映画『海の上のバルコニー』の概要:内戦下のアルジェリアを逃れ、幸せな家庭を築き上げた男の元に現れた一人の女。彼女は初恋の女性なのか、それとも…。『アーティスト』のジャン・ジュダルジャンが送るラブサスペンス。
映画『海の上のバルコニー』 作品情報
- 製作年:2010年
- 上映時間:108分
- ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、サスペンス
- 監督:ニコール・ガルシア
- キャスト:ジャン・デュジャルダン、マリ=ジョゼ・クローズ、サンドリーヌ・キベルラン、ミシェル・オーモン etc
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映画『海の上のバルコニー』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
映画『海の上のバルコニー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『海の上のバルコニー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『海の上のバルコニー』 あらすじ【起・承】
時は1980年代、南仏プロヴァンス。
義父の経営する不動産会社で働くマルク(ジャン・ジュダルジャン)は家族に恵まれ穏やかな生活を送っていた。
ある日彼は、仕事で屋敷の買取代理人のマンドナート夫人と出逢い、彼女が初恋の女性カティ(マリ=ジョゼ=クルーズ)と気付き驚く。
2人は幼い頃、独立戦争時代のアルジェリアのオランで共に過ごし、その思い出を語り合ったが、カティは、程なくしてマルクの前から姿を消してしまった。
不審に思ったマルクは、家族で久しぶりにオランの実家を訪ね母親(クラウディア・カルディナーレ)に訪ねると、
カティがとうの昔に亡くなっている事を知らされた。
独立戦争が佳境を向かえた時、マルク一家はフランスに引き上げ、カティ一家は、アルジェリアに残った。
カティは、戦争の爆撃で死んだと知らされ、逢いに来た女性が、初恋の君でなかった事が信じられないマルクは彼女の身辺調査をしはじめる。
マルクがカティと信じていた女性の過去には裏があった…。
映画『海の上のバルコニー』 結末・ラスト(ネタバレ)
マルクがカティと信じていた女性は、マリ=ジャンヌ(マリ=ジョゼ二役)。
幼い頃にマルクに憧れていたものの声をかけられなかった女性だった。
彼女がマルクに近づいた目的は不動産詐欺だった。
今の彼女は、今の彼女はマルクの同僚セルジオ(トニ・セルヴィッロ)の愛人。
髪は染めているだけで、実際の髪の色は金髪ではなくブルネットだった。
父親の借金を返済する為に、セルジオと手を組んで、ダミー会社を作り、金を騙し取る目的で、買取代理人をやっていた。
マルクはようやく気付き、セルジオをクビにする。
そしてマリ=ジャンヌが、カティの友達であり、悲運にもカティの最期を見届けてしまった事、そして、
マルクが彼女に必ず戻ってくると約束してしまった事を知る。
ラストは、お芝居をしているマリ=ジャンヌが、自分の舞台を観にきてほしいとマルクに頼む。
席に居ないマルクに哀しむ彼女だが、遅れて席についたマルクを見つけ、再会を祝した所で映画は終わる。
映画『海の上のバルコニー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『海の上のバルコニー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
視点を分けて繰り返される回想シーン
マルクが、マリ=ジャンヌをカティと思い込み、初恋の相手に再会出来たと思った後と、
マルクが、マリ=ジャンヌを思い出した後とでは、同じ『内戦下の初恋の思い出』を描いているにしても、
視点が全く異なる。
最初の回想シーンでは、マルクはカティしか思い出さないからか、マルクとカティしか描かれない。
2回目の回想シーンは、マリ=ジャンヌの視点で描かれ、マルクとカティを眺めるマリ=ジャンヌの視点が加わる。
そして3回目。
三人が離れ離れになるきっかけが、マルクの家族の移住と、カティの父娘の爆死だ。
フランスに去りゆくマルク一家の車を裸足で追いかけ、カティ父娘の爆死を目の当りにするマリ=ジャンヌ。
不幸だったのは、3回目の回想を、マルクもカティも覚えていなかった事だろう。
劇場公開してもよかったのでは
映画は、『アーティスト』がアカデミー受賞となった後に、WOWOWが独占配信権を握り、放映された。
その為、主演のジャン・ジュダルジャンの『アーティスト』の次回作は『プレイヤー』という駄作になったわけだが、
個人的には、こちらの作品の方が、短期間でも劇場公開には向いていたのではと思う。
ラストの演出が導き出すもの
映画の中で、主人公たちの幼き日々は、親世代が独立戦争に巻き込まれた事により犠牲になった事が判る。
カティの親は教師で独立を支持した事から、日々フランス政府の脅迫を受ける事となった。
現在アルジェリアは独立したものの、’90年代から、今に至るまで紛争が続いている。
ラストで静かに、マリ=ジャンヌとマルクがお互いの素性を受け入れ、寄り添う場面は、独立戦争時のアルジェリアと
フランスの共存を望んでいた作家カミュを思わせる。
マルクからカティに向けられた初恋の淡い記憶とカティからマルクに向けられた想い。両思いの二人の再会かと思い鑑賞していましたが、カティに隠された真実を知ると全く別の「初恋」を描いていたことが分かり複雑な気持ちになりました。
カティを信じていたマルクは可哀想だと思いましたが、結果的に「偽の」カティを認めるようなラストになっているので、初恋の記憶って忘れてはいけないし何が起こるか分からないなと感じました。(女性 30代)
映画『海の上のバルコニー』 まとめ
『アーティスト』の他は『OSS 117シリーズ』の様なスパイコメディ、もしくはハリウッド大作の傍役出演に甘んじていたジュダルジャン。
彼の唯一ともいえるラブサスペンスが、この映画である。
最初は、初恋の相手と巡り合うのかと見せかけて実は違うというひねりは、女性側が期待できるドラマの作りだろう。
映画の前半部分に物語をはしょっている傾向や、時代背景を’80年代に設定している為、今の20代、30代にはなじみにくいかもしれない。
その為、40代半ば以降の方で、韓流ドラマに飽きてきた方には、お勧めのドラマだと思う。
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