映画『サイレントヒル』の概要:人気ホラーゲーム「サイレントヒル」を基にしたホラー映画。夢遊病の養女が口にした「サイレントヒル」が、実在のゴーストタウンだと知った母は、娘の夢遊病を治すために呪われた町サイレントヒルへ向かう。
映画『サイレントヒル』の作品情報
上映時間:126分
ジャンル:ホラー、アドベンチャー
監督:クリストフ・ガンズ
キャスト:ラダ・ミッチェル、ショーン・ビーン、ローリー・ホールデン、デボラ・カーラ・アンガー etc
映画『サイレントヒル』の登場人物(キャスト)
- ローズ・ダ・シルバ(ラダ・ミッチェル)
- クリスの妻で、シャロンの養母。シャロンを実の娘のように愛していて、入院や薬を使っての夢遊病の治療には反対している。意識のない時にシャロンが言う“サイレントヒル”という言葉が治療の手掛かりになると考え、ネットで見つけたゴーストタウン、サイレントヒルへシャロンを連れて向かう。シャロンを救うためなら、どんな危険にも飛び込んでいく。
- シャロン / アレッサ(ジョデル・フェルランド)
- シャロンは、ローズとクリスの養女。ウエスト・ヴァージニアの孤児院出身だが、その出生などは全て謎。薬が効かない程のひどい夢遊病で、意識の無い時に“サイレントヒル”と呟く。
アレッサは、シャロンに瓜二つの見た目の少女。シャロンとは親子ほど年が離れている。目的のためにローズを誘導する。父親がわからないことから魔女と呼ばれ、サイレントヒルの住民たちから忌み嫌われ、最期には魔女狩りの標的にされた。
- クリス(ショーン・ビーン)
- ローズの夫でシャロンの養父。クリスは愛称で、本名はクリストファー。シャロンの事を大切にしているが、夢遊病は病院で治療するべきだと考えている。ローズとシャロンがサイレントヒルで消え、2人の行方を探すうちに、アレッサの存在を知ることになる。
- シビル・ベネット(ローリー・ホールデン)
- 短髪で、勇敢な女性巡査。誘拐され、サイレントヒルの炭鉱に捨てられていた少年が救出されるまで、3日間付き添い続けた事がある。ローズとシャロンを追ってサイレントヒルに入る。一度はローズの事を、シャロンを殺そうとした養母と疑って逮捕するが、サイレントヒルの状況を理解した後、ローズと協力関係を築くことになる。
- トーマス刑事(キム・コーツ)
- サイレントヒル出身の刑事。ベネット巡査の上司にあたる。74年の火事で、サイレントヒルで理髪店を経営していた父を喪っている。クリスタベラが率いる宗教の信者ではなかった。アレッサを助けようとして、両手に火傷を負った。
- ダリア(デボラ・カーラ・アンガー)
- アレッサの母。姉は、サイレントヒルの指導者であるクリスタベラ。アレッサの父親の名前を口に出したことは無く、父親がわからない子として育てた。アレッサを愛してはいたものの、助けることは出来ず、アレッサが火あぶりにされた後に気が触れた。追放者とされていて、教会に入ることを許されていないが、怪物たちから標的にされることもない。
映画『サイレントヒル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『サイレントヒル』のあらすじ【起】
夢遊病のシャロンは、意識の無い時に必ず“サイレントヒル”と言う。
シャロンを心配する母ローズは、地下火災によってゴーストタウンと化した町“サイレントヒル”の存在を知る。
シャロンの夢遊病を治す手がかりだと考えたローズは、シャロンを連れてサイレントヒルへ向かう。
サイレントヒル目前で、バイクのサイレンを鳴らしたベネット巡査が追ってくる。
道を急ごうとするが、突然飛び出してきた人影を避けようとして事故を起こしてしまった。
気が付くとシャロンの姿は消えていた。
灰が降る町、サイレントヒルに着いていたローズは、シャロンを探し始める。
人影を追っていくと、突然サイレンが鳴り響く。
急に周囲が暗くなり、ローズはライターで周りを照らしながらシャロンを探す。
しかし、不気味な怪物たちがローズに襲い掛かる。
周囲が明るくなり、怪物の姿は消えた。
しかし外に通じる道路は消えていて、ローズはサイレントヒルに閉じ込められてしまった。
不気味な雰囲気の女ダリアが、ローズに話しかけてくる。
アレッサという娘を亡くしたというダリア。
シャロンを見ていないか尋ねて写真を見せると、それはアレッサだと言う。
映画『サイレントヒル』のあらすじ【承】
逃げ出したローズは車に戻り、携帯でクリスに助けを求める。
そしてシャロンの残した絵を見て、学校へ向かったと察する。
するとそこに、バイクで追ってきていたベネット巡査が現れる。
クリスは、ローズとシャロンを追ってサイレントヒルへ向かっていた。
携帯に残された留守電を聞き、ベネット巡査の上司トーマス刑事と共に、ローズとシャロンを探し始める。
ローズとベネット巡査は、怪物に襲われる。
隙を付いて逃げ出したローズは、学校へと向かう。
人影を見かけたローズは後を追い、ホテルを示すタイルと死体を発見する。
ガスマスクを被った人々に見つかったローズは、トイレに立て籠もる。
そして再びサイレンが鳴る。
ガスマスクを被った人々は逃げ、ローズは怪物に襲われる。
ベネット巡査に助けられ、協力して危機を脱出した2人。
ローズとベネットは、シャロンがいると思われるホテルへ向かう。
クリスはサイレントヒルの中にいたが、灰は降っておらず、近くにいるローズの姿も怪物も見えない。
トーマスの様子がおかしいと気付いたクリスは、手がかりを探し始める。
そして、シャロンに瓜二つのアレッサの写真を見つける。
映画『サイレントヒル』のあらすじ【転】
ホテルには、食料を探すアンナと、アンナに罵倒されるダリアがいた。
追放されたダリア以外の生存者は、クリスタベラが守る教会に避難しているらしい。
シャロンの残した手がかりから、ホテルの111号室へ向かうローズ、ベネット、アンナ。
そこではかつて、魔女狩りが行われていたのだと知る。
サイレントヒルの人々は同じ信仰を持っていて、魔女狩りをすれば、世界の破滅を防げると信じていた。
隠されていた111号室の奥には、シャロンに瓜二つの少女、アレッサがいた。
これまでずっと、火あぶりにされたアレッサの幽霊に導かれていたと知るローズ。
再びサイレンが鳴り始め、教会へ急ぐアンナ、ローズ、ベネット。
ローズが、教会に入れてもらえないダリアと話をしているうちに、周囲は暗くなってしまった。
アンナは怪物に殺され、間一髪で教会に逃げ込んだローズとベネット。
しかし2人は魔女扱いされてしまう。
シャロンが育った孤児院を見つけ出し、話を聞きにいったクリス。
40歳前後と思われるアレッサが、シャロンの生みの母だと思ったのだ。
しかし、クリスはトーマスに追い出され、自宅待機を余儀なくされてしまう。
映画『サイレントヒル』の結末・ラスト(ネタバレ)
クリスタベラに、シャロンはビルの地下にいると教えられたローズとベネット。
しかしシャロンの写真を見たクリスタベラは、ローズとベネットを魔女だと宣言する。
ベネットは体を張って、ローズを逃がした。
そしてローズは、アレッサから真実を教えられる。
父親がわからないアレッサは、ダリアの姉クリスタベラからも魔女扱いされ、火あぶりにされた。
ダリアが助けを呼び、トーマスに助けられたが、大火傷を負った。
そしてアレッサの大きな憎しみが、邪悪なアレッサを生み出した。
シャロンは、アレッサに残された良心だった。
邪悪なアレッサは、ローズの中へと入り込んだ。
シャロンは、ダリアに匿われていた。
しかしクリスタベラに見つかり、魔女の火あぶりが始まってしまう。
ベネットが犠牲になり、次はシャロンの番になる。
そこにローズが助けに来るが、クリスタベラに刺されてしまう。
ローズの血から邪悪なアレッサと、火傷を負ったアレッサが現れて、サイレントヒルの住民たちに復讐を遂げる。
しかし、ダリアだけは助かった。
ローズの傷は塞がり、シャロンと共にサイレントヒルを脱出した。
そしてクリスが待つ家に帰ったが、ローズは別の次元に取り残されてしまった。
映画『サイレントヒル』の感想・評価・レビュー
後味は最悪。夢に出てきそうだ。
前置きが長かった割には、結果だけ見ると社会派な内容だ。
保身に入っているのか、非日常を娯楽として楽しんでいるのかは不明だが、目の前で人が殺されているのを笑って凝視できる心理が理解できない。
この映画の主軸は、集団心理の狂気にある。
独裁者がいる状況は極めて危険だと思った。
そして、多角的な見方、寛容な心を育てる情操教育の重要性を、改めて感じた。(女性 30代)
ホラーゲームとして発売されたサイレントヒルを映画化したものである。
バイオハザードなどとは又違い、とにかくドス黒く、奇怪な生物が登場するので、要注意。
全体的に湿り気のある雰囲気で進んでいくので、好き嫌いが別れそうなイメージ。
魔女狩りなどの信仰が関わってくる為、残虐的な表現も多数あり、ストーリー展開も考え出すと止まらないような複雑なものとなっている。
ハッピーエンドなどはあまり期待しない方がいいだろう。
本作品も続編もとにかく後味が悪い。(男性 30代)
同名ゲームを映画化した作品。決して霧が晴れることの無い街「サイレントヒル」を舞台に奇妙な現象、存在に立ち向かう親子の姿を描く。
ゲーム原作でホラー要素が強い作品と言うことで「バイオハザード」と対比されることが多いが今作はSF的要素が強い「バイオ」と違い超常的、神秘的な現象、存在による恐怖を軸としており、より「ホラー」作品として楽しめる作品。(男性 20代)
ゲームを原作として製作されたホラー映画。
主人公のローズは娘・シャロンの夢遊病に悩まされており、娘が眠っている間に口にする「サイレント・ヒル」に治療のヒントがあるかもしれないと、その謎の町を訪れる。
とにかく、町に鳴り響くサイレンや、登場する怪物のビジュアルや動きが異常に気味悪い。ホラーの雰囲気をかき立ててくれる要素として引き立っている。
そして次第に明らかになってくる町の因縁。過去に魔女狩りがあったのだ。そしてそれに関係していたシャロン出生の秘密。
娘を取り戻したい母親の執念が伝わる作品である。(男性 40代)
ホラー映画と言えば、終始気を許さないような雰囲気を漂わせている作品が多い。しかしこの映画は、どこか怪しくも美しい風景が広がっているシーンが多く見られる。そのせいか映画を見ているよりも、タチの悪い悪夢を見ている感覚に陥る。音がこもり耳鳴りが酷くなる、人の叫び声だけが響く、このような表現がより体験をリアルにしているのだろう。
原作になっているゲームをプレイしなくとも、この世界観を充分に楽しめる。単純な恐怖体験だけでなく、不気味でどこか魅力的な雰囲気を体験したい人は、是非とも見てほしい。(女性 20代)
不気味で、とても恐ろしい映画でした。原作がゲームということで気持ち悪いキャラクターや不気味な雰囲気が良く再現されていました。モンスターの恐ろしさだけでは無く、集団心理においての人間の狂気、宗教的観点から描かれた人間の残酷さが際立っており、心理的な恐怖もしっかりと表現されていました。ストーリー展開もしっかりしてあり面白いのですが結構な胸糞展開が続きラストは、まさかなオチでした。残酷表現やトラウマシーンなどがあるので、好き嫌いは別れる作品だと思います。(女性 30代)
予想外の胸糞展開に驚いた今作。ゲームが元となっている作品だということは知っていましたが、今作の主人公は『バイオハザード』シリーズのアリスほど強いキャラクターではなく、普通の女性であり母親なので身近に感じることが出来て面白かったです。
また、登場する敵キャラクターはクリーチャー的な要素も強くグロテスクで過激な見た目をしているので、その点でもかなり楽しめました。
ラストで別の世界に離れ離れになってしまった家族がとにかく可哀想で、複雑な気持ちになりました。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
ラストがどのようにでも受けとれるためこれで間違いないという解釈はないのですが、もっとも広く受け入れられている説は“シャロンと異界の源であるアレッサの悪意”が合体したためローズは異界から抜け出すことができないというものです。もう少し詳しく言うと重体のアレッサと出会ったローザはシャロンのためにアレッサの悪意を受け入れます。その後アレッサの復讐を果たし2人は家に戻りますが景色はずっと薄暗いままで他に誰もいないのです。異界を作り出したのがアレッサの悪意なのでシャロンは異界から出られない、そしてアレッサを受け入れなおかつシャロンと一緒にいたい母ローズもその異界から出られないというものです。
別の解釈ではサイレントヒルに入った時に起きた事故で気絶したのではなく実は死んでいたというのもあります。物語の途中で“奴らは30年以上も自分の心を偽り続け運命を受け入れることを拒んだ”、“大火事の死者の半数はまだ見つかっていない”などのセリフがでてきます。そして異界にいる住人たちは年をとっていないようです、ですからもしかしたらローズと巡査も含めた住人たちは自分たちが死んでいることを認識していないのではないかと。既に死んでしまっているローズは生者の世界に戻れず異界にシャロンと共に留まるしかないというものです。
生きたまま異界に取り込まれた、または死んで体ごと異界に引きずり込まれたという両方の解釈ができそうですね。
「サイレントヒル」は一見怖いものばかりが出てくるだけのホラー映画のようですが、ゲームが原作になっているためかラストの解釈の仕方が分かれることや所々にでてくる聖書の引用文、そして2人の捜索を担当していたグッチ警部の謎めいたセリフなどが絡み合ってとても奥が深い内容になっています。クリーチャー達の不気味さは本当に泣きたくなるほどなのですが、それでも懲りずに何度も観たくなる映画です。
シビル・ベケット巡査がとても頼りになる存在です。弱い者を守るために勇敢に立ち向かうその姿は女性なのに男前の一言に尽きます。そんな彼女が捕らえられ火あぶりにされたときの最後のセリフが「助けてママ・・・」ローズとシャロン、ダリアとアレッサそしてシビルの母子の愛情を踏みにじる権力欲の塊クリスタベラ。欲というものは大事なものが見えなくなる、そんなことを改めて感じさせてくれます。