映画『セラヴィ!』の概要:ベテランウェディングプランナーが、パリ郊外の古城で催される結婚式を担当する。結婚式を成功させるために試行錯誤するが、トラブルが続発しそれぞれの思惑が交差する様を紡ぐ。
映画『セラヴィ!』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
キャスト:ジャン=ピエール・バクリ、ジル・ルルーシュ、ジャン=ポール・ルーヴ、ヴァンサン・マケーニュ etc
映画『セラヴィ!』の登場人物(キャスト)
- マックス(ジャン=ピエール・バクリ)
- 30年のキャリアを積んだ、ベテランのウェディングプランナー。完璧主義で短気な男性。妻との不仲や時代の変化も感じ、現役引退を考え始めていた。
- ジェームス(ジル・ルルーシュ)
- マックスに依頼され、古城での結婚式の司会やバンド演奏を任されている男性。盛り上がることが大好きで、優雅な式には不向きだがそれなりにこなそうと奮闘する。
- ギイ(ジャン=ポール・ルーヴ)
- マックスとは旧知の仲のカメラマン。時代が変わり誰でも写真が撮れるようになったことで仕事が激減している。おちゃらけた性格で女好き。
- ジュリアン(ヴァンサン・マケーニュ)
- マックスの義理の弟。マックスの仕事を手伝っているが、清潔感に欠けることから良く叱られている。元教師。手伝っていた結婚式の新婦と偶然にも元同僚で恋心を再燃させてしまう。
- アデル(アイ・アイダラ)
- マックスの部下。結婚式の現場を取り仕切る役目を与えられているが、マックスよりも短気で言葉使いも荒いためよく叱られている。情熱的な女性。
映画『セラヴィ!』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『セラヴィ!』のあらすじ【起】
一組の若い夫婦と結婚式の打ち合わせをするマックス。格式あるパリの一流ホテルでの挙式だというのに値引きばかりを望む夫婦に苛立つマックスは、奇抜すぎる案をぶつけ早々に切り上げた。
ウェディングプランナーとして30年のキャリアを持つマックス。抱えている大きな仕事でトラブルがあり連絡が入る。電話で指示を出しながら早歩きで車へと向かう。妻への連絡も欠かさないマックスだが、妻の携帯はいつも留守番電話である。
車で1時間も待たされていた義理の弟・ジュリアンは不服そうにしていた。人に厳しいマックスはジュリアンの服装に文句をつける。
17世紀の古城を利用した豪華な結婚式の依頼を受けていたマックス。依頼主との打ち合わせは完璧だと自負していたマックスだが、当日の設営が全く追いついていなかった。
指揮を執る主任のアデルは、急遽代理で来てくれることになったバンドメンバー・ジェームスは酷く揉めていた。アデルの言葉使いをきつく指導するマックス。慌てふためいた式の始まりであった。
城の中では準備がはかどらず人員不足が発覚する。アデルを呼びつけ理由を聞くと、マックスのメールで「ミルコをフリーに」と指示があったと説明を受けた。自分の打ち間違いによるミスだと気づき顔が青ざめたマックスを見かね、アデルは「代わりに経験者の給仕を手配した」と誇らしげに話すのだった。
マックスの心配は式だけではなかった。同僚であり不倫相手のジョジアーヌの存在である。妻との離婚を先延ばしにしているマックスに呆れ、避け続けていたのだ。この日も、ジョジアーヌは目も合わせてくれなかった。
マックスが手配したベテランカメラマンのギイ。旧知の仲である二人は、仕事でも支え合っていた。ギイはインターンの中学生・バスチャンが棒立ちしている。なまりのあるバスチャンは「もんにちは」と挨拶をした。
映画『セラヴィ!』のあらすじ【承】
アデルは友人・サミーを裏口から引き入れた。サミーの清潔感のない装いに激怒するアデル。
実はアデルは未経験者を急遽呼び寄せたのである。借りてきたシェーバーとスーツを片手に、金目的で駆けつけたサミーは経験者のフリをすることになった。
14時、新郎・ピエールが到着する。完璧だと思っていたマックスだが、ピエールは全てに納得がいかない様子であった。「あまり得意ではない」といいながら、論文ほどのボリュームのスピーチ原稿をピエールはマックスに託した。
ピエールの止まらない不満を遮るように、南アフリカ系の若い給仕・ロンシャンがマックスに話しかける。ピエールの元を離れたマックスは「もっと早く来い」と指示する。ピエールの話を遮るようあらかじめ指示してあったのだった。
アデルはサミーを紹介する。「どこのメゾンで働いていた?」と経歴を尋ねるマックスに、サミーは嚙み合わない答えを返し続ける。アデルは必死で誤魔化し、マックスは次の部門の確認に急ぐのだった。
マックスは司会も務めるバンドのボーカル・ジェームスへ、式の雰囲気を壊さないように釘を刺した。ピエールの要望は「タオルを振る舞わさないこと」である。穏やかなフリをしてピエールの話を聞き流すジェームスだが、自分を称えた形でスピーチに向けて紹介して欲しいという要望には開いた口が塞がらない状態だった。
庭でテーブルセットをしていたジュリアンは、新婦と顔を合わせ胸の高鳴りを押さえられなくなる。二人はかつての同僚で、ジュリアンは片想いをしていたのだった。
映画『セラヴィ!』のあらすじ【転】
結婚式本番に向けて、最後の全体打ち合わせを取り仕切るマックス。一番の心配は、電源が落ちやすいことであった。停電を防ぐため、アデルの指示に従うようにスタッフへ周知する。
一人の給仕が言いにくそうに口を開く。古城に合わせたコスチュームとカツラに全員が不満を抱いていたのだ。マックスの喝で、全員気を引き締め直し衣装に袖を通すのだった。
結婚式がついに始まる。臨時で雇ったスタッフのつまみ食いや、新郎の母親・エレーヌのリクエストに応えきれないジェームス。ギイは撮影しようとするたびに、来賓達がスマホで写真を撮ることにいじけてしまい、客席に座り込んで飲み食いに集中し始めてしまう。しまいにギイは出会い系サイトを利用し式場内でいい出会いがないか探し始めた。
ピエールの長いスピーチのタイミングが訪れる。焦った様子のアデルはマックスを呼び寄せる。なんとジェームス以外のバンドメンバーが腹痛を訴え倒れ込んでいたのだ。
冷蔵庫のプラグが抜かれていたことが原因で、メインディッシュのラム肉が全て腐っていたのだ。プラグには代わりにシェーバーがセットされていたと知り、アデルは顔が青ざめる。
ピエールのスピーチ中に別の料理に差し替えるため、マックスはジュリアンを連れて式場を出る。その間、厨房では臨時で冷凍パイを手配していた。
知り会いの店で肉を仕入れマックスは式場に戻る。道中、ジュリアンに妻との関係について明かした。優しく受け入れるジュリアンの言葉に、マックスは少し安堵した。
会場では、停電が起きてしまいアデルとジェームスが大喧嘩していた。戻って早々に二人の仲裁に入るマックス。しかし、その仲裁がきっかけでアデルとジェームスは良い雰囲気になる。
式場を怪しい男が覗いているとロンシャンが気付く。不法労働や衛生管理の抜き打ち検査員ではないかと疑うスタッフたち。マックスは急いで急遽手配したスタッフたちを着替えさせ、客に紛れ込ませた。
映画『セラヴィ!』の結末・ラスト(ネタバレ)
スタッフたちは飲み食いを始め、ジェームスは好き放題歌い始めた。ジュリアンは場に紛れて新婦を口説き、ジョジアーヌは若いスタッフとキスをしている。カオスな状態に気が狂いそうになったマックスは倒れてしまった。スタッフたちは必死で支え、マックスは何とか回復する。
この結婚式、最大のイベントを迎える。しかしピエールはエレーヌを探し焦っている。ピエールをなだめているとエレーヌは悠々と戻って来た。実はこの時エレーヌはギイと「いい関係」になっていたのだ。そんなことは知らず、ピエールは白いパラシュートを付けて飛び立った。
ピエールの命綱はジュリアンとアデルが持っている。新婦と抱き合おうとするピエールを邪魔するようにジュリアンは命綱を引っ張る。アデルはジェームスと見つめ合った末に、命綱を放してしまった。
ピエールはパラシュートに吊られ、遠い空へと飛んで行ってしまう。さらに花火のスタンバイをしていたスタッフのミスで火事寸前ではあるが、来賓達はサプライズと勘違いし保健所に指定された時間を過ぎても宴は終わりそうになかった。
うなだれるマックスにギイは声を掛ける。仕事が減る一方でマックスに支えられていることに感謝を伝えたのだ。少し冷静になったマックスは妻に連絡をすると、ようやく繋がった。そして昔の恋人と順調であることを明かされ、マックスは気持ちのつっかえが少し取れたのだった。
マックスは勇気を持って式場を覗いていた男に声をかける。いきり立って事情を説明するマックス。しかし、相手は驚いた様子で不動産の買い取りの件だと申し出た。「今僕を抱きたい」というメールが来ていたという男性。マックスはまたも打ち間違いをしていたのだ。話し込む様子を見ていたロンシャンは、話を遮りに口実をつけてやって来た。
会場へ戻ったマックスは停電した中で、ロウソクを灯し踊り明かす新郎新婦や親族、来賓者の様子を見て、ほっと胸をなでおろす。
早朝、帰り際のスタッフたちをマックスは集めた。仕事の引き際を検討していたマックスは次の仕事をアデルに託す。満たされた表情のスタッフはそれぞれに帰路に就く。マックスもジョジアーヌを助手席に乗せ、車を走らせるのだった。
映画『セラヴィ!』の感想・評価・レビュー
全ての要素が最高のスパイスと化す一作である。『最強のふたり』などヒューマンドラマ要素が強い作品が強い印象があったエリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュの監督コンビ。今作は冒頭から主人公・マックスの人間味をしっかりと掴ませながら、徐々に出てくるキャラクターを存分につい買い込んだ軽快なコメディである。祝いの場である結婚式を舞台に、人間の滑稽さで遊びきった大人な一作に仕上げた監督たちに今後も注目していきたい。(MIHOシネマ編集部)
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