品ということでかなり期待して鑑賞しましたが、これは「文字」で読むから面白いのだと感じました。
未来の人間と話をしたり、これから起こることを予知したり設定は面白いのですが、映像化してしまうと小説の読み手それぞれの感じていた世界観が崩れてしまい、楽しめませんでした。
この世界観が自分の思い描いているものと合致すれば物凄く感動できる作品でしょう。(女性 30代)


タイムパラドックスを含むストーリーですが、観やすいです。恐らく、爽やかな恋愛やファンタジーな雰囲気が難解さを和らげているのではないでしょうか。それと、登場人物が過去や未来に行くのではなく、未来から声だけ聞こえるという設定も興味を引くものでした。そして何といっても、川口春奈と高橋一生の組み合わせが絵のように美しいです。二人の暮らすアパートや部屋の中、洋服、どれも洒落ていました。豪華すぎない、程よく生活感を残した塩梅に脱帽です。(女性 30代)

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