この記事では、映画『グリーンマイル』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。
映画『グリーンマイル』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 1999年 |
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上映時間 | 188分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | フランク・ダラボン |
キャスト | トム・ハンクス デヴィッド・モース ボニー・ハント マイケル・クラーク・ダンカン |
製作国 | アメリカ |
映画『グリーンマイル』の登場人物(キャスト)
- ポール(トム・ハンクス)
- 死刑囚棟の看守長。冷静でまじめな性格。ひどい尿路感染症を患っている。ジョン・コーフィの奇跡の力を体験し、彼の無実を信じるようになる。
- ジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)
- 無実の罪で死刑判決を下された、黒人の大男。他人の苦しみや邪悪さを感じ取り、病気やけがを癒す不思議な力を持っている。優しく純粋な性格で、実はとても長い年月を生きている。
- ブルータル(デヴィッド・モース)
- 死刑囚棟の看守。ポールと特に仲が良い。屈強な大男で、激しやすい性格。新人のパーシーの横暴に怒りを募らせている。
- パーシー(ダグ・ハッチソン)
- 死刑囚棟の新人看守。愚かで残忍な性格で、死刑囚たちを見下し、ひどい仕打ちばかりしている。伯父が州知事という強力なコネを盾にしている。
- ハル所長(ジェームズ・クロムウェル)
- ポールが勤務する刑務所の所長。ポールとは上司・部下であるとともに、家族ぐるみの親しい関係である。妻のメリンダが脳腫瘍を患っていることを知り、ひどく悲しんでいる。
- デル(マイケル・ジェッター)
- 死刑囚の1人。死刑囚棟に現れたネズミのMr.ジングルスを、誰よりもかわいがっている。パーシーからよく暴力を受けている。
- ビリー(サム・ロックウェル)
- 死刑囚の1人。数々の罪を犯してきた極悪人で、死刑囚棟でも看守をコケにし問題ばかり起こしている。実はジョンが逮捕された事件の真犯人だった。
- メリンダ(パトリシア・クラークソン)
- ハル所長の妻。ひどい脳腫瘍を患っており、その影響でそれまでの穏やかな性格が一変、ひどい言葉を口走るようになってしまった。
- Mr.ジングルス
- 死刑囚棟に現れたネズミ。囚人のデルにかわいがられ芸を覚える。ジョンから力を受け継いでしまい、驚くほど長寿なネズミとなった。
映画『グリーンマイル』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
映画『グリーンマイル』のあらすじ【起】
老人ホームに住むポールは、トーストを持って朝の散歩に出かけるのが日課だ。ある日古い映画を見たポールは、ある過去を思い出して涙が止まらなくなる。ポールを心配する友人のマーガレットに、ポールは自分の過去の打ち明け話を始める。
ポールは大恐慌時代、刑務所の死刑囚棟で看守長をしていた。そこには死刑台にむかう緑色の通路、通称「グリーンマイル」があった。ポールが尿路感染症を患ったある年、死刑囚棟にジョン・コーフィという大男が移送されてきた。
ポールは医者に行くのを渋っていた。問題児の新人・パーシーが来たばかりというのも理由の1つだった。パーシーは愚かで、死刑囚たちにひどい仕打ちばかりしていたのだ。ポールはジョンを死刑になるような人間とは思えずにいた。しかし彼の罪状は血も凍るものだった。幼い姉妹をレイプし惨殺したのだ。ジョンは死んだ姉妹を両脇に抱えて泣き叫んでいるところを逮捕された。ジョンは「元に戻そうとしたが手遅れだった」と意味不明の事をつぶやいていたそうだ。
刑務所長のハルは、ポールにパーシーの扱いについて注意する。パーシーは州知事の甥だったのだ。パーシーが念願の死刑を見て、精神病院の事務に転職するまでの間、パーシーに対し穏便に接する必要がある。
ある日死刑囚棟に1匹のネズミが迷い込んできた。人間を恐れない様子のネズミに、看守たちは興味津津だ。物置化している拘禁室へ逃げ込んだネズミを、ポールたちは3人がかりで探す。しかしネズミは見当たらず、してやられてしまった。それ以来ネズミは死刑囚棟に住み着いてしまった。
映画『グリーンマイル』のあらすじ【承】
死刑囚の1人が死刑執行となった。死刑の方法は、水を含ませたスポンジを通して頭に電流を通すというものだ。罪を償った囚人にポールはひどい言葉をかけ、看守のブルータルにひどく怒られる。パーシーは自分が死刑囚棟から移る代わりに、死刑執行の役目を自分にさせてくれと言いだした。そうしなければ死刑囚棟に居座ると言われ、ポールには断ることができなかった。
囚人の1人デルが、例のネズミを飼いならした。彼はネズミにMr.ジングルスと名付け、芸を仕込む。
ハル所長がポールを呼び出した。用件の1つは問題児の死刑囚が移ってくることになったこと、もう1つは妻のメリンダが治療不能の脳腫瘍とわかったことだった。夫妻と仲の良いポールは彼らを心配するが、ポール自身の尿路感染症もどんどんひどくなっていた。
新入りの死刑囚ビリーが移送されてきた。しかし彼は看守達を出しぬき暴れまわる。ポールはビリーに股間を蹴られて症状が悪化してしまった。後始末のため他の看守が牢を離れ、ポールはその場に倒れ込んでしまう。ジョンがポールを近くに呼び寄せた。ジョンはポールをつかむと、不思議な力を使ってポールの病気をすっかり取り去ってしまった。ジョンの口からは、大量の羽虫が飛び出し、悪いものを浄化するように消えていった。ジョンはたった今起こったことに目を疑うが、尿路感染症は完全に治っていた。
映画『グリーンマイル』のあらすじ【転】
ビリーは問題を起こしては拘禁室に閉じ込められる、というパターンを繰り返していた。そんな中、デルの死刑執行日が迫る。死刑執行人の役をもらったパーシーは、デルをばかにする。その直後、パーシーはビリーに牢越しに捕まり、小便を漏らしてしまう。デルがいつもの仕返しにとパーシーをあざ笑い、パーシーはデルへの復讐を誓う。
ジングルスの受け入れ先を憂慮するデルに、ポールとブルータルはネズミのサーカスがあると嘘をつき安心させてやる。しかし直後、パーシーがジングルスを踏みつぶしてしまった。泣き叫ぶデルを見て、パーシーは悦に入ってその場を離れる。ポールが瀕死のジングルスをジョンに渡すと、ジョンがポールにしたのと同じことが起こった。ジョンの口からは悪いものが羽虫となって飛び去り、ジングルスは息を吹き返したのだ。
デルの死刑の日が来た。ジングルスは処刑の間ジョンが預かることになった。デルを恨むパーシーは、わざとスポンジを水にぬらさず、電流を流す。そのせいでうまく電流が通らず、デルは生きたまま焼け焦げて亡くなり、火事騒ぎに発展する。その苦しみは牢で待つジョンに伝わり、彼越しにジングルスにも伝わってしまった。ジングルスはどこかへ逃げて行ってしまう。パーシーはこの期に及んで責任逃れをしようとしていた。
ポールはパーシー以外の看守達に、メリンダの病気をジョンに治してもらう計画を打ち明ける。ビリーを眠らせ、パーシーを拘禁室に閉じ込めると、ポール達はジョンを牢からだした。しかし牢から出る時にビリーに触れられたジョンは、ビリーの邪悪な過去を感じ取ってしまう。
映画『グリーンマイル』の結末・ラスト(ネタバレ)
ポールたちはジョンをハル所長の家に連れて行く。ジョンがメリンダから病気を吸い出すと、彼女は病気の事などなかったかのように回復した。ジョンは彼女の病気を吐きださず、飲み込んでしまう。
パーシーは今回の1件を密告する気でいた。しかしジョンが突然パーシーをつかみ、胸にため込んでいたメリンダの病気をパーシーの中に送り込む。するとパーシーの様子がおかしくなり、ビリーを射殺してしまった。ジョンが邪悪なパーシーとビリーに罰をあたえようとしたのだ。ポールがジョンの手を握ると、ジョンの力を渡されて彼の感じ取った光景が見えた。ビリーはジョンが逮捕された事件の真犯人だったのだ。パーシーは精神病院に収容された。
ポールはジョンの無実を知ったが死刑を止める力がなく、罪悪感にさいなまれていた。しかしジョンは、他人の邪悪さを感じながらさ迷い歩く人生を終わらせたがっていた。ポールはせめてもと、ジョンに人生初の映画を見せてやる。ポール達は涙をこらえながらジョンを処刑した。ポールとブルータルはその直後死刑囚棟から転属願を出した。
打ち明け話を聞いて、マーガレットはポールが思ったより年をとっている事に気づく。彼は108歳だった。ジョンの力と一緒に、長寿の力もポールに受け継がれたのだ。ポールはマーガレットを自分の散歩場所に連れていく。そこにはジングルスがいた。ジングルスも意図せずしてジョンの力を受け取ってしまったのだ。ポールは愛する人に先立たれる人生を送る定めとなった。彼の死への道(グリーンマイル)は、あまりにも長いのだ。
映画『グリーンマイル』の考察・解説(ネタバレ)
映画『グリーンマイル』は実話なの?元ネタになった事件は?
映画『グリーンマイル』は、スティーヴン・キングの同名小説を原作としたフィクション作品です。物語の舞台は1930年代のアメリカ南部で、死刑囚監房「グリーンマイル」を中心に、看守と囚人たちの関係性が描かれています。「グリーンマイル」というタイトルは、死刑囚が処刑室へと向かう際に通る緑色の通路に由来しているのです。
物語の中心人物は、巨大な体格と不思議な癒しの力を持つ死刑囚のジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)です。彼は幼い姉妹を殺害したとして死刑を宣告されていますが、看守たちは彼の人柄と特別な力に触れるうちに、彼の有罪に疑問を抱き始めるのです。
ジョン・コーフィをはじめとする登場人物は、全てフィクションの産物であり、元ネタとなった実際の事件は存在しません。しかし、物語の背景には、当時のアメリカ南部における人種差別や刑務所制度の問題が色濃く反映されており、リアリティを感じさせる要素が盛り込まれています。スティーヴン・キングは現実の社会問題や歴史的なテーマを巧みに織り交ぜながら、この物語を紡ぎ上げているのです。つまり、映画『グリーンマイル』は完全なフィクションではありますが、リアルな社会背景を持った作品と言えるでしょう。
映画『グリーンマイル』のトラウマになるシーンは?
映画『グリーンマイル』には、観る者の心に深い傷を残すようなトラウマシーンがいくつか存在します。中でも特に有名なのが、囚人デル(ミヒャエル・ジェッター)の処刑シーンです。デルは心優しい性格で、ペットのネズミ「ミスター・ジングルズ」と深い絆で結ばれていました。しかし、看守のパーシーが意図的に処刑の手順を無視し、スポンジを水に浸さずに電気椅子にかけてしまうのです。
スポンジが電流を伝えるために重要な役割を果たすのに対し、これが行われなかったために、デルは恐ろしい苦痛の中で命を落とすことになります。彼の体は焼け焦げ、激しい苦しみに耐えながら絶命するのです。このシーンは非常にショッキングで、観客に強烈な不快感と恐怖心を植え付けずにはいません。
また、ジョン・コーフィが少女たちを殺害したとされるシーンも、フラッシュバックのように描かれるため、観る者に不安感を与えます。特に、ジョンの無実が疑われる中で、このシーンを目にすることで、彼の悲しみや無力感がより強く伝わり、感情を大きく揺さぶられるのです。
これらのシーンは、映画の持つ深遠なテーマとリアルな描写が相まって、観客にとって非常に印象的で、心に残る「トラウマシーン」となっているのです。
映画『グリーンマイル』の死刑囚ジョンの正体は?
映画『グリーンマイル』に登場する死刑囚のジョン・コーフィは、幼い姉妹を殺害した罪で収監されていますが、彼には不思議な癒しの力が備わっています。物語の中で、ジョンは他の登場人物たちの病気や怪我を治癒する能力を発揮します。彼は手をかざすことで、相手の病や痛みを吸い取り、自分の体内でその苦しみを一時的に引き受けるのです。
ジョンの正体については、明確な説明はありませんが、物語の中では「神の使い」や「奇跡の人」といった存在として描かれています。彼は非常に優しく、心の広い人物であり、誰に対しても慈悲深く接します。彼の名前である「コーフィ(Coffey)」も、「キリスト(Christ)」を連想させ、彼が宗教的な意味合いを持つキャラクターであることを暗示しているのです。
ジョンの正体は超自然的な存在であり、彼の持つ力は神秘的で説明のつかないものです。彼は、人々の苦しみを吸い取り、自らがその痛みを引き受けることで、他者を癒すことができるのです。物語の終盤、ジョンが自らの無実を知りながらも、人々を救うために死を受け入れる姿は、彼が自己犠牲の象徴であり、愛と慈悲の化身であることを示しているのです。
映画『グリーンマイル』の幼女殺しの真犯人は誰なのか?
映画『グリーンマイル』の物語の中心となるのは、幼い姉妹が殺害された事件です。この事件の犯人として逮捕されたのが、巨大な体格を持つジョン・コーフィです。彼は、姉妹の遺体を抱きしめて泣いているところを発見され、その場で逮捕されました。しかし、物語が進むにつれ、彼が真犯人なのか疑問が生じてきます。
実は、真犯人は同じ刑務所に収監されていた囚人のウィリアム・”ワイルド・ビル”・ウォートンだったのです。彼は、冷酷で無慈悲な犯罪者であり、過去に様々な悪事を働いていました。ジョンはその事件現場に偶然居合わせ、被害者の姉妹を助けようとしましたが、間に合わなかったのです。彼は、死にゆく彼女たちの痛みや恐怖を和らげようとして、その場にとどまっていただけだったのです。
真相を知った看守たちは、ジョンが無実であることを理解しますが、当時の司法制度や人種差別の問題から、彼を救うことはできませんでした。結局、ジョンは無実のまま死刑を執行されてしまいます。この悲劇的な結末は、観る者に深い悲しみと無力感を残すのです。
映画『グリーンマイル』で精神病棟に送られたパーシーの最後は?
映画『グリーンマイル』で看守として働いていたパーシー・ウェットモアは、自己中心的で残忍な性格の持ち主です。彼は死刑囚たちを無慈悲に扱い、特に囚人デルの処刑の際には、スポンジを水に浸さずに電気椅子にかけることで、デルに耐え難い苦しみを与えました。この行為により、他の看守たちの反感を買い、彼らはパーシーを追い出そうとします。
物語の中盤、パーシーは囚人ウィリアム・”ワイルド・ビル”・ウォートンに操られたような状態になり、彼を銃で撃ち殺してしまいます。この事件の後、パーシーは完全に精神のバランスを失い、看守としての職を失うことになります。彼の家族は、彼を精神病棟に送ることを決断し、彼はそのまま収容されることになるのです。
パーシーの最後は、彼がかつて扱っていた死刑囚たちと同じように、自由を失い、制約の中で生きるという皮肉な結末を迎えることになりました。彼の残酷な行為や自己中心的な性格が、結局は自分自身に跳ね返り、悲惨な運命を辿ることになったのです。この結末は、彼が映画の中で果たしてきた役割や、彼の行動がもたらした影響を考えさせる重要な要素となっています。
映画『グリーンマイル』に出てくる囚人デルの罪は?
映画『グリーンマイル』に登場する囚人エドゥアール・”デル”・デラクロワは、非常に心優しい性格で、刑務所内では他の囚人や看守たちとも友好的な関係を築いていました。彼は小さなネズミ「ミスター・ジングルズ」をペットとして可愛がり、そのネズミと深い絆で結ばれていました。しかし、彼が死刑囚として収監されている理由は、非常に重大な罪を犯したからなのです。
デルの罪は、放火殺人でした。彼はある家に火を放ち、その火事で中にいた少女を含む数人が命を落としたのです。彼の犯した罪は非常に重大で、許されるものではありませんが、映画の中で描かれるデルの姿は、罪を深く悔い、心から反省している人物として描かれています。そのため、彼の処刑シーンは観る者に強い衝撃と悲しみを与えるのです。
デルの処刑は、看守のパーシーによって、意図的に残酷な方法で行われました。通常、電気椅子での死刑執行時には、頭に置くスポンジを水に浸して電流をスムーズに流す必要がありますが、パーシーはそれをわざと怠り、デルは激しい苦しみの中で命を落とすことになります。このシーンは、デルの過去の罪とは別に、彼の悲しい運命とパーシーの残酷さが強調され、観る者に強烈な印象を残すのです。
映画『グリーンマイル』の看守のパーシーが嫌われる理由
映画『グリーンマイル』に登場する看守のパーシー・ウェットモアは、観客だけでなく、物語の中でも他のキャラクターたちから強く嫌われる存在です。その理由はいくつかあります。まず、彼は権力を笠に着た傲慢な態度を取り、他の看守たちや囚人たちに対して無慈悲で残酷な行動を繰り返すことが挙げられます。
パーシーは、刑務所長の親戚であることを盾に、自分の立場を利用して、他の看守たちを見下し、囚人たちを無意味に苦しめようとします。特に、囚人デルの処刑の際には、電気椅子の頭に置くスポンジをわざと水に浸さずに実行し、デルに激しい苦痛を与えました。この行為は、他の看守たちにとっても許し難いものであり、彼に対する反感が一層強くなるのです。
また、彼は自分の行動に対して責任を取ろうとせず、失敗や問題が起こると他人に責任を押し付けようとします。彼の自己中心的で無責任な態度は、同僚たちや観客にとって非常に不快なものです。
さらに、彼が看守という立場を悪用し、弱い立場の囚人たちを意図的にいじめたり、虐待したりする行動も、彼が嫌われる大きな要因となっています。パーシーは、物語全体を通じて、人間の持つ醜い一面を象徴するキャラクターとして描かれ、彼の存在が物語の緊張感と不快感を一層強めているのです。
映画『グリーンマイル』のタイトルの意味は?
映画『グリーンマイル』のタイトルは、死刑囚たちが処刑室に向かう際に通る廊下に由来しています。死刑囚監房の中では、囚人たちが最期に歩く道が淡い緑色のリノリウムで舗装されており、その通路を「グリーンマイル」と呼ぶのです。囚人たちは、このグリーンマイルを歩きながら、自らの運命と対峙し、最後の時を迎えるために進んでいくのです。
タイトルには、この通路が象徴する「死への道のり」や、「人生の終焉に向かう旅」といった意味合いが込められています。物語の中で、囚人たちは自分の罪と向き合い、最期の瞬間を迎えるまでのわずかな時間を過ごします。看守たちもまた、囚人たちと共にグリーンマイルを歩みながら、彼らの人間性や罪の重さ、そして生命の尊さについて深く考えさせられるのです。
また、グリーンマイルは単なる物理的な通路以上の、象徴的な意味を持っています。登場人物たちは、それぞれの運命と向き合い、自分自身の内面と対話するためにグリーンマイルを歩むのです。ジョン・コーフィや他の囚人たちは、グリーンマイルを通して、最期の時を迎える覚悟を決め、自らの行いと真摯に向き合うのです。
このように、タイトルの「グリーンマイル」は、物語全体を貫く死刑囚たちの道のりと、彼らが辿る内面の旅路を象徴しており、映画のテーマである「死と向き合うこと」や「人間の贖罪」を印象的に表現しているのです。
映画『グリーンマイル』のネズミの寿命が延びた理由は?
映画『グリーンマイル』に登場するネズミのミスター・ジングルズは、囚人デルのペットであり、彼と深い絆で結ばれた存在でした。物語の中で、ミスター・ジングルズは残虐な看守パーシーによって危険な目に遭わされ、命の危機に瀕します。しかし、死刑囚ジョン・コーフィの特殊な力によって、ミスター・ジングルズの命は救われ、見事に回復するのです。
ジョン・コーフィは不可思議な癒しの力を持っており、人間や動物の命を救ったり、病気や怪我を治療したりすることができます。彼がミスター・ジングルズにその力を使ったことで、ネズミは一命を取り留めただけでなく、寿命が大幅に延びるという特別な恩恵を受けたのです。この力はジョン・コーフィ独自の特性であり、映画の中では、彼が他の人々にも同様の力を発揮している場面が描かれています。
物語の終盤、看守だったポールが老人ホームでミスター・ジングルズを再会した時、彼が通常のネズミよりもはるかに長生きしていることに気づきます。ジョン・コーフィの力によって、ネズミの寿命が数十年も延長されたことが示唆され、ポール自身もまた、その力の影響で異常な長寿を得ていることが明らかになるのです。
このエピソードは、ジョン・コーフィの持つ力の神秘性と、彼が周囲に与えた影響の大きさを象徴しており、物語全体の中で特別な意味を持っています。
映画『グリーンマイル』でスポンジに水を浸さなかったパーシーがなぜ許されたのか?
映画『グリーンマイル』で看守のパーシー・ウェットモアが、囚人デルの処刑時にスポンジを水に浸さなかった行為は、囚人にとっても看守にとっても非常に残酷な仕打ちでした。通常、電気椅子での処刑においては、電流を体全体に効率的に流すために、頭部に置くスポンジを水で濡らすのが常識です。これにより、囚人は短時間で死に至り、苦痛を最小限に抑えることができるのです。
しかし、パーシーは故意にスポンジを乾いたまま使用し、デルに耐え難い苦しみを与えました。この行為は看守としての職責を放棄し、囚人を意図的に苦しめる非人道的な行為であり、他の看守たちから激しい非難を浴びます。しかし、パーシーは刑務所長の親戚という立場を利用して、上層部の保護を受けており、他の看守たちは彼を直接罰することができなかったのです。
さらに、パーシーはこの事件の後、刑務所を異動することが予定されていたため、看守たちは彼を直接処罰する代わりに、彼が刑務所を去ることを受け入れることで事態の収拾を図ろうとしました。最終的には、パーシー自身が囚人ウィリアム・”ワイルド・ビル”・ウォートンによって精神を蝕まれ、精神病棟に送られるという因果応報の結末を迎えるのです。
この一連の経緯は、パーシーが自らの残虐な行為によって報いを受けたことを示しています。彼は直接的な処罰は免れたものの、最終的には自分の行動の代償を払わされることになったのです。
映画『グリーンマイル』はどこで見れる?フルで無料視聴する方法は?
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ぜひ、以下の記事もご覧いただき、映画『グリーンマイル』をフル視聴してみてはいかがでしょうか。
みんなの感想・レビュー
感動する映画と言われると、一番に思い付く作品です。3時間を超える長い作品ですが、観だすと一気にハマってしまいます。トム・ハンクスが好きな方には、『フォレスト・ガンプ』『ターミナル』に続いておススメです。死刑執行という重たいテーマですが、最後には感動が待っています。
人間は罪深い生きものですが、正しく生きようとする心もありますよね。何が正義になるのかは、立場によって変わってしまうと思いますが、とても考えさせられる作品です。悲しい気持ちにもなりましたが、とても独特な世界観で不思議な感覚を味わいました。
子供の頃に鑑賞して以来、何故か「絶対に見るべき作品」だと強く心に残っていた今作は、スティーブン・キング原作であるためファンタジーな要素が強めですが、人間の心の闇や優しさ、愛情をとても深く美しく描いています。
子供の頃に鑑賞して1番衝撃的だったのは、癒しの力を持つジョンが口から大量の虫を吐くシーン。正直、子供の頃にはこの意味をよく分かっておらず、ただ衝撃的だったのを覚えています。
大人になって再び鑑賞し、改めて思ったのは「後世に残すべき作品」であると言うこと。人への優しさを忘れてはいけないなと感じました。
3時間を超える大作。しかし何故か飽きないし、長さも必然的なものに感じられた。
内容はスティーブン・キングだなぁ…というところ。同時にキリスト教の素養のあるなしでは全く違って見えるのだろう。もちろん何も考えずファンタジーとして観ても十分楽しい。しかし決して単なる「心温まる」話では終わらないのがスティーブン・キング。顛末は受け止め方によっては恐怖だ。いや、この世で暮らすことが恐怖なのか。
救いはアメリカの良心、トム・ハンクスだ。ここで見せる表情の数々の豊かさは名優という称号にふさわしい。
ジョンの純粋さに癒され、その悲しき運命に涙し、パーシーの愚かさに怒りと憤りを感じた。トム・ハンクスが出演する映画では、彼の演技と存在感の強さにより脇役の印象があまり残らないのだが、この映画は看守達や死刑囚、そしてネズミと、脇役の演技もしっかりと印象に残る名作だ。
何が正義なのか、なぜ無実の人間が処刑されなければいけないのか。ジョンが自ら処刑されることを望んだ背景には、このような世の中で生きることに対する強い拒絶があり、とても悲しくなった。
こんにちは。
知らない方は一度は観てほしいですよね。絶対に損をしない名作だと思います。
色々と考えさせられるお話でした。
多くの人が感動し、涙した作品ではないだろうか。死んだ少女を助けたい一心で行動した心優しい大男コーフィが、無実の罪で死刑を受ける。看守たちは助けたいと願うが、どうにもできない。簡単に言えばこれだけのストーリーだが、何度観ても泣ける。次に何が起こるかわかっていても泣けてくるのである。
ところどころ汚いシーンもあって、人によっては好き嫌いがあるかもしれないが、映画を観て泣きたいならとりあえず観てほしい映画の一つである。
黒人の大男コーフィは、罪を犯した事など一度もなく、むしろ多くの人を救う人物である。作中でも、ポール、ネズミ、刑務所長の妻を助けている。
最後には死刑を受けることになるが、なぜこんなに善良な人間が殺されなければならないのかと、腹立たしいくらいだ。
そして、看守の一人のポールも善良な人間として描かれている。死刑囚に冷たくすることなく、優しく接する様子や、コーフィのことを助けようとする様子などがあり、また悪人パーシーとの比較によってもその善良ぶりが際立っている。
だが、ポールはコーフィの無実を知り、助けたいと願いながらも彼を生かすことはできなかった。これが確かにポールの罪であると言い切ることはできないが、少なくとも助けられなかったことでポールの中にやりきれない思いや少しの罪の意識はあったのではないだろうか。
では、コーフィの罪とは何か。
素直に考えれば生前に罪など犯していないのだが、少しいじわるな見方をすれば罪を犯している。
コーフィは、ポールやネズミを治療した。これによって彼らは終わる事のない人生を生きている(劇中で不死とは明確にいってはいないが)。病を治してくれたことはありがたいけれど、死ぬことができないとなれば話は別である。最後、まだあの時のネズミですら生きていることで、ポールは自分の人生もまだ終わりそうにないと嘆いている印象がある。
長生きするのは嬉しいけれど、途方もない時間を生きるのは辛い。これこそポールに与えられた罰なのではないだろうか。そしてコーフィはポールを不死にしたことが罪だったのである。
『グリーンマイル』は、『ショーシャンクの空に』と『マジェスティック』と合わせて三部作と言われる。これは、フランク・ダラボン監督の感動する映画三部作ということらしい。『グリーンマイル』と『ショーシャンクの空に』は、どちらとも原作がスティーブン・キングで、共通点も多いように思うが、『マジェスティック』が含まれるのは少し疑問である。
『グリーンマイル』は『ショーシャンクの空に』と比べても感動は上だと思う。
余談だが、映画で重要な役を担っているネズミのシーンは、ほとんど実物のネズミ自身の演技らしい。映画の視覚効果には、『ベイブ』で賞をとったチャールズ・ギブソンも関わっていたようで、さすが動物の演技にかけては素晴らしい。