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映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』あらすじネタバレ結末と感想

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』の概要:1960年代のニューヨーク州ブロンクスを舞台に父とマフィアのボスから愛された少年が様々な経験を通して成長していく物語。ロバート・デ・ニーロ初監督作品。1993年公開のアメリカ映画。

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 作品情報

ブロンクス物語 愛につつまれた街

  • 製作年:1993年
  • 上映時間:121分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
  • 監督:ロバート・デ・ニーロ
  • キャスト:ロバート・デ・ニーロ、チャズ・パルミンテリ、リロ・ブランカトー、フランシス・キャプラ etc

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 あらすじ【起・承】

1960年ニューヨーク州ブロンクス。9歳のカロジェロは、バス運転手の父ロレンツォ(ロバート・デ・ニーロ)と母の3人で小さなアパートに暮らしていた。

カロジェロのアパートの2軒隣りにはならず者たちが集うバーがあり、その店を仕切るのはマフィアのソニー(チャズ・パルミンテリ)だった。店の前にはいつもソニーを囲んで男たちがたむろしており、カロジェロはアパート下に座りその様子を見るのが好きだった。

ある日、カロジェロは目の前でソニーが男を撃ち殺すのを見てしまう。目撃者として警察に呼び出された彼は“ソニーは犯人ではない”と嘘の証言をする。これをきっかけに彼は憧れのソニーから目をかけてもらえるようになる。

カロジェロはソニーに気に入られ“C”という呼び名までつけてもらう。しかしロレンツォは賭博の手伝いをして大金を手にした息子を見て激怒し、ソニーに“息子を巻き込むな”と告げ、カロジェロにも真面目に働くことの大切さを諭す。

17歳になったカロジェロはソニーの親しい友人になっていた。ソニーは息子のようにカロジェロを可愛がり、ロレンツォも2人の関係を黙認していた。

カロジェロは仲間とクラブを持ち、その店の前でたむろするようになる。そんな彼らを近くの地区に住む黒人たちが煽りに来て、イタリア系の若者と黒人の若者は対立を深める。

ある日カロジェロは黒人女性のジェーンに一目惚れする。しかし、相手が黒人では近づくことは難しかった。

ソニーは様々な場面でカロジェロに人生の教訓を教えてくれた。彼が不良仲間に深入りしないよう厳しく注意し、いつも彼を守ってくれていた。

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映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 結末・ラスト(ネタバレ)

学校へ行ったカロジェロは、そこであのジェーンを見かける。チャンスを見計らって彼女に声をかけ、翌日デートすることになる。

ところがその日の夕方、クラブの前を通る黒人たちに腹を立てた仲間たちはカロジェロが止めるのも聞かず彼らにひどい暴力を振るう。

翌日、ソニーは自分の高級車をカロジェロに貸してくれる。カロジェロは喜んでジェーンを迎えに行くが、彼女は昨日のことでひどく怒っていた。ジェーンの兄も被害者の1人だったのだ。彼は自分の無実を主張するが、聞き入れてもらえなかった。

家に帰ると、ソニーの車を運転していたことで父からいきなり怒られ親子喧嘩になる。外へ出ると今度はソニーに捕まり“車でどこへ行った!”と怒鳴られる。ソニーの車に爆弾が仕掛けてあったというのだ。父親のように慕っていたソニーから疑われ傷ついたカロジェロは、誘われるまま仲間の車に乗り込む。

仲間たちは車に拳銃や火炎瓶を積み込んでおり、今から黒人のバーを襲撃に行くという。困っていたカロジェロをソニーがその車から連れ出してくれる。

帰るとカロジェロの無実を知ったジェーンが謝りに来ていた。2人はキスをして仲直りをした後、仲間の暴挙を止めるため黒人地区へ急ぐ。

しかし時すでに遅く、バーを襲撃した仲間たちは投げ返された火炎瓶により炎上した車内で全員焼け死んでおり、辺りは騒然となっていた。カロジェロは窮地を救ってくれたソニーにお礼を言うためバーに戻る。

賑わうバーの中で人をかき分けソニーのもとへ行こうとする彼の目の前で、ソニーは頭を撃ち抜かれる。犯人は8年前ソニーに撃ち殺された男の息子だった。

ソニーのお葬式の後、カロジェロは1人で棺の中のソニーへ語りかけていた。そこに現れたロレンツォは息子を救ってくれたソニーへ感謝の言葉を述べる。

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

かっこいい2人の父親

“子供の頃からマフィアに憧れていた少年”と聞くと、どうしてもマフィア映画の傑作「グッドフェローズ」を思い出してしまう。その「グッドフェローズ」で冷酷なマフェアを演じたロバート・デ・ニーロがこの映画の監督であり、マフィアを嫌う真面目な父親を演じているのだから面白い。

しかし、物語の内容は全く違う。あちらの主人公はマフィアに憧れその世界にどっぷり染まっていくのに対し、この物語の主人公カロジェロは父親の愛情と一本気な姿勢により、悪の世界には染まらずギリギリのところで持ちこたえる。そしてカロジェロを可愛がるソニーもマフィアとして生きることを決して肯定しておらず“俺の真似はするな”と若いカロジェロに様々なアドバイスをしてくれる。ソニーのカロジェロに対する愛情はまさに父親同様で、2人の愛につつまれ成長するカロジェロは羨ましい環境にある。

堅気の運転手ロレンツォとマフィアのボスのソニー。この2人の生き方は大きく異なるが、男として自分の美学を貫く姿勢は共通しており、どちらも渋かっこいい親父でしびれる。

1960年代当時のリアルなアメリカ

ブロンクスというニューヨークの下町を舞台にした本作では、イタリア系の若者たちと黒人の若者たちの対立が描かれている。

白人が黒人を虐げるといった人種差別と違い、イタリア系移民も黒人もこの当時のアメリカでは社会的マイノリティであり、互いへの感情は差別というより縄張り争いに近いものがある。

ソニーを演じているチャズ・パルミンテリは本作の原作・脚本も手がけており、自身もイタリア系のブロンクス育ち。それはデ・ニーロも同じで、この作品で再現されている世界は彼らが実際に目にしてきた当時の現実なのだろうし、そういう意味でも興味深い作品になっている。

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 まとめ

徹底的な役作りで知られるデ・ニーロが監督を務めただけあって、丁寧に細部まで作り込まれた映画愛を感じる気持ちのいい映画だ。

犯罪は描かれているが主軸はあくまで父(ソニーの存在も含む)と息子の物語であり作品の最後に“父ロバート・デ・ニーロ・シニアに捧ぐ”というテロップが出されることでもデ・ニーロの想いは伝わる。

キャスティングも知名度よりリアル感が重視されており、特にデ・ニーロの息子役は子供時代のフランシス・キャプラ、青年期のリロ・ブランカート・ジュニアがともに父親似の本物の息子に見える。ソニー役のパミンテリもその他の脇役も見事にそれっぽい。

名作とまでは言えないが、映像も内容もしっかりしているので観て損はない良作だろう。

余談だが、カロジェロを演じたリロ・ブランカート・ジュニアは本作公開から15年後に第一級強盗未遂の罪で15年の実刑を食らっている。自身の息子役を務めた彼が才能をムダに失った馬鹿野郎に成り下がってしまったことをデ・ニーロも嘆いているに違いない。

みんなの感想・レビュー

  1. マサ より:

    僕の人生を変えた一作です

  2. 加藤洋子 より:

    父親のぶれない価値観と信仰心、両親への深い感謝なおもいが、温かい。母親は、ともすれば、家計の為にに安易な金儲けに陥ろうとするが、瀬戸際で夫の考えを理解し、流されない。貧しいが、健全な家庭が、少年の信頼と愛を両親が、しっかり繋ぎとめている。マフィアのボスもしっかり哲学があり、マフィアの限界も知っていて少年を誤った道へ進まない様に護っている。愛に満ちたものがたりだった。1960年代のブロンクスと言う街が見えて興味深い映画だった。