この記事では、映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 作品情報
- 製作年:1993年
- 上映時間:121分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
- 監督:ロバート・デ・ニーロ
- キャスト:ロバート・デ・ニーロ、チャズ・パルミンテリ、リロ・ブランカトー、フランシス・キャプラ etc
映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 あらすじ【起・承】
1960年ニューヨーク州ブロンクス。9歳のカロジェロは、バス運転手の父ロレンツォ(ロバート・デ・ニーロ)と母の3人で小さなアパートに暮らしていた。
カロジェロのアパートの2軒隣りにはならず者たちが集うバーがあり、その店を仕切るのはマフィアのソニー(チャズ・パルミンテリ)だった。店の前にはいつもソニーを囲んで男たちがたむろしており、カロジェロはアパート下に座りその様子を見るのが好きだった。
ある日、カロジェロは目の前でソニーが男を撃ち殺すのを見てしまう。目撃者として警察に呼び出された彼は“ソニーは犯人ではない”と嘘の証言をする。これをきっかけに彼は憧れのソニーから目をかけてもらえるようになる。
カロジェロはソニーに気に入られ“C”という呼び名までつけてもらう。しかしロレンツォは賭博の手伝いをして大金を手にした息子を見て激怒し、ソニーに“息子を巻き込むな”と告げ、カロジェロにも真面目に働くことの大切さを諭す。
17歳になったカロジェロはソニーの親しい友人になっていた。ソニーは息子のようにカロジェロを可愛がり、ロレンツォも2人の関係を黙認していた。
カロジェロは仲間とクラブを持ち、その店の前でたむろするようになる。そんな彼らを近くの地区に住む黒人たちが煽りに来て、イタリア系の若者と黒人の若者は対立を深める。
ある日カロジェロは黒人女性のジェーンに一目惚れする。しかし、相手が黒人では近づくことは難しかった。
ソニーは様々な場面でカロジェロに人生の教訓を教えてくれた。彼が不良仲間に深入りしないよう厳しく注意し、いつも彼を守ってくれていた。

映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 結末・ラスト(ネタバレ)
学校へ行ったカロジェロは、そこであのジェーンを見かける。チャンスを見計らって彼女に声をかけ、翌日デートすることになる。
ところがその日の夕方、クラブの前を通る黒人たちに腹を立てた仲間たちはカロジェロが止めるのも聞かず彼らにひどい暴力を振るう。
翌日、ソニーは自分の高級車をカロジェロに貸してくれる。カロジェロは喜んでジェーンを迎えに行くが、彼女は昨日のことでひどく怒っていた。ジェーンの兄も被害者の1人だったのだ。彼は自分の無実を主張するが、聞き入れてもらえなかった。
家に帰ると、ソニーの車を運転していたことで父からいきなり怒られ親子喧嘩になる。外へ出ると今度はソニーに捕まり“車でどこへ行った!”と怒鳴られる。ソニーの車に爆弾が仕掛けてあったというのだ。父親のように慕っていたソニーから疑われ傷ついたカロジェロは、誘われるまま仲間の車に乗り込む。
仲間たちは車に拳銃や火炎瓶を積み込んでおり、今から黒人のバーを襲撃に行くという。困っていたカロジェロをソニーがその車から連れ出してくれる。
帰るとカロジェロの無実を知ったジェーンが謝りに来ていた。2人はキスをして仲直りをした後、仲間の暴挙を止めるため黒人地区へ急ぐ。
しかし時すでに遅く、バーを襲撃した仲間たちは投げ返された火炎瓶により炎上した車内で全員焼け死んでおり、辺りは騒然となっていた。カロジェロは窮地を救ってくれたソニーにお礼を言うためバーに戻る。
賑わうバーの中で人をかき分けソニーのもとへ行こうとする彼の目の前で、ソニーは頭を撃ち抜かれる。犯人は8年前ソニーに撃ち殺された男の息子だった。
ソニーのお葬式の後、カロジェロは1人で棺の中のソニーへ語りかけていた。そこに現れたロレンツォは息子を救ってくれたソニーへ感謝の言葉を述べる。
映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
かっこいい2人の父親
“子供の頃からマフィアに憧れていた少年”と聞くと、どうしてもマフィア映画の傑作「グッドフェローズ」を思い出してしまう。その「グッドフェローズ」で冷酷なマフェアを演じたロバート・デ・ニーロがこの映画の監督であり、マフィアを嫌う真面目な父親を演じているのだから面白い。
しかし、物語の内容は全く違う。あちらの主人公はマフィアに憧れその世界にどっぷり染まっていくのに対し、この物語の主人公カロジェロは父親の愛情と一本気な姿勢により、悪の世界には染まらずギリギリのところで持ちこたえる。そしてカロジェロを可愛がるソニーもマフィアとして生きることを決して肯定しておらず“俺の真似はするな”と若いカロジェロに様々なアドバイスをしてくれる。ソニーのカロジェロに対する愛情はまさに父親同様で、2人の愛につつまれ成長するカロジェロは羨ましい環境にある。
堅気の運転手ロレンツォとマフィアのボスのソニー。この2人の生き方は大きく異なるが、男として自分の美学を貫く姿勢は共通しており、どちらも渋かっこいい親父でしびれる。
1960年代当時のリアルなアメリカ
ブロンクスというニューヨークの下町を舞台にした本作では、イタリア系の若者たちと黒人の若者たちの対立が描かれている。
白人が黒人を虐げるといった人種差別と違い、イタリア系移民も黒人もこの当時のアメリカでは社会的マイノリティであり、互いへの感情は差別というより縄張り争いに近いものがある。
ソニーを演じているチャズ・パルミンテリは本作の原作・脚本も手がけており、自身もイタリア系のブロンクス育ち。それはデ・ニーロも同じで、この作品で再現されている世界は彼らが実際に目にしてきた当時の現実なのだろうし、そういう意味でも興味深い作品になっている。
少年カロジェロがギャングのソニーと父ロレンツォの間で揺れる姿に、純粋な成長物語としても、社会背景を含む人間ドラマとしても深く引き込まれました。ソニーがただの悪人で終わらず、少年に「真の強さ」を教える存在として描かれるのが秀逸。ラスト、ソニーが撃たれ命を落とすことで、彼の儚さと優しさがより強く心に残ります。親子愛、初恋、アイデンティティ…人生の分岐点に立った全ての人に刺さる傑作。(20代 男性)
デ・ニーロ初監督作とは思えないほど、脚本も演出も完成度が高く驚きました。息子を正しい道へと導こうとする父親の姿が胸を打ちます。ソニーは悪人でありながら、どこか温かみがあり、彼なりの美学を持っていて魅力的。ラストで彼が死ぬ場面はとても切なく、カロジェロが彼から本当に何を学んだのかを考えさせられました。暴力ではなく「愛」こそが答えであるというテーマがしっかり伝わる映画です。(30代 女性)
ギャング映画というより、父と子、そして師との関係性を描いた深いヒューマンドラマ。ソニーがカロジェロに語るセリフ一つ一つに重みがあり、彼の死後、それが一層意味を増します。父ロレンツォが最後に息子の選択を受け入れたことで、息子が本当の意味で「自分の道」を歩み始めたように感じられました。時代背景も丁寧に描かれていて、1960年代アメリカの人種差別や暴力の問題もリアルに感じられました。(40代 男性)
ヤンチャで無鉄砲な少年が、父と裏社会の男という真逆の存在から人生を学ぶ…その構図がとても好きでした。特に女性との恋愛を通して、少年が自分の感情や価値観と向き合う姿には共感できました。ソニーの「ドアテスト」の話は印象的で、あのセリフだけで彼の人柄が分かるほど。ソニーの死は唐突でショックでしたが、その死によって物語が締まり、逆に清々しさすら感じました。(30代 男性)
一見するとギャング映画だけど、実は「愛」がテーマの優しい物語。ソニーも父親も、方法は違えどカロジェロに幸せな人生を歩んでほしいと願っているのが伝わってきて、とても感動的でした。黒人の少女との恋や人種的偏見への描き方も誠実で、時代背景と絡めて非常に丁寧に描かれていたと思います。ソニーのラストが悲しいけれど、彼の教えはカロジェロの中で生き続けていく。そんな希望を感じさせるラストでした。(20代 女性)
母親目線で観たとき、父ロレンツォの姿がとても切なく感じました。愛する息子が裏社会の人間に惹かれていくのを見ていながらも、彼を信じて見守る姿が印象的。ソニーの死後、父がそれでも息子を責めなかったことに胸が熱くなりました。女性との恋もとてもリアルで、若い頃の甘酸っぱい記憶が蘇りました。どの世代にも響く、優しさと痛みを含んだ名作です。(40代 女性)
青春映画としてもギャング映画としても完成度が高い。何よりカロジェロがソニーから学んでいく人生訓の数々が心に刺さります。特に「人は怖いと思われるより、愛される方が大事だ」というソニーの言葉にはしびれました。終盤、友人たちが死に、自分がソニーに守られていたことに気づくあの場面、感情が溢れました。暴力ではない形で人生を変えようとする少年の物語として観ると、とても感動的でした。(20代 男性)
デ・ニーロの演技も監督としての手腕も素晴らしく、どこを切り取っても美しい映画でした。カロジェロが成長していく過程が丁寧に描かれていて、特に人種間の葛藤や恋愛の描写は今の時代にも通じるメッセージ性を感じました。ソニーがただの悪党ではなく、哲学を持った人物として描かれているからこそ、彼の死はとても悲しく、同時に主人公の人生に深みを与えています。観るたびに発見のある作品です。(50代 男性)
男性たちの物語でありながら、女性の視点から観てもとても惹かれる映画でした。少年がどちらの大人を信じるべきか葛藤しながらも、自分自身の道を見つけていく姿に涙。ソニーとの不思議な関係性も愛情にあふれていて、彼の死があまりに静かで、そして切なかったです。恋愛描写も繊細で、若者たちの初恋が時代や環境に阻まれる苦しさが胸に迫りました。時間をかけてじっくり味わいたい作品です。(30代 女性)
派手なアクションや暴力に頼らない、人間味あふれるストーリーに感動しました。父親としてのロレンツォのまっすぐさと、ソニーのどこか悲しげな優しさの対比がとても良かったです。ソニーが命を落とすことで、「生き方の選択」を少年が真剣に考えることになり、それが最終的に父と子の和解にもつながったのが良かった。単なるギャング映画じゃなく、人生の教訓をくれる映画です。(60代 男性)
映画『ブロンクス物語 愛につつまれた街』を見た人におすすめの映画5選
スタンド・バイ・ミー(Stand by Me)
この映画を一言で表すと?
少年たちの旅が、大人への第一歩となる永遠の青春映画。
どんな話?
1950年代のアメリカ、死体を探す冒険に出た4人の少年が、それぞれの家庭や心に抱えた悩みと向き合いながら成長していく物語。友情、葛藤、別れを通して、少年たちは自分自身と世界を知っていく。
ここがおすすめ!
『ブロンクス物語』同様、子どもから大人になる過程での心の揺れや成長を丁寧に描いています。懐かしさと切なさ、そして人生の大切な瞬間を思い出させてくれる、全世代に響く名作です。
グッドフェローズ(Goodfellas)
この映画を一言で表すと?
実録ギャングの栄光と転落を描いた、究極のマフィア映画。
どんな話?
ギャングに憧れた少年が、実際にマフィアの世界に入り、金と権力に溺れながらもやがて破滅していく。実在の人物ヘンリー・ヒルの回顧録をもとに、スコセッシ監督が描くリアルな裏社会の生と死。
ここがおすすめ!
『ブロンクス物語』のソニーのようなギャングのカリスマ性や影響力が、さらにスケールアップした世界で描かれます。犯罪映画ながら人間ドラマとしても深く、緊張感と魅力が詰まった作品です。
父の祈りを(In the Name of the Father)
この映画を一言で表すと?
父と子の絆が、不当な運命を変えていく感動の実話。
どんな話?
爆破事件の冤罪で収監された青年とその父が、刑務所の中で少しずつ心を通わせながら無実を証明しようと闘う。過酷な状況の中で見えてくる、親子の強い愛と絆を描いた実録ドラマ。
ここがおすすめ!
『ブロンクス物語』の親子関係に心を打たれた人には、この作品の親子の絆と再生の物語が深く刺さるはずです。デイ=ルイスの名演、実話の力、法と正義の重みを感じる感動作です。
アメリカン・ヒストリーX(American History X)
この映画を一言で表すと?
憎しみと暴力の連鎖を断ち切る、衝撃の人間ドラマ。
どんな話?
ネオナチのリーダーだった兄が刑務所から出所し、同じ道を進もうとする弟を止めようとする物語。人種差別と過激思想がテーマだが、根底には兄弟の愛と変わることの大切さが描かれている。
ここがおすすめ!
『ブロンクス物語』でも扱われた人種問題や暴力への葛藤が、よりシリアスに、より重く描かれています。強烈な描写と圧巻の演技で、心に深い衝撃を残す映画です。
レザボア・ドッグス(Reservoir Dogs)
この映画を一言で表すと?
裏社会の緊張感と人間ドラマが火花を散らす、タランティーノの原点。
どんな話?
宝石強盗を計画した6人の男たちが、実行直後に警察の急襲を受け、内部に裏切り者がいることを疑い始める。倉庫に集まった男たちの心理戦と暴力が交錯する密室劇。
ここがおすすめ!
『ブロンクス物語』で描かれたギャングの男たちの生き様を、よりスタイリッシュかつスリリングに見せてくれます。脚本の妙とキャラクターの濃さが光る、映画史に残る犯罪映画の傑作。
みんなの感想・レビュー
僕の人生を変えた一作です
父親のぶれない価値観と信仰心、両親への深い感謝なおもいが、温かい。母親は、ともすれば、家計の為にに安易な金儲けに陥ろうとするが、瀬戸際で夫の考えを理解し、流されない。貧しいが、健全な家庭が、少年の信頼と愛を両親が、しっかり繋ぎとめている。マフィアのボスもしっかり哲学があり、マフィアの限界も知っていて少年を誤った道へ進まない様に護っている。愛に満ちたものがたりだった。1960年代のブロンクスと言う街が見えて興味深い映画だった。