映画『ブーメランファミリー』の概要:前科持ちである長男、仕事が軌道にのらない次男、男運のない長女。加えて生意気な孫娘を一気に迎え入れる穏やかな母親。ダメな人間の集まりである一家の姿を描いた一作。監督はソン・ヘソン。
映画『ブーメランファミリー』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ソン・ヘソン
キャスト:パク・ヘイル、ユン・ジェムン、コン・ヒョジン、ユン・ヨジョン etc
映画『ブーメランファミリー』の登場人物(キャスト)
- インモ(パク・ヘイル)
- 40歳の次男。一度メガホンを取った映画が大失敗に終わり、一向に売れないままくすぶっている。仕事以外にも結婚生活も破綻し、死を覚悟したことを機に実家へ出戻った。
- ハンモ(ユン・ジェムン)
- 前科持ちの長男。出所後、実家で母親と二人暮らしをしていた。定職もなく、母親に養ってもらっている状態だが、恥じることなく姪・ミギョンにたかることもある。
- ミヨン(コン・ヒョジン)
- 3人兄弟の末っ子。35歳で男運に恵まれず、バツ2の子持ち。気が強く、手が出るのがとても早い短気な女性。気に入らないことがあると、男女問わず喧嘩を吹っ掛ける。
- ナムシム(ユン・ヨジョン)
- ハンモ、インモ、ミヨンの母親。穏やかな性格でどんなに子供たちがダメな暮らしを送っていても怒らずに支えている。結婚歴を子供たちに隠している。
- ミギョン(チン・ジヒ)
- ミヨンのひとり娘。生意気で口達者な中学生。同級生たちと悪事も働くが、ミヨンには気づかれないように細心の注意を払っている。義理堅い女の子。
映画『ブーメランファミリー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブーメランファミリー』のあらすじ【起】
「不要な人間にはなるな」と壁に目標を掲げているインモ。妻を他の男に寝取られ、人生に絶望していた。3か月家賃を滞納していたインモは、部屋の退去を迫られている。大家に酷く罵倒され自殺を決意する。
首にネクタイを巻き、覚悟を決めたところで着信音が鳴り響く。電話の相手は母親であった。「鳥雑炊を作った」という母親からの連絡に涙したインモは、電車を乗り継ぎ実家へ戻った。
実家には母親のスネをかじって自堕落に暮らすハンモがいる。インモがこれから実家で暮らすつもりであると告げると、猛反対をした。喧嘩ばかりする二人を抑止した母親は、小遣いを渡し、二人を銭湯へ向かわせる。
インモが実家へ戻ると、生意気な少女がいた。末娘・ミヨンの娘だった。手を上げた夫に呆れ、娘・ミギョンを連れ実家に戻って来たのである。
自分の部屋を奪われては困ると言わんばかりに、インモとハンモはミヨンの夫に会いに行った。酒を交わしミヨンと仲直りするように交渉する二人。しかし、交渉はすぐに破綻。皮肉にも人生に足踏みした子供たちは実家に揃ってしまった。
映画『ブーメランファミリー』のあらすじ【承】
仕事もしていないハンモは、恥も知らずミギョンに無理強いをしてピザを分け与えさせる。近所ではだめ息子で有名だったハンモ。事業に失敗したインモの噂が広がるのに時間はかからなかった。
母親に経済的に依存することに引け目を感じるインモ。仕事の話をもらうも、プライドが邪魔してしまい邪険に返答してしまう。一方で楽観主義のハンモは、ミヨンと新しい恋人のデートを邪魔してしまいレンガで殴られてしまった。
兄弟喧嘩は絶えないが、実家の居心地は良かった。母親の提案で家族旅行へ向かう。出先でも短気なミヨンは喧嘩をし始める。相手は家族に限らず、注意してきた他の客にも手を上げた。恥ずかしがるミギョンをよそに、ハンモはのんきに加担し、インモはミヨンを守ろうと手を貸す。
惨事は免れた一家だが、帰りの車では誰も口をきかない。そんな中、母親は「団結力がある」と笑いだすのだった。
ハンモの身勝手さにしびれを切らしたインモ。ハンモが好意を寄せる美容師・スジャをデートに誘った。その帰り道、インモはミギョンが友達と煙草を吸っているところを目撃してしまう。ミヨンに黙っている代わりに、デート費用を工面するためミギョンのお小遣いを巻き上げるようと悪知恵を働かせた。
映画『ブーメランファミリー』のあらすじ【転】
ミヨンの車を勝手に借りて、スジャをドライブに連れ出したインモ。お酒の力を借りてスジャと男女の仲になろうとするが拒絶されてしまう。気まずい空気の中、インモはスジャを送り届けるが、その姿をハンモに見られてしまった。
スジャへの気持ちを高ぶらせたハンモは、自宅にあった女性物の下着をかぶって眠っていた。その姿を見た兄弟は怒りをあらわにする。ミンギョンの下着だと思っていたミヨンだが、それは母親の物であった。失意の中、ハンモは自殺未遂をするも失敗。インモが外へ連れ出し事情を聞くと自分が原因だとわかった。
身勝手な大人に飽き飽きしたミギョンは、置き手紙をして家出をした。翌朝になってもミギョンが戻らないことで、ミヨンは神経をとがらせていた。ハンモが母親の前夫の連れ子だと口を滑らしてしまう。
逆襲するかのように、ハンモはミヨンが父親と血の繋がりがないことを明かす。ギクシャクした空気に苛立つインモ。母親が近所の老人といかがわしい関係を持っているのではないかと、抱え込んでいた疑念を公にしてしまう。
一度は断った映画の話を受け、前金をもらったインモ。ハンモも裏ルートを使いミギョンの捜索を開始。情報を掴んだハンモはスーツを着て、ある町を目指す。
映画『ブーメランファミリー』の結末・ラスト(ネタバレ)
ミギョンは少女買春の斡旋事務所にいた。無事にミギョンを救い出したハンモは、ミギョンだけを自宅に返し姿を眩まそうとした。インモは咄嗟に追いかけどんな手を使ったのか聞き出した。ハンモは雇われ社長としてある男の身代わりに刑務所に入る約束をしていたのだった。
悪友の裏切りを知ってしまったハンモ。ミヨンの結婚式には参加することができた。家族に気づかれないうちにハンモは式場を後にする。悪友への仕返しをしたため、海外へ逃亡するつもりだったのだ。
悪友はハンモの弱みに付け込むため、インモを捉えた。どんなに殴られてもハンモを売らなかった。妻の浮気相手を半殺しにしてしまったとき、ハンモはインモの罪をかぶっていたのである。その恩を返そうとインモは耐え続けた。インモが意識を取り戻した時、ハンモが血を流して横たわっていた。
この一件を機に、家族は生まれ変わった。インモは映画を撮り始め、ミヨンは穏やかな家庭を築く。母親もミヨンの父親と再び暮らし始めた。命拾いをしたハンモはスジャと結婚し、共に美容室を細々と経営し始めるのだった。
映画『ブーメランファミリー』の感想・評価・レビュー
圧倒的ファミリードラマであった。散々、子供たちの自堕落な姿を見せつけられる前半。このパートのコミカルさはとても心地が良い。終盤に近付くほど、物語はシリアスな展開へと変化する。なんとも変化球であった。「終わりよければすべてよし」というわけではないが、それぞれに身の丈にあった生活を取り戻した様子は、ほっと笑顔になれる展開である。キャストの熱演あっての程よい「馬鹿さ」がこの物語をライトに観られる仕上がりに繋げたのだろう。(MIHOシネマ編集部)
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