映画『チャンス商会 初恋を探して』の概要:チャンス商会で働く老人の恋を見つめながら家族の絆を描く人間ドラマ。出演はパク・クニョン、ユン・ヨジョン、ハン・ジミン。「シュリ」のカン・ジェギュ監督の2015年韓国映画。
映画『チャンス商会 初恋を探して』 作品情報
- 製作年:2015年
- 上映時間:111分
- ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、コメディ
- 監督:カン・ジェギュ
- キャスト:パク・クニョン、ユン・ヨジョン、チョ・ジヌン、ハン・ジミン etc
映画『チャンス商会 初恋を探して』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『チャンス商会 初恋を探して』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『チャンス商会 初恋を探して』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『チャンス商会 初恋を探して』 あらすじ【起・承】
初恋の思い出。バスを待つ男子学生は、降りてきた女子学生に花を贈った。”名前、なんていうの?”と聞くが、女子学生は微笑んでいた。
それから、70年後。チャンス商会に勤める、キム・ソンチル(パク・クニョン)は頑固な老人。町では、再開発の話が持ち上がっていたが、彼1人だけ承認していない。
最近、自宅近くに引っ越ししてきた家族がいたが、”人の家の前を防ぐな!”と怒鳴る始末。また、家に帰るとご飯が炊けているのに驚き、警察に通報することもあった。
隣りに越してきた女性イム・グンニム(ユン・ヨジョン)は、彼の事を気遣い、食事に誘って下さいと言う。彼女は、娘と花屋を営んでいた。
ソンチルは、そんな彼女に恋をして、食事に誘うためチャンス商会の社長チャンス(チョ・ジヌン)に相談した。レストランでのマナーや服装まで、ソンチルに教えるのだった。
ソンチルは、”デートじゃない!”と言うが、グンニムと会うのが楽しみだった。2人はレストランへ行った。”今日はとても楽しかったです!”と微笑むグンニム。
楽しい夜を過ごしたソンチルは、電話やメールをするためにスマートフォンに挑戦することに。グンニムの娘ミンジョン(ハン・ジミン)は、母親とソンチルがメールを始めたことに驚く。
ソンチルとグンニムは、遊園地に行く。おじいちゃんの恋を応援しようと、孫娘のカップル、アヨン(ムン・ガヨン)とミンソン(チャンヨル)が見守っていた。
ところが、乗り物に乗って気分が悪くなってしまったグンニムはトイレに閉じこもってしまう。ソンチルは、寂しがるグンニムを励ますために歌を歌う。
映画『チャンス商会 初恋を探して』 結末・ラスト(ネタバレ)
グンニムの娘から、”もう母に会わないで下さい。理由は聞かないで。”とソンチルは言われてしまう。それでも、デートを重ねる2人。ある日、デートの帰りにソンチルはバスの運転手と派手にケンカしてしまう。
後日、その様子が撮影されたと知り驚く。ソンチルは、ブドウを持ってグンニムの花屋へ。”意地悪をしてるつもりはないんだ。”と謝るソンチルに”私も言い過ぎたわ。仲直りにワルツを踊りましょう。”とグンニム。2人は、社交ダンス教室に通い始めた。
グンニムの59才の誕生日パーティ。ソンチルは知らされず参加してしまい、気まずい思いを感じてしまう。そこで、誕生会に出席した男性を彼女の前夫だと勘違いして、”捨てた女房にいくら欲しいんだ?”と詰め寄ってしまう。
落ち込むソンチルを元気づけるグンニム。誕生日プレゼントに”老眼メガネ”をもらう。ソンチルが食事を作っている間、グンニムは居間に置かれた封筒を見て泣いてしまう。”こんなに寂しい思いで生きていたなんて!”と。
2人は天気の良い日、教会に行く。かつて2人が結婚式を挙げた場所だった。ソンチルは、最近、物忘れをすることに気づき悩んでいた。病院に行き、検査をするが異常はないと言われます。
しかし、ソンチルはアルツハイマー型の認知症で家族の事を覚えていないのだった。グンニムもまた、末期のすい臓がんを患っており、無理は禁物だった。2人は、仁川の花祭りに行く約束して別れた。
ところが、タクシーで移動中にグンニムが倒れてしまい、2人は逢えなくなってしまう。グンニムを探して、花祭りに出かけたソンチルを息子チャンスが迎えにいった。そして、グンニムが入院している病院へ。
妻グンニムの緊急手術が始まった。夫ソンチルは、歌を歌って妻を励ました。自分の病気の事、家族の事をようやく知るソンチルだが、自分の娘の顔すら思い出すことが出来ない。悲観して、自殺未遂を起こしてしまう。
その後、妻グンニムは容体が安定して退院した。町の再開発は一旦中止になったが、ソンチルが賛成を表明したため行われることになった。ソンチルは再び、妻グンニムと教会に行き誓う。”どちらが先に死んでも泣かないこと”を。
数年後、夫婦揃って老人ホームに入所した。夫ソンチルはもう妻の顔を覚えていない。自己紹介をしょうとするが、自分の名前すら出てこないのだった。
それでも、妻グンニムと初めて会った初恋の思い出だけは永遠に心に刻まれているのだった。
映画『チャンス商会 初恋を探して』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『チャンス商会 初恋を探して』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
温かな感動を呼ぶ!頑固なおじいちゃんと家族の絆物語
美しい初恋を経て、70才過ぎての恋。はじめはどんな物語になるのだろうと思っていたが、最後には切なくて泣いてしまいます。老人の恋には、常に死の影が満ちているが、この映画は明るい。
ソンチルを見守る、チャンス商会や花屋の人々。のちにソンチルの家族であることが分かるが、その種明かしまでの物語が長い。前半はときめく恋を、後半は家族愛を描いています。
前半の展開にはやや乱暴さが目立つが、ソンチルがただの頑固なおじいちゃんでないことが分かり始めると俄然面白くなります。グンニムの優しさやチャンス商会の社長、かわいい孫カップルなどの行動の謎が解けてきます。
高齢化社会で認知症という病が避けられない現在、本作を観るとソンチルを支える家族の苦悩や絆が痛いほど伝わってくるのではないでしょうか。私が好きなのは、グンニムが遊園地で気分が悪くなりトイレに籠るシーン。
心細いから歌を歌って、とソンチルに頼むんです。2人を結ぶ絆が見えた瞬間でした。
また若さ溢れる、孫カップルのアヨン&ミンソンもいい。片っぽのイヤホンで仲良く音楽を楽しむ恋人たち。
恋に音楽は欠かせない!
「シュリ」から始まる感動再び!~カン・ジェギュ監督作品の魅力
「シュリ」(99)を観た時の衝撃が忘れられない!スパイ映画ならではのリアルな銃撃戦と南北問題で引き裂かれた恋人たちの哀しみ。骨太な人間ドラマを描く実力を見せつけられました。
その後も、「ブラザー・フット」(04)やオダギリジョーがチャン・ドンゴンと共演した「マイウェイ12000KMの真実」(11)など戦争をテーマにした作品を作り続けています。
脚本家としても優れている監督なのですが、「シュリ」以降は観たい!と思える作品があまりなかったように思います。本作では、老人の恋と家族の絆を描き、生活感溢れる物語に惹きつけられました。
登場人物の繊細な心理描写や老いのリアル感など心に響くシーンが多く、若い世代を演じる新鮮な存在感も楽しみでした。「シュリ」を超える衝撃はないものの、じんわりと心が温かくなる秀作です。
ぜひ、家族でご覧下さい。
頑固なおじいちゃんの初恋の物語だと思って鑑賞していましたが、真実が明らかになっていくにつれて頑固なおじいちゃんの心の中にある優しさや暖かさ、愛情など様々なことが感じられ思わず涙してしまいました。
忘れられてしまうことはとても悲しいし、寂しいことだと思います。しかし、忘れてしまうこともものすごく切なくて辛いことなのだと感じました。分からなくなってしまうから良いというものではなくて、愛の記憶や優しさはしっかり覚えているのだと知ると、もしかしたら忘れてしまうことのほうが辛いのかもしれないと思いました。
自分や自分の家族のことに置き換えると、また見え方や感じ方が変わるかもしれません。(女性 30代)
映画『チャンス商会 初恋を探して』 まとめ
老人の恋はロマンチックです。韓国ドラマにありがちな記憶喪失や事故がなくても、次第に薄れゆく記憶の中で必死に想いを繋ぎとめようとする努力が切ないのだ。
本作は、「シュリ」のカン・ジェギュ監督の最新作だが、何か大きな事件が起きるわけではない。前半と後半の展開が急激に変化する面白さや主演を演じる夫婦の心理・行動に注目して下さい。
明るくコミカルな家族の姿にいつのまにか心が癒されてしまう。不思議な作品です。記憶を失くしても、想いは永遠。特にソンチルを演じるパク・クニョンと妻グンニム役のコン・ヨジョンの演技に涙が止まりません。
みんなの感想・レビュー
少しずつ意味がわかり始め最後はそうだったんだと涙が…
とてもいい作品でした✨